「多謝」と「深謝」の違い|意味・使い方・例文
「多謝」と「深謝」の違い|意味・使い方・例文

ビジネスメールやお礼状を書いていると、「多謝」と「深謝」のどちらを使うべきか迷うことがあります。どちらも“深い感謝”を表す言葉ですが、ニュアンスや適した場面を取り違えると、丁寧に書いたつもりが堅すぎたり、逆に軽く見えたりすることも。

この記事では、多謝と深謝の違いの意味を軸に、読み方、使い方、例文、メールでの使い分け、謝罪としての扱い、感謝との違い、陳謝との違い、類義語・対義語、言い換え、英語表現まで、実務で迷わない形で整理します。読後には、文章のトーンに合わせて自然に選べるようになります。

  1. 多謝と深謝の意味の違いと選び方
  2. ビジネスメールや手紙での使い分けと注意点
  3. 類義語・対義語・言い換え・英語表現の整理
  4. そのまま使える例文10本とNG例

多謝と深謝の違い

最初に、両者の「意味」と「使い分け」を一気に整理します。多謝と深謝は似ていますが、焦点(量・回数寄りか、深さ・強度寄りか)と、謝罪ニュアンスの出やすさに差が出ます。ここを押さえるだけで、文章の誤解が大きく減ります。

結論:多謝と深謝の意味の違い

結論から言うと、多謝は「厚く礼を述べる(多く感謝する)」という感謝寄りの語感が強い一方、深謝は「心から深く感謝する」に加えて、文脈によっては深いお詫びの意味合いも帯びやすい言葉です。

私は、使い分けの軸を次のように説明しています。

項目 多謝 深謝
中心の意味 厚く礼を述べる(感謝が中心) 心から深く感謝する/深く詫びる(文脈で揺れる)
ニュアンス 「多く」「重ねて」感謝する印象が出やすい 「深く」「真摯に」気持ちの深度が強く出やすい
文体 書き言葉(やや文語的) 書き言葉(より改まる)
注意点 口語では硬く見えやすい 軽い用件に使うと過剰・大げさに見えることがある
  • 迷ったら「感謝だけ」を言いたいときは多謝、謝罪要素が混じる可能性があるときは深謝
  • 相手との距離が近いほど、どちらも「堅すぎる」印象になりやすい

多謝と深謝の使い分けの違い

私の実務感覚では、多謝は「何度もお世話になった」「継続的に支援を受けた」など、“積み重ね”がある場面で自然にハマります。感謝の総量が増えた結果として「多謝」と言いたくなる、というイメージです。

一方の深謝は、「救われた」「多大な配慮を受けた」「重大な迷惑をかけた」など、一件の出来事の重みが強いときに効きます。とくに謝罪文脈では、深謝は“深いお詫び”として読まれやすいので、感謝だけを伝えたい文面に不用意に混ぜないのが安全です。

  • 長期の支援・継続的な協力へのお礼:多謝が馴染む
  • 重要局面での大きな助けへのお礼:深謝が馴染む
  • 謝罪を含む文面(損害・迷惑が大きい等):深謝が選ばれやすい
  • カジュアルな会話:どちらも避け、「ありがとうございます」「感謝しております」が無難

なお、敬語や改まった言い回しは、使うほど良いわけではありません。相手との関係や案件の重さに合わせて選ぶことが、結局いちばん丁寧です。関連して、依頼・謝意表現の作法を整えたい方は、当サイトの敬語表現の整理記事も参考になります。

「ご足労」と「お手数」の違いや意味・使い方・例文まとめ

多謝と深謝の英語表現の違い

英語は日本語ほど「文語の一語」で片づけず、状況に応じてフレーズで温度感を調整します。多謝は“厚く礼を述べる”なので、英語ではmany thanksthank you very muchなどが相当します。

深謝は“深い感謝”であればI sincerely appreciate...My deepest thanksが近く、謝罪ニュアンスがある場合はmy sincere apologiesなどに寄せるほうが誤解が少ないです。

日本語 英語の近い表現 ニュアンス
多謝(感謝) Many thanks / Thank you very much 丁寧で感謝が厚い
深謝(深い感謝) I sincerely appreciate... / My deepest thanks 真摯・重みが強い
深謝(深いお詫び) My sincere apologies / I deeply apologize 謝罪の強度が高い
  • 英訳は相手の文化背景で受け取りが変わるため、重要な文書はネイティブチェックや専門家確認が安心

多謝とは?

