
「ちなみにって、正確にはどんな意味?」「ところでや、なおとは何が違うの?」「ビジネスメールで使っても失礼にならない?」と疑問に思ったことはありませんか。
ちなみにという言葉は、日常会話から仕事上のやり取りまで幅広く使われていますが、便利だからこそ、何となく話題をつなぐ言葉として使ってしまいがちです。
本来は、すでに述べた内容と関係のある情報を補足するときに使う表現であり、まったく別の話題へ移るための言葉ではありません。また、敬語そのものではないため、相手や場面によっては別の表現に言い換えたほうが自然です。
この記事では、ちなみにの意味や語源、使い方、例文、類語、英語表現、ビジネスでの扱いまで、初めて調べる方にもわかりやすく解説します。
ちなみに
英語表記:by the way / incidentally
目次
ちなみにの意味とは?語源・漢字・使い方をわかりやすく解説

ちなみにの意味を一言で表すと、「前に述べた内容に関連する情報を、補足として付け加えること」です。会話の本筋から完全に離れるのではなく、直前まで話していた内容につながる情報を添えるところがポイントです。まずは、意味や語源、基本的な使い方から確認していきましょう。
ちなみにの意味と語源・漢字「因みに」
「ちなみに」は、前に述べた事柄について、関連する情報をあとから付け加えるときに使う接続表現です。「ついでに言うと」「関連する話として付け加えると」と考えると、ニュアンスをつかみやすいでしょう。
- 前の話題に関連する情報を補足する
- 本筋ではないものの、知っておくと参考になる内容を加える
- すでに述べた内容と関係のある話を付け足す
漢字では「因みに」と書きます。「因む(ちなむ)」には、ある物事と関係を持つ、関連づけるという意味があります。「地名にちなんで商品名を付ける」の「ちなんで」と同じ系統の言葉です。
そこから「ちなみに」は、前の話と関連づけながら情報を付け加える表現として使われるようになりました。
国立国語研究所の「分類語彙表」でも、「ちなみに」は「なお」「ついでながら」「念のため」などとともに「補充」に分類されています。つまり、話題を完全に切り替えるというより、前の内容へ情報を補う働きを持つ言葉だと理解できます。
ちなみにの使い方と例文
ちなみにを使うときに大切なのは、前後の内容に関連性があるかどうかです。
例えば、次の文章は自然な使い方です。
- 明日の会議は10時から始まります。ちなみに、会場は第2会議室です。
- この店のランチは平日限定です。ちなみに、土日はディナーのみ営業しています。
- 彼は大学時代に留学していました。ちなみに、留学先はカナダです。
どの例文でも、ちなみにの後ろに置かれている情報は、その前の内容とつながっています。
一方、次のように前後の内容にほとんど関係がない場合は注意が必要です。
「明日は朝から会議があります。ちなみに、昨日見た映画は面白かったです。」会議と映画には直接的な関係がないため、この場合は「ところで」などを使って話題を切り替えるほうが自然です。
ちなみにを英語で表すと?by the wayとincidentallyの違い
ちなみにを英語にするときは、文章の流れによって「by the way」や「incidentally」などが使われます。ただし、日本語のちなみにと完全に一対一で対応するわけではありません。
| 英語表現 | 主なニュアンス |
|---|---|
| incidentally | 関連する補足情報を付け加える |
| by the way | 付け足しや話題転換をする |
| for your information | 参考情報として知らせる |
日本語のちなみにが「前の話への補足」という意味で使われている場合は、incidentallyの感覚が比較的近くなります。一方、日常会話で話題を少し変えるような使い方ではby the wayが自然になる場合もあります。
ちなみにの意味からわかる類語・言い換えと「なお」「ところで」の違い

ちなみにには、「なお」「また」「補足すると」「ついでながら」など、似た場面で使われる表現があります。しかし、それぞれが持つ役割は同じではありません。特に「なお」と「ところで」は混同しやすいため、違いを理解して使い分けることが大切です。
ちなみにの類語・言い換え表現
ちなみにの代表的な類語や言い換えとして、次のような言葉があります。
| 表現 | 適した場面 | ニュアンス |
|---|---|---|
| なお | 案内・説明・ビジネス文書 | 関連情報を改まった形で補足する |
