「その旨」「概要」「内容」の違いと意味・使い方や例文

日本語で「その旨」「概要」「内容」という言葉を使う機会は多く、ビジネス文書やメール、報告書、あるいは会議資料などでも頻繁に登場します。しかし、これらの言葉がそれぞれどのように異なり、どのように使い分けるべきかを明確に理解している人は案外少ないものです。今回の記事では「その旨」「概要」「内容」の違い・意味・語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現・実際の使い方・例文までを網羅的に解説し、ビジネス・日常どちらの場面でも適切に使えるようになっていただけます。

この記事を読んでわかること

• 「その旨」「概要」「内容」のそれぞれの定義と違い
• 「その旨」「概要」「内容」の使い分けと英語表現の違い
• 各言葉の語源・由来・類義語・対義語の深掘り
• 実際の例文・言い換え・使い方のポイント・よくある間違い

その旨と概要と内容の違い

まずは「その旨」「概要」「内容」の３つの言葉が、それぞれどのように意味を異にし、そしてどのように使い分けられるのかを結論から整理します。

結論：その旨と概要と内容の意味の違い

「その旨」とは、既に述べたことや指示・意思を指して「そのこと・その趣旨」の意味を持ちます。少しフォーマルな場面で使われる表現です。「概要」は、物事の大まかな要点・あらましを示す言葉で、細部を省いてポイントを整理する時に使われます。「内容」は、ある事柄の構成・中身・実質を指し、「何が含まれているか」「どのような中身か」を説明するために使われる最も広い意味の言葉です。

整理すると

言葉	意味・使いどころ
その旨	指示・意思・報告など「そのこと・その趣旨」に対して用いる表現
概要	物事の大まかなあらまし・要点を示す表現
内容	中身・構成・実質を示す最も包括的な表現

このように、それぞれカバーする範囲やニュアンスが異なります。次に、具体的な使い分けの違いを見ていきましょう。

その旨と概要と内容の使い分けの違い

「その旨」は指示・報告・意思など「そのこと」を伝える際に使われるため、文書やメールで「〜のその旨ご確認ください」「〜というその旨承知しました」といった形で用いられます。一方、「概要」は「この資料の概要」「お知らせの概要」など、説明対象の要点を示す時に最適です。「内容」は「内容をご確認ください」「内容を変更する」など、中身全体または構成・詳細に触れる時に用いられ、最も汎用性があります。

例えば、会議の議事録をまとめる場合

• 「本日の会議のその旨を本メールにてお伝えします。」（会議の趣旨・指示を伝える）
• 「会議の概要は以下の通りです。」（会議の要点を整理して提示）
• 「議事録の本文にて内容をご確認ください。」（詳細・中身を示す）

このように、使うタイミング・対象・フォーマルさで言葉を選ぶことで、伝わり方に違いが出ます。

その旨と概要と内容の英語表現の違い

英語ではそれぞれ以下のような表現が一般的です。

• その旨 ⇒ “the aforementioned matter”, “the above”, “as stated”
• 概要 ⇒ “overview”, “summary”, “outline”
• 内容 ⇒ “contents”, “details”, “what is contained”

それぞれのニュアンスに応じた英語表現を適切に使い分けることで、英語でのビジネス文書や報告書でも精度が高まります。

例えば

• 「その旨ご確認ください」→ “Please confirm the above mentioned matter.”
• 「資料の概要」→ “The overview of the document is as follows:”
• 「契約書の内容」→ “Please review the contents of the contract.”

このように、日本語での言葉の違いを理解し、それを英語に適切に変換できることが、特にビジネスシーンでは大切です。

その旨の意味

ここからは「その旨」という言葉にフォーカスし、意味・定義・用途・語源・類義語・対義語などを丁寧に深掘りします。

その旨とは？意味や定義

「その旨（そのむね）」とは、「そのことの趣旨」「前述した内容・指示・意図」の意味で用いられる表現です。ビジネス文書などで「その旨ご報告いたします」「その旨記載されております」といった形で使われ、既に触れたテーマや条件・指示を指します。つまり「この話のポイント・そのことについて」という意味合いになります。

語感としては、「その旨承知しました」「その旨了解しました」といった承認・確認の場面で多用され、少し堅めの文体です。口語としてはややフォーマルで、例えば友達との会話ではあまり使われませんが、ビジネス・公的文書では定型化しています。