ここからは、多謝そのものを深掘りします。読み方、意味、どんな時に使うか、語源感、類義語・対義語まで押さえると、文章の中で自信を持って選べます。

多謝の意味や定義

多謝(たしゃ)は、基本的には「厚く礼を述べる」「多く感謝する」という意味で使われる書き言葉です。私の感覚では、単に“丁寧”というより、「感謝の層が厚い」印象を作れる語です。

ただし、古い文脈や一部の用例では「深く詫びる(謝る)」の意味で扱われることもあります。文章の前後が謝罪調だと、読み手がそちらに引っ張られる可能性があるため、感謝で使うなら「御礼」「謝意」などを併用して文脈を固定すると安全です。

多謝はどんな時に使用する?

多謝がきれいにハマるのは、次のような場面です。

  • 長期間の支援や継続的な協力に対して、まとめてお礼を言いたいとき
  • 複数の配慮・複数回の対応があり、「重ね重ねありがとうございます」を格上げしたいとき
  • 文章全体が改まっており、文語寄りの表現が浮かないとき(お礼状、挨拶文など)

逆に、口頭の会話やチャットの短文で「多謝です!」と書くと、相手によっては“ノリ”に見えたり、“気取っている”印象になったりします。TPOを選ぶ言葉だと理解しておくと失敗しません。

多謝の語源は?

多謝は、漢字の通り「多(おおい)」+「謝(しゃ)」です。「謝」には「礼を言う(感謝する)」と「わびる(謝る)」の両面があり、ここが多謝をやや難しく感じさせるポイントです。

私は読者の方には、まずは“日本語としては感謝の厚さを表す文語”として押さえ、謝罪での運用は「その文面が謝罪中心かどうか」で判断する方法をおすすめしています。

  • 中国語でも「多謝」は「ありがとう」の意味で使われることがあり、日本語の多謝とは運用が少し異なる点は豆知識として覚えておくと便利

多謝の類義語と対義語は?

多謝の類義語(近い言い方)には、改まった感謝表現が並びます。ニュアンスの違いを一言で添えると選びやすいです。

  • 謝意:感謝の意志・気持ちを“文章語”で示す
  • 厚謝:厚く感謝する(多謝に近いが、より“厚い”に寄る)
  • 拝謝:へりくだって礼を言う(目上・取引先向き)
  • 万謝:非常に厚い感謝(強度が強い)

対義語は一語で対になりにくいのですが、感謝の反対としては「無礼」「不躾」「不義理」「恩知らず」など、“礼を欠く態度”を表す語が対照に置かれます。ただ、強い否定語は人間関係を損ねやすいので、実務では直接の対義語として使うより、状況説明で丁寧に表現を調整するほうが安全です。

  • 語の定義や用例は辞書・公的機関・出版社の解説などで揺れが出る場合があるため、重要な文書は公式情報や信頼できる辞書を確認したうえで、最終判断は必要に応じて専門家に相談してください

深謝とは?

次に深謝です。深謝は「深い感謝」と「深いお詫び」の両方に触れやすい言葉なので、意味の芯と、誤解されにくい運用をセットで押さえましょう。

深謝の意味を詳しく

深謝(しんしゃ)は、「心から深く感謝すること」を中心に、文脈によっては「心から深く詫びること(深い謝罪)」の意味にも寄る言葉です。私はここを“深い=強度、謝=感謝/謝罪の両面”として理解すると迷いにくいと考えています。

感謝で使う場合は、「深謝申し上げます」「深謝いたします」のように定型で使うことが多く、文章全体を改まったトーンに統一すると、深謝が自然に機能します。

深謝を使うシチュエーションは?

