「掌理」と「掌握」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「掌理」と「掌握」の違いや意味・使い方・例文まとめ

「掌理」と「掌握」の違いや意味を知りたい、「掌理」と「掌握」の正しい使い分けが分からない、「掌握」の意味や英語表現、例文をまとめて確認したいと感じて検索している方は、多くの場合、ビジネス文書や法律関係の文章、ニュース記事などでこの二つの言葉に出会い、「何となく分かるけれど、厳密な違いが説明できない」というモヤモヤを抱えているのではないでしょうか。

実際、「掌理」と「掌握」はどちらも「手のひら(掌)」を使った漢字で、「物事をあつかう」「支配する」といったイメージが重なるため、「意味の違い」「使い方の違い」「類義語や対義語」「言い換え表現」「英語での表現」などがごちゃ混ぜになりやすい言葉です。

この記事では、メインテーマである掌理と掌握の違いや意味を軸にしながら、語源や由来、使い方のポイント、ビジネスシーンでの実践的な例文、さらには英語表現まで、体系的に整理して解説していきます。掌握という言葉が持つ「権力を握る」「人心を掌握する」といった強めのニュアンスと、掌理というやや専門的な言葉が持つ「特定の事務をつかさどる」という落ち着いたニュアンスを、自然に使い分けられるようになることをゴールにしています。

初めてこの二つの言葉の違いを学ぶ方はもちろん、「なんとなく分かっているつもりだけれど自信がない」というビジネスパーソンや受験生の方にも、掌理と掌握の意味の違いや使い分けを、例文とともにしっかり身につけてもらえる内容にしました。

この記事を読んでわかること
  1. 掌理と掌握の意味の違いと、どのように使い分ければよいかを理解できる
  2. 掌理・掌握それぞれの語源、類義語・対義語、言い換え表現を整理できる
  3. ビジネスやニュースでそのまま使える具体的な例文を身につけられる
  4. 英語で掌理・掌握をどう表現するか、ニュアンスの違いまで把握できる

掌理と掌握の違い

まずは、掌理と掌握の違いをざっくりと押さえておきましょう。このセクションでは、「意味」「使い分け」「英語表現」という三つの切り口から整理し、全体像をつかんでから細部の解説に進んでいきます。

結論:掌理と掌握の意味の違い

結論から言うと、両者の違いは次の一行に集約できます。

掌理=特定の事務や職務を担当して、処理・運営すること/掌握=権力や主導権、人の心などを「自分の手中におさめて支配すること」

どちらも「手のひらで扱う」イメージを持ちますが、ニュアンスはかなり異なります。

  • 掌理:役所・官公庁・企業などで、ある部署や担当者が「特定の事務を処理する」ことを指す、やや法律・行政寄りの言葉
  • 掌握:権力・主導権・人心・状況などを、自分の意のままに動かせる状態にすること
POINT

「落ち着いて仕事を担当する」のが掌理、「グッと握って支配する」のが掌握というイメージで区別すると覚えやすくなります。

掌理と掌握の使い分けの違い

使い分けのポイントは、「何を」「どのように」扱うかです。

  • 掌理:人事・財務・総務など、組織内部の事務や業務を担当して運営する場面
  • 掌握:政権・企業・組織・人心・情報・状況といった、力関係や支配関係が絡む場面

例えば、「財務事務を掌理する」は自然ですが、「財務事務を掌握する」はやや不自然です。一方で、「政権を掌握する」「人心を掌握する」はよく使われる表現ですが、「政権を掌理する」とはあまり言いません。

MEMO

行政文書などでは「○○の事務を掌理する」という定型表現が登場します。これは、単に「担当する」「処理する」という意味で、支配的なニュアンスはほとんどありません。

掌理と掌握の英語表現の違い

英語に置き換えると、両者のニュアンスの違いがさらに分かりやすくなります。

  • 掌理:be in charge of / administer / manage など、「担当して管理する」イメージの動詞
  • 掌握:seize control of / take control of / have ~ under one’s control / have ~ in one’s hands など、「支配する」「主導権を握る」ニュアンスの強い表現

例えば、「財務事務を掌理する」は “administer financial affairs” や “be in charge of financial operations” といった表現がしっくりきます。一方「政権を掌握する」は “seize political power” や “take control of the government” のように、力強い表現を使うのが自然です。

