
日本語には似たようなタイミングを表す言葉がたくさんあり、その中でも「当初」と「最初」は、会話やビジネスメール、報告書などで頻繁に登場する表現です。「当初と最初の違いや意味がいまいち分からない」「当初と最初のどっちを使うべきか毎回迷ってしまう」と感じている方も多いのではないでしょうか。
例えば「当初の予定」と「最初の予定」、「当初の目的」と「最初の目的」など、どちらを使っても通じそうに見える一方で、言われてみるとニュアンスや使い方に差がありそうだと感じると思います。さらに、「当初とはそもそもどういう意味なのか」「最初とは何が違うのか」「英語にするときはどんな表現を使えばよいのか」といった疑問も出てきます。
受験勉強や資格試験の国語問題、ビジネス文書、プレゼン資料の作成では、「当初と最初の違いや意味」をきちんと理解しておくことが求められます。また、「当初の計画」「最初の段階」といった日本語表現は、それぞれに合う英語表現(initially, originally, at first, first など)も異なり、翻訳や英作文の際にも迷いやすいポイントです。
この記事では、「当初」と「最初」の意味の違い・使い分け・英語表現・語源・類義語と対義語・言い換え表現・例文までを一つずつ丁寧に整理し、「結局どの場面でどちらを選べばよいのか」が自信を持って判断できる状態になることを目指します。
- 「当初」と「最初」の意味の違いと、ニュアンスの整理
- 日常会話とビジネスシーンにおける「当初」と「最初」の具体的な使い分け
- 「当初」「最初」に対応する代表的な英語表現と使い方
- 語源・類義語・対義語・言い換え表現、豊富な例文による実践的な使い方
当初と最初の違い
まずは全体像として、「当初」と「最初」の意味の違いと使い分けを整理します。ここでは、辞書的な定義だけでなく、私が文章指導やビジネス文書の添削をする中で実際によく感じるニュアンスの差も含めて説明していきます。
結論:当初と最初の意味の違い
一言でまとめると、「最初」は時間の並びのいちばん前、「当初」はある物事や計画の“はじめの時期”を、今の立場から振り返って指す言葉です。
もう少し具体的に整理すると、次のようなイメージになります。
| 表現 | コアの意味・イメージ | よく合う語・典型的な用法 |
|---|---|---|
| 最初 | 時間や順番の「いちばんはじめ」。それ以前の段階が存在しないポイント | 最初の一歩/最初の一人/最初のページ/最初は不安だった など |
| 当初 | ある計画・プロジェクト・状態などの「初期の時期」を、現時点から振り返って指す言い方 | 当初の予定/当初の計画/当初の見込み/当初は赤字だった など |
このように、最初は「順番の一番初め」という位置を指すことが多く、当初は「ある物事の初期段階」をとらえ直す表現だと考えると、両者の違いが掴みやすくなります。
そのため、単純に「一番はじめの人」「一番はじめのページ」といった“モノ・人”を指すときは「最初」が自然です。一方で、「計画・方針・予測・業績」といった少し抽象度の高いものについて話すときは「当初」がよく使われます。
当初と最初の使い分けの違い
実際の文章で迷いやすいのは、「当初の計画」「最初の計画」「当初の目標」「最初の目標」など、どちらも成り立ちそうに見えるケースだと思います。ここでは、私が普段意識している使い分けの基準を紹介します。
「最初」はスタート地点、「当初」はスタートからしばらくを含むイメージ
「最初」は、線のいちばん左端、つまりスタート地点そのものを指すイメージです。「最初の一歩」「最初の顧客」のように、数えられるもの・順番がはっきりしているものに相性がよい表現です。
一方、「当初」はスタート直後だけでなく、スタートしてからしばらく続く“初期フェーズ全体”を指すことが多くなります。たとえば「事業の当初は赤字だった」というと、開業直後の数か月〜数年ぐらいを含めてイメージすることが多いでしょう。
「当初」は計画・見通しと結びつきやすい
もう一つよくあるのが、「当初の予定」「当初の見込み」「当初の予算」といった決まった言い回しです。ここでは、開始時点で立てた計画や見通しを、現在から振り返って語るニュアンスが含まれます。
そのため、ビジネスの報告書や会議の場では、「最初の予定」より「当初の予定」のほうがややフォーマルで、文書としても安定した印象になります。
「当初」と「最初」は、多くの場面でどちらを使っても致命的な誤解になることは少なく、文脈で自然に理解されるケースがほとんどです。ただし、契約書や公的文書のように意味のズレが問題になり得る場面では、辞書や国語辞典などの定義も確認しながら慎重に選ぶことをおすすめします。正確な情報は公式サイトや公的な資料をご確認ください。また、最終的な判断は日本語教育や法務の専門家にご相談ください。
当初と最初の英語表現の違い
英語に訳すときにも、当初と最初の違いは意外と重要です。どちらも at first や in the beginning で訳せることがありますが、ニュアンスをきちんと反映させたい場合は次のような対応を意識するとよいでしょう。
「最初」に対応しやすい英語表現
- the first (person, step, page, time など)
- at first
- in the beginning
例:
- 最初の一歩を踏み出す:take the first step
- 最初は不安だった:I was anxious at first.
