
「各々と個々の違いや意味がいまいちピンとこない」「ビジネスメールで、各々と個々のどちらを書けばよいか迷う」と感じたことはないでしょうか。似ている日本語同士だからこそ、各々と個々の使い分けやニュアンスをはっきりさせておかないと、「なんとなく」の感覚だけで文章を書いてしまいがちです。
とくに、各々と個々の違いや意味に加えて、「それぞれ」との違い、ビジネスシーンでの使い分け、敬語表現との関係、英語表現との対応などは、検索でもよく調べられているポイントです。各々と個々の語源や類義語・対義語、言い換え、使い方や例文まで一度整理しておくと、日本語表現の幅がぐっと広がります。
この記事では、日本語表現の違いを専門に扱う「違いの教科書」の運営者として、私自身が日々の文章作成やビジネス文書で意識している「各々と個々の違いや意味」「それぞれとのニュアンスの差」「各々と個々の英語表現の考え方」を、できるだけ具体的な例文とともにお伝えしていきます。
最後まで読んでいただくことで、各々と個々の違いや意味だけでなく、場面ごとの自然な使い方や言い換え表現、例文の作り方まで一気に整理できるはずです。
- 各々と個々の意味の違いと使い分けの軸を理解できる
- 各々と個々の語源・類義語・対義語・言い換え表現が分かる
- ビジネスで自然な各々・個々の使い方と例文を身につけられる
- 各々と個々に対応する英語表現や言い回しの考え方を押さえられる
各々と個々の違い
まずはゴールイメージとして、各々と個々の意味の違いと使い分けの軸を押さえておきましょう。このパートでは、結論→使い分け→英語表現という流れで、全体像をざっと整理していきます。
結論:各々と個々の意味の違い
結論から言うと、各々と個々の辞書的な意味は非常に近く、どちらも「一人一人」「一つ一つ」「それぞれ」といったニュアンスを持ちます。ただし、実際に使うときには、次のような違いを意識するとすっきり整理できます。
| 表現 | 基本の意味 | ニュアンス・よく使う場面 |
|---|---|---|
| 各々(おのおの) | 多くの人や物の一つ一つ、それぞれ | やや改まった・書き言葉寄り。集団の中の一人一人や一つ一つを、少し格式ばったトーンで指す |
| 個々(ここ) | いくつかあるもの・人の一つ一つ | 「個」を強調し、各要素の違いや特性・個性に焦点を当てる。ビジネスや分析的な説明で使われやすい |
ざっくり言えば、各々は「それぞれ」であることそのものを指し、個々は「一つ一つの違いや特性」まで含めて意識するときに選びやすい言葉だと考えると理解しやすくなります。
各々と個々の使い分けの違い
意味が近いからこそ、使い分けの軸を決めておくと迷いにくくなります。私が文章を書くときに意識しているポイントは、次の3つです。
① トーン:各々はやや古風・改まった響き
各々は、ビジネス文書や公的な文章でも使われますが、どこか古風で改まった印象があります。「各々方(おのおのがた)」のような歴史物のセリフを連想する方も多いはずです。
一方、個々は現代的で、ビジネス文脈でも自然に使える言葉です。「個々の事情」「個々のデータ」「個々の要素」といったように、分析や説明の場面でよく登場します。
② 焦点:各々=ばらばらの単位、個々=一つ一つの違い
各々は「まとめていたものを一つ一つに分けた感じ」が強く、全体を構成する単位としての意味が前面に出ます。
個々は「個」という字が示す通り、一つ一つの違いや個性に焦点が当たります。個々の事情・個々の能力・個々の課題のように、要素ごとの差異を意識して語りたいときにフィットします。
③ 対象:各々は人寄り、個々は人にも物にも
どちらも人・物のどちらにも使えますが、印象としては次のような違いがあります。
- 各々:人に対して使う場面がやや多く、「各々が責任を持つ」「各々の判断」など、行動主体としての人や組織を指しやすい
- 個々:人だけでなく、案件・データ・要素など、抽象的な対象にもよく使われる(例:個々の案件、個々のデータ)
似た言葉として、各人と各自の違いや意味・使い方・例文もよく話題になります。こちらも「一人一人」を指す表現ですが、対象や場面のイメージが少しずつ違うため、合わせて整理しておくと表現の精度が高まります。
各々と個々の英語表現の違い
英語にするときも、各々と個々のニュアンスの差が少しだけ表れます。ただし、日本語のように一対一で対応する単語があるわけではないので、イメージに近い表現を選ぶことになります。
各々に近い英語表現
- each / each one / each person / each of …
- respectively(文末で「それぞれ」を表す)
例:
- 各々が役割を果たす必要があります。
→ Each person needs to fulfill their role. - 売上と利益はそれぞれ10%と5%増加しました。
→ Sales and profits increased by 10% and 5%, respectively.
