日本語を使っていると、「増す」と「益す」という言葉がふと目に入ることがあります。どちらも「ます」と読めるうえ、「〜を増す」「〜を益す」という表現があったり、「ますます」という副詞の由来に絡んでいたりもします。本記事では、 「増す」と「益す」の違い、意味、語源、類義語、対義語、言い換え、使い分け、そして実際の例文まで、増すと益すの違いや意味・使い方を深掘りします。
この記事を読んでわかること
- 「増す」と「益す」の意味と定義の違い
- それぞれの語源・由来をたどる
- 類義語・対義語・言い換え可能なフレーズ
- 使い方のポイントと例文（誤用しやすい点も含む）
増すと益すの違い
結論：増すと益すの意味の違い
まず結論から言うと、「増す」と「益す」では扱う意味のニュアンスが異なります。
「増す」は、量・数・程度などが“ふえる”いう意味を持ちます。
「益す」は、利益・効用・価値などが“増える・よくなる”という意味合いを含みます。
つまり、「増す」が物理的／数量的な“増加”を指すのに対して、「益す」はもう少し抽象的に「益（めぐみ・利益）をもたらす」「よくなる」という意味を帯びていると言えます。
増すと益すの使い分けの違い
使い分けのポイントを整理します。
- 「増す」を使う場面：量・回数・頻度・程度などが物理的に増えるとき。例：「温度が増す」「関心が増す」
- 「益す」を使う場面：利益・価値・効用が増える、または「益をもたらす」という意味合いがあるとき。例：「利益を益す」「信頼を益す」
このように、文脈に応じて「ふえる対象」が“数・量”か“価値・効用”かを見分けることが重要です。
増すと益すの英語表現の違い
英語で対応する表現も押さえておくと、日本語を英訳・理解する際に役立ちます。
| 日本語 | 英語での表現 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 増す | increase, grow, rise | 数量・程度が“増える” |
| 益す | benefit, bring benefit, enhance, add value | 価値・利益・効用が“増す” |
例：「interest increases（関心が増す）」「this policy will benefit／add value（この政策は益す）」のように使えます。
増すの意味
増すとは？意味や定義
「増す（ます）」とは、「（量・数・程度などを）ふやす」「（量・数・程度などが）ふえる」という意味を持つ動詞・補助動詞です。
例えば「期待が増す」「重みが増す」のように用いられます。
増すはどんな時に使用する？
「増す」は次のような場面でよく使用されます
- 数量や回数が増える：例「参加者が増す」
- 程度や強さ・頻度が増える：例「危険性が増す」
- 傾向や意識など抽象的なものが高まる：例「関心が増す」「緊張感が増す」
このように「増す」は、“単純に増える・ふえる”という意味をストレートに含んでいます。
増すの語源は？
「増す」の漢字「増」は、「ふえる」「ふやす」という意味を持つ日本語漢字で、古典的には「ます」という訓読みを持っていました。
訓読み「ます」が「増える」「増やす」の意味で用いられており、そこから「増す」という動詞的用法が定着したと考えられます。
なお、「ますます（増々／益々）」という副詞形にも関係しています。
増すの類義語と対義語は？
「増す」に関連する言葉を整理します。
| 言葉 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|
| 類義語 | ふえる、増加する、高まる、拡大する | 量・程度の増加を強調 |
| 対義語 | 減る、縮む、衰える、落ちる | 量・程度が下がる・少なくなる |
また、言い換え可能なフレーズとして「～を強める」「～を高める」なども“増す”の代用として機能します。
益すの意味
益すとは何か？
「益す（ます）」とは、「益（めぐみ・利益・効用）が増える」「益になるようにする」という意味を持つ動詞的な用法です。
つまり、単に数が増えるというよりも“価値・利益・効用”という観点で“よくなる”というニュアンスが強い言葉と言えます。
益すを使うシチュエーションは？
「益す」を使う典型的な場面は次の通りです
- 活動・政策・施策が利益・効用をもたらす：例「地域経済を益す」
- 価値・信頼・評判などが高まる：例「信用を益す」「評判を益す」
- 物事の意味・効果・成果が大きくなる：例「学びが益す」
