
「寡占と独占って、どこがどう違うの?」と疑問に感じて、「寡占 独占 違い」と検索されたあなたへ。この記事では、寡占とは何か、独占とは何かという基本的な意味から、使い方や例文、日本での具体的な事例までをわかりやすく解説していきます。
特に、寡占市場・独占市場の違いを簡単に整理しながら、それぞれの価格形成や代表的な企業(寡占企業・独占企業)についても紹介。さらに、寡占価格と独占価格の違いを簡単に押さえ、公正な取引を守るために欠かせない独占禁止法との関係も取り上げます。
結論としては、「寡占」とは少数の企業が市場を支配している状態で、「独占」は1社だけが市場を独り占めしている状態です。この“企業の数”が最大の違いです。


これから、寡占市場の日本での例や独占市場の日本での例といった具体的なケースを交えて、寡占と独占の使い方や例文も紹介していきます。違いをしっかり理解すれば、ニュースや経済記事の読み方も変わってきますよ。
- 寡占と独占の基本的な意味と特徴の違い
- 寡占市場と独占市場の具体的な事例と構造
- 寡占価格と独占価格の形成方法の違い
- 独占禁止法と寡占・独占の関係性
目次
寡占と独占の違いを簡単にわかりやすく解説

- 寡占とは何か?意味と特徴を解説
- 独占とは何か?基本の意味と概要
- 寡占市場と独占市場の違いを簡単に整理
- 寡占価格と独占価格の違いを簡単に解説
- 寡占企業・独占企業とは何か?
寡占とは何か?意味と特徴を解説
「寡占(かせん)」とは、ある市場において少数の企業が大きなシェアを持ち、競争相手が限られている状態を指します。たとえば、日本の携帯キャリア業界を思い浮かべてみてください。数社の大手が市場をほぼ占めていて、新しい企業が入り込むのは簡単ではありません。
このような状況になると、企業同士がある程度価格やサービスの調整を行えるため、完全な競争市場とは性質が異なります。つまり、消費者が選べる選択肢が少ないため、価格が横並びになる傾向も見られます。
寡占市場の特徴としては、次のような点が挙げられます
特徴 | 説明 |
---|---|
企業数が少ない | 主要プレイヤーが数社のみ |
新規参入が難しい | 初期投資やブランド力の壁が高い |
非価格競争が中心 | 品質や広告などで競い合うことが多い |
価格が安定しやすい | 価格競争が激化しにくい |
つまり、寡占は「独占」とまではいかないが、自由な競争も起きにくい中間的な市場状態と言えるでしょう。
独占とは何か?基本の意味と概要
独占(どくせん)は、その市場において特定の企業や団体が、商品やサービスの提供を一手に引き受けている状態を意味します。言い換えると、競合がいないため、その企業だけが消費者に供給する立場にあるのです。
これは、市場に1社しか存在しない「純粋独占」が典型例で、価格の設定から販売数まで企業の自由に決めることができます。例えば、かつての日本国鉄(現在のJRグループに分割される前)は、国が運営する鉄道で完全な独占体制にありました。
独占の特徴をまとめると、以下のようになります
特徴 | 説明 |
---|---|
供給者が1社のみ | 他に競合が存在しない |
価格の自由度が高い | 自社で価格を決定できる |
政府の規制対象になりやすい | 公正な取引を保つための監視が入ることも |
消費者の選択肢がない | 他社製品と比較できない |
このような構造では、消費者が価格や品質に不満を持っても、他の選択肢がないため不利益を被る可能性もあります。
寡占市場と独占市場の違いを簡単に整理
寡占市場と独占市場は、どちらも「競争が限定的な市場」である点では似ていますが、根本的な違いがあります。
簡単に言うと、「何社あるか」がポイントです。寡占市場には複数の大手企業が存在するのに対し、独占市場は1社だけが存在します。以下の表に主な違いをまとめました。
比較項目 | 寡占市場 | 独占市場 |
---|---|---|
企業数 | 少数(2社以上) | 1社のみ |
競争の有無 | あり(限定的) | なし |
価格設定 | 他社を意識しながら調整 | 自由に設定できる |
参入の難しさ | 高いが可能性あり | 非常に難しい、または制度で排除 |
例えば、寡占市場は日本のビール業界、独占市場はかつての電力供給(地域ごとに1社のみ)などが挙げられます。
このように、どちらの市場にも特徴があり、企業の行動や価格形成の仕組みに違いが出てきます。
寡占価格と独占価格の違いを簡単に解説
寡占価格と独占価格の違いは、誰がどのように価格を決めているかによって変わってきます。
まず寡占価格とは、少数の企業が互いを意識しながら価格設定を行うため、極端な値下げ競争にはなりません。各社が「横並び」の価格を採用するケースも多く、暗黙の了解のような形で価格が似通ってくるのが特徴です。
一方で独占価格は、競争相手が存在しないため、企業が一方的に価格を決定します。コストに対して大きく利益を上乗せした「高価格」になることもあります。
比較項目 | 寡占価格 | 独占価格 |
---|---|---|
価格決定の仕方 | 他社の動きを見て調整 | 自社の判断のみで決定 |
消費者の選択肢 | 一部あり | なし |
価格変動のしやすさ | ゆるやか | 市場によって大きく変動も |
つまり、寡占では「競争はあるが慎重」、独占では「競争がないため自由度が高い」という価格戦略の違いがあるのです。
寡占企業・独占企業とは何か?