深謝は、次のような“重み”があるときに選ばれます。

  • 重要な局面で大きな支援を受け、深い感謝を丁寧に伝えたいとき
  • 相手に大きな迷惑や負担をかけ、深いお詫びの気持ちを示したいとき
  • お礼状・正式な案内文・改まったメールなど、書き言葉が求められるとき

一方で、軽い依頼・軽いお礼に深謝を使うと、相手が「そんなに重い話だった?」と身構えることがあります。私は、案件の重さが読み手とズレそうなときは、「心より御礼申し上げます」「厚く御礼申し上げます」などに逃がす判断もよくします。

深謝の言葉の由来は?

深謝は、「深(しん)」が“深い・奥深い”を表し、「謝(しゃ)」が“礼を言う/詫びる”を表すことで成り立っています。つまり、気持ちの深度を最大限に上げた謝意だと捉えると分かりやすいです。

この「謝」の幅があるため、深謝は便利な一方、文脈が曖昧だと読み手が迷います。私は、感謝で使うときほど「御礼」「感謝」「ありがたく」などを近くに置いて、意味を固定する書き方を推奨しています。

深謝の類語・同義語や対義語

深謝の類語には、より改まった感謝表現・謝罪表現が並びます。使いどころを間違えないよう、方向性ごとに分けます。

感謝寄りの類語

  • 拝謝:へりくだって礼を言う(目上向き)
  • 厚謝:厚く感謝する(深謝より“感謝”に寄せやすい)
  • 多謝:厚く礼を述べる(積み重ね感が出る)
  • 万謝:非常に厚く感謝する(強度が強い)

謝罪寄りの類語

  • 陳謝:事情を述べて詫びる(ビジネスでよく使う)
  • 謝罪:一般的な詫び
  • 平謝り:理由を述べずにひたすら謝る(語感に注意)

対義語はやはり一語で固定しづらいですが、「無礼」「不義理」など“礼を欠く態度”が対照に置かれます。実務では、相手にラベルを貼る表現は避け、事実と改善策を丁寧に書くほうが安全です。

多謝の正しい使い方を詳しく

ここでは、多謝を「実際に文章に落とす」ためのコツをまとめます。例文を見ながら、どの語と一緒に置けば自然か、どこが誤解ポイントかを押さえましょう。

多謝の例文5選

  • 長年にわたるご支援に、多謝申し上げます。
  • 多大なるご協力を賜りましたこと、多謝いたします。
  • このたびは度重なるご調整をいただき、多謝申し上げます。
  • 皆様の温かいご厚意に、多謝の意を表します。
  • ご多忙の中ご対応いただき、誠にありがとうございました。あらためて多謝申し上げます。

  • 多謝は単独で“格”が高いので、前後の文体も「申し上げます」「賜る」などに揃えると浮かない

多謝の言い換え可能なフレーズ

多謝が堅すぎる、あるいは相手との距離感に合わないと感じたら、次の言い換えが役立ちます。

  • 厚く御礼申し上げます:定番で万能
  • 心より感謝申し上げます:温度感を保ちつつ自然
  • 重ねて御礼申し上げます:積み重ね感を出しやすい
  • 謝意を表します:硬めだが意味が明確

丁寧さの整え方に悩む場合は、当サイトの「尽力」周りの敬語整理も参考になります。感謝を“努力への敬意”として表現する型が分かりやすいはずです。

「注力」と「尽力」の違いや意味・使い方・例文まとめ

多謝の正しい使い方のポイント

多謝を安全に使うポイントは、私は3つに絞っています。

  • 感謝の文脈を明確にする(「御礼」「感謝」「ありがたく」などを近くに置く)
  • 文章全体の文体を改める(急に多謝だけ入れると浮く)
  • 相手との距離が近いほど、より一般的な表現へ落とす

