「是正」「訂正」「改善」の違い|意味と使い分け・例文
「是正」「訂正」「改善」の違い|意味と使い分け・例文

「是正」と「訂正」と「改善」、どれも“直す・良くする”場面で出てくる言葉ですが、いざ文章にしようとすると「どれが正しい?」と迷いやすいですよね。

特にビジネスでは、報告書やメール、議事録、品質管理、是正措置や再発防止、修正依頼、業務改善などの文脈で使い分けが問われます。言葉選びを間違えると、意図より重く受け取られたり、責任の所在が曖昧に見えたりすることもあります。

この記事では、「是正」「訂正」「改善」の違いと意味を軸に、使い分け、英語表現、語源、類義語・対義語、言い換え、そしてすぐ使える例文まで一気に整理します。読み終えたころには、目的に合う言葉を迷わず選べるようになります。

  1. 是正と訂正と改善の意味の違い
  2. 場面別の使い分けと判断のコツ
  3. 英語表現・言い換えの対応関係
  4. そのまま使える例文と注意点

是正と訂正と改善の違い

まずは全体像をつかみましょう。三語は似ていますが、「何を」「どこまで」「どんな目的で」直すのかが決定的に違います。ここを押さえると、文章の説得力が一気に上がります。

結論:是正と訂正と改善の意味の違い

結論から言うと、私は次の一文で整理しています。

  • 是正:望ましくない状態・不適切な運用を正しい状態に戻す(マイナスをゼロへ)
  • 訂正:文章や発言などの誤りを正しい内容に直す(間違いを正解へ)
  • 改善:現状の課題を見直してより良い状態に高める(ゼロからプラスへ)

ポイントは、是正は「正しい姿に戻す」ニュアンスが強く、訂正は「誤っていた箇所を直す」ことに限定されがちで、改善は「より良くする」方向性まで含むことです。

用語 中心イメージ 対象 ゴール
是正 正しい状態へ戻す 運用・仕組み・体制・ルール 適正化(あるべき状態)
訂正 誤りを直す 文章・数値・発言・記載 正確化(誤情報の解消)
改善 より良くする 品質・手順・効率・環境 向上(パフォーマンスUP)
  • 迷ったら「対象が“文章の誤り”か、“状態や仕組み”かで切り分けるとブレません

是正と訂正と改善の使い分けの違い

使い分けの実務ポイントは、次の3つに集約できます。

  • 誤字・誤記・数値ミスなど「情報の間違い」なら訂正
  • ルール逸脱・不備・不適切な状態を「正しい状態へ戻す」なら是正
  • 正しい運用に戻したうえで、さらに良くする工夫まで含めるなら改善

たとえば「資料の数字が違っていた」は訂正です。一方で「チェック体制が機能しておらずミスが起きた」は状態の問題なので是正が中心になります。そして、是正後に「二重チェックを効率化する」「テンプレを見直して作業を短縮する」など、より良くする取り組みは改善です。

また、品質管理や監査の文脈では、是正=原因に踏み込んで再発を止めるという期待が乗りやすい点にも注意してください。軽い修正のつもりで是正と言うと、相手は「根本対策までやるのだな」と受け取ることがあります。

  • 社内規程や業界ルールで用語の定義が決まっている場合があります。正確な運用は公式資料(社内規程・手順書など)をご確認ください

是正と訂正と改善の英語表現の違い

英語にすると違いがさらに見えやすくなります。日本語は“直す”で一括りにしがちですが、英語は目的別に語が分かれます。

  • 是正:corrective action / rectify / remediate
  • 訂正:correction / amend / fix an error
  • 改善:improvement / enhance / optimize

品質・監査系では、是正は特にcorrective actionが定番です(問題の原因に対して手当てし、再発を防ぐニュアンス)。訂正はcorrectionで「誤りを直す」こと、改善はimprovementで「より良くする」方向を表します。

英語表現は業界で慣用が異なることもあります。契約書や規制関連など、正確性が重要な場面では、最終的な判断は専門家にご相談ください

是正の意味

ここからは各語を深掘りします。まずは「是正」から。ニュースや監査、行政文書などで見かけやすく、ビジネスでも“重め”の響きを持つ言葉です。

是正とは?意味や定義

是正(ぜせい)とは、誤り・不適切・不公平などの望ましくない点を改めて、正しい状態に戻すことです。単なる手直しというより、「あるべき姿へ戻す」という方向性が強く、組織のルールや運用の不備に対して使われることが多いのが特徴です。

私の感覚では、是正には次の2つがセットで期待されがちです。

  • 現状の不適切さを正す(まず正常化する)
  • 再発しない状態へ整える(原因に手を入れる)

そのため「是正対応」「是正措置」などの表現は、軽い修正よりも踏み込んだ印象になりやすい点を覚えておくと便利です。

是正はどんな時に使用する?

