
「付ける」「着ける」「点ける」という言葉。読みは同じ〈つける〉ですが、その意味、語源、類義語・対義語、そして使い方・例文を比べると、微妙に異なるニュアンスがあります。日本語の表現力を高めるためにも、「付ける/着ける/点ける」の違いを正しく理解しておくことが大切です。今回の記事では、付けると着けると点けるの違い・意味・語源・類義語・対義語・言い換え・使い方・例文まで丁寧に深掘りします。
この記事を読んでわかること
- 「付ける」「着ける」「点ける」の基本的な意味と語源
- それぞれの類義語・対義語・英語表現の違い
- 日常・ビジネスでの正しい使い分けと例文
- 間違いやすい表現・言い換え可能なフレーズのポイント
目次
付けると着けると点けるの違い

結論:付けると着けると点けるの意味の違い
まず結論から言うと、以下のように捉えると分かりやすいです。
漢字 | 意味の核心 |
---|---|
付ける | 何かを他のものにくっつける、ある状態を加える・設ける |
着ける | 身体に身にまとう・装着する、ある場所に到着・定着させる |
点ける | あかり・火・スイッチをともす、作動させる |
言い換えれば、「付ける」は“付着・追加・関係づける”ニュアンス、「着ける」は“身につける・着用・位置づける”ニュアンス、「点ける」は“灯す・起動させる”ニュアンスを若干含みます。
付けると着けると点けるの使い分けの違い
では、実際にどのような場面で使い分けるべきでしょうか。以下にポイントを整理します。
- 対象が“ものをくっつける”・“貼り付ける”・“何かを設ける・加える”場合 → 「付ける」。
- 対象が“身につける”(衣服・装飾品など)・“ある位置に持っていく/到着させる”場合 → 「着ける」。
- 対象が“灯りをともす”・“火・電気・スイッチをオンにする”場合 → 「点ける」。
たとえば、「シールをノートに付ける」「時計を腕に着ける」「部屋の電気を点ける」といった使い方が典型です。
付けると着けると点けるの英語表現の違い
英語に訳すと、それぞれ以下のような言い方がよく使われます。ただし、状況によって微妙に異なるので「直訳」ではなく「意味に応じた訳語選び」が大事です。
- 付ける → attach, add, assign, apply
- 着ける → wear, put on, strap on, attach to one’s body
- 点ける → turn on, switch on, light, ignite
たとえば、「ファイルをメールに付ける」は “attach a file to an email”、「イヤリングを着ける」は “put on earrings”、「明かりを点ける」は “turn on the light” という具合です。
付けるの意味

付けるとは何か?
「付ける」とは、他のものに“くっつける・添える・加える”といった意味を持つ動詞です。辞書的には「あるものが他のものから離れない状態にする」「表面に密着させる」「他に与える」などが挙げられています。
付けるはどんな時に使用する?
具体的には以下のような場面で使われます。
- シールやラベルを何かに貼る: 「ポスターを壁に付ける」
- 属性・条件を加える: 「条件を付ける」「値段を付ける」
- 身に備える・習得するという比喩の意味で: 「知識を身に付ける」「味方に付ける」
“加える・付着させる”というイメージが根底にあります。
付けるの語源は?
「付ける」の漢字「付」は「くっつく」「くっつける」という意味を持ち、古くから「物を他のものに添え付ける」「関係を持たせる」という動作を表してきました。辞書では「あるものが他のものから離れない状態にする」ことが主要義とされています。
付けるの類義語と対義語は?
類義語・対義語を挙げて整理します。
類義語 | 意味の近い表現 |
---|---|
添える(そえる) | 何かを他に付け加える |
与える(あたえる) | 性質・状態を加える |
付着させる | くっつけるイメージ |
対義語 | 反対の動作・意味 |
---|---|
外す(はずす) | 付いていたものを取る |
離す(はなす) | くっついていたものを離す |
着けるの意味

着けるとは何か?
「着ける」は、身体や装備品に「身につける・装着する」、ある場所に「到着させる・定める」などの意味を含む動詞です。辞書等では「身にまとう」「ある場所にいさせる」「乗り物などを定位置に着ける」などが挙げられます。
着けるはどんな時に使用する?
以下のような場面が典型です。
- アクセサリー・衣服を身につける: 「ネックレスを着ける」「時計を着ける」
- 乗り物をある場所に停める・寄せる: 「船を岸に着ける」「車を道に着ける」
- 人を席に着かせる・配置させる: 「彼を席に着けてから話を始めた」
「身につける、配置する」というニュアンスが共通しています。
着けるの語源は?
「着」は「着る」「到着」「備わる」といった意味を持つ漢字で、古くから衣服・装飾を身につける動作、また位置に到達・服するという意味で用いられてきました。乗り物や身体に「着ける」対象は、すでにある状態に「身を添わせる」または「位置を定める」というイメージがあります。
着けるの類義語と対義語は?
類義語 | 意味の近い表現 |
---|---|
装着する(そうちゃくする) | 身に身につける・備える |
備える(そなえる) | あらかじめ整えて着けるという意味も含む |
対義語 | 反対の動作・意味 |
---|---|
外す(はずす) | 装着を解く |
撤する(てっする) | 配置・着けたものをなくす |
点けるの意味