寡占企業とは、ある市場で大きなシェアを占めている企業のことを指します。ただし、それは1社ではなく複数社が存在しており、主に上位数社だけで市場を支配している構造です。たとえば、自動車業界ではトヨタやホンダなどの企業がシェアを握っており、これが典型的な寡占企業です。
一方、独占企業は市場でただ1社だけが存在し、他の企業がまったく入り込めない状態です。これは法律や特許、インフラ整備の難しさなどが要因となっていることが多く、かつてのNTT(日本電信電話公社)は電信電話事業を独占していた代表例です。
比較項目 | 寡占企業 | 独占企業 |
---|---|---|
数の構成 | 数社で市場を分け合う | 1社のみが市場を支配 |
競争の有無 | 部分的に存在 | なし |
例 | トヨタ・ソニー・キリンなど | 戦前の日本専売公社(タバコ)など |
つまり、寡占企業は「競い合う仲間がいる」、独占企業は「競争相手がいない」という根本的な違いがあります。
寡占と独占の違いを例で理解する

- 寡占市場の例|日本で見られる事例
- 独占市場の例|日本での代表的な例
- 寡占と独占の使い方と例文まとめ
- 寡占市場と独占市場の特徴を比較
- 独占禁止法と独占・寡占の関係とは?
寡占市場の例|日本で見られる事例
寡占市場という言葉を聞いても、すぐにイメージが湧かないかもしれません。ですが、実は私たちの身の回りにはたくさんの寡占市場があります。ここでは、日本で代表的な寡占市場をいくつかご紹介します。
まず思い浮かべやすいのが「携帯電話キャリア業界」です。ドコモ、au(KDDI)、ソフトバンクの3社がほとんどのシェアを持っており、新規の格安SIM事業者は増えていますが、まだこの3社の存在感は圧倒的です。
他にも、次のような業界が寡占市場の例とされています
業界 | 主な寡占企業 |
---|---|
ビール | アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー |
自動車 | トヨタ、ホンダ、日産 |
鉄道(首都圏) | JR東日本、東京メトロ、東急、小田急など |
家電量販店 | ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、ビックカメラ |
これらの市場では、数社の大手が競い合う形にはなっているものの、新しい企業が入り込むのは難しい構造となっています。つまり、完全な自由競争ではないけれど、独占でもない状態。これが寡占市場の典型的なパターンです。
独占市場の例|日本での代表的な例
独占市場は、基本的に「他の競合がいない」状態を指します。日本では、法的な理由やインフラの性質上、独占的な市場になっている分野がいくつかあります。
一番わかりやすいのは「水道事業」です。多くの自治体では、水道の供給を公営の水道局が一手に担っており、他の企業が水道を供給することは基本的にありません。住んでいる地域によって水道局が異なることはありますが、1つのエリアに複数の水道供給者がいることはまずありません。
他にも、日本で見られる独占市場には以下のような例があります
分野 | 独占している主体 |
---|---|
上下水道 | 各自治体(公営) |
地域電力(過去) | 関西電力、中部電力など(地域独占時代) |
地方のバス運行 | 地元のバス会社(自治体との協定による) |
郵便配達 | 日本郵便(一定の郵便物に限る) |
このような市場では、事業そのものが公共性を帯びているため、あえて独占にしているケースも多いです。価格やサービスの自由度はあるものの、そのぶん公共性や公平性が強く求められます。
寡占と独占の使い方と例文まとめ
「寡占」と「独占」、言葉の意味は理解していても、実際にどう使えばよいか迷う人も多いのではないでしょうか。ここでは、それぞれの言葉の使い方を例文つきで紹介します。
