
ビジネスメールや報告書を書いていると、「併せて」と「合わせて」のどちらを使うべきか迷って、ひとまず「あわせて」とひらがなで済ませてしまうことは少なくありません。「併せてと合わせての違いや意味」「併せてと合わせての使い分け」「あわせての正しい漢字表記」「ビジネスで使う併せてと合わせて」「公用文での併せてと合わせてのルール」などを調べて、このページにたどり着いた方も多いはずです。
同じ「あわせて」という読みでも、「併せて」と「合わせて」には、ニュアンスやコアイメージに明確な差があります。使い分けを知らないままにしておくと、「丁寧なつもりで書いたのに、よく見ると日本語として不自然だった」「公的な文書としては不適切な表記だった」といった残念な結果になりかねません。
この記事では、併せてと合わせての意味の違い、ビジネスでの使い方、使い分けのコツを、語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現・具体的な例文まで含めて丁寧に整理します。
併せてと合わせての違いを一度きちんと押さえておけば、メールや資料で迷う時間が減り、読み手に「日本語に強い人だな」という信頼感も伝えやすくなります。最後まで読み進めながら、ご自身の文章にどのように取り入れるかを具体的にイメージしてみてください。
- 併せてと合わせての意味・ニュアンスの違いと基本的な使い分けが分かる
- 併せてと合わせてそれぞれの語源・類義語・対義語・英語表現を整理できる
- ビジネスメールや公的文書で迷わないための実践的な使い方のポイントを身につけられる
- 豊富な例文と言い換えフレーズを通じて、すぐに使える表現のストックを増やせる
併せてと合わせての違い
まずは、併せてと合わせての「意味の軸」と「よく使う場面」を比較しながら、全体像をつかんでいきます。ここでイメージを固めておくと、後半の詳しい解説や例文がすっと頭に入ってきます。
結論:併せてと合わせての意味の違い
結論から先にまとめると、併せてと合わせての違いは次のようになります。
| 表記 | 主な意味・イメージ | よくある使い方 |
|---|---|---|
| 併せて | 二つ以上のことを同時に・並行して行う/別の内容を付け足すイメージ | 「ご報告申し上げると共に、併せてお礼申し上げます」「資料の送付と併せてご確認をお願いします」 |
| 合わせて | ひとまとめにする・合計する・基準にそろえるイメージ | 「参加者は合わせて30名です」「予定を相手に合わせて調整する」「声を合わせて歌う」 |
どちらも「複数のものを一緒にする」という広い意味では共通していますが、併せては「並行」「追加」、合わせては「合計」「調整」といったコアイメージが違います。
特にビジネス文章では、「〜と併せてご確認ください」は「同時に・一緒に」、「合計は合わせて〜円です」は「総計して」というように、文脈に合う方を意識して選ぶことが大切です。
併せてと合わせての使い分けの違い
実際の文章で迷うのは、「この文脈ではどちらを書くのが自然か」という使い分けの部分です。ここでは、私がビジネス文書や公用文に関わるときに意識しているルールを整理してみます。
① 並行・追加なら「併せて」
何かを「同時に行う」「Aに加えてBもする」と言いたいときは、基本的に併せてを選びます。
- ご多忙とは存じますが、併せてアンケートへのご回答もお願いいたします。
- 売上報告と併せて、次期の見通しについても共有いたします。
このように、二つ以上の事柄が「横並びで存在している」「同時に進んでいる」イメージなら併せてが自然です。
② 合計・調整なら「合わせて」
「一緒にして合計する」「基準にそろえる」「何かに合わせる」といったニュアンスのときは、合わせてを使います。
- 今月の参加者は合わせて120名でした。
- 会議時間は、先方のご予定に合わせて調整いたします。
ここでは「合計」「調和」「一致」といった、合という漢字が持つイメージが前面に出ています。
③ 迷ったときは「ひらがな」も選択肢
公用文の基準では、接続詞的な「あわせて」(〜と同時に、加えて)の用法はひらがなで書く、という考え方もあります。そのため、「どちらの漢字もなんとなくしっくりこない」というときは、あえて「あわせて」とひらがなで統一するのも一つの手です。
公用文での細かい漢字・ひらがなの基準は、各省庁や自治体、企業ごとに運用が異なる場合があります。正式な文書・規程を作成する場合は、所属組織の「表記ルール」や「公用文の手引き」を確認しておきましょう。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
併せてと合わせての英語表現の違い
英語に訳すときも、併せてと合わせてでニュアンスが変わります。ここでは代表的な対応をまとめておきます。
併せての英語表現
- along with 〜(〜と併せて/〜と共に)
- in conjunction with 〜(〜と併せて/〜と同時に)
- as well as 〜(〜と併せて/〜も)
- together with 〜(〜と併せて/〜と一緒に)
例えば、
- 資料を併せてお送りいたします。
→ I will send the documents along with this email. - 結果のご報告と併せて、今後の方針をご説明します。
→ I will explain our future policy in conjunction with the results.
