
「来たる」と「来る」は、どちらも「きたる」「くる」と関わる言葉なのに、文章で見かけると「これって同じ意味?」「送り仮名はどっちが正しい?」「来る○日は“くる”って読まれない?」と迷いやすい表現です。
特に、案内状やビジネス文書で出てくる「来る〇月〇日」や、少し硬い言い回しの「来たる〇日」は、意味は近いのにニュアンスや書き方の考え方が違います。さらに「来たる」には、古風な響きで「やって来る」を表す用法もあり、混乱の原因になりがちです。
この記事では、来たると来るの違いと意味を軸に、送り仮名、読み方、使い分け、例文、言い換え、類義語・対義語、英語表現まで、ひとつずつ整理していきます。文章のトーンに合わせて“迷わず選べる基準”を持ち帰ってください。
- 来たると来るの意味の違いと使い分け
- 「来る○日」「来たる○日」の表記と誤読を防ぐコツ
- 来たる・来るの例文と自然な言い換え表現
- 語源・類義語・対義語・英語表現までの整理
来たると来るの違い
最初に結論を押さえると、迷いが一気に減ります。ポイントは「品詞(働き)」と「文章の硬さ」、そして「誤読リスク」です。同じ読み方が絡むからこそ、どう使われているかを見て判断するのが近道です。
結論:来たると来るの意味の違い
私の結論を先に言うと、次の整理がいちばん実用的です。
| 表記 | 中心となる意味 | よく出る形 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 来る | (1)来る=移動してこちらへ来る (2)来る(きたる)=今度の・次の |
来るよ/来週来る/来る4月 | 日常的〜事務的 |
| 来たる | (1)来たる=やって来る(古風) (2)来たる=今度の・次の(硬め) |
球春来たる/来たる5日 | やや硬い・改まった |
つまり、「来る」は日常語としての動詞が基本で、「来る(きたる)」は日付などを修飾する連体詞としても使われます。一方の「来たる」は、同じ「きたる」でも古風な動詞としての響きが強く、日付を修飾する場合も改まった書き方として選ばれやすいのが特徴です。
来たると来るの使い分けの違い
使い分けのコツは、次の3点です。
- 意味で分ける:移動の「来る」と、日付修飾の「来る(きたる)/来たる」を混ぜない
- 文体で分ける:カジュアルなら来る、改まった通知なら来たる(またはひらがな「きたる」)
- 誤読を避ける:「来る○日」は「くる」と読まれる可能性があるため、必要なら対策する
たとえば、社内外の案内で「来る5日」と書くと、読み手によっては「くるいつか」と受け取ることがあります。ここで「来たる5日」とすれば、視覚的に「きたる」と読ませやすく、文章全体も改まった印象になります。
なお、「来たる」は「球春来たる」のように“季節がやって来る”を表す言い回しとしても使われます。この場合は、日付修飾の「来る(きたる)」とは別枠の古風表現として捉えるとスッキリします。
来たると来るの英語表現の違い
英語にすると違いがイメージしやすくなります。
- 移動としての「来る」:come, arrive
- 「今度の・次の(きたる)」:upcoming, forthcoming, next, on + 日付
たとえば「来る4月」は next April や this coming April に近い感覚です。一方、「彼が来る」は He will come. のように、動作としての来訪を表します。
来たるとは?
ここからは、来たるそのものを掘り下げます。「来たる」は見た目が似ていても、文脈によって役割が変わります。意味の芯と“使われる場所”を押さえると、表記の迷いがかなり減ります。
来たるの意味や定義
来たる(きたる)は、大きく二つの意味で捉えると分かりやすいです。
- (A)古風な動詞:やって来る、到来する(例:球春来たる)
- (B)日付などを修飾する用法:もうすぐ来る次の、今度の(例:来たる5日)
(A)は文芸的・見出し的な響きが強く、(B)は案内状や告知などで「きたる」と読ませたい意図が出やすい表記です。どちらも「近い未来」を含みますが、(A)は“到来のムード”、(B)は“日程の指示”に寄っている、と私は捉えています。
来たるはどんな時に使用する?