個々に近い英語表現
- individual / individually / individual …
- one by one / on an individual basis
例:
- 個々の事情を踏まえて判断します。
→ We will make decisions based on individual circumstances. - 個々のデータを詳しく分析する必要があります。
→ We need to analyze the data on an individual basis.
まとめると、各々=each / respectively、個々=individual / individuallyを基本ラインにしつつ、文脈に応じて言い換えると自然な英語になります。
各々の意味
ここからは、各々という言葉そのものにフォーカスして、意味や語源、類義語・対義語を整理していきます。
各々とは?意味や定義
各々は、日常的には「おのおの」と読み、「多くの人や物の一つ一つ」「めいめい」「それぞれ」といった意味で使われます。
- 各々が意見を述べる
- 各々の事情を尊重する
また、少し古風な用法として、「各々方(おのおのがた)」のように、複数の人に呼びかける二人称的な使い方もあります。この場合は「みなさん」「皆様方」に近いニュアンスです。
各々の基本的なイメージ
- 全体を構成する一人一人・一つ一つを指す
- やや改まった・文章的なトーン
- 人に対して使う場面がやや多い
各々はどんな時に使用する?
私がビジネスや文章作成で各々を選ぶのは、次のような場面です。
① 改まった案内やルール説明
- 「資料は各々で印刷のうえ、会議にご持参ください。」
- 「各々が責任を持って行動してください。」
「それぞれ」「各自」に置き換えても意味は通じますが、各々を使うことで、少しフォーマルで引き締まった印象になります。
② 集団の中の一人一人を強調したいとき
- 「チーム全体の成果は、各々の努力の積み重ねです。」
このような文では、「個々」よりも「各々」のほうが、人の姿を思い浮かべやすく、メッセージとして柔らかく響きます。
ビジネスメールでは、目上の相手に対して「各々にご確認ください」のような書き方をすると、硬く距離のある印象になることがあります。丁寧さを優先するなら、「皆様」「皆様お一人お一人」など、より敬意を感じさせる表現を選ぶほうが無難です。
各々の語源は?
各々は、漢字「各」を重ねた形の和語的表記と考えられています。「各」は「夊(下向きの足)」と「口(四角い石・区切られた枠)」から成り、「区切られたところへ一歩一歩向かう」「並んだものを一つ一つ区別する」といったイメージが元にあります。
そこから、「多くのものを一つ一つ取り上げる」「それぞれ」「めいめい」という意味が派生し、「各々」という言葉になったと考えられます。古典文学でも早くから用いられており、長い歴史を持つ表現です。
各々の類義語と対義語は?
各々の類義語・対義語を整理しておくと、言い換えの幅が広がります。
類義語(似た意味の言葉)
- それぞれ
- 一人一人 / 一つ一つ
- 各自
- 個々
- めいめい
対義語(反対のイメージを持つ言葉)
- 全体
- 全員
- 一括
- ひとまとめ
「人それぞれ」「多様な個性」といった表現にも近い発想があります。多様性を表す四字熟語の違いを整理したい場合は、三者三様・十人十色・千差万別の違いと意味・使い方も参考になるはずです。
個々の意味
次に、個々という言葉に焦点を当てて、意味・由来・類語を整理していきます。
個々とは何か?
個々(ここ)は、「いくつかあるものの一つ一つ」「複数いる人の一人一人」という意味を持つ言葉です。
- 個々の事情に応じて対応する
- 個々のデータを検証する
各々と同様、「それぞれ」「一つ一つ」に置き換えても意味はほぼ同じですが、個としての独立性や違いに視点が置かれている点が特徴です。
個々を使うシチュエーションは?
