
「予期」と「予見」は、どちらも“未来に起こることを前もって捉える”場面で登場する言葉です。ただ、いざ文章にしようとすると「予期と予見の違いは?」「意味はどう違う?」「使い分けは?」「英語表現だとどう訳す?」と迷いやすいはずです。
さらに、「予期せぬ」「予期に反する」「予見可能性」といったセット表現も多く、似た言葉(予想・予測・予知・予感)との違いまで気になってくると、いっそう混乱します。
この記事では、予期と予見の違いと意味を軸に、語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現・使い方まで、例文つきで一気に整理します。読み終えるころには、日常文でもビジネス文でも「どっちを選ぶべきか」が迷わなくなります。
- 予期と予見の意味の違いと結論
- 場面別の使い分けと判断基準
- 英語表現(expect / anticipate / foresee など)の対応
- 例文で身につく正しい使い方と言い換え
予期と予見の違い
ここでは最初に、予期と予見のズレやすいポイントをまとめます。結論→使い分け→英語表現の順で押さえると、全体像が一気にクリアになります。
結論:予期と予見の意味の違い
結論から言うと、予期は「起こりそうだと前もって思い、心の中で待ち受ける(期待・覚悟を含む)」という語です。一方で、予見は「起こる前に、筋道や状況から見通して知る(見通し・洞察に寄る)」という語です。
| 項目 | 予期 | 予見 |
|---|---|---|
| 核になる意味 | 前もって期待・覚悟して待つ | 前もって見通して知る |
| ニュアンス | 主観(気持ち・覚悟)が混ざりやすい | 客観(見通し・洞察)寄りになりやすい |
| よく合う語 | 予期せぬ/予期に反する/予期していた | 予見する/予見可能性/リスクを予見する |
| 向く場面 | 結果への心構え・想定 | 原因や兆候からの見通し |
- 「待つ(期待・覚悟)」の要素が強いのが予期
- 「見通す(洞察・見立て)」の要素が強いのが予見
予期と予見の使い分けの違い
使い分けのコツは、文章が「心構え」寄りか「見通し」寄りかで決めることです。
予期が合うのは「結果に対する想定」を語るとき
予期は、出来事が起こる前に「そうなるだろう」と思い、心の中で待ち受ける語です。良い結果にも悪い結果にも使えますが、実際の文章では「予期せぬ」「予期に反する」など、想定と現実のズレを表すときに特に強く働きます。
予見が合うのは「兆候から先を読む」ことを語るとき
予見は、目の前の情報(状況・兆候・経験・データなど)から「起こる前に見通す」語です。ビジネスでは、リスクの予見やトラブルの予見のように、原因や前兆を踏まえた見立てとして使うと、文章が引き締まります。
- 迷ったら「予期=待ち受ける」「予見=見通す」と一言で置き換えて、文章が自然か確認すると失敗しません
予期と予見の英語表現の違い
英語にするときは、1対1で固定しないのがコツです。文脈に応じて、次のように対応させると自然になります。
- 予期:expect / anticipate(「起こりそうだと見込む・待ち受ける」)
- 予見:foresee(「先を見通す」)/predict(「予測する」)
たとえば「予期していた混乱」は expected confusion が合いやすく、「兆候から混乱を予見した」は foresee のほうが“見通した”感じが出ます。予期はexpect/anticipate、予見はforeseeを軸に考えると整理しやすいです。
予期とは?
ここからは言葉を分解して理解します。まずは予期の意味・使い方・語源(漢字の成り立ち)・類義語と対義語を押さえ、誤用を防ぐ土台を作ります。
予期の意味や定義
予期は、「前もって期待すること」「前もってそうなると考えて待ち受けること」という意味で使われます。ポイントは、単なる予想よりも“期待・覚悟”の温度が入りやすい点です。
よくある形は「予期せぬ」「予期に反する」「予期した以上に」などで、想定と現実のギャップを端的に表せます。
予期はどんな時に使用する?
予期は、次のような場面で自然に使えます。
- 結果がどうなるか、事前に想定して心構えを作るとき
- 「想定外だった」「思いがけなかった」を少し硬めに言いたいとき(予期せぬ)
- ビジネス文で、計画や見込みとの差を丁寧に述べたいとき(予期に反する結果)
- 予期は便利ですが、感情の温度が強い文脈で多用すると主観的に見えることがあります。報告書などで客観性を高めたい場合は「予測」「見込み」への言い換えも検討してください
予期の語源は?
予期は、「予(あらかじめ)」+「期(期する=期待する・定めて待つ)」という組み合わせで理解すると覚えやすいです。つまり、前もって、そうなることを待つのが語感の芯です。
「期」のニュアンスが気になる方は、同じ“期”を含む表現の整理が役に立ちます。文章上の表現力を広げたい場合は、次の解説も合わせて読むと理解が深まります。
予期の類義語と対義語は?
予期の類義語は多いですが、ニュアンスで整理すると選びやすくなります。
予期の類義語
- 予想:広く一般に「こうなりそう」と思う(主観も混ざる)
- 予測:根拠(データ・傾向)を踏まえて推し量る
- 見込み:実務的に「そうなる可能性が高い」という見立て
- 想定:条件を置いてシナリオとして考える
予期の対義語
- 不測:思いがけないこと(不測の事態)
- 想定外:想定の枠に入っていないこと
- 偶然:意図や見込みとは無関係に起こること
予見とは?