来たるが活きるのは、次のような場面です。
- イベント告知・式典案内:来たる○月○日に開催いたします
- 見出し・コピー:新時代、来たる/球春来たる
- 改まった文章での誤読回避:来る○日を「くる」と読まれたくないとき
一方で、日常会話で「来たる金曜日にさ…」と言うと、少し硬く聞こえることがあります。会話なら「今週の金曜」「次の金曜」のほうが自然です。来たるは、文章の温度感を“少しだけ上げたいとき”に強い言葉だと思っています。
来たるの語源は?
来たる(きたる)は、古語・文語の流れを引く表現として理解すると納得しやすいです。現代語の「来る(くる)」とは別の活用をする語として扱われ、文学的な文章や見出しで生き残ってきた経緯があります。
また、日付修飾としての「きたる」は、もともと動詞的な形から連体詞的に用いられてきた背景があり、表記に「来る」と「来たる」の揺れが生まれやすい領域でもあります。実務では、媒体や組織の表記ルール(用字用語集)に合わせるのが安全です。
来たるの類義語と対義語は?
来たる(今度の・次の)の類義語は、文体によって使い分けると自然です。
- 類義語:次の、今度の、次回の、近日、近々、近い将来
- 類義語(硬め):来たる、来る(きたる)、今般(こんぱん)
対義語は「過去」を指す語や、「直前の」を指す語が対応します。
- 対義語:去る(例:去る○日)、前回の、先日の、過日の
ただし「去る」はこちらも文章語で、日常会話にはあまり出ません。改まった案内文の中で、対にして使われることが多い表現です。
来るとは?
次に、来るを整理します。「来る」はあまりに基本語なので、逆に“どの来るか”が曖昧になりやすい言葉です。ここでは「くる」と「きたる」の二つの読みが混在しやすい点を、丁寧にほどきます。
来るの意味を詳しく
来る(くる)は、もっとも一般的には移動してこちらへ到達するという意味の動詞です。
- 例:友だちが家に来る
- 例:春が来る
一方で、来る(きたる)は日付や時期の直前を表す連体詞として使われます。
- 例:来る4月に新年度が始まる
- 例:来る週末は出張だ
同じ「来る」でも、前者は動作、後者は“次の〜”という修飾です。私はここを混同した瞬間に文章が崩れやすいと感じています。
来るを使うシチュエーションは?
来る(くる)は、会話でも文章でも幅広く使えます。
- 日常会話:明日来る?/あとで来るね
- 予定の連絡:会議に来る人を確認する
- 比喩:チャンスが来る/時代が来る
来る(きたる)の用法は、日付・時期とセットになりやすいのが特徴です。
- 案内・告知:来る5月に開催します
- やや事務的な文:来る年度の計画
来るの言葉の由来は?
来る(くる)は現代語の基本動詞で、広く「こちらへ到達する」「時間・季節が到来する」といった意味で定着しています。日常語としての安定感がある一方、同じ漢字で「きたる」の読みを担うことがあるため、日付修飾での誤読が起きやすいのが難点です。
実務では、誤読を避けたいときに「きたる」とひらがなにしたり、「来たる」と表記したり、「次の」「今度の」と言い換えたりして調整します。文章の目的は“伝わること”なので、ここは柔軟に選ぶのが正解です。
来るの類語・同義語や対義語
来る(くる)の類語は、ニュアンスで選びます。
- 類語:到着する、訪れる、やって来る、来訪する(硬め)
- 類語(時間・季節):到来する、訪れがある
対義語は、移動の向きが逆になるものが中心です。
- 対義語:行く、去る、帰る(文脈による)
来る(きたる)=今度の、の意味なら、対義語は「先の」「先日の」「前回の」などが対応します。
来たるの正しい使い方を詳しく
来たるは、便利な一方で“硬さ”と“古風さ”が同居する言葉です。ここでは例文と一緒に、自然に使うコツと、避けたいミスをまとめます。
来たるの例文5選
- 来たる3月15日に、社内説明会を開催いたします
- 来たる週末は天候が崩れる見込みのため、行程を調整します
- 来たる決戦の日に向けて、準備を進めよう
- 球春来たる。新しいシーズンが始まる
- 来たるべき時が来たら、迷わず挑戦する