掌理の意味

ここからは、掌理という言葉に焦点を当てて、意味・定義・語源・類義語や対義語を掘り下げます。法律や行政の文脈で出てきたときにも迷わないよう、少し踏み込んだ内容まで整理しておきましょう。

掌理とは?意味や定義

掌理(しょうり)は、端的に言えば特定の事務や職務を担当し、処理・運営することを意味します。

特に、法律・行政分野では、次のような意味で使われます。

  • 国・地方公共団体・特別法人などの長や上級職員が、一定の事務を担当して処理すること
  • ある部署・役職が、特定分野の業務を「所掌」し、具体的な実務を行うこと

つまり、掌理は「落ち着いて事務を回す」「担当としてきちんと処理する」といったニュアンスを持つ言葉です。支配や強制といった印象はほとんどなく、あくまで「業務の担当・処理」を表します。

法律・行政文書での掌理

行政組織の規則や施行令などでは、「○○の事務を掌理する」といった形でよく登場します。これは、「その部署がその事務を担当します」という宣言に近いものです。

ビジネスの現場では少し堅い印象のある言葉ですが、公的文書や契約書のように、ややフォーマルな場面では適切な語として使われます。

掌理はどんな時に使用する?

掌理は、日常会話で頻繁に使われる言葉ではありません。主に次のようなシーンで登場します。

  • 官公庁・地方自治体などの組織規程や職務分掌表
  • 公益法人、協会、団体などの定款・規約
  • 企業の中でも、法務・総務が作成する内規や規程類

ビジネス会話やメールでは、同じ意味をより平易に表すために、次のような言い換えを使うこともよくあります。

  • ○○の事務を掌理する → ○○の事務を担当する
  • △△業務を掌理する → △△業務を所管する・管理する
POINT

社内文書では、読み手のレベルや文書の目的に応じて「掌理」を使うか、もう少し平易な表現にするかを選ぶのが実務的なポイントです。

掌理の語源は?

掌理という熟語は、二つの漢字の意味から成り立っています。

  • :たなごころ、手のひら。手のひらで支え、扱う、管理するイメージ
  • :おさめる、ととのえる、筋道を立てる、処理するというイメージ

この二つを合わせることで、「手のひらに乗せた事柄を、筋道を立てて処理し、おさめる」というイメージが生まれます。ここから、「担当して事務を処理する」「一定の事務をおさめる」という意味が発展しました。

法律用語としても定着しているため、法令集や判例集を読むときには覚えておくと理解がスムーズになります。

掌理の類義語と対義語は?

掌理と似た意味を持つ類義語や、対照的な意味を持つ対義語を整理しておくと、ニュアンスの違いがよりクリアになります。

掌理の主な類義語

  • 所掌する:ある範囲の事務・業務を担当すること
  • 管掌する:一定の範囲を担当し、管理すること
  • 統括する・総括する:複数の事柄をまとめておさめること(掌理より広い範囲をイメージ)
  • 担当する:最も一般的で平易な言い換え

掌理の主な対義語

  • 委任する・委託する:自分が担当していた事務を、他者に任せること
  • 免職する・解任する:担当から外す・役職を解くこと
MEMO

掌理・所掌・管掌など、似た言葉の整理に悩む方は、より一般的な言葉の違いを扱った「記す」と「印す」の違いを解説した記事も参考になるはずです。言葉のニュアンスの掴み方という意味で共通点があります。

掌握の意味

次に、掌握という言葉について詳しく見ていきます。掌握はニュースやビジネス書などでも頻繁に登場し、「権力を掌握する」「人心を掌握する」といった形で使われる、力強い印象を持つ言葉です。

掌握とは何か?

掌握(しょうあく)は、基本的に手のひらでしっかりと握るように、自分の意のままに支配できる状態にすることを意味します。

  • 政権・権力・組織・市場などの「主導権」を自分の支配下に置く
  • 人の心や感情を強く引きつけて支配的な影響力を持つ
  • 状況や情報を完全に把握し、自分の思い通りに動かせる状態にする

このように、掌握には「強いコントロール」「主導権の獲得」というニュアンスが色濃く含まれます。

CAUTIONT

ビジネスシーンで「人心を掌握する」といった表現を多用すると、場合によっては支配的・威圧的な印象を与えてしまうことがあります。文脈や相手との関係性を踏まえて慎重に使いましょう。

掌握を使うシチュエーションは?