「当初」に対応しやすい英語表現
- originally
- initially
- at first(文脈によっては可)
- in the early stages
例:
- 当初の予定では:Originally / Initially, the plan was …
- 事業当初は赤字だった:The business was in the red in the early stages.
特に「当初の計画」「当初の想定」は initially, originally を使うと英語でもニュアンスが近づきます。一方で「最初の一人」「最初のページ」を originally と訳すのは不自然なので、その場合は the first を用いる、といった使い分けが必要です。
当初の意味
ここからは「当初」に焦点を当てて、意味・定義・語源・類義語・対義語を順番に整理していきます。
当初とは?意味や定義
「当初(とうしょ)」は、ある物事・計画・プロジェクト・状態などの「初めのころ」「初期の段階」を指す言葉です。特徴的なのは、現時点から過去を振り返って、その物事のはじまり付近をまとめて指すようなニュアンスを持つ点です。
たとえば、「当初は半年で終わる予定だった」というとき、その人は今の時点からプロジェクト全体を眺め、「スタート直後の想定」「始めたころの見込み」を振り返って表現しています。この“振り返り”の感覚が、単に順番を指す「最初」との大きな違いです。
ビジネスシーンでは、「当初の契約条件」「当初の見通し」「当初のゴール」といった表現がよく使われ、現在の状況とのギャップを説明するときに非常に便利な語です。
当初はどんな時に使用する?
私が実務や文章添削の中で「当初」をよく使う・見かけるのは、次のような場面です。
- プロジェクトの計画・スケジュール・予算について振り返るとき
- ビジネスの業績や事業の成長過程を説明するとき
- 人間関係や感情の変化を、過去と現在で対比するとき
- 方針変更や計画修正の背景を説明するとき
例文で確認してみましょう。
- 当初の予定では、リリースは10月でした。
- 事業当初は認知度が低く、売上もほとんどありませんでした。
- 当初は反対意見が多かったものの、今では社内のスタンダードになっています。
どれも「今から見て、スタート付近の状況をまとめて振り返る」という場面になっていることが分かると思います。
当初の語源は?
「当初」は漢語的な成り立ちの語で、「当」と「初」という二つの字から構成されています。
- 当:その時点・その場・そのものに「ぴったり当たる」というイメージ
- 初:はじめ・最初の段階
この二つが組み合わさることで、「ある事柄の“まさにその初めのころ”」を指す表現になっています。もともと書き言葉寄りの硬い印象があり、口語でも使われますが、特にビジネス文書・公的な文書・ニュース記事などで好まれる語です。
時間を表す日本語は、「月初め・初旬・上旬」のように、似ているけれど使い分けが必要なものが多くあります。時間表現のニュアンスをまとめて押さえたい場合は、月初め・初旬・上旬の違いと使い分けもあわせて確認しておくと理解が深まります。
当初の類義語と対義語は?
「当初」とニュアンスが近い類義語・反対のイメージを持つ対義語を整理しておくと、言い換えの幅が広がります。
当初の類義語・近い表現
- 初期(しょき)
- 初めのころ/始めの時期
- 立ち上げ当時
- スタート当時
- 発足当時
中でも「初期」は比較的中立的な語で、「当初」ほど振り返りのニュアンスが強くないことが多いです。「当初は赤字だったが、初期投資を回収したあと黒字化した」のように、両者を対比させることもできます。
当初の対義語・対照的な表現
- 現在
- 後半/後期
- 終盤
- 最終段階
「当初は〜だったが、現在は〜だ」「当初の構想とは大きく変わり、最終段階では〜になった」といった形で、時間の流れを対比させる使い方がよく見られます。
最初の意味
次に、「最初」の意味と使われ方を詳しく見ていきます。「最初」は日常会話で非常に頻度の高い語で、「当初」よりもカジュアルな印象があります。
最初とは何か?
「最初(さいしょ)」は、時間・順番・位置などの「いちばんはじめ」「第一番目」を表す語です。読み手・聞き手の感覚としても分かりやすく、かたさもあまりないため、会話からビジネス文書まで幅広く使われています。
典型的な用法としては、次のようなものがあります。
- 最初の一歩を踏み出す
- 最初のページを開く
- 最初の一問目
- 最初からやり直す
- 最初は不安だった
これらはいずれも、「一連の流れの中で、一番はじめのポイント」を指しています。“一番目”や“最も早い段階”にフォーカスしているのが「最初」だと考えると分かりやすいでしょう。
最初を使うシチュエーションは?