その旨はどんな時に使用する？

使用シーンとしては、以下のような場面が典型的です。

• メールや報告書で「以前お伝えしたとおり、その旨ご了承願います。」のように、既に示された事項について確認を促す。
• 会議資料などで「決定事項のその旨を記載しております。」と使って、決まった内容を示す。
• 契約書や通知文書で「本契約に関してその旨定めるものとします。」など、条件・趣旨を明示する。

このように、既に話題に上った事項を改めて示し、確認・承認・報告を促す文脈で重宝します。口語的には「そのこと」という言い回しでも代用できますが、文書としての重みやフォーマル感を出したい時には「その旨」が適しています。

その旨の語源は？

「旨」の漢字は、もともに「むね／むつび・むい」という読みをもち、「趣旨」「旨意」「旨ん（むねん）」「旨（むね／むい）」などの語で「趣・意図・中心となる意味」をあらわしてきました。漢語として、「旨意」などが中国語由来で、古代から「主旨・中心の意味合い」を表現する語でした。つまり「その旨」は「それ（その）＋趣旨（旨）」という構成で、「そのことの趣旨である」→「そのことの意図・内容」という意味を持つようになりました。

漢字「旨」は「口＋旨（うまい）」が本字構成ですが、語義が変遷し「うまい（美味）」「よい」という意味から「趣・意図」という抽象的意味に広がったとされます。ですから、「旨」は「中心となる意味」「趣旨」「意図」を示す要語として日本語に定着しており、「その旨」もその延長線上にある表現と言えます。

その旨の類義語と対義語は？

「その旨」の類義語は主に「そのこと」「その件」「上述の通り」「前述のとおり」などが挙げられます。例えば「その旨ご了承願います」は「そのことをご了承願います」「上述のとおりご了承願います」に言い換え可能です。

対義語として厳密なものは少ないですが、「その旨」が既に示された内容・趣旨を指す語であるため、逆に「これから決まること」「未定の事柄を指すこと」などには通常用いられず、むしろ「今後の事項」「今後決定する内容」といった表現が対として機能する場合があります。

概要の意味

続いて「概要」に焦点を当て、「概要とは何か／使うシチュエーション／由来／類語・対義語」を詳しく解説します。

概要とは何か？

「概要（がいよう）」とは、物事の大まかなあらまし・要点・骨子を意味する言葉です。詳細や細部に立ち入る前に、全体像を示すために使われます。たとえば「資料の概要」「報告書の概要」「プロジェクト概要」など、全体を俯瞰するための見出し的な位置付けで用いられます。

この言葉を使うことで、読み手は「詳細には触れていないが、主要なポイントはここにある」と理解できます。つまり、概要は「部分」ではなく「全体を大きく捉える視点」を示すための言葉です。

概要を使うシチュエーションは？

典型的な使用場面としては以下のようなものがあります。

• 報告書・企画書・プレゼン資料の冒頭で「本資料の概要」を提示する場面。
• 会議後に「議題の概要」「次回のスケジュール概要」を示す場面。
• ウェブページやブログで「本記事の概要」「本日のまとめ」などを冒頭で提示する場合。

また、概要は相手に全体を理解してもらったうえで、詳細に進む段階で「概要（まずこれを押さえておいてください）」という使い方もできます。逆に、概要だけ提示して詳細を省略することで、読み手の理解を促す導入部分としても機能します。

概要の言葉の由来は？

「概要」は漢字で「概（おおむね）＋要（かなめ）」の組み合わせです。「概」はおおまか・おおよそという意味を持ち、「要」は要点・重要な部分という意味を持ちます。したがって「概要」という語は「おおむね要点を押さえたあらまし」を意味する語として成立しました。

また、「概要」がこのような意味で使われるようになったのは、近代日本語の文書化・報告書・企画書文化の発展に伴って定型的に用いられるようになったと考えられます。専門的・公的な文書で「概要」という見出しが多数見られるのも、その背景があります。

概要の類語・同義語や対義語

「概要」の類義語としては「要旨」「概略」「あらまし」「要点」「サマリー（summary）」などが挙げられます。それぞれ若干ニュアンスが異なりますが、いずれも「詳細ではなく、全体の大まかなあらまし」を指します。

対義語としては「詳細」「細部」「具体的内容」「実質内容」などが挙げられます。つまり、概要が「大まかなあらまし」であるのに対し、対義語は「細かく掘り下げた内容」です。

内容の意味

最後に「内容」という言葉について、意味・定義・用途・語源・類義語・対義語を掘り下げて解説します。

内容の意味を解説

「内容（ないよう）」とは、ある物事・文章・契約・会議などにおいて「どのような中身が含まれているか」「構成・実質・詳しい要素は何か」を示す言葉です。つまり「概要」が大まかなあらましを示すなら、「内容」はその中身全体を指し得る最も広範な言葉です。

