
「ご存じ」と「ご存知」は、どちらも日常会話やビジネスメールでよく見かける敬語表現です。ただ、いざ文章にしようとすると「どっちが正しい?」「漢字で書くべき?ひらがな?」「失礼にならない?」と迷いやすいところ。
また、「ご存じですか」「ご存知でしょうか」のような言い回し、さらには「御存じ」「御存知」といった表記ゆれもあり、正しい意味や使い方を整理しておかないと、場面によっては違和感を与える可能性があります。
この記事では、ご存じとご存知の違いと意味を中心に、語源、類義語・対義語、言い換え、英語表現、使い方と例文まで、文章で迷わないための実務的なポイントをまとめます。
- ご存じとご存知の違いと結論(どちらが無難か)
- 場面別の使い分けと失礼にならない書き方
- 語源・類義語・対義語と言い換え表現
- 例文で身につく正しい使い方と英語表現
ご存じとご存知の違い
まずは「結局どう違うのか」を最短で整理します。意味の違い、使い分け、英語表現の観点で押さえると、文章作成が一気に楽になります。
結論:ご存じとご存知の意味の違い
結論から言うと、ご存じとご存知は、会話としての意味(=相手が知っていることを尊重して述べる)はほぼ同じです。
違いの中心は「意味」ではなく「表記の扱い(正統性・慣用・文章の硬さ)」にあります。
- ご存じ:本来の形(「存じる/存ずる」の活用に由来)と説明されやすく、文章では無難
- ご存知:「知」を当てた表記で、慣用として広く流通しているが、厳密さを気にする場では避けられることがある
つまり、迷ったら「ご存じ」に寄せるのが安全で、社内外の文章でも整った印象になります。一方で「ご存知」も現場ではよく使われており、相手や社風によっては違和感なく受け取られます。
ご存じとご存知の使い分けの違い
使い分けのコツは、「正しさ一本」ではなく、媒体(メール・書類・SNS)と相手(社外・役職者・顧客)で判断することです。
迷ったときの実務ルール
- 公的・かたい文書/社外向け:ご存じ(または「ご存じでしょうか」)が無難
- 社内メール/カジュアル寄りの文章:どちらも見かけるが、統一感を重視するならご存じ
- 表記を整えたい記事・資料:送り仮名の観点でご存じが選ばれやすい
- サイト全体の文体を整えるなら「表記ゆれ」を減らすのがコツです。同じ考え方は「既に」と「すでに」のような表記でも起きます(参考:「既に」と「すでに」の違いや意味・使い方・例文まとめ)。
ご存じとご存知の英語表現の違い
英語では、直訳というより「前置きの定型表現」に置き換えるのが自然です。代表例は次の通りです。
| 日本語 | 英語表現 | ニュアンス |
|---|---|---|
| ご存じのとおり | As you know, | 相手も知っている前提で話を進める |
| ご存じかもしれませんが | As you may know, | 相手が知っている可能性に配慮する |
| ご存じですか | Are you aware that ...? | 丁寧に確認する(状況によって硬め) |
日本語の「ご存じ/ご存知」は、英語では表記差に相当する区別がありません。違いを出すなら、断定の強さを「as you know / as you may know」で調整するのが実用的です。
ご存じとは?
ここからは「ご存じ」自体の意味や背景を深掘りします。語源や周辺表現まで押さえると、「なぜご存じが無難なのか」が腹落ちします。
ご存じの意味や定義
ご存じは、相手が「知っている」ことを尊重して述べる敬語表現です。「知っている」の尊敬語として扱われ、「ご存じです」「ご存じでしょうか」「ご存じのとおり」などの形で使われます。
ポイントは、相手の認識・知識を立てるという役割。単に情報を提示するのではなく、「あなたはご承知ですよね」という丁寧な前提を置く表現です。
ご存じはどんな時に使用する?
ご存じは、次のように「相手が知っているはず/知っている前提」の場面で活躍します。
- 共通認識を確認してから本題に入るとき(例:ご存じのとおり、制度が変更になります)
- 相手が知っている可能性が高い情報を丁寧に差し出すとき(例:ご存じかもしれませんが、〜)
- 相手の経験や立場を尊重しながら話を進めたいとき
- 「ご存じですか?」は便利な一方、場面によっては相手を試すように響くことがあります。角を立てたくないときは「ご存じでしたら恐縮ですが」「念のため共有します」など、クッションを添えると安全です。
ご存じの語源は?