是正が自然なのは、主に「状態・仕組み・運用」に問題があるときです。

  • 監査で指摘された運用ルールの不備を是正する
  • 誤った手順が定着していたため、手順書と教育を是正する
  • 不適切な表示・表現を是正する
  • 法令や社内規程に照らして不適合な点を是正する

逆に、単発の誤字や数字の打ち間違いを「是正」と言うと、必要以上に大ごとに聞こえることがあります。その場合は訂正・修正が無難です。

  • 是正は「原因にも触れる」ニュアンスが出やすい言葉です。軽いミスなら「訂正」、運用のズレなら「是正」と切り替えると文章が整います

是正の語源は?

是正は、漢字の意味を分解すると理解が早い言葉です。

  • :これ・正しい
  • :正しい・正す

つまり「正しい方向へ正す」という構造で、“正しい状態に戻す”イメージが語そのものに入っています。だからこそ、状態の適正化や不備の是正といった、ややフォーマルな文脈で選ばれやすいのです。

是正の類義語と対義語は?

是正の近い言葉は多いですが、ニュアンスが微妙に異なります。

類義語(近い言葉)

  • 是正する:不適切さを正しい状態へ戻す
  • 改める:方針や態度などを変える(幅広い)
  • 正す:誤りや乱れを正しい方向へ戻す
  • 矯正する:癖・歪みなどを強めに正す
  • 是正措置:問題の原因に対する手当て(ビジネス・品質管理)

対義語(反対のイメージ)

  • 放置する
  • 黙認する
  • 助長する
  • 悪化させる

言い換えを使う場合でも、「正しい状態に戻す」意図があるなら、軸はぶらさないことが大切です。

訂正の意味

次に「訂正」です。三語の中でいちばん“守備範囲”が分かりやすく、文章・発言・数値のミスに強い言葉です。

訂正とは何か?

訂正(ていせい)とは、誤っている内容を正しい内容に改めることです。特に、文書・記載・発言など「情報」としての正確さを担保する場面で使われます。

私が訂正を使うときは、次のような状態が前提にあります。

  • 事実や数値、表記が間違っている
  • 正しい内容が明確に決まっている

つまり、訂正は「正解が分かっている誤り」を正す言葉です。だからこそ、議事録、リリース文、請求書、社内通知などで頻出します。

訂正を使うシチュエーションは?

訂正が自然なのは、次のような“誤りの修復”です。

  • 誤字脱字、誤記、誤植の訂正
  • 日付・金額・数量など数値の訂正
  • 発言内容の訂正(「先ほどの発言を訂正します」)
  • 告知や案内の情報訂正

一方で「手順が非効率なので訂正する」は不自然です。そこは改善・見直し・変更などのほうが合います。

  • 公表済み情報の訂正は影響範囲が大きいことがあります。社内ルールや公式発表の手順に従って対応してください

訂正の言葉の由来は?

訂正も漢字から意味が取りやすい語です。

  • :整える、決める、正す(訂正・改訂などで使われる)
  • :正しい、正す

「訂」は“文字・内容を整える”ニュアンスを持つため、訂正は特に文章・記載の誤りを整える場面と相性が良いのが特徴です。

訂正の類語・同義語や対義語

類語・同義語

  • 修正:間違いを直す/より良く整える(幅が広い)
  • 改める:前の内容を変える(誤りに限らない)
  • 修訂:文章を直して整える(硬め)
  • 訂する:誤りをただす(文語寄り)

対義語

  • 誤記する
  • 誤認する
  • 虚偽のままにする
  • 放置する

訂正と修正は特に混同されやすいので、後半の「間違いやすい表現」でコツを整理します。

改善の意味

最後に「改善」です。三語の中でいちばん前向きで、現状をより良くしていくニュアンスを持ちます。業務改善、品質改善、生活改善など、日常にもビジネスにも広く登場します。