「最初」は、日常のあらゆる場面で使える、汎用性の高い言葉です。私自身が文章をチェックする中でよく見かけるシーンを挙げてみます。
- 勉強や仕事の「一番はじめのステップ」を表すとき(最初の章/最初のタスク)
- 人やモノの順番を説明するとき(最初の来場者/最初の製品)
- 心情の変化を描写するとき(最初は不安だったが、今は楽しい)
- やり直しやリセットを表すとき(最初からやり直す)
特に、数えられるもの・順番があるものとの相性がよいというのがポイントです。「当初の一人目」とは言いませんが、「最初の一人目」は自然ですね。
最初の言葉の由来は?
「最初」は、「最」と「初」という二つの字から成り立つ和製漢語的な表現です。
- 最:もっとも・いちばん
- 初:はじめ・最初の段階
この二つが組み合わさって、「最もはじめ」「一番初め」という意味になっています。もともと口語に寄った言い方ですが、ビジネス文書や論文などでも普通に用いられる、使いやすい語です。
なお、「列のいちばん前」や「先頭に立つ」といった表現のニュアンスを詳しく比較したい場合は、位置や順序を表す語の使い分けをまとめた先頭と最前の違いと使い分けも参考になります。
最初の類語・同義語や対義語
「最初」と近い意味を持つ類語や、対照的な位置にある対義語を押さえておくと、文章のバリエーションが増えます。
最初の類語・同義語
- はじめ(最初)
- 初め(はじめ)
- 第一歩
- 出だし
- スタート
- 冒頭
「冒頭」「第一歩」「スタート」は、やや場面が限定されるものの、「最初」と似た働きをする表現です。「最初の一文」を「冒頭の一文」と言い換えると、少し書き言葉寄り・文章寄りのニュアンスになります。
最初の対義語
- 最後
- 終わり
- ラスト
- 終盤
「最初と最後」「最初から最後まで」のようにペアで使われることも多く、時間や順序の両端を示す表現としてセットで覚えておくと便利です。
当初の正しい使い方を詳しく
ここからは、「当初」の使い方にしぼって、例文・言い換え表現・注意点をまとめていきます。特にビジネス日本語では出番が多いので、このパートを押さえておくと実務での表現力がぐっと上がります。
当初の例文5選
まずは、よく使う基本パターンの例文を5つ挙げます。ビジネス文書・メールでそのまま応用しやすい形にしています。
- 当初の予定では、プロジェクトは3か月で完了する見込みでした。
- 事業当初は赤字が続いていましたが、三年目から黒字に転じました。
- 当初は反対意見が多かったものの、今では社内の標準フローになっています。
- 当初の想定よりも申し込みが多く、追加の枠を設けることにしました。
- 当初から一貫して、「利用者目線」を最優先の方針として掲げてきました。
いずれの例文も、「当初」と「今」「その後」の対比が意識されており、時間の経過と変化を説明する役割を果たしています。
当初の言い換え可能なフレーズ
文章のリズムや硬さを調整したいときには、「当初」を他の表現に言い換えることも有効です。
フォーマル寄りの言い換え
- 初期の段階では
- 開始当時は
- 導入当初は
- サービス立ち上げ当時は
ややカジュアルな言い換え
- 最初のころは
- 始めたばかりのころは
- スタートした当時は
ただし、「最初のころ」は「当初」と完全に同じではなく、やや口語的・感覚的な表現になります。ビジネス文書では、「当初」や「初期の段階」を優先したほうが無難な場面も多いでしょう。
当初の正しい使い方のポイント
「当初」を使いこなすためのコツを、実務でよくある視点から整理します。
- 「現在」との対比を意識して使う(当初〜だったが、現在は〜)
- 「予定・計画・見込み・想定」との組み合わせを覚えておく
- 人やモノの順番よりも、「プロジェクト・事業・制度・感情の変化」などと相性がよい
- 少しフォーマルな印象を与えるため、ビジネスメールにも使いやすい
例えば、「当初の予定では10月リリースでしたが、要件追加により12月に延期しました」のように書くと、“振り返り+修正理由”を簡潔に説明できるので、報告文としてもきれいにまとまります。
当初の間違いやすい表現
「当初」は便利な言葉ですが、使い方を誤ると少し不自然に感じられる場合があります。よくあるパターンを挙げておきます。
- × 当初の一人目/○ 最初の一人目
- × 当初の席/○ 最初の席/最初に座った席
- × 当初のページ/○ 最初のページ/冒頭のページ
このように、具体的な人・モノの「順番」にフォーカスしたいときは、「当初」ではなく「最初」を使うのが基本です。
また、「当初の最初」「最初の当初」のように両方を重ねると、意味が重複してくどくなってしまいます。どちらか一方を選ぶようにしましょう。