例えば「契約書の内容をご確認ください」「その報告書の内容を修正しました」など、何が書かれているか・何が含まれているか・どのような構成かという観点で用います。細部にも触れられますし、構成的な要素・実質・結果・詳細も含まれ得る表現です。

内容はどんな時に使用する？

使用場面として例えば

• 文書・報告書・契約書・提案書などで「この文書の内容をご確認ください」という文脈。
• 会議や打ち合わせ後に「議題の内容をお伝えします」「本件の内容を検討する」といった発言。
• ウェブページ・記事・説明資料などで「本記事の内容」「企画の内容」「活動内容」など、広く中身を指す際の表現。

「内容」を使うことで、読み手は「何が入っているのか」「どんな構成なのか」という観点に注目でき、概要を受けたあとの詳細や構成に触れたい時にはまさに最適な言葉です。

内容の語源・由来は？

「内容」という語は、「内（うち）＋容（いれる）」という漢字の組み合わせから成り、「内に収めるもの／内包されるもの」という意味が古くからあります。「容」が「いれる・おさめる・ふくむ」という意味を持つため、「内容」は「うちに含まれているもの・内部に収められたもの」と理解できます。近代以降、文書・契約・報告などにおいて「内容」という見出しが広く定着しました。

内容の類義語と対義語は？

類義語としては「中身」「実質」「構成」「要素」「詳細」などが挙げられます。対義語としては「形式」「表面」「外観」「概要（場合によって）」など、「中身」ではなく「見た目・形式的なもの」を指す言葉が該当します。

その旨の正しい使い方を詳しく

ここからは「その旨」の使い方をさらに深め、例文・言い換え・ポイント・誤用しやすい表現にも触れます。

その旨の例文5選

以下、ビジネス・日常の双方で使いやすい「その旨」の例文を5つ紹介します。

1. 「先日お伝えした変更内容につきまして、その旨ご確認のほどよろしくお願いいたします。」
2. 「ご提出の書類に不備がございましたので、その旨修正をお願いいたします。」
3. 「本件につきましては、会議で決定したその旨を改めて共有いたします。」
4. 「今後ともご愛顧賜りますよう、その旨お願い申し上げます。」
5. 「ご依頼の件について、その旨承知いたしました。対応させていただきます。」

その旨の言い換え可能なフレーズ

「その旨」は下記のような言い換えフレーズでも代用可能です。

• 「そのこと」
• 「前述のとおり」
• 「上述の通り」
• 「お伝えしたとおり」
• 「ご案内のとおり」

ただし、言い換えた際にはフォーマルさ・文脈・読み手の期待するレベルを考慮する必要があります。「その旨」は少し堅めなので、カジュアルな場面では「そのこと」で十分な場合もあります。

その旨の正しい使い方のポイント

「その旨」を使う上でのポイントは以下の通りです。

• 指摘・報告・承認など「そのこと」を伝える文脈で用いる。
• 既に話題に出ている事項を前提にして使う（前提なしに「その旨」と書くと意味が曖昧になる）。
• 相手が理解しているであろう“そのこと”を指すため、補足説明が必要な場合は「その旨（…）」と括弧等で補足するのも有効。
• あまり口語すぎる文章やカジュアルな場面では硬く響くため、場面に応じて言い換えを検討する。例えば「そのことをご確認ください」など。

その旨の間違いやすい表現

「その旨」を使う際に起こりやすい誤用・注意点として以下があります。

• 前提が曖昧なまま「その旨」を使ってしまい、読み手が何を指しているのか理解できなくなる。
• カジュアルな場面で使うと、堅すぎて逆に不自然な印象を与える。
• 「その旨ご了承願います」ばかりを使うことで文調が硬くなりすぎるため、バリエーションを持たせた表現にすること。

概要を正しく使うために

次に、「概要」を正しく使うために必要な実践的な使い方を紹介します。

概要の例文5選

「概要」を用いた例文を5つご紹介します。

1. 「本プロジェクトの概要は以下の通りです。」
2. 「イベント開催概要を別紙にてご確認ください。」
3. 「製品仕様書の概要をまずご覧いただいたうえで、詳細に進みましょう。」
4. 「会議の議題概要をメールでお送りしました。」
5. 「このブログ記事では、サービスの概要と導入事例を紹介します。」

