
こんにちは、「違いの教科書」を運営しているMikiです。「根を上げる 音を上げる 違い 意味」と検索している方は、「どっちが正しいのか」「根を上げるは誤用なのか」「音を上げるの正しい意味や使い方、類義語や言い換え、英語表現までまとめて知りたい」と感じているのではないでしょうか。
実際、「音を上げるの意味があいまいなまま会話で何となく使っている」「ビジネスメールで根を上げると書いてしまっても大丈夫なのか不安」「音を上げるの類義語や対義語を文章のバリエーションとして押さえておきたい」といった相談をよく受けます。また、「音を上げるの英語表現はgive upで良いのか」「敬語やフォーマルな場面での音を上げるの使い方が知りたい」と感じている方も多いはずです。
そこでこの記事では、日本語表現の違いを専門に解説している立場から、「根を上げる」と「音を上げる」の違いと意味を丁寧に整理し、語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現・使い方・例文まで一気にまとめます。読み終えるころには、「どの場面では音を上げるを選ぶべきか」「根を上げると書くとどう見られるのか」を自信を持って判断できるようになるはずです。
- 「根を上げる」と「音を上げる」の違いと正しい意味が整理できる
- 「音を上げる」の語源・類義語・対義語・言い換え表現が分かる
- ビジネスや日常会話での「音を上げる」の適切な使い方と例文を身につけられる
- 英語で「音を上げる」に近いニュアンスを伝える表現を押さえられる
「根を上げる」と「音を上げる」の違い
まずは一番気になる「根を上げる」と「音を上げる」の違いから整理します。結論から言うと、慣用句として辞書に載っている正しい表現は「音を上げる」であり、「根を上げる」はそこから生まれた誤表記・誤用として扱われることが多い表現です。
結論:「根を上げる」は間違った使い方
現代の国語辞典や日本語解説サイトでは、慣用句として正しく載っているのは「音を上げる」のほうで、「根を上げる」は多くの場合、誤った表記・誤変換として位置づけられています。
意味自体はどちらも「苦しさに耐えられず弱音を吐く」「もう無理だと降参する」と理解されることが多いのですが、言葉としての“正規の形”かどうかという点で差がつきます。一般的な日本語の基準に従うなら、
- 公的な文章・ビジネス文書・試験の答案など:音を上げるが推奨される
- SNSや会話などカジュアルな場面:根を上げると書いても意味は通じるが、誤用と見なす人もいる
というイメージで捉えておくと安全です。
- 辞書に載っている慣用句として正しいのは「音を上げる」
- 「根を上げる」は意味は通じるものの、誤用と判断される可能性が高い
- ビジネスや試験など評価される場面では「音を上げる」に統一した方が無難
「音を上げる」が正しい使い方
音を上げるは、「つらさ・苦しさ・厳しさに耐えられず、弱音を吐いてしまう」「もう無理だと降参する」という意味の慣用句です。
例えば、次のような文脈で使われます。
- この程度の残業で音を上げるようでは、繁忙期は乗り切れないよ。
- 新人の頃は、厳しい指導に何度も音を上げそうになった。
- 炎天下での現場作業に、さすがのベテランも音を上げた。
こうした例からも分かるように、「音を上げる」は単に「疲れた」というより、プレッシャーや負荷が限界に達して“もうギブアップだ”と感じている状態に使う表現です。
- 意味:苦しさに耐えられず、弱音を吐く・降参する
- 使う場面:仕事・勉強・トレーニング・人間関係など、プレッシャーが強い状況
- ニュアンス:「もう限界」「これ以上は無理」という気持ちがにじむ
「音を上げる」の英語表現の違い
「音を上げる」に完全に対応する一語の英単語はありませんが、文脈に応じていくつか使い分けるのが自然です。代表的なのは、次のような表現です。
- give up:あきらめる、降参する
- quit:途中でやめる、投げ出す
- throw in the towel:タオルを投げる(ボクシング由来のイディオム)=音を上げる
- complain / make complaints:弱音を吐く、泣き言を言う
例えば、次のような言い回しが考えられます。
- そんなに簡単に音を上げていたら、この業界では生き残れない。
→ You won't survive in this industry if you give up so easily. - 重労働すぎて音を上げるところだった。
→ The work was so hard that I almost gave up. - 彼はどんなにきつくても音を上げようとしない。
→ He never complains, no matter how hard it gets.
ビジネス英語では、give upよりも、少し柔らかいstruggle(苦戦する)などに言い換えた方が場面によっては無難なこともあります。
「音を上げる」の意味
ここからは、「音を上げる」という表現そのものに焦点を当てて、意味・定義・使う場面・語源・類義語と対義語まで詳しく整理していきます。
「音を上げる」の意味や定義
「音を上げる」は、一般に次のように定義されます。
- 苦しさやつらさに耐えられず、弱音を吐くこと
- 「もう無理だ」と降参すること
- 悲鳴を上げる・悲痛な声を上げるようなイメージ
ここでいう「音(ね)」は、単なる物理的な「音」ではなく、感情のこもった声・泣き声・うめき声といったニュアンスを含みます。苦しさのあまり思わず漏れてしまう声が“上がる”イメージから、
「もうダメだ……」
「勘弁してください……」
といった弱音を象徴する言葉として定着しました。
「音を上げる」はどんな時に使用する?