合わせての英語表現
- in total(合計で)
- altogether(全部で)
- in all(合わせて〜、全部で〜)
- match / adjust / align with 〜(〜に合わせて)
例えば、
- 参加者は合わせて30名です。
→ There are 30 people in total. - スケジュールはお客様のご都合に合わせて調整します。
→ We will adjust the schedule to match your availability.
併せての意味
ここからは、併せてという言葉だけにフォーカスして、意味・語源・類義語などを掘り下げていきます。フォーマルな場面でよく使われる表現なので、丁寧に押さえておきましょう。
併せてとは?意味や定義
併せて(あわせて)は、もともと動詞「併せる」から派生した形で、現在は主に次の二つの用法で使われます。
- 副詞的な「併せて」:同時に/並行して、という意味
- 接続的な「併せて」:それに加えて/あわせて、という意味
例えば、
- 資料の作成と併せて、チェックもお願いいたします。(=作成とチェックを同時並行で行うイメージ)
- ご報告申し上げるとともに、併せてお礼を申し上げます。(=報告に加えて、お礼も述べるイメージ)
どちらの用法においても、「Aと一緒にBも行う」「AにBを付け足す」という感覚が共通しています。
併せてはどんな時に使用する?
私が「併せて」を選ぶのは、特に次のような場面です。
① ビジネスメールの丁寧な依頼・案内
ビジネスメールでは、「〜と併せて〜をお願いします」という形がよく使われます。単に「あとこれもやってください」と言うよりも、クッションが入り、丁寧で柔らかい印象になります。
- お手数をおかけしますが、併せて資料の内容ご確認をお願いいたします。
- 当日の持ち物と併せて、事前アンケートへのご回答もお願いできますと幸いです。
② 挨拶文・お礼文などのフォーマルな文章
季節の挨拶や式典のあいさつ文でも、「〜を申し上げ、併せて〜」という定型表現が非常に多く見られます。
- 皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、併せて日頃のご支援に深く感謝申し上げます。
- 心よりお祝いを申し上げるとともに、併せて今後のご活躍をお祈り申し上げます。
このように、併せては「品のあるフォーマルな響き」を持っているのが特徴です。
併せての語源は?
語源・漢字の成り立ちから見ると、併せてのイメージがよりクリアになります。
漢字「併」の成り立ち
「併」という漢字は、人を表す「亻(にんべん)」と、「ならぶ」「一緒に」の意味を持つ部分から成り立っています。もともとは、「人が並んで立つ」「複数のものが横に並ぶ」イメージの漢字です。
そこから、「二つ以上のものを一緒にする」「同時に行う」という意味が生まれ、併用・併設・併記といった熟語でも、同じようなニュアンスが表れています。
「併せる」から「併せて」へ
動詞「併せる」は、「一緒にする」「並行して行う」という意味を持ちます。これが連用形の「あわせ」になり、「〜するのに併せて」「〜と併せて」といった形で副詞的・接続詞的に使われるようになったのが、現在の「併せて」です。
併せての類義語と対義語は?
併せてと近いニュアンスを持つ類義語や、反対のイメージを持つ対義語を整理しておくと、言い換えの幅が広がります。
併せての主な類義語
- 同時に
- 同時並行で
- それとともに
- 加えて
- あわせて(ひらがな表記)
- 一緒に
併せての対義語的な表現
- 別々に
- 個別に
- 単独で
併せての類義語・対義語の考え方は、「複数のものを同時進行で扱うのか/分けて扱うのか」という視点で整理すると分かりやすくなります。似たタイプの漢字の違いについては、例えば「ほか」「他(ほか)」「外(ほか)」の違いでも詳しく解説しています。
合わせての意味
次に、合わせてという表記に絞って見ていきます。こちらは、日常会話からビジネスまで幅広く使われる表現です。
合わせてとは何か?
合わせて(あわせて)は、動詞「合わせる」から生まれた形で、主に次のような意味合いを持ちます。
- 複数のものをひとつにまとめる(合計・集計のイメージ)
- ある基準にそろえる・一致させる
- 複数のものを同時に行う・一緒にする(この場合は併せてと意味が近い)
例としては、
- 売上は今月と来月を合わせて100万円です。(=合計)
- 先方のご都合に合わせてスケジュールを調整します。(=基準にそろえる)
- 声を合わせて歌う。(=同時に・調和して)
ここでは、「一つにまとめる」「ぴったりとそろえる」という合のニュアンスが中心になっています。
合わせてを使うシチュエーションは?