多謝の間違いやすい表現

多謝は意味の幅があるため、次のようなミスが起きがちです。

  • 軽い連絡に「多謝です!」と入れて、相手に違和感を与える(口語では硬くなりやすい)
  • 謝罪メールの末尾に多謝を置き、感謝なのか詫びなのか曖昧になる
  • 社内チャットなどカジュアル媒体で連発し、距離感が崩れる

重要な相手に送る文章ほど、最終的には辞書・社内文例・公式ガイドなどの確認をおすすめします。迷う場合は、より意味が明確な「厚く御礼申し上げます」を選ぶのが堅実です。

深謝を正しく使うために

深謝は“深さ”が強いぶん、刺さる場面では非常に効果的です。その一方で、過剰に見えやすい言葉でもあるため、適切な温度に調整するコツを持っておくと安心です。

深謝の例文5選

  • このたびは格別のご高配を賜り、深謝申し上げます。
  • 多大なるご尽力をいただきましたこと、深謝いたします。
  • ご迷惑をおかけしましたこと、深謝申し上げます。
  • 温かいお心遣いに救われました。心より深謝申し上げます。
  • 関係各位のご理解とご協力に、深謝の意を表します。

3つ目のように、謝罪文脈で深謝を使う場合は、前後に「お詫び」「ご迷惑」「至らず」などが入ることが多く、読み手も“詫び”として理解しやすくなります。

深謝を言い換えてみると

深謝が重すぎると感じたら、次の言い換えが実務では便利です。

  • 心より御礼申し上げます:感謝寄りで万能
  • 厚く御礼申し上げます:改まりつつ意味が明確
  • 深くお詫び申し上げます:謝罪に寄せたいとき
  • 誠に申し訳ございません:口語でも通る謝罪の基本

  • 深謝は「感謝」と「謝罪」の両方に触れうるため、言い換えで方向性を固定すると誤解が減る

深謝を正しく使う方法

深謝を正しく使うコツは、私は次の3点だと考えています。

  • 案件の重みと釣り合うかを先に確認する(軽い用件なら避ける)
  • 感謝か謝罪か、文面の主役を決めてから選ぶ
  • 読み手が迷わないよう、周辺語(御礼/お詫び)で意味を固定する

とくに謝罪文では、事実関係や影響範囲によって適切な表現が変わります。健康・法務・費用など影響が大きい案件は、断定を避けつつ、正確な情報は公式情報で確認し、必要に応じて専門家に相談してください。

深謝の間違った使い方

  • 軽いお礼(資料送付への返信など)で深謝を使い、相手が身構える
  • 感謝メールに深謝を入れた結果、相手が「迷惑をかけたのか?」と誤読する
  • 社内のフラットな相手に多用して、距離感が不自然になる

深謝は“効く言葉”だからこそ、使いどころを絞るほど文章が洗練されます。自信がないときは、意味が明確な「心より御礼申し上げます」「深くお詫び申し上げます」に置き換えるのが安全です。

まとめ:多謝と深謝の違いと意味・使い方の例文

多謝と深謝は、どちらも改まった場面で使える強い感謝表現ですが、焦点が少し違います。多謝は“厚く礼を述べる(積み重ね感)”に寄りやすく、深謝は“深い感謝”に加えて“深い謝罪”に寄る可能性がある点が大きな違いです。

  • 感謝だけを明確に伝えたい:多謝(ただし文体は改める)
  • 重みのある感謝・重要局面の謝意:深謝(周辺語で意味を固定)
  • 謝罪文脈で深い反省を示したい:深謝(ただし過剰使用に注意)
  • 迷ったら万能表現へ:心より御礼申し上げます/厚く御礼申し上げます

最終的には、相手との関係性や案件の重さで最適解が変わります。重要な送付物や対外文書は、正確な情報は公式サイトや信頼できる辞書で確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。表現を一段整えるだけで、文章の信頼感は大きく変わります。

おすすめの記事