掌握は、次のような場面でよく用いられます。

  • 政治・戦略:政権を掌握する、軍事的主導権を掌握する
  • ビジネス:市場を掌握する、経営権を掌握する
  • 人間関係:人心を掌握する、組織内の空気を掌握する

特にニュースや評論では、

  • 「権力中枢を掌握した指導者」
  • 「SNSを通じて若者の心を掌握するインフルエンサー」

といった表現が登場します。ここでも、「しっかり握り込んでいる」イメージが一貫していることが分かります。

掌握の言葉の由来は?

掌握も、漢字の構成を見れば意味がイメージしやすくなります。

  • :手のひら。掌で包み込んで持つイメージ
  • :にぎる、しっかりつかむ

この二つを組み合わせた掌握は、「掌に握る」という非常に物理的なイメージを持ちます。ここから派生して、「目に見えない権力や人心を、自分の手の中にしっかり握り込む」イメージに広がっていったと考えると、ニュアンスをつかみやすくなります。

掌握の類語・同義語や対義語

掌握は、権力や主導権に関わる言葉なので、似たイメージを持つ類語も多く存在します。

掌握の主な類語・同義語

  • 支配する:相手を自分の思うように動かすこと
  • 制圧する:力で押さえつけて支配すること
  • 牛耳る:組織を自分の思い通りに動かすこと
  • 把握する:状況や情報をしっかり理解・把握すること(支配というより理解寄り)

掌握の主な対義語

  • 放棄する:権利や地位を自ら手放すこと
  • 失う:主導権や影響力を失うこと(例:主導権を失う)
  • 解放する:支配していた状態から解き放つこと
MEMO

権力や主導権をめぐる言葉の違いに興味がある方は、政治・歴史用語を題材にした「国家主席と首相の違い」を整理した記事も合わせて読むと、文脈ごとの言い回しの違いがより立体的に理解できるはずです。

掌理の正しい使い方を詳しく

ここからは、掌理の実践的な使い方に絞って解説していきます。やや硬い言葉だからこそ、正しい文脈で使うことが大切です。

掌理の例文5選

まずは、掌理の典型的な用法を例文で確認してみましょう。

  1. 「総務部は、庶務および人事に関する事務を掌理する。」
  2. 「本委員会は、当法人の運営に関する事項を掌理する機関である。」
  3. 「財務課においては、予算編成および決算事務を掌理する。」
  4. 「本室は、情報システムに関する企画および管理業務を掌理する。」
  5. 「書記官は議事録の作成その他の関連事務を掌理する。」

いずれも、「○○に関する事務を掌理する」という形で、担当範囲を示す使い方になっています。

掌理の言い換え可能なフレーズ

掌理はフォーマル度の高い語なので、文脈によってはもう少し平易な言葉に置き換えた方が読み手に親切な場合もあります。

掌理を用いた表現ビジネス向けの言い換え例
総務課は庶務事務を掌理する。総務課は庶務事務を担当する。
本部は全社の企画業務を掌理する。本部は全社の企画業務を統括する。
本委員会が審査に関する事務を掌理する。本委員会が審査に関する事務を担当する。

「掌理」はあくまでニュアンスの選択肢の一つです。読み手や用途に応じて、担当する・所掌する・管掌する・統括するなどと使い分けましょう。

掌理の正しい使い方のポイント

掌理を使うときのポイントを、いくつか整理しておきます。

  • 対象は主に「事務」「業務」「事項」などであり、人や組織そのものを掌理するとはあまり言わない
  • 「○○に関する事務を掌理する」「△△業務を掌理する」といった形が定型
  • 規程・規約・内規といった文書で使うと、フォーマルで引き締まった印象になる

一方、メールや口頭での指示など、カジュアルな場面では「掌理」という表現はやや堅すぎることもあります。その場合は、

  • 担当する
  • 管理する
  • 所管する

といった表現を選ぶとよいでしょう。

掌理の間違いやすい表現

掌理に関してよくある誤用・混同を挙げておきます。

  • 人や組織に対して使ってしまう
    例:×「彼は部下を掌理している」→ 支配のニュアンスが強い場合は「掌握」や「統率する」が適切
  • 「所掌」と混同する
    所掌は「担当範囲」そのもの、掌理は「担当し処理する行為」という違いがあります。
  • 日常会話で乱用する
    会話やメールで多用すると、必要以上に堅苦しく感じられることがあります。
CAUTIONT