次は予見です。予見は「見通す」色が強いため、ビジネスのリスク管理や、文章の論理性を高めたいときに特に効きます。意味と使う場面を押さえ、言い換えまで整えましょう。
予見の意味を詳しく
予見は、「物事が起こる前に、その事を見通すこと」です。単に“当てる”というより、兆候・条件・流れから先を読むニュアンスが中心になります。
「予見可能性」という形で、法律やコンプライアンス、事故防止の文脈に出ることも多く、硬めで客観的な語感を持ちます。
予見を使うシチュエーションは?
予見が自然にハマるのは、次のような場面です。
- リスクやトラブルを、兆候から先回りして把握するとき(リスクを予見する)
- 将来の変化を、現状の情報から見通すとき(市場の変化を予見する)
- 起き得る結果を、条件付きで説明するとき(予見可能性があった)
- 「予見」は“推理の筋”が見える文章に強い
- 「予期」は“心構え”が見える文章に強い
予見の言葉の由来は?
予見は、「予(あらかじめ)」+「見(見る・見通す)」の組み合わせです。字面通り、前もって見る=先を見通すという成り立ちなので、意味が非常に素直です。
類語に「見当」「見通し」など“見る”系が多いのも、この由来から納得できます。「見当」という言葉の使い分けも一緒に整理したい場合は、次の記事が役に立ちます。
予見の類語・同義語や対義語
予見の近い言葉は多いですが、文章の温度と根拠の強さで整理すると選びやすいです。
予見の類語・同義語
- 見通し:状況を踏まえた先行きの判断(計画文で便利)
- 見越す:将来を織り込んで行動する(実務寄り)
- 予測:データや傾向から推し量る(分析寄り)
- 予知:未来を前もって知る(やや特殊・超常的に響くことも)
予見の対義語
- 見落とす:兆候や重要点を取り逃がす
- 不意:前触れなく起こること
- 予見不能:見通すことができない(文脈によっては「不可抗力」に近い)
予期の正しい使い方を詳しく
ここからは実戦編です。予期は「予期せぬ」の形で一気に使用頻度が上がります。例文→言い換え→ポイント→間違いの順で、書けるようにしていきましょう。
予期の例文5選
- 台風の進路が変わり、予期せぬ時間に交通が乱れた
- 努力はしていたが、ここまで成果が出るとは予期していなかった
- 計画は順調だったが、資材不足で予期に反する遅延が発生した
- 最悪の事態も予期して、代替案を用意しておく
- 説明不足が原因で、顧客から予期以上の問い合わせが来た
予期の言い換え可能なフレーズ
文脈に応じて、次の言い換えが便利です。
- 予期せぬ → 想定外の/思いがけない/不測の
- 予期していた → 見込んでいた/想定していた
- 予期に反する → 見込みと異なる/想定と違う
予期の正しい使い方のポイント
予期は、「待ち受ける気持ち」が入る語です。だからこそ、次の3点を意識すると文章が安定します。
- 「予期=心構え」として、主観が入ることを理解したうえで使う
- 報告書などで客観性を出したい場合は「予測」「見込み」への置換も検討する
- 「予期せぬ」を使うときは、何がズレたのか(前提・想定)を一言添えると説得力が増す
予期の間違いやすい表現
予期でよくあるミスは、「見通した(予見)」の文脈に、予期を混ぜてしまうことです。
- ×「兆候から事故を予期した」→ ○「兆候から事故を予見した」
- ×「予期可能性」→ ○「予見可能性」(法律・責任の文脈では特に注意)
予見を正しく使うために
予見は、文章を“論理的でプロっぽく”見せやすい一方、根拠が弱いのに使うと背伸びした印象にもなります。例文と注意点までセットで押さえてください。
予見の例文5選
- 過去の事例から、同様のトラブルを予見できたはずだ
- 需要の変化を予見し、早めに在庫方針を切り替えた
- この設計では、負荷増大による故障を予見しやすい
- リスクを予見していたため、被害を最小限に抑えられた
- 当時の情報だけでは、その結果を予見するのは難しかった
予見を言い換えてみると
予見は硬めの語なので、読み手に合わせて平易にするのも有効です。
- 予見する → 見通す/見越す/先を読む
- 予見可能性 → 見通せた可能性/事前に気づけた可能性
- リスクを予見する → リスクを察知する/リスクを見立てる
予見を正しく使う方法
予見を“正しく見せる”最大のコツは、根拠の提示です。私は、次のセットで書くことを推奨しています。
- 根拠(データ・兆候・過去事例)+ 予見(見通し)+ 対応(対策・判断)
- 「なぜそう言えるのか」を一文だけ添えると、予見が空中戦になりません
なお、責任や過失の判断など、法律や契約に関わる話題では表現が結果に影響する可能性があります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。また、最終的な判断は専門家にご相談ください。
予見の間違った使い方
予見の誤用で多いのは、「当たった/当たらなかった」だけを言いたいのに予見を使うケースです。予見は“当てもの”というより“見通し”なので、筋道がないと不自然になります。
- ×「なんとなく明日は雨だと予見した」→ ○「明日は雨だと予想した/予測した」
- ×「気分が沈む未来を予見する」→ ○「気分が沈みそうな予感がする」(感情の直感は予感が自然)
まとめ:予期と予見の違いと意味・使い方の例文
最後に、予期と予見の違いを一言でまとめます。
- 予期=前もって期待・覚悟して待ち受ける(心構えの語)
- 予見=起こる前に見通して知る(見通し・洞察の語)
例文で確認すると、「予期せぬ」=想定外のズレを表すのに強く、「リスクを予見する」=兆候から先を読むのに強い、という整理が一番ブレません。文章の目的が「心構え」なら予期、「見通し」なら予見。迷ったらこの基準に戻ってください。
なお、言葉の選び方は文章の目的や読み手の専門性で最適解が変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。
