「繕う」と「取り繕う」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「繕う」と「取り繕う」の違いや意味・使い方・例文まとめ

「繕う」と「取り繕う」は、どちらも“整える・直す”イメージがある一方で、文章に入れた瞬間にニュアンスが変わりやすい言葉です。特に、読み方や意味が分かっていても、使い方や例文となると「この場面は繕う?それとも取り繕う?」「体裁を整えるのはどっち?」「その場しのぎ・言い訳っぽく聞こえるのは?」と迷いがちです。

さらに、語源、類義語や対義語、言い換え、英語表現まで視野を広げると、同じ“整える”でも「修繕」「補修」「取り繕い」「ごまかす」「取り繕って笑う」など関連表現が多く、情報が散らばって理解が曖昧になりやすいのもこのテーマの特徴です。

この記事では、「繕う」と「取り繕う」の違いと意味を軸に、使い分け、語源、類義語・対義語、言い換え、英語での言い方、そしてすぐ使える例文まで一気に整理します。読み終えるころには、日常会話でもビジネス文書でも、迷わず自然に書ける状態を目指せます。

  1. 繕うと取り繕うの意味の違いが一文で説明できる
  2. 場面別に繕うと取り繕うを選ぶ判断基準が分かる
  3. 語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現まで整理できる
  4. 例文で「そのまま使える」表現の型が身につく

繕うと取り繕うの違い

まずは全体像として、両者の意味の芯と、文章で誤解が起きやすいポイントを整理します。ここを先に押さえると、後半の語源・類義語・例文が一気に理解しやすくなります。

結論:繕うと取り繕うの意味の違い

結論から言うと、繕うは「破れ・欠け・乱れなどを直して整える」ことを広く指し、取り繕うは「とりあえず体裁を整えて、その場をしのぐ(外見をよく見せる/不都合をごまかす)」ニュアンスが前に出やすい言葉です。

ただし注意点として、辞書的には取り繕うが“繕うの派生(接頭辞が付いた形)”として説明されることもあり、意味の領域が重なる場面もあります。実務上は、「修理・修復としてのニュアンスを強く出したいなら繕う」「見え方・印象・言い逃れ・その場しのぎを強く出したいなら取り繕う」と覚えるとブレにくいです。

中心の意味 ニュアンス 典型例
繕う 直す/整える 修復・手入れ・整頓が中心 服を繕う、破れを繕う、言葉を繕う
取り繕う 体裁を整える 応急・表面・ごまかしが出やすい その場を取り繕う、体裁を取り繕う、言い訳で取り繕う

繕うと取り繕うの使い分けの違い

使い分けは、次の2軸で考えると簡単です。

  • 対象が「物理の破れ・壊れ」か:物なら繕うが基本(衣服、障子、ふすま、書類の体裁など)
  • 目的が「印象をよく見せる/場を丸める」か:印象操作やその場しのぎなら取り繕うが自然

たとえば「ほつれたボタンを直す」は、結果として見た目も良くなりますが、やっていることは“修復”なので「ボタンを繕う」がしっくり来ます。一方で「急に来客が来たので玄関だけ片づけた」は、家全体ではなく“見えるところだけ”整えているなら、「玄関だけ取り繕った」の方が意図が伝わります。

また人の態度・発言に対しては、取り繕うの方が「本音ではない」「表面だけ」感が出ます。「平気なふりで笑顔を取り繕った」「言い訳で取り繕った」は、まさにこの型です。

繕うと取り繕うの英語表現の違い

英語にすると、違いがさらに見えやすくなります。繕うは「repair / mend / patch up」など“直す”寄り、取り繕うは「spruce up / tidy up」など“見た目を整える”寄り、さらに「cover up / gloss over / make excuses」など“ごまかす”寄りに分岐します。

  • 繕う(修復):mend / repair / patch up / fix
  • 取り繕う(体裁を整える):spruce up / tidy up / make something presentable
  • 取り繕う(ごまかす・隠す):cover up / gloss over / make excuses / fudge

日本語の「取り繕う」は、文脈によって英語の行き先が変わります。だからこそ、文章では「何を、何のために取り繕うのか(体裁?言い訳?場?)」を一緒に書くと誤解が減ります。

繕うとは?

ここからは、まず「繕う」単体を丁寧に掘り下げます。意味が広い言葉なので、定義→使う場面→語源→類義語/対義語の順に整理すると、自然に使えるようになります。

繕うの意味や定義

繕うは、破れ・欠け・乱れなどを直して、元の状態(または望ましい状態)に近づけることを表します。代表例は衣服や障子などの「修繕」ですが、広く「整える」方向にも使えます。

ポイントは、“欠けているものを補って整える”というコアです。だから「服を繕う」「破れを繕う」だけでなく、「言葉を繕う(言い回しを整えて角を立てない)」のように、抽象対象にも拡張されます。

繕うはどんな時に使用する?