| また | 会話・文章全般 | 別の情報を追加する |
| 補足すると | 説明・プレゼン | 前の説明に情報を足すことを明確にする |
| 補足いたしますと | ビジネス・目上の相手 | 丁寧に情報を付け加える |
| ついでながら | やや改まった文章 | 本題に関連する内容を付け足す |
| 念のため | 確認・注意喚起 | 確認しておきたい情報を加える |
どれを使っても同じ意味になるわけではありません。例えば、相手に必ず知ってほしい重要事項なら、「ちなみに」より「なお」や「補足いたしますと」のほうが適している場合があります。
ちなみにと「なお」の違い
「ちなみに」と「なお」は、どちらも前の内容へ情報を付け加えるときに使えるため、非常によく似ています。
違いを簡単に言えば、ちなみにには「参考として付け加える」感覚があり、なおは「必要な追加情報を示す」場面でも使いやすいという点です。
例えば、イベント案内で次のように書いたとします。
「受付は午後6時までです。なお、午後5時以降は東口をご利用ください。」
東口を利用するという情報は、来場者にとって重要な案内です。このような場合は「ちなみに」より「なお」が自然です。
一方、
「この建物は昭和50年に完成しました。ちなみに、隣の建物は昭和48年に完成しています。」
という文章では、後半は本筋に必須ではない参考情報なので、「ちなみに」がよく合います。
なくても本筋は理解できるが、知っていると参考になる情報なら「ちなみに」が自然です。案内や条件など、読み手にきちんと伝える必要がある追加情報なら「なお」が使いやすくなります。
ちなみにと「ところで」の違い
ちなみにと「ところで」は、会話では似た位置に登場しますが、役割は大きく異なります。
ちなみに=前の話題に関連する補足であるのに対し、ところで=別の話題への転換です。
| 表現 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| ちなみに | 関連情報を補足する | 新しい車を買いました。ちなみに、色は白です。 |
| ところで | 別の話題へ移る | 新しい車を買いました。ところで、明日の予定は決まりましたか。 |
国立国語研究所の「分類語彙表」でも、「ちなみに」は「補充」、「ところで」は「転換」と異なるグループに分類されています。
「前の話とつながっているならちなみに、別の話へ移るならところで」と覚えておくと、迷いにくくなります。
ちなみにの意味を踏まえた敬語・ビジネスでの正しい使い方

「ちなみにを上司や取引先に使っていいの?」と気になる方も多いでしょう。ちなみに自体は敬語ではありませんが、失礼な意味を持つ言葉でもありません。ただし、改まった場面では、内容や相手との関係に応じて表現を選ぶ必要があります。
ちなみにとは敬語?目上の人に使える?
「ちなみに」は敬語そのものではありません。
だからといって、目上の人に使っただけで失礼になるわけではありません。後ろの文章を丁寧な表現にすれば、会話の中では自然に使えることがあります。
例えば、
- ちなみに、明日のご予定はいかがでしょうか。
- ちなみに、こちらの資料もご覧いただけます。
- ちなみに申し上げますと、昨年度も同様の事例がございました。
といった使い方ができます。
ただし、重要な報告や正式な文書では、ちなみにが少し会話的に感じられることがあります。その場合は「なお」「補足いたしますと」「併せてお伝えいたしますと」などを選ぶと文章が整います。
ちなみにをビジネスメールで言い換える場合
ビジネスメールでも、ちなみにを使うこと自体が直ちに間違いになるわけではありません。しかし、取引先への正式な連絡や重要事項の通知では、より目的が明確な表現に言い換えると伝わりやすくなります。
| 伝えたい内容 | 適した表現 |
|---|---|
| 関連情報を追加したい | なお |
| 説明を足したい | 補足いたしますと |
| 別の情報も伝えたい | 併せてお伝えいたしますと |
| 確認事項を伝えたい | 念のため申し添えますと |
例えば、
「ちなみに、当日は駐車場をご利用いただけません。」
でも意味は通じますが、駐車場が使えないことが重要事項なら、
「なお、当日は駐車場をご利用いただけません。」
としたほうが、案内として自然です。
情報の重要度が高いほど、ちなみに以外の表現を検討すると覚えておくと使い分けやすくなります。
「ちなみになんですが」「ちなみにですが」は自然な表現?