上の1〜3は「今度の」という日程・時期の提示、4は古風な到来表現、5は「来たるべき」の形で“将来の必然”を帯びた言い回しです。来たるは、文全体のトーンに合わせると気持ちよくはまります。
来たるの言い換え可能なフレーズ
来たるを、文章の硬さに合わせて言い換えるなら次が鉄板です。
- カジュアル:今度の、次の、次回の
- 事務的:次期、近日、近々
- 通知・案内:○月○日(日付だけにして明確化)
とくに「来たる○日」を日付そのものにしてしまうのは、誤読・誤解を減らす実務的なやり方です。読み手の負担を減らしたいなら、言い換えは強い味方になります。
来たるの正しい使い方のポイント
私が文章チェックで見ているポイントは3つです。
- 名詞(○日、○月、週末、年度など)を修飾しているか
- 文体が硬めでも浮かないか
- 誤読対策として有効か
来たるの間違いやすい表現
よくあるつまずきは、次のパターンです。
- 会話で多用して不自然に硬くなる(例:来たる金曜に飲みに行こう)
- 「来たる○日」と「来る○日」を混在させ、表記がぶれる
- 移動の意味で来たるを使い、文が古風すぎる(意図がないのに)
来るを正しく使うために
来るは便利で汎用性が高い反面、「くる」と「きたる」の読み分けが絡むと誤解の火種になります。ここでは“当たり前の言葉”を、当たり前に正しく使うための整理をします。
来るの例文5選
- 明日、家に来る?
- 新しいメンバーが来るので、自己紹介の時間を作ろう
- 春が来ると、気持ちも明るくなる
- 来る4月から、制度が変わります
- 来る週末は予定があるので、別日にしよう
4と5は「来る(きたる)」=今度の、の用法です。日付や時期と一緒に出てきたら、その可能性を思い出すだけで迷いが減ります。
来るを言い換えてみると
来る(くる)を言い換えると、文章がクリアになる場面があります。
- 人が来る → 訪れる/来訪する(硬め)
- 荷物が来る → 届く/到着する
- 春が来る → 春が訪れる/春が到来する
来る(きたる)の言い換えは「次の」「今度の」が万能です。誤読が心配なら、ここは迷わず言い換えたほうが親切です。
来るを正しく使う方法
来るを正しく使うコツは、文の中での役割を固定することです。
- 動作の来る:主語が人・物で、「どこへ/どこに」がイメージできる
- 修飾の来る(きたる):後ろに日付・時期・行事などの名詞が来る
来るの間違った使い方
ありがちな誤りは次のとおりです。
- 「来る○日」を書いたつもりが、読み手に「くる」と読まれて混乱する
- 文脈上は「届く」が自然なのに「来る」を使って曖昧になる(例:荷物が来る)
- 「来る(きたる)」のつもりで書いたが、前後が口語すぎて浮く
私は、案内文や注意事項のように“誤解が困る文章”ほど、「次の」「今度の」「○月○日」といった明確な言い換えを優先します。言葉として正しいだけでなく、伝達として正しいことが大事だからです。
まとめ:来たると来るの違いと意味・使い方の例文
最後に要点をまとめます。
- 来るは基本的に動詞(くる)で、「移動してこちらへ来る」
- 来る(きたる)は連体詞的に「今度の・次の」を表し、日付や時期を修飾する
- 来たるは「やって来る」という古風な表現としても使われ、案内文では「きたる」と読ませたい意図で選ばれやすい
- 誤読が気になるときは「次の」「今度の」「○月○日」と言い換えるのが実務的
表記の正解は一つに固定しにくく、媒体や組織のルールによって推奨が変わることもあります。最終的には、提出先・掲載先の公式ルール(用字用語集、表記基準、公式サイトの指針など)を必ず確認してください。迷いが大きい場合や重要な文書(契約、告知、広報など)では、国語辞典や校正担当者など専門家に相談するのが安全です。
なお、関連して「きたす(来たす・来す)」が気になる方は、意味の混同を避けるために整理しておくと安心です。文章で「支障をきたす」を使う場面が多い方は、「支障をきたす」と「支障が出る」の違いと意味・使い方・例文もあわせて確認しておくと、表現の精度が上がります。