改善の意味を解説

改善(かいぜん)とは、悪いところ・不足しているところを改めて、より良い状態にすることです。誤りの修復に限定されず、「もっと良くできる」という観点が入るのが大きな特徴です。

私の整理では、改善には次の2種類があります。

  • 問題改善:不具合・ムダ・リスクを減らす
  • 向上改善:成果・品質・効率を伸ばす

訂正や是正が「正しい状態へ戻す」寄りなのに対して、改善は「より良くする」方向を持つため、同じ“直す”でも温度感が違います。

改善はどんな時に使用する?

改善が向くのは、「現状より良くできる余地」があるときです。

  • 業務フローを改善して時間を短縮する
  • 品質を改善してクレームを減らす
  • コミュニケーションを改善して行き違いを防ぐ
  • 作業環境を改善して事故リスクを下げる

なお、改善は便利ですが、問題の深刻度によっては「是正」が求められる場面もあります。たとえばコンプライアンスや監査対応で「改善します」とだけ言うと、相手は「正しい状態へ戻す(是正)がまだ見えていない」と感じることがあります。

改善の語源・由来は?

改善は、文字通り「改めて善くする」です。

  • :改める、変える
  • :よい、正しい

つまり「良い方向に変える」ことが核にあり、“正解に戻す”より“より良くする”に軸が置かれています。

改善の類義語と対義語は?

類義語

  • 向上:レベルを上げる(成果・能力など)
  • 改良:性能や品質を良くする(モノ・仕組み寄り)
  • 刷新:古いものを新しくする(変化が大きめ)
  • 最適化:目的に対して一番よい形に整える(ビジネス用語寄り)

対義語

  • 悪化
  • 改悪
  • 退化
  • 停滞

「改善」は前向きで角が立ちにくい一方、責任を明確にしたい場面では「是正」のほうが意図が伝わることもあります。

是正の正しい使い方を詳しく

ここからは、三語を“実際に書ける”状態に落とし込みます。まずは是正の例文と言い換え、誤用ポイントをまとめます。

是正の例文5選

  • 監査で指摘された運用上の不備について、早急に是正します
  • 表示内容に誤解を招く点があったため、表現を是正いたしました
  • チェック体制の形骸化が原因だったため、フロー全体を是正しました
  • 再発防止の観点から、教育内容と手順書を是正します
  • 不公平が生じていたため、評価基準を是正し、周知しました

是正の言い換え可能なフレーズ

文脈に応じて言い換えると、文章の硬さを調整できます。

  • 正しい状態に戻す
  • 不備を改める
  • 不適切な点を見直す
  • 運用を適正化する
  • 問題点を正す

ただし、品質や監査の文脈で「是正措置」と言うべきところを、曖昧に「見直し」と書くと弱く見えることがあります。目的が“適正化”なら、言葉もそれに合わせたほうが誤解が減ります。

是正の正しい使い方のポイント

是正をうまく使うコツは、「どの状態を、どの基準に照らして正すのか」をセットで書くことです。

  • 対象(運用・体制・表示・手順など)を明確にする
  • 基準(規程・法令・ルール・あるべき姿)を示す
  • 再発防止に触れると、是正の目的が伝わりやすい

例:「手順が不適切だったため是正します」よりも、「手順書の規定と実運用に乖離があったため、手順書と教育を是正します」のほうが、何をどうするのかが伝わります。

是正の間違いやすい表現

よくある混同は次の2つです。

  • 誤字を是正する:大げさに聞こえやすいので、通常は「誤字を訂正する」が自然
  • 軽い調整を是正する:是正は“適正化”の響きが強いので、軽い変更なら「修正」「調整」「見直し」も検討

相手に余計な緊張感を与えないためにも、是正は「状態・運用の問題」に絞って使うと安定します。

訂正を正しく使うために

訂正は“誤りを正す”という意味が明確なぶん、使いどころもはっきりしています。ここでは、すぐ使える例文と、修正との違いがブレない言い換えを整理します。

訂正の例文5選

  • 先ほどの発言に誤りがありましたので、訂正いたします
  • 資料の金額表記に誤りがあったため、訂正版を共有します
  • 日程に誤記がありました。以下の通り訂正します
  • 案内文の記載内容を訂正し、再送いたします
  • 議事録の一部を訂正しましたのでご確認ください