実際のコミュニケーションでは、「音を上げる」は次のような場面でよく使われます。
- 終わりの見えない過酷な仕事・残業・ノルマに苦しんでいる場面
- 受験勉強・資格勉強・部活の練習など、長期戦になりがちな努力の場面
- 人間関係・ストレスに押しつぶされそうになっている場面
- 「ブラックだ」と感じるほど厳しい環境に追い込まれている場面
一方で、「ちょっと疲れた」「少ししんどい」程度ではあまり使いません。限界に近づいている、あるいは限界を超えてしまった感覚があるときに選ばれる言葉です。
- 「音を上げそう」「音を上げかけている」といった形で、限界に近いけれど踏みとどまっているニュアンスも表現できる
- 否定形の「音を上げない」は、「簡単にはあきらめない」「粘り強い」というポジティブな評価になる
「音を上げる」の語源は?
「音を上げる」の語源にはいくつかの説がありますが、共通しているのは、苦しさに耐えかねて発する声・悲鳴などを「音(ね)」と呼んだという点です。
説1:拷問や尋問の場面に由来する説
中世の拷問・尋問の場面で、苦痛に耐えきれなくなった人が「うっ」「ああ」と声を上げる様子を、「音を上げた」と表現したのが始まりとする説があります。弱音や泣き言を「音」と捉え、それが現代まで比喩的に残ったという考え方です。
説2:囲碁・将棋の世界から広がったとする説
別の説では、囲碁や将棋で形勢が不利になったときに、駒や石を打つ「パチン」という音が「降参の合図」として受け取られ、それを「音を上げる」と呼んだことから広まったと説明されることもあります。
いずれの説に共通するイメージ
諸説あるものの、いずれも
- 追い詰められた状況で
- 我慢の限界を超えた結果
- 感情のこもった声が思わず漏れてしまう
というイメージで一致しています。語源を知っておくと、「単なる弱音」ではなく、「限界まで頑張った末の叫び」というニュアンスがよりクリアになります。
「音を上げる」の類義語と対義語は?
語彙力を広げるために、「音を上げる」の類義語・対義語も押さえておきましょう。
類義語(似た意味の表現)
- 弱音を吐く
- 泣きを入れる
- ギブアップする
- 匙を投げる
- 参ったと言う
- 挫折する
- 断念する
- 投げ出す
対義語(反対のイメージを持つ表現)
- 弱音を吐かない
- 泣き言を言わない
- 音を上げない
- 気丈に振る舞う
- 粘り強くやり抜く
- 踏ん張り続ける
文章を書くときは、同じ「音を上げる」を繰り返しすぎないように、これらの類義語と組み合わせて表現すると、読みやすさがぐっと増します。
「根を上げる」の意味
次に、多くの人がつい使ってしまいがちな「根を上げる」について、どのような表現なのか、なぜ間違えて使われやすいのかを整理します。
「根を上げる」とは何か?
「根を上げる」は、もともと辞書に載る正式な慣用句ではなく、「音を上げる」の誤字・誤表記・誤変換として広がった表現です。
とはいえ、インターネット上の文章やSNSでは、「根を上げる」がかなりの頻度で使われているのも事実です。検索してみると、
- この仕事はきつすぎて、みんな途中で根を上げる。
- プロジェクトの重圧に根を上げそうになった。
といった形で、「音を上げる」とほぼ同じ意味で使われている例が多数見つかります。そのため、
- 話し言葉としては意味が通じてしまう
- しかし国語的な正しさを重視する場では誤用と見なされる
という、少しややこしい位置づけになっているわけです。
「根を上げる」を間違えて使用する理由
「根を上げる」が生まれた背景として、次のような要因が考えられます。
- 「ねをあげる」と入力すると、変換候補に「根を上げる」が出てきてしまう
- 植物の「根」が持ち上がるイメージから、「もう踏ん張れない」という意味を連想しやすい
- 「音」と「根」がどちらも日常的な漢字で、どちらが正しいか直感で判断しづらい
特に、変換候補の影響は大きいと思います。一度「根を上げる」で変換してしまうと、そのまま使い続けてしまい、いつの間にかそれが「正解」だと思い込んでしまうケースが多い印象です。
「違いの教科書」でも、「陽の目を見る」と「日の目を見る」の違いのように、漢字だけが入れ替わった誤用パターンをよく取り上げますが、「根を上げる/音を上げる」も同じタイプの“よくある間違い”だと考えておくと分かりやすいでしょう。
「音を上げる」の正しい使い方を詳しく
ここからは、実際の文章や会話の中で「音を上げる」をどう使えばよいのか、例文や言い換え、注意点を交えながら具体的に見ていきます。
「音を上げる」の例文5選
まずは、ニュアンスがつかみやすいように代表的な例文を5つ挙げます。