最初を正しく使うために
続いて、「最初」をより自然に、かつ豊かな表現で使えるようにするためのポイントをまとめます。日常会話はもちろん、プレゼンやレポートでも「最初」は頻出する語です。
最初の例文5選
基本的な使い方を押さえられる例文を5つ紹介します。
- 最初の一歩を踏み出すことが、一番大きなハードルでした。
- この本は、最初の章が少し難しいですが、そこを超えると一気に読みやすくなります。
- 最初は不安でしたが、徐々に仕事にも慣れてきました。
- 最初の印象と比べると、今はその人の新しい一面も見えるようになりました。
- アプリを起動したら、最初に表示される画面がこちらです。
「最初」は、物事のスタート地点・第一印象・第一段階に関わる場面で幅広く使えることが分かります。
最初を言い換えてみると
文章全体のトーンやリズムを整えるために、「最初」を他の表現に言い換えることもよくあります。
フォーマル寄りの言い換え
- 当初(※振り返りのニュアンスを出したいとき)
- 初めの段階では
- 導入直後は
- 開始直後は
カジュアルな言い換え
- 一番はじめは
- 最初のうちは
- 出だしの部分は
どの表現を選ぶかは、「伝えたいのは単なる順番なのか、それとも時間の経過や変化まで含めたいのか」によって変わってきます。例えば、変化の流れを強調したいなら「最初は〜だったが、次第に〜になった」のような形が分かりやすいでしょう。
最初を正しく使う方法
「最初」は便利な反面、文章の中で頻発しやすい語でもあります。効果的に使うためには、次のような点を意識してみてください。
- 「最初」と「最後」をセットで使うと、話の構造が明確になる
- 具体的な対象(人・モノ・ページ・質問など)と組み合わせると分かりやすい
- 同じ段落で「最初」を連発しすぎないよう、適宜「当初」「初めの段階」「冒頭」などと使い分ける
- ビジネスの経過報告では、「最初」より「当初」のほうが適切な場面も多い
例えば、「最初の頃は問い合わせが少なかったが、現在は安定している」という文を、「当初は問い合わせが少なかったが、現在は安定している」と書き換えると、レポートらしい落ち着いた印象になります。
最初の間違った使い方
「最初」は意味が分かりやすい分、つい何にでも付けてしまい、不自然な表現になってしまうケースがあります。
- × 最初の最後には〜/○ 最後には〜
- × 最初の当初は〜/○ 当初は〜/最初は〜
- × 最初の最初から分かっていた/○ 最初から分かっていた/当初から分かっていた
同じ意味の語を重ねてしまうと、冗長で読みにくい文章になってしまいます。「一文の中で“最初系”の語を重ねすぎない」ことを意識すると、すっきりした文になりやすくなります。
時間軸に関わる語の使い分けは、「事後」と「以後」のような似た言葉でも頻繁に問題になります。時間表現全般の整理には、事後と以後の違いと使い分けもあわせて読んでおくと、全体像がつかみやすくなります。
まとめ:当初と最初の違いと意味・使い方の例文
最後に、「当初」と「最初」の違いと使い方を振り返りつつ、実務で意識しておきたいポイントを整理しておきます。
- 「最初」は時間・順番・位置の「いちばんはじめ」を表し、具体的な人・モノ・ステップと相性がよい
- 「当初」はある物事や計画の「初期の時期」を、現時点から振り返って指すときに使われる
- ビジネス文書では、「当初の予定」「当初の見込み」のように、計画や見通しと結びつく表現が多い
- 英語では、「最初」=the first, at first、「当初」=originally, initially, in the early stages と対応させるとニュアンスが近くなる
実際の文章では、「最初の一歩」「最初のページ」「最初の印象」のように“スタート地点”を描写したいときは「最初」、「当初の予定」「当初の方針」「当初の見込み」のように“初期の計画や状態を振り返る”ときには「当初」を選ぶと、自然で読みやすい日本語になります。
また、「当初」「最初」に限らず、日本語の語感や用法は辞書や公式な基準で示される定義に加えて、分野や時代によって微妙に変化していきます。ここで紹介した内容はあくまで一般的な目安であり、正確な情報は辞書や公的機関・公式サイトをご確認ください。また、契約書や重要なビジネス文書で迷った場合は、最終的な判断を専門家(法務担当者や日本語の専門家)に相談することをおすすめします。
言葉の違いを丁寧に意識して使い分けられるようになると、文章の説得力や読みやすさがぐっと高まります。時間や順序に関する表現に自信をつけたい方は、時間表現の違いを扱ったほか・他・外の違いと使い方なども合わせて読み、少しずつ語彙の“引き出し”を増やしていきましょう。