点けるとは何か?
「点ける」は、灯り・火・電気・スイッチなどを“ともす・起動させる”という意味の動詞です。辞書では「燃えるようにする。また、あかりをともす」などが記されています。
点けるはどんな時に使用する?
典型的な使いどころは次の通りです。
- 照明やランプを入れる: 「電灯を点ける」「部屋の明かりを点ける」
- 火をつける・着火する: 「キャンプのたき火に火を点ける」
- 機械・装置のスイッチを入れて動かす: 「コンピュータの電源を点ける」
「灯をともす・動作を開始させる」というイメージが軸です。
点けるの語源は?
「点」は「点火」「点灯」など“灯をともす”“火をつける”という意味で使われてきた漢字です。したがって、「点ける」は「明かり・火・スイッチを入れる」という意味合いで用いられてきたと言えます。
点けるの類義語と対義語は?
類義語 | 意味の近い表現 |
---|---|
灯す(ともす) | 明かりをともす |
点灯する(てんとうする) | ライトなどを点ける |
対義語 | 反対の動作・意味 |
---|---|
消す(けす) | 明かり・火を消す/スイッチを切る |
止める(とめる) | 機械・装置の動作を止める |
付けるの正しい使い方・例文

付けるの例文
- 1. ポスターを壁に付ける。
- 2. メールにファイルを付ける。
- 3. 条件を付けることで契約内容を明確にする。
- 4. 新しい知識を身に付けることで自信がつく。
- 5. 味方をこちらに付けるには説得力が必要だ。
付けるの言い換え可能なフレーズ
- 添える → 「ラベルを添える」
- 加える → 「料金を加える」
- くっつける → 「シールをくっつける」
付けるの正しい使い方のポイント
「何かを他にくっつける・関係づける」場面で「付ける」を使うのがポイントです。装着・身にまとう場合や灯り・スイッチの場面では、「着ける」「点ける」を検討します。混同しやすい「身につける」などの表現では、「知識を身に付ける/衣服を身に着ける」のような使い分けが辞書報告でも指摘されています。
付けるの間違いやすい表現
- × 時計を「付ける」 → 正しくは「着ける」
- × 明かりを「付ける」 → 正しくは「点ける」
- × アクセサリーを「付ける」 → ケースによっては「着ける」が適切
着けるの正しい使い方・例文

着けるの例文
- 1. ネックレスを首に着ける。
- 2. 時計を腕に着ける。
- 3. 船を岸に着ける。
- 4. 名札を胸に着けて挨拶する。
- 5. 彼を席に着けてから説明を始めた。
着けるの言い換え可能なフレーズ
- 装着する → 「ヘルメットを装着する」
- 身にまとう → 「マフラーをまとう」
- 配置する → 「机を窓際に配置する」
着けるの正しい使い方のポイント
「身につける」「装着する」「ある場所に到着・定着させる」という意味を意識すれば、適切に「着ける」が使えます。衣服・装飾品・乗り物の位置など「着」という字のニュアンスが生きる場面です。文脈によって「付ける」でも「着ける」でも許容される例もありますが、意味の違いを知っておけば迷いが減ります。
着けるの間違いやすい表現
- × ラベルを「着ける」 → 正しくは「付ける」
- × 明かりを「着ける」 → 正しくは「点ける」
- × 知識を「着ける」 → 通常は「付ける」(ただし比喩的に「着ける」もあり)
点けるの正しい使い方・例文

点けるの例文
- 1. 部屋の電気を点ける。
- 2. キャンドルに火を点ける。
- 3. テレビのスイッチを点ける。
- 4. 夜になったら街灯を点けて通りを照らす。
- 5. パソコンを点ける前にケーブルを確認する。
点けるの言い換え可能なフレーズ
- 灯す(ともす) → 「明かりを灯す」
- 点灯する → 「ライトを点灯する」
- 起動する → 「機械を起動する」
点けるの正しい使い方のポイント
「明かり・火をともす」「スイッチ・装置を起動させる」という場面で「点ける」が適切です。「付ける」「着ける」と混同してしまうと意味がずれてしまうので、対象が“灯る・作動する”という動作かどうかを意識しましょう。
点けるの間違いやすい表現
- × 鐘を「点ける」 → 明かり・火の動作ではないので不適切
- × 時計を「点ける」 → 時計は起動ではなく装着なので「着ける」または「付ける」
- × メールにファイルを「点ける」 → 添付なら「付ける」
まとめ:付けると着けると点けるの違いと意味・使い方の例文
本記事では、「付ける」「着ける」「点ける」の違い・意味・語源・類義語・対義語・英語表現・正しい使い方・例文を詳しくご紹介しました。
改めて簡潔に振り返ると
- 「付ける」は、物を他のものにくっつける・関係を持たせるニュアンス。
- 「着ける」は、身体に装着する・ある場所に定めるニュアンス。
- 「点ける」は、明かり・火・スイッチをともす・作動させるニュアンス。
これらを場面に応じて使い分けることで、文章・話し言葉ともにより自然で伝わりやすい表現が可能になります。迷ったときは、対象が「貼りつけるなら付ける」「身につけるなら着ける」「灯す・起動なら点ける」というルールを思い出しましょう。
少しのニュアンスの差ですが、その違いを理解しておくことが、漢字表記・言葉遣いの精度を高めるポイントです。ぜひ日常の文章・会話で意識してみてください。