まず、「寡占」は少数の企業が市場を支配しているという意味なので、複数の企業名を並べる文脈で使うと自然です。
- 例文:「日本のビール業界は、アサヒやキリンなどの大手が寡占している。」
一方、「独占」は他に競合がいないという意味なので、1社や1つの団体を強調したいときに使います。
- 例文:「この地域の水道供給は、市が独占して行っている。」
また、「寡占状態」「独占的な立場」など、やや抽象的に使われることもあります。
- 例文:「IT業界では、一部の大手が寡占状態を築いている。」
- 例文:「独占的な地位を利用した値上げが問題視されている。」
どちらの言葉も、経済ニュースやビジネス会話でよく使われるため、使い分けができると知的な印象も与えられます。
寡占市場と独占市場の特徴を比較
ここでは、寡占市場と独占市場の違いをもう少し掘り下げて、特徴ごとに比較してみましょう。両者はよく似ているように見えて、実は企業行動や市場構造に大きな差があります。
比較項目 | 寡占市場 | 独占市場 |
---|---|---|
競争相手の数 | 数社 | 1社のみ |
価格の決め方 | 他社を意識して調整 | 自社だけで自由に設定 |
消費者の選択肢 | 一応あり | ほぼなし |
参入のしやすさ | 難しいが可能 | 非常に難しいまたは禁止 |
規制の有無 | 一部あり | 強く規制されることも |
例えば、寡占市場では価格競争よりも品質やブランドで差をつける「非価格競争」が行われやすいです。一方、独占市場では価格設定の自由がある分、公的なルールや監視が厳しくなる傾向があります。
このように、同じ「競争が少ない市場」でも、企業の動き方や消費者への影響はまったく異なるのです。
独占禁止法と独占・寡占の関係とは?
「独占禁止法(どくせんきんしほう)」は、その名の通り、不当な独占や市場支配を防ぐための法律です。ただし、すべての独占や寡占を違法としているわけではありません。
実際には、「不公正な取引」や「市場を歪める行為」が問題視される対象になります。つまり、企業が他社を不当に排除したり、談合や価格カルテルを結んで価格をつり上げたりする行為が規制の対象になるのです。
独占禁止法が関係してくる主なケースをまとめると、次のようになります
状況 | 違法性の有無 |
---|---|
自然に独占状態になった | 違法ではない(規模が大きくなっただけ) |
意図的に競合を潰す | 違法の可能性あり(排除型私的独占) |
寡占企業同士で談合 | 違法(カルテル行為) |
市場価格を操作 | 違法(価格支配) |
この法律の存在により、企業は自由に商売をしながらも、健全な競争が守られるようバランスを取らなければなりません。特に、寡占市場では「暗黙の了解で価格が似通ってしまう」ことがあるため、公正取引委員会の監視が重要です。
寡占と独占の違いを簡単に理解する|要点まとめ
- 寡占は少数の企業が市場を支配している状態
- 独占は1社だけが市場を支配している状態
- 寡占市場では競合は存在するが数が限られている
- 独占市場では競合が存在せず企業が唯一の供給者
- 寡占では価格は企業間で意識され横並びになりやすい
- 独占では企業が自由に価格を設定できる
- 寡占市場は非価格競争(広告・サービスなど)が活発
- 独占市場は価格・供給量など企業の裁量が大きい
- 寡占企業は複数社で市場を分け合っている
- 独占企業は1社が完全に市場を握っている
- 寡占の代表例は携帯キャリアやビール業界など
- 独占の代表例は水道・郵便など公共インフラ系が多い
- 寡占価格は緩やかに変動しやすい特性がある
- 独占価格は高くなるリスクがあり消費者の選択肢も少ない
- 独占禁止法は不当な市場支配や価格操作を規制している