- このプロジェクトは想像以上に大変で、途中で音を上げたメンバーも少なくなかった。
- 新入社員の中には、最初の繁忙期で音を上げて辞めてしまう人もいる。
- どれだけきつい練習でも、彼女は決して音を上げようとしない。
- 徹夜続きでさすがに音を上げそうになったが、なんとか締め切りに間に合わせた。
- この程度で音を上げるようでは、海外赴任は務まらない。
ビジネスシーンでも、上司が部下に対して「この程度で音を上げていては困る」と使うことがありますが、言い方によってはプレッシャーが強すぎる印象になるため、パワーバランスや相手との関係性には十分配慮する必要があります。
「音を上げる」の言い換え可能なフレーズ
同じ文章の中で何度も「音を上げる」を使うとくどくなってしまうので、状況に応じて次のようなフレーズに言い換えると自然です。
- 弱音を吐く/泣き言を言う
- ギブアップする/降参する
- 匙を投げる
- 途中で投げ出す
- 気持ちが折れる/心が折れる
例えば、「新人の頃は何度も音を上げそうになった」を、「新人の頃は何度も心が折れそうになった」に変えると、少し感情寄りの表現になります。文章のトーンや読み手に合わせて、「どこまで直接的に言うか」をコントロールするのがポイントです。
漢字が似ていて迷いやすい表現については、「記す」と「印す」の違いのように、別の記事でも詳しく整理しています。類義語や言い換えをセットで覚えると、日本語の表現力がぐっと広がります。
「音を上げる」の正しい使い方のポイント
「音を上げる」を誤解なく使うために、特に押さえておきたいポイントをまとめます。
- ネガティブな状況専用の表現:ポジティブな場面には基本的に使わない
- 限界に近いニュアンス:「ちょっと疲れた」程度では使わない
- 相手に使うときは注意:「すぐ音を上げる」と言うと、相手を責める響きが強くなる
- ビジネスでは慎重に:目上の人・取引先に対しては避けた方が無難なケースも多い
例えば、部下に対して
- △ 君はすぐ音を上げるね。
- ○ 君が負担に感じているようだから、やり方を一緒に見直そうか。
というように、評価・レッテル貼りとして使うよりも、状況の共有や改善のための対話に焦点を当てた表現にした方が、職場のコミュニケーションとしては健全です。
「音を上げる」の間違いやすい表現
最後に、「音を上げる」に関するよくある間違いも確認しておきましょう。
- × 根を上げる → ○ 音を上げる
- × 直後にポジティブな評価を並べる
(例:「すぐ音を上げるけど、根性がある」など矛盾した言い方) - × 相手をからかうような調子で使う
(例:みんなの前で「また音を上げたの?」と笑う、など)
他の言葉との違いを整理したいときは、例えば「意味」と「意義」の違いのように、意味・語源・類義語・対義語・英語表現までまとめて押さえると、誤用をかなり防げます。
「根を上げる/音を上げる」の場合も、
- 「音」は声・泣き言・弱音を表す
- 「根」は本来この慣用句とは関係がない
というセットで覚えておくと、変換ミスをかなり減らせます。
まとめ:「根を上げる」と「音を上げる」の違いと意味
最後に、本記事の要点をまとめます。
- 正しい慣用句は「音を上げる」であり、「根を上げる」は本来存在しない表現とされることが多い
- 「音を上げる」は、苦しさに耐えられず弱音を吐く・降参するという意味で、限界に達した状態を表す
- 語源には諸説あるが、「苦痛に耐えかねて発する声(音)」がイメージの中心にある
- 類義語は「弱音を吐く」「ギブアップする」「匙を投げる」など、対義語は「音を上げない」「気丈に振る舞う」など
- 「根を上げる」は変換ミスや連想から広まった表現で、意味は通じるがビジネスや公的な場では避けた方が安全
- 英語では、give up, throw in the towel, complain などを文脈に応じて使い分けると自然
言葉の世界では、「多くの人が使っているから正しい」とは限りません。特に、ビジネスメールや公的な文章、試験の答案では、小さな誤用が「細部への注意力」の評価に影響することもあります。
この記事で紹介した内容は、あくまで一般的な日本語の用例や辞書的な解説を踏まえた目安であり、最終的な解釈や運用は、各種辞書・公的機関・専門家の見解によって異なる場合があります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
とはいえ、「違いの教科書」では、これからも「根を上げる/音を上げる」のように、日々の会話や文章で迷いやすい日本語の違いを、できるだけ分かりやすく整理していきます。気になった表現があれば、ほかの記事もあわせて参考にしてみてください。