合わせてという表記を選ぶのは、次のような場面が多いです。
① 数量・金額などを合計するとき
- 3日間合わせて1,000名以上の方にご来場いただきました。
- 参加費と懇親会費を合わせて、お一人あたり5,000円となります。
このような場合、併せてを使うよりも合わせての方が自然です。
② 予定や条件を相手にそろえるとき
- お客様のご都合に合わせて納期を調整いたします。
- 会議の内容は、参加メンバーの専門に合わせて構成しましょう。
ここでは、「基準となるものにそろえる」という合わせての特徴がよく表れています。
③ 声や動作を揃えるとき
- 全員で声を合わせて挨拶しましょう。
- 歩調を合わせて歩く。
こうした文脈では、「併せて」にすると違和感が出てしまいます。
合わせての言葉の由来は?
「合」という漢字は、「ふたをぴったり合わせる」形から来ていると言われ、そこから「合致する」「一致する」「集まる」といった意味が発展しました。
「合わせる」は、「それぞれ別のものをぴったりくっつける」「全体として一つにする」というイメージの動詞で、合わせてはその連用形として、副詞的に使われるようになった形です。
つまり、合わせてという表記には、「バラバラのものを一つにまとめ、基準に沿うように調整する」というニュアンスが含まれていると考えると、使い方の感覚がつかみやすくなります。
合わせての類語・同義語や対義語
合わせての類語・同義語
- 全部で
- 合計で
- トータルで
- ひとまとめにして
- 一致させて/そろえて
合わせての対義語的な表現
- 分けて
- 個別に
- 別々に扱って
似たように「意味は近いがニュアンスが違う」漢字表現としては、例えば「同様」「同等」「同一」の違いもよく質問を受けるテーマです。漢字の成り立ちやコアイメージを押さえておくと、細かい使い分けに強くなります。
併せての正しい使い方を詳しく
ここからは、併せての使い方に特化して、例文や言い換え表現、注意点をまとめていきます。ビジネスメールのテンプレートとして、そのまま活用していただける内容です。
併せての例文5選
まずは、実際によく使う併せての例文を5つ挙げます。
- 本件につきましてご確認をお願い申し上げるとともに、併せてご意見を頂戴できれば幸いです。
- 当日の資料は事前にメールでお送りするとともに、併せて印刷物も準備いたします。
- 日頃のご愛顧に感謝申し上げるとともに、併せて今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
- システム障害のお詫びと、併せて再発防止策についてご報告いたします。
- アンケートへのご回答と併せて、ご質問があれば自由記述欄にご記入ください。
併せての言い換え可能なフレーズ
併せてばかり繰り返すと堅く単調な文章になってしまうため、文脈に応じて言い換え表現も活用していきましょう。
- 同時に
- 同時並行で
- それとともに
- さらに
- 加えて
- ならびに
例えば、「ご確認をお願い申し上げるとともに、併せてご意見を〜」という文は、「ご確認をお願い申し上げるとともに、あわせてご意見を〜」とひらがなにしたり、「同時にご意見を〜」「加えてご意見を〜」といった形に書き換えることもできます。
併せての正しい使い方のポイント
併せてを使うときのポイントを、実務の感覚に沿って3つに整理します。
① 「並行」「追加」のどちらかがはっきりしている文で使う
併せては、「同時に」「加えて」という二つの使い方がありますが、どちらにしても「AとBが並列」になっている文で使うと自然です。「AにBをくっつけて一つにする」というイメージが強い場合は、合わせての方がふさわしいことが多いです。
② ビジネスではややフォーマル寄りの印象
併せては、カジュアルな会話というより、ビジネスメールや挨拶文でよく使われる表現です。丁寧さを出したい場面ではプラスに働きますが、社内チャットなどラフな文脈では、無理に使わず「同時に」「ついでに」など別の言い方を選んだ方が自然なこともあります。
③ 公用文ルールとのバランスをとる
先ほど触れたように、公用文作成の基準によっては、接続詞的な用法は「あわせて」とひらがなで書くことを推奨している場合があります。業務で正式な文書を作成する方は、組織のルールを確認した上で、「併せて/合わせて/あわせて」を使い分けると安心です。
省庁や自治体、企業によっては、独自の「表記ルール」や「文書基準」が定められており、併せて・合わせて・あわせての使い分けが明示されているケースもあります。重要な契約書や規程類など、法的な影響があり得る文書では、自己判断だけで決めず、組織内の専門部署や法律の専門家に相談することを強くおすすめします。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