規程や契約書など、法的効果を持つ文章では、言葉の選択が重要になります。重要な文書に用いる場合は、最新の法令や公式な用例を確認したうえで使うようにしましょう。

掌握を正しく使うために

続いて、掌握の使い方を詳しく見ていきます。掌握は意味が強い分、使い方を誤ると相手に不快感を与えたり、誤解を招いたりする可能性があります。

掌握の例文5選

掌握の典型的な用法を、例文で確認してみましょう。

  1. 「彼は短期間で社内の実権を掌握した。」
  2. 「新政権が軍の指揮権を掌握するまでには時間を要した。」
  3. 「カリスマ的なリーダーが、若者の心を掌握している。」
  4. 「この企業は、国内市場のシェアの大部分を掌握している。」
  5. 「的確な情報収集により、状況を完全に掌握した上で判断する。」

特に前半の例文から分かるように、掌握には「力強く握る」「主導権を完全に握る」といったイメージがあります。

掌握を言い換えてみると

掌握はパワフルな言葉なので、ビジネス文書などでは、少しトーンを和らげる言い換えを使うことも大切です。

  • 実権を掌握する → 実権をにぎる・握る
  • 市場を掌握する → 市場をおさえる・支配する
  • 人心を掌握する → 人心をつかむ・とらえる
  • 状況を掌握する → 状況を完全に把握する

特に、社内向けの文章や対外的な資料では、「支配」「掌握」といった強い言葉をそのまま使うのか、それとも柔らかくするのかを意識して選ぶと、伝わり方が大きく変わります。

掌握を正しく使う方法

掌握を適切に使うためのポイントを整理すると、次のようになります。

  • 権力や主導権、影響力が明確に存在する場面で使う
  • 相手や第三者にとって不快感を与えないかを意識する
  • 書き言葉が基本であり、話し言葉では少し堅い・重い印象を持つことを踏まえる

例えば、社外向けの資料で「当社が業界を掌握している」と書くと、かなり強気で支配的な印象になります。代わりに、

  • 「業界トップクラスのシェアを持つ」
  • 「業界をリードしている」

といった表現を使う方が、読み手にとって自然な場合が多いでしょう。

掌握の間違った使い方

掌握は便利な言葉ですが、誤用や不適切な用法も少なくありません。代表的な例を挙げます。

  • 単なる理解・把握の場面で使ってしまう
    例:×「資料の内容を掌握しました」→ ○「資料の内容を把握しました」
  • 日常的な人間関係で軽々しく使う
    例:×「友人関係を掌握している」→ 支配的で不自然な印象
  • 相手に対する敬意を欠く形で用いる
    権力関係を強調しすぎると、パワハラ的な印象につながるおそれがあります。
CAUTIONT

人事評価や面談の記録、社内の公式文書で「人心を掌握する」といった表現を用いると、ハラスメントを連想させるリスクがあります。文脈によっては、より中立的な「信頼を得る」「支持を集める」などの表現に置き換えることを検討してください。

まとめ:掌理と掌握の違いと意味・使い方の例文

最後に、この記事の内容をコンパクトに振り返っておきます。

  • 掌理は「特定の事務や職務を担当して処理・運営すること」で、主に法律・行政・規程などの文書で用いられる、落ち着いたニュアンスの言葉
  • 掌握は「権力・主導権・人心・状況などを自分の手中におさめて支配すること」で、政治・ビジネス・人間関係などで、力強い表現として使われる
  • 掌理は “be in charge of / administer”、掌握は “seize control of / take control of” など、英語でもニュアンスの違いがはっきりと現れる
  • どちらの言葉も、文脈や相手との関係性を踏まえて使い分けることが大切であり、必要に応じて「担当する」「把握する」「支配する」などの言い換えを選ぶことが重要

言葉の違いを丁寧に押さえておくと、ビジネス文書や試験、論文などで「ここぞ」というときに適切な表現を選べるようになります。似た日本語の違いを整理したい方は、例えば「還る」と「帰る」の違いを解説した記事「到らない」と「至らない」の違いを掘り下げた記事も合わせてチェックしてみてください。

なお、本記事で紹介した意味や用例は、一般的な用法を整理したものであり、数値的な情報や用語の解釈はあくまで一般的な目安です。最新の定義や法律上の位置づけについては、正確な情報は公式サイトや原典をご確認ください。また、契約書や重要な規程に言葉を用いる場合には、最終的な判断は専門家にご相談ください

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