会話では「ちなみになんですが」「ちなみにですが」という表現を耳にすることがあります。
「ちなみになんですが」は、話し言葉として広く使われる表現で、質問や補足へ柔らかく移るときに便利です。
例えば、
「ちなみになんですが、予約は必要ですか?」
という使い方です。
一方、「ちなみにですが」も意味は通じますが、文章によっては少し言葉が重なったように感じられることがあります。
- 日常会話:ちなみに、ちなみになんですが
- 丁寧な会話:ちなみにお伺いしたいのですが
- 正式な場面:補足いたしますと、なお
特にビジネスでは、「ちなみになんですが」を連発すると会話が軽く感じられることがあります。相手や場面に合わせて言い換えることが大切です。
ちなみにの意味を正しく理解するための注意点とまとめ

ちなみにという言葉は便利ですが、どんな話題にも使える万能な接続表現ではありません。本来の意味である「前の内容に関連する補足」を意識すると、不自然な使い方を避けられます。最後に、よくある間違いや表記のポイントを確認しておきましょう。
ちなみにを使いすぎると文章がわかりにくくなる
ちなみにを使う際に注意したいのが、使いすぎです。
例えば、
「この店は10時に開店します。ちなみに駅から徒歩5分です。ちなみに駐車場もあります。ちなみに定休日は水曜日です。」
のように続けると、どの情報が本題なのか分かりにくくなります。
情報が複数ある場合は、文章そのものを組み替えたほうが読みやすくなります。
「この店は10時に開店し、駅から徒歩5分の場所にあります。駐車場も利用できます。なお、定休日は水曜日です。」
このように、情報の役割に応じて接続表現を変えると自然です。
- 前の話とまったく関係がない内容へ移るとき
- 必ず伝えなければならない重要事項を示すとき
- 同じ文章の中で何度も繰り返しているとき
ちなみにの漢字は「因みに」?ひらがなとの使い分け
ちなみにを漢字で書くと「因みに」です。ただ、現在の一般的な文章では「ちなみに」とひらがなで書くことが多くなっています。
「因みに」と書いても誤りではありませんが、漢字表記にすると少し硬く見えたり、読者によっては一瞬読み方を考えたりする可能性があります。
そのため、通常の会話文や説明文、メールなどでは「ちなみに」と書けば問題ありません。
一方、小説や古い文章などでは「因みに」という表記を目にすることがあります。意味に違いがあるわけではなく、基本的には表記上の違いです。
ちなみにの意味・使い方・類語のまとめ
ちなみにとは、前に述べた事柄に関連する情報を補足として付け加えるときに使う言葉です。
「ついでに言うと」「関連する話として付け加えると」と考えると、意味を理解しやすくなります。
- ちなみにの意味は、前の内容に関連する情報を補足すること
- 漢字では「因みに」と書く
- 前の話と無関係な話題への転換には基本的に向かない
- 「なお」は必要な追加情報、「ところで」は話題転換に使いやすい
- ちなみに自体は敬語ではないが、丁寧な文章と組み合わせることはできる
- 正式な場面では「なお」「補足いたしますと」などへの言い換えが自然な場合がある
- 英語では文脈によってincidentallyやby the wayなどが使われる
「前の話に関連した、ちょっとした追加情報」と覚えておくことが、ちなみにを正しく使う一番わかりやすいポイントです。
何気なく使っている言葉ですが、「なお」「ところで」「また」などとの違いまで意識すると、会話でも文章でも意味をより正確に伝えられるようになります。
【参考文献】
- 国立国語研究所「分類語彙表」
- 国立国語研究所 日本語研究・日本語教育文献データベース「補足の接続詞とコミュニケーション上のストラテジー―ただ、ただし、もっとも、ちなみに―」
- 国立国語研究所「ことば研究館」