併せての間違いやすい表現
併せてを使うときによく見かける「惜しい」使い方も、いくつか挙げておきます。
- 合計の意味で「参加者は併せて30名です」と書いてしまう(→ここは合わせてが自然)
- カジュアルな社内チャットで「併せてよろしくです!」と多用し、やや堅苦しくなってしまう
- 「併せて」と「合わせて」を文書内で混在させ、読み手が違いを推測しづらくなる
特に、「合計」の意味で併せてを使うのは避けた方が無難です。数量・金額がテーマの文脈では、基本的に合わせてを使う、と覚えておきましょう。
合わせてを正しく使うために
続いて、合わせてをより自然に使いこなすためのコツを、例文や言い換えと一緒に見ていきます。こちらは日常的にも頻繁に登場する表現です。
合わせての例文5選
合わせてを使った代表的な例文を5つ紹介します。
- 参加費と懇親会費を合わせて、お一人あたり5,000円となります。
- 3日間合わせて1,200名以上の方にご来場いただきました。
- スケジュールは、クライアントのご都合に合わせて調整いたします。
- 社員一同、力を合わせてプロジェクトの成功に向けて取り組んでまいります。
- 声を合わせて、新しいサービスの門出を祝いましょう。
合わせてを言い換えてみると
同じ文章で合わせてばかり使うと単調になるので、場面に応じて次のような言い換えも使えます。
合計の意味での言い換え
- 全部で
- 合計で
- トータルで
- 総計〜
例)「参加者は合わせて30名です」→「参加者は全部で30名です」
調整・一致の意味での言い換え
- 〜にそろえて
- 〜に応じて
- 〜にあわせて(ひらがな)
例)「お客様のご都合に合わせて日程を調整します」→「お客様のご都合にそろえて日程を調整します」
合わせてを正しく使う方法
合わせての使い方で意識しておきたいのは、「何を何に合わせているのか」「何と何を合計しているのか」を明確にすることです。
① 主語・対象をはっきりさせる
例えば、「当日の内容は参加者に合わせて調整します」という文では、「誰が」「何を」「誰に合わせて」いるのかが分かりやすいため、読み手もイメージしやすくなります。
② 合計なのか調整なのかを意識する
同じ合わせてでも、「合計」であれば数値と一緒に、「調整」であれば基準となる相手や条件と一緒に書くと、意味がぶれません。
- 合計:参加者は3日間合わせて1,000名です。
- 調整:先方のご希望に合わせてご提案内容を見直します。
合わせての間違った使い方
最後に、合わせてでありがちな誤用・紛らわしい例も挙げておきます。
- フォーマルな挨拶文で、「〜を申し上げ、合わせて〜」と書いてしまい、ややくだけた印象になる(→ここは併せての方が改まった印象)
- 「資料の送付と合わせてご確認ください」と書き、「合計する」のか「同時に行う」のかが曖昧になってしまう(→「資料の送付と併せてご確認ください」がすっきり)
- 公的なルールがある文書なのに、ひらがなの「あわせて」と混在させてしまう
文書全体を通して、「合計・調整=合わせて」「並行・追加=併せて」「接続詞的で公用文寄り=あわせて(ひらがな)」という、大まかなルールで揃えておくと、読み手にも親切です。
似たような「表記ゆれ」や「どちらが正しいか迷う組み合わせ」としては、例えば「通常どうり」と「通常どおり」の違いも代表的なテーマです。あわせてチェックしておくと、日本語全体の精度がぐっと上がります。
まとめ:併せてと合わせての違いと意味・使い方の例文
最後に、併せてと合わせてのポイントを振り返っておきます。
- 併せては「同時に・並行して」「それに加えて」というニュアンスで、ビジネスメールや挨拶文などフォーマルな文脈でよく使われる。
- 合わせては「ひとまとめにする・合計する・基準にそろえる」というニュアンスで、数量の合計やスケジュール調整など、幅広い場面で用いられる。
- 迷ったときは、「合計・調整なら合わせて/並行・追加なら併せて」というシンプルな軸で考えると選びやすい。
- 公用文や組織のルールによっては、接続詞的な用法を「あわせて」とひらがな書きにするケースもあるため、正式な文書では基準を確認しておくと安心。
併せてと合わせては、読みが同じだけに「なんとなく」で選びがちな表現ですが、意味の軸を理解して使い分けられるようになると、文章全体の印象が一段引き締まります。今日からのメールや資料作成で、ぜひ意識して使い分けてみてください。