繕うが自然に決まるのは、次のような場面です。

  • 物理的な修復:衣服のほつれ、障子やふすまの破れ、道具の簡単な直し
  • 体裁・形式を整える:書類の誤記を直して体裁を繕う、文章を整えて提出できる形にする
  • 言動を整える:言葉を繕って丁寧に言う、場の空気が荒れないように表現を選ぶ

ただし「言動を繕う」は、文脈によって「表面的に取りつくろう(本音を隠す)」にも寄るため、意図が“修復・調整”なのか、“見せかけ”なのかで、繕う/取り繕うを選ぶのがコツです。

繕うの語源は?

繕うは、「乱れ・欠損を補って整える」方向の意味合いで古くから用いられてきた動詞です。字面としても、糸偏が示すように、もともとは布・衣類などを直すイメージと相性が良い漢字です。

ここで覚え方として私は、「繕う=欠けたところに“手を入れて整える”」と捉えています。服や障子の修理だけでなく、文章や言葉にも“欠け(乱れ)”があると見立てると、抽象用法がスッと入ります。

繕うの類義語と対義語は?

繕うの近い言葉は、焦点が少しずつ違います。目的に合う語を選べると文章が締まります。

  • 類義語:修繕、補修、修理、修復、手入れ、整える、補う
  • 対義語:壊す、破る、損なう、崩す(抽象文脈では:暴く、露呈させる などが反対方向)

  • 「整える」は“初期状態が壊れていない”場合にも使えるが、「繕う」は“何かが欠けた/乱れた”前提が出やすい
  • 「修繕・補修・修理」はより事務的/技術的、「繕う」は日常語として柔らかい

取り繕うとは?

次に「取り繕う」です。繕うと似て見えますが、文章に入れると“その場しのぎ”“体裁”“ごまかし”が立ち上がりやすい言葉なので、意味の幅と注意点を具体例で押さえます。

取り繕うの意味を詳しく

取り繕うは、大きく分けると次の3方向で使われます。

  • 見た目・体裁を整える:身なり、部屋、書類、場の雰囲気などを“見える範囲で”整える
  • 不都合を隠してごまかす:失敗や矛盾を言い訳で隠す、都合よく説明して丸める
  • その場しのぎの修繕:本格修理ではなく応急処置として直す

私の感覚では、取り繕うは「本質的に直したというより、“直ったように見せた”」が強い言葉です。だから同じ“整える”でも、やや評価が厳しめ(皮肉・含み)に寄ることがあります。

取り繕うを使うシチュエーションは?

取り繕うが自然にハマるのは、次のようなシチュエーションです。

  • 急な来客・面談:玄関だけ取り繕う、会議室だけ取り繕う
  • 失敗の後始末:言い訳で取り繕う、つじつまを取り繕う
  • 感情の隠し方:平静を取り繕う、笑顔を取り繕う

なお、会計や報告の文脈で「粉飾(ふんしょく)=見た目を取り繕う」のように使われることがありますが、これは費用や法務にも関わり得る領域です。制度や判断が絡む話は、必ず公式情報や専門家に確認してください。

「ごまかし」「欺く」といった方向のニュアンス整理を深めたい場合は、内部リンクとして「「嘘」と「欺瞞」の違いとは?意味・使い方・例文」もあわせて読むと、言葉の選び方がクリアになります。

取り繕うの言葉の由来は?

取り繕うは、繕うに接頭的に「取り」が付いた形です。運用上は、この「取り」が付くことで、“とりあえず整える”“急場をしのぐ”の空気が強まりやすいと捉えると分かりやすいです。

そのため、同じ修復でも「丁寧に直した」より「当座をしのいだ」が出やすい。ここが繕うとの体感的な差になります。

取り繕うの類語・同義語や対義語

取り繕うの近い表現は、どの側面(体裁/ごまかし/応急)を言いたいかで選びます。

  • 類語・同義語(体裁):体裁を整える、見栄えを整える、取り整える、装う、身なりを整える
  • 類語・同義語(ごまかし):ごまかす、言い逃れする、取り繕いの言い訳をする、取りつくろう、糊塗する(硬い)
  • 対義語:さらけ出す、正直に話す、率直に言う、暴露する、露呈する

  • 「糊塗する」は硬い語で、ビジネス文書や評論調になりやすい
  • 「装う」は“見せ方”に寄るが、必ずしも「ごまかし」を含まない場合もある

繕うの正しい使い方を詳しく

ここからは「繕う」を“書ける・話せる”状態にするパートです。例文で型をつかみ、言い換えと注意点で誤用を防ぎます。

繕うの例文5選

  • 外出前に、ほつれた袖口をさっと繕った
  • 障子の破れを繕っておいたので、来客があっても安心だ
  • 提出前に体裁を繕い、誤字脱字もまとめて直した
  • 角が立たないように言葉を繕って伝えた
  • 関係が悪くならないように、場の空気を繕いながら話を進めた

この5つで押さえたいのは、繕うが「修復」だけでなく「整える」にも広がる一方、“意図が調整・修復”である限り、取り繕うほど“その場しのぎ感”が前面に出ないという点です。