個々は、ビジネスや分析的な説明との相性がとても良い言葉です。私がよく使うシーンは次の通りです。
① 分析・評価・レポートの文脈
- 「売上を個々の施策ごとに分析する必要がある。」
- 「個々の要因が全体の結果にどのように影響しているかを検証する。」
ここでは「各々」よりも「個々」の方が、分析的で客観的なトーンになります。
② 多様性や個性を強調したいとき
- 「個々のメンバーが持つ強みを活かしたチーム編成を行う。」
- 「個々の価値観を尊重する組織文化を大切にしている。」
「個々人」という形にすると、「一人一人の違い」へのフォーカスがさらに強まります。
個々の言葉の由来は?
個々は、「個」という漢字を重ねた形です。「個」は、「人」を表す偏(亻)と、「固い殻に包まれたもの」のイメージを持つ部分から成り、「ほかと区別された一つ」「独立した単位」という意味を表すとされています。
この「個」を重ねることで、「ひとつひとつの独立した存在」「それぞれの個性を持った要素」というニュアンスが強調されます。各々よりも、現代的で分析的な響きがするのは、この語源イメージとも相性が良いと感じています。
個々の類語・同義語や対義語
類語・同義語
- 各々
- それぞれ
- 一人一人 / 一つ一つ
- 各自
- 個別
対義語のイメージに近い言葉
- 全体
- 集合
- 統合
- 一括処理
「個々」と「個別」の違いやニュアンスに興味が出てきた方は、意味の近い語を比較しながら読むと理解が深まります。同じように、「ほか・他(ほか)・外(ほか)」の違いも、ほか・他・外の違いと意味・使い方で詳しく整理されています。
各々の正しい使い方を詳しく
ここからは、各々の使い方に焦点を絞って、具体的な例文・言い換え・注意点をまとめていきます。
各々の例文5選
まずは、感覚をつかむために、よく使うパターンの例文を押さえておきましょう。
- 会議までに、各々が案を一つずつ準備してください。
- 今回の成果は、各々の努力の積み重ねによるものです。
- 参加者は、各々の責任でスケジュールを調整してください。
- プロジェクトの進め方は、各々の判断に委ねられています。
- 懇親会の参加・不参加は、各々でフォームから回答してください。
各々を使うときの基本パターンは、「各々+が/の+名詞」や「各々で+動詞」です。「各々が」「各々の」が自然に入る文を意識すると、使い慣れやすくなります。
各々の言い換え可能なフレーズ
文脈によって、各々を別の表現に言い換えた方が読みやすくなることも多いです。
よく使う言い換え候補
- それぞれ
- 各自
- 一人一人 / 一つ一つ
- めいめい
例えば次のように言い換えられます。
- 各々が意見を出してください。
→ それぞれ意見を出してください。 - 各々の責任で管理してください。
→ 各自の責任で管理してください。
文章のトーンを柔らかくしたいときは「それぞれ」、組織内の指示・ルールのように少し固くまとめたいときは「各自」が相性の良い言い換えです。
各々の正しい使い方のポイント
各々を自然に使うためのポイントを整理しておきます。
- 人を主語にするときに特に使いやすい(例:各々が、各々の判断で)
- 文全体のトーンが硬くなりすぎないよう注意する(敬語過多の文章と重ねると堅苦しくなりがち)
- 目上の相手に向けては、場合によって「皆様」「それぞれ」などに言い換える
各々の間違いやすい表現
実務でよく見かける「ちょっと気になる」パターンも紹介しておきます。
① 「各々様」は不自然になりやすい
「各々様」「各々方様」のように、敬称と重ねてしまうと、くどい印象になることがあります。基本的には「皆様」「お客様各位」など、より一般的な表現を使う方が自然です。
② 「各々にお願いします」は相手次第
社内メンバーに対しては「各々にお願いします」でも問題ありませんが、取引先や顧客に向けては少し距離のある言い方に聞こえることがあります。
ビジネスシーンでは、「誰に対して・どの立場から言っているか」によって適切な表現が変わります。各々という言葉自体には失礼な意味合いはありませんが、相手との関係性や文全体の敬語バランスを見ながら使うことが大切です。正確な表現について迷う場合は、公的な文書の例や専門家の解説も参考にしてください。