概要を言い換えてみると

「概要」は次のような言い換えが可能です。

• 「要旨」
• 「概略」
• 「あらまし」
• 「サマリー（summary）」
• 「要点」

言い換え時にはニュアンスの違いに注意が必要です。例えば「要点」はポイントに少し絞った印象があり、「概要」はもう少し幅を持たせた構成・あらましという印象があります。

概要を正しく使う方法

「概要」を用いる場合のポイントは以下のとおりです。

• 詳細に入る前、あるいは資料・文章の冒頭部に置いて「まずこのあらましを見てください」という導線を作る。
• 概要は簡潔に、しかし要点が抜けないように記述する。読者が「全体がこういうものか」と一目で理解できるよう構成する。
• 詳細が後で出る旨を予告するなら、概要のあとに「詳細は次頁／以下にて」といった一文を添えるのが望ましい。
• 誤って詳細に入りすぎてしまうと「概要」を名乗る意味が薄れるため、30〜50％程度の情報量に抑えるとバランスが取れる。

概要の間違った使い方

誤用・注意点としては以下があります。

• 「概要」と言いながら詳細まで羅列してしまい、逆に冗長になるケース。
• 読み手が前提を持っていないのに「概要だけです」としてしまい、理解不足に陥るケース。
• 「概要」を省略して直接詳細に入ることで、読み手が全体像を把握できず混乱を招くケース。

内容の正しい使い方を解説

最後に「内容」の使い方について、例文・言い換え・ポイント・誤使用しやすい表現を詳述します。

内容の例文5選

「内容」を用いた例文を5つ紹介します。

1. 「契約書の内容をご確認のうえ、署名をお願いいたします。」
2. 「イベント報告書の内容に関しまして、質問がございましたらご連絡ください。」
3. 「本サービスの内容を詳しくご説明いたします。」
4. 「ウェブサイトの掲載内容が変更されましたのでご確認ください。」
5. 「会議資料の内容を内部共有フォルダにアップしました。」

内容を別の言葉で言い換えると

「内容」は次のように言い換えられます。

• 「中身」
• 「実質」
• 「構成」
• 「要素」
• 「詳細」

ただし、「詳細」は“さらに細かい”というニュアンスを含むため、「内容」と言い換える際には文脈を確認する必要があります。

内容を正しく使うポイント

「内容」を使用する際のポイントは以下の通りです。

• 対象となる文書・提案・会議などの“中身”を示したい時に用いる。
• 「内容」が抽象的になりすぎないよう、補足語（例えば「契約書の内容」「サービス内容」「企画内容」）を付け加えると良い。
• 読み手が「何を含んでいるか」「どういう構成か」を把握できるように、適切な補足とともに使う。
• 「内容を変更しました」「内容をご確認ください」など、動詞と絡めて“確認”や“修正”の対象となる場合が多い。

内容と誤使用しやすい表現

「内容」を使う上での誤用・注意点としては以下があります。

• あまりにも曖昧に「内容」とだけ書いてしまい、読み手が何を確認すればいいか分からなくなるケース。
• 「内容」という言葉を多用してしまい、文章が単調・抽象的になるケース。「内容」は便利ですが、言葉を補って具体性を出すことが重要です。
• 「内容」と「概要」を混同して使ってしまい、読む側に「これは要点なのか詳細なのか」が伝わりにくくなるケース。

まとめ：その旨と概要と内容の違いと意味・使い方の例文

この記事では、「その旨」「概要」「内容」という言葉を、違い・意味・語源・類義語・対義語・英語表現・使い方・例文という観点から、専門性・信頼性を意識して詳しく解説しました。

改めて要点を整理します

• 「その旨」：既に述べられたこと／指示・意思などを指し、フォーマルな場面で使われる。「そのことの趣旨」というニュアンス。
• 「概要」：物事の大まかなあらまし・要点・骨子を示す言葉。全体像を掴ませるための表現。
• 「内容」：中身・構成・実質を含む最も包括的な言葉。何が含まれているか・どのような構成かを説明する際に用いる。

使い分けの観点では

• 報告・指示・承認を示す際には「その旨」を。
• まず要点・あらましを示したいなら「概要」を。
• 中身・詳細・構成を説明・確認させたいなら「内容」を。

適切にこれらの言葉を選び、場面・文脈・読み手を意識して使うことで、ビジネス文書や日常の文章においても伝わりやすさ・信頼性が高まります。例文や言い換えも活用しながら、ぜひ実践してみてください。

以上、この記事が「その旨／概要／内容」の意味・違い・使い方の理解に役立てば幸いです。