繕うの言い換え可能なフレーズ

文章の硬さや場面に合わせて、次の言い換えが使えます。

  • 物の修復:修繕する、補修する、修理する、直す、つくろう
  • 体裁・形式:整える、手直しする、仕上げる
  • 言葉・言い回し:言い換える、言葉を選ぶ、表現を整える

ビジネス文書で丁寧さを上げたいなら「修繕」「補修」「手直し」などが相性が良く、会話なら「直す」「つくろう」が軽くて自然です。

繕うの正しい使い方のポイント

繕うを迷わず使うコツは、「何が欠けていて、何を整えたのか」を一緒に書くことです。

  • 対象を具体化する:服、障子、ふすま、書類、言葉、場の空気
  • 欠け(乱れ)を示す:破れ、ほつれ、誤字、角が立つ表現、気まずさ
  • 目的を添える:提出用に、来客前に、相手を傷つけないために

この3点がそろうと、「繕う=整える」という抽象用法でも、読み手が迷いません。

繕うの間違いやすい表現

繕うは便利な一方で、次の誤解が起きやすいです。

  • 「取り繕う」と混同:印象操作や言い訳が主なら、繕うより取り繕うが自然
  • “完全に修理した”と受け取られる:応急処置なら「取り繕う」や「とりあえず直す」の方が意図が正確
  • 対象が大規模なのに使う:建物や機械の本格修理なら「修理」「修繕」の方が誤解が少ない

迷ったら、「それは本質的に直ったのか、それとも“直ったように見える”だけか」を自問すると、繕う/取り繕うが決まります。

取り繕うを正しく使うために

取り繕うは便利ですが、含みが出やすい言葉でもあります。例文でニュアンスを把握し、言い換えで表現の角度を調整できるようにしておくと安心です。

取り繕うの例文5選

  • 急な来客で、玄関だけ取り繕って迎え入れた
  • 彼は平静を取り繕っていたが、声が少し震えていた
  • ミスを指摘され、言い訳で取り繕おうとして余計に苦しくなった
  • その場は取り繕えたが、後で説明を求められるのは目に見えている
  • 見た目だけ取り繕っても、根本の問題は残ったままだ

取り繕うの核は、“見える範囲だけ整える”“その場を丸める”です。だから、評価としては「とりあえずは助かった」もあれば、「誠実さに欠ける」と読まれることもあります。文脈に合わせて、言い換えで温度を調整するのが実務的です。

取り繕うを言い換えてみると

取り繕うは、言い換えでニュアンスを細かくコントロールできます。

  • 中立寄り(体裁):整える、見栄えを整える、最低限片づける、身なりを整える
  • 応急寄り(その場しのぎ):取りあえず直す、間に合わせる、応急処置する
  • 批判寄り(ごまかし):ごまかす、言い逃れする、取りつくろう、粉飾する(領域に注意)

文章が強くなりすぎると感じたら、「取り繕う」→「整える」へ寄せるだけで印象が柔らかくなります。逆に、批判の意図を明確にしたいなら「ごまかす」「言い逃れする」などへ置き換えると芯が立ちます。

取り繕うを正しく使う方法

取り繕うを正しく使うコツは、“何を取り繕ったのか”を具体化し、可能なら“どこまで(範囲)”も添えることです。

  • 対象を明確にする:体裁、場、言い訳、平静、笑顔、つじつま、玄関
  • 範囲を示す:〜だけ、見えるところだけ、とりあえず
  • 結果を添える:その場はしのげたが/根本は残った/後で露呈した

この3点があると、取り繕うの“その場しのぎ”が意図通り伝わり、読み手に余計な解釈をさせません。

取り繕うの間違った使い方

取り繕うは、使いどころを誤ると「皮肉」「不誠実」な印象だけが残ることがあります。

  • 丁寧な修理の意味で使う:本格的に直したなら「修繕した」「修理した」「繕った」の方が適切
  • 相手を立てる文章で多用する:相手の努力を褒めたい場面では「整えた」「準備した」に逃がすと角が立ちにくい
  • 法務・会計領域の言葉と安易に結ぶ:粉飾などは深刻なテーマになり得るため、正確な情報は公式情報を確認し、最終判断は専門家に相談する

  • 制度・費用・法務が絡む話は、一般論だけで判断しないこと
  • 正確な情報は公式サイトをご確認ください
  • 最終的な判断は専門家にご相談ください

まとめ:繕うと取り繕うの違いと意味・使い方の例文

最後に要点をまとめます。繕うは「欠けや乱れを直して整える」ことが中心で、物理的修復から言葉・体裁の調整まで幅広く使えます。一方で取り繕うは、「とりあえず体裁を整える」「その場をしのぐ」「不都合をごまかす」ニュアンスが出やすい言葉です。

迷ったときは、“本質的に直したのか/直ったように見せただけか”で判定するとズレません。物の修復・手入れなら繕う、見える範囲だけ整えたり、言い訳や平静で場を丸めたりするなら取り繕う。例文の型(玄関だけ/その場を/言い訳で/平静を)も一緒に覚えておくと、文章が自然に決まります。

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