要するに、“ただふえる”ではなく、“よくなる・益になる”という意味合いのある増加を指します。
益すの言葉の由来は？
「益」という漢字には「やく（益）」「えき」「ます」という訓読みがあり、「利益」「益楽」「益々（ますます）」などの語に使われています。
訓読み「ます」が「益をもたらす」という意味で用いられていたところから、「益す」という表現が生まれたと考えられます。
実用的には、「益々（ますます）」という副詞形で「どんどん益す（よくなる・増える）」という意味でも使われることがあります。
益すの類語・同義語や対義語
| 言葉 | 意味 | 補足 |
|---|---|---|
| 類語／同義語 | 利益をもたらす、高める、充実させる、向上させる | 価値・効用・質の増大を示す |
| 対義語 | 損なう、減益、低下させる、退化させる | 質・効用・価値が下がる・失われる |
増すの正しい使い方を詳しく
増すの例文5選
- 参加者の数が年々増すばかりだ。
- 逆風が強くなり、緊張感が増す現場だった。
- 経験を積むことで自信が増すのを感じた。
- この薬を飲むと副作用のリスクが増す可能性がある。
- 関心が増すほど、疑問もまた増すものだ。
増すの言い換え可能なフレーズ
- 増加する → 「～が増す」
- 高まる・強まる → 「～が増す」
- ふえる・拡大する → 「～を増す」
増すの正しい使い方のポイント
「増す」を使う際のチェックポイントは以下の通りです
- 対象が「数・量・程度」かどうかを確認する。
- 「増す」が意味する“ふえる”を意図しているか。価値・効用の増大を言いたいなら「益す」の方が適切な場合がある。
- 副詞「ますます」は「増す増す」「益々」が語源ですが、現代ではひらがな「ますます」で書かれることが一般的です。
増すの間違いやすい表現
よくある誤用には次のようなものがあります
- 価値や効果を言いたいのに「～を増す」と書いてしまう → 正しくは「～を益す」。
- 「増す々」「増々」を使って副詞化しようとする → 慣用的には「益々（ますます）」が多く、「増々」はあまり一般的ではありません。
- 「増すする」など冗長な形にしてしまう → 動詞「増す」の活用を正しく使いましょう。
益すを正しく使うために
益すの例文5選
- この政策は地域の活性化を益すだろう。
- 信頼関係を築くことで長期的な利益を益すことができる。
- 環境保護活動が将来世代の幸せを益すという視点を持とう。
- 学びを深めることで自分の可能性を益すことができる。
- 設備の改善が業務効率を益すにつながった。
益すを言い換えてみると
- 価値を高める → 「～を益す」
- 利益をもたらす → 「～を益す」
- 効用を増す・向上させる → 「～を益す」
益すを正しく使う方法
以下のポイントを押さえると、「益す」を適切に使うことができます
- 対象が「利益・効用・価値・効果」などかを確認する。
- 「ただふえる」ではなく「良くなる」「役立つようになる」というニュアンスがあるかを意識する。
- 言い換え可能なフレーズ（価値を高める、効用を増す）で置き換えられるかをチェックする。
益すの間違った使い方
注意すべき誤用もあります
- 数量・回数など「ただふえる」だけの意味で「～を益す」と書く → この場合は「増す」が適切。
- 副詞形として「益す々」「益々」を用いようとする → 通常「益々（ますます）」の形です。
- 「益すする」「益すれる」と誤った活用にする → 正しくは「益す」「益した」「益して」など。
まとめ：増すと益すの違いと意味・使い方の例文
本稿では、「増す」と「益す」の違い 、意味、語源、類義語、対義語、言い換え、使い方、例文、英語表現という観点から、「増す」と「益す」の違いを詳しく解説しました。
ポイントを改めて整理します
- 「増す」は数量・程度・頻度が“ふえる”という意味。物理的・定量的な増加を指します。
- 「益す」は利益・効用・価値などが“よくなる”“増える”という意味を持ち、抽象的・質的な増大を指します。
- 語源的にも「増す」は「ふえる／ふやす」という漢字「増」に由来し、「益す」は「益＝利益・めぐみ」の意味を核として訓読み「ます」が使われています。
- それぞれに適した類義語・対義語・言い換えがあり、使い分けを意識することで誤用を防ぐことができます。
- 実際の例文を通じて、量的な“ふえる”と価値的な“よくなる”のニュアンスの違いを体感できるようにしました。
言葉を丁寧に使うことで、文章の精度・印象ともに向上します。
増すと益す、どちらが適切かを考えながら、ぜひ正しく使い分けてみてください。