個々を正しく使うために
続いて、個々の例文や言い換え、正しい使い方のポイントを見ていきます。各々との違いを意識しながら読むと、使い分けの感覚がつかみやすくなります。
個々の例文5選
個々を使った代表的な例文を挙げておきます。
- 個々の事情を踏まえて、対応方法を検討します。
- 個々のデータを精査した結果、傾向が明らかになりました。
- メンバーの個々の強みを活かした役割分担が重要です。
- 個々の案件ごとにリスク評価を行ってください。
- 個々のニーズに合わせたサービスを提供しています。
個々を言い換えてみると
個々は、次のような表現に言い換えることができます。
- それぞれ
- 一人一人 / 一つ一つ
- 各々
- 個別に / 個別の
例:
- 個々の事情を考慮する。
→ それぞれの事情を考慮する。 / 個別の事情を考慮する。 - 個々のデータを確認する。
→ 各々のデータを確認する。 / 一つ一つのデータを確認する。
実務では、「個々の〜」と「個別の〜」をほぼ同じ感覚で使うことも多いです。ただし、「個別対応」「個別面談」のように定着した言い回しもあるため、文脈に合わせて自然な方を選ぶとよいでしょう。
個々を正しく使う方法
個々を自然に使うためのコツは、次の3つです。
① 名詞をしっかりセットで書く
「個々」単体で終わるのではなく、「個々の+名詞」の形で使うと読みやすくなります。
- 個々の事情 / 個々の案件 / 個々の要素 / 個々のメンバー
② 説明や分析と相性がいい
レポートや報告書では、「全体」「概要」と対比させながら「個々の〜」と書くことで、説明が整理されます。
- 「まず全体の傾向を整理し、その後に個々のケースを検討します。」
③ 多様性・違いを強調したいときに選ぶ
人や状況の違いを尊重したい場面では、「個々の違い」「個々人の特徴」などと書くと、メッセージが伝わりやすくなります。
個々の間違った使い方
個々は便利な言葉ですが、次のような点には注意が必要です。
① 「個々にお願いします」はやや曖昧
「個々にお願いします」とだけ書くと、「それぞれバラバラにやってください」という意味にも、「個別に相談してください」という意味にも読めてしまいます。「個々に対応をお願いします」「個々に確認をお願いします」など、何をするのかを明確に添える方が親切です。
② 「一個一個」と混同しない
「一個一個」は口語的で、個数を強く意識した表現です。「個々」とはニュアンスが異なるため、ビジネス文書では混同しないようにしましょう。
個々は、ビジネス・法律・教育など、やや専門性の高い文脈で使われることも多い言葉です。文書の目的によっては、「読者全員が直感的に理解できるか」を意識し、「それぞれ」「一人一人」などに置き換えた方が伝わりやすい場合もあります。最終的な表現の選択に迷うときは、専門家や経験者のアドバイスも参考にしてみてください。
まとめ:各々と個々の違いと意味・使い方の例文
最後に、各々と個々の違いと意味・使い方のポイントを整理しておきましょう。
- 各々は「多くの人や物の一つ一つ」「それぞれ」を意味し、やや改まった・古風な響きがある
- 個々は「いくつかあるものの一つ一つ」を意味し、「個」の違いや特性に焦点を当てるときに使いやすい
- ビジネスでは、各々は人に対する呼びかけや責任の話で、個々は状況・データ・要因の分析で使うと整理しやすい
- 英語では、各々=each / respectively、個々=individual / individually を基本に、文脈に応じて表現を選ぶ
また、類義語・対義語や言い換え表現を押さえておくと、文章のトーンを細かく調整できるようになります。「人それぞれ」「多様性」を表す日本語表現を広く整理したい方は、四字熟語や関連語との違いもあわせて学んでみてください。
各々と個々の違いと意味、使い方や例文を押さえておくと、「似た言葉の違い」にも敏感になり、表現の引き出しが確実に増えていきます。このサイトでは、ほかにも「おすすめとオススメ」「規程と規定」など、紛らわしい日本語の違いを網羅的に解説しています。気になる表現があれば、違いの教科書のトップページから、気になるテーマを探してみてください。