訂正を言い換えてみると

硬さを調整したいときは、次の言い換えが便利です。

  • 誤りを正す
  • 正しい内容に直す
  • 書き換える(軽めの文脈)
  • 修正する(ただし“改善”寄りになる場合あり)

「修正」は訂正より広く使える反面、“より良く整える”ニュアンスが混ざることがあります。誤りを正すだけなら、訂正のほうが誤解が少ないです。

訂正を正しく使う方法

訂正は、「誤っていた箇所」と「正しい内容」をセットにすると丁寧です。

  • 誤:1月20日(火) → 正:1月21日(火)
  • 誤:10,000円 → 正:100,000円

特に社外向けの訂正では、影響範囲の説明やお詫びの一文を添えるなど、配慮が必要なケースもあります。正確な対応は、所属組織のルールや公式手順に従ってください。

訂正の間違った使い方

  • 手順を訂正する:文章そのものの誤りならOKですが、プロセスを良くするなら「改善」「見直し」が自然
  • 方針を訂正する:誤りの修復ではなく変更の意味になりやすく、「変更」「改定」「改める」が合うことが多い

訂正は“誤り”が前提です。誤りではなく「より良くする」「方針転換」なら、別語を選ぶほうが意図が伝わります。

改善の正しい使い方を解説

改善は幅が広い言葉なので、上手に使うには「何がどう良くなるのか」を具体化するのがコツです。例文とともに、誤用しやすいポイントも確認しましょう。

改善の例文5選

  • 作業手順を改善し、処理時間を短縮します
  • 問い合わせ対応の改善により、回答までのリードタイムを減らします
  • 品質を改善するため、チェック項目を見直します
  • 情報共有の方法を改善して、認識違いを減らします
  • 作業環境を改善し、安全性を高めます

改善を別の言葉で言い換えると

  • 見直す
  • 改良する
  • 向上させる
  • 最適化する
  • ブラッシュアップする(カジュアル寄り)

文章のトーンに合わせて言い換えを選ぶと、読み手の負担が減ります。公的文書や社外文では、改良・向上・見直しのほうが無難なこともあります。

改善を正しく使うポイント

改善は「良くする」だけだと抽象的になりがちです。私は次の型で書くと分かりやすいと考えています。

  • 対象:何を(手順、品質、対応、環境など)
  • 施策:どうやって(見直し、標準化、ツール導入など)
  • 効果:どう良くなる(短縮、削減、向上、低減など)

例:「業務を改善します」より「入力項目を整理して二重入力を減らし、処理時間を改善します」のほうが、改善の中身が伝わります。

改善と誤使用しやすい表現

改善は便利ですが、責任や是非が絡む場面では言葉が弱く見えることがあります。

  • 不適合を改善する:状況によっては「是正する」のほうが適切(適正化が目的の場合)
  • 誤記を改善する:誤りを直すなら「訂正する」が自然

特にコンプライアンスや監査対応では、相手が求めているのが「改善」ではなく「是正(正しい状態へ戻す)」の可能性があります。文脈に合わせて言葉を選んでください。最終的な判断に迷う場合は、専門家や担当部署に相談するのが安全です。

まとめ:是正と訂正と改善の違いと意味・使い方の例文

最後に要点をまとめます。

  • 是正:望ましくない状態を正しい状態に戻す(運用・仕組みの適正化)
  • 訂正:文章・発言・数値などの誤りを正しい内容に直す
  • 改善:現状を見直してより良い状態に高める

迷ったときは、「対象が“情報の誤り”なら訂正」「状態や運用のズレなら是正」「より良くするなら改善」の順で整理すると、ほとんどのケースで判断できます。

なお、用語の定義や運用は、業界・組織・規程によって微妙に違う場合があります。正確な情報は公式サイトや社内規程をご確認ください。また、契約・法令・安全など影響が大きい場面では、最終的な判断は専門家にご相談ください

関連して「訂正」や「改める」に迷う方は、違いの教科書の以下の記事も役立ちます。

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