ご存じは、尊敬の接頭語「ご(御)」+「存じ(存ずる/存じる)」の形から説明されます。つまり、もともとは「知っている」を敬意をもって言うための形が土台にあります。
この背景を知っておくと、「じ」をひらがなで書く表記(=ご存じ)が、文章として整いやすい理由も理解しやすくなります。
ご存じの類義語と対義語は?
ご存じは「相手が知っている」を丁寧に言う形なので、近い言い換えは複数あります。
類義語(近い意味)
- ご承知:理解・認識している(やや硬め)
- ご認識:認識している(ビジネス文書向き)
- ご周知:周りにも広く知られている(共有・告知の文脈)
- ご存じのとおりの言い換え:周知のとおり、一般に知られているとおり
対義語(反対の方向)
- ご存じない:相手が知らない
- 未周知:まだ周知されていない(文書語)
- 不案内:事情に詳しくない(やや改まった言い方)
ご存知とは?
次に「ご存知」を整理します。意味は近いのに、なぜ迷いが起きるのか。表記の事情と、実際の運用を分けて考えるのがポイントです。
ご存知の意味を詳しく
ご存知も、意味としては「相手が知っている(そのことを承知している)」を丁寧に述べる表現です。会話での伝わり方は、ご存じと大きく変わりません。
ただし、表記としては「知」を当てているため、文章の方針(新聞表記、社内表記、編集方針など)によっては「ご存じ」に統一されることがあります。
ご存知を使うシチュエーションは?
ご存知は、実務の現場では次のような場所で目にすることが多い印象です。
- ビジネスメールでの定型句(例:ご存知のとおり)
- 社内資料・提案書など、漢字多めの文章
- SNSやWeb記事など、表記が人によって揺れやすい媒体
つまり「間違いとして扱われる」と断定できるほど単純ではなく、慣用として定着しているのが実態です。ただ、当サイトのように「違いを解説する」記事では、表記の根拠が説明しやすい「ご存じ」を軸にするほうが読み手の納得感は高くなります。
ご存知の言葉の由来は?
ご存知は、「ご存じ」の「じ」を漢字の「知」で表した形として説明されることが多い表記です。読みが同じなので、書き手の感覚として「知っている=知」と結びつきやすく、自然に広がったと考えるとイメージしやすいでしょう。
- 表記の選び方は「正誤」だけでなく、読みやすさ・硬さ・統一感の問題にもなります。この考え方は「出来ません」と「できません」のような表記にも共通します(参考:「出来ません」と「できません」の違いや意味・使い方・例文まとめ)。
ご存知の類語・同義語や対義語
ご存知は意味がご存じとほぼ同じなので、類語・対義語も基本的には同様です。違いが出るとすれば、文章の硬さや媒体との相性です。
類語・同義語
- ご承知
- ご認識
- ご理解
- ご周知
対義語
- ご存知ない(=ご存じない)
- 未承知(文語的)
- 不知(非常に硬い/限定的)
ご存じの正しい使い方を詳しく
ここからは「使える形」に落とし込みます。例文と言い換え、そして間違いやすい点を押さえると、ビジネスでも日常でも迷いが減ります。
ご存じの例文5選
- ご存じのとおり、来月から受付方法が変更になります
- この件はご存じかもしれませんが、念のため共有いたします
- 先生はこの分野をご存じなので、話が早くて助かります
- ご存じでしたら恐縮ですが、申請期限は今週末です
- ご存じの方も多いと思いますが、改めて背景を説明します
ご存じの言い換え可能なフレーズ
同じ語を連続で使うとくどくなるので、言い換えを持っておくと文章が整います。
- ご承知のとおり
- 周知のとおり
- 念のため共有します
- すでにご確認済みでしたら(クッションとして便利)
- ご理解いただいているとおり(相手との関係性によっては注意)
ご存じの正しい使い方のポイント
私が文章を整えるときに意識しているポイントは、次の3つです。
- 相手の知識を前提にしすぎない:「ご存じでしょうが」の断定感は、関係性によって刺さることがある
- クッション語を添える:「ご存じでしたら恐縮ですが」「念のため」などで角を取る
- 媒体の統一:同じ文書内で「ご存じ」と「ご存知」を混在させない
敬語表現は、丁寧にするほど安全というわけではありません。過剰敬語や文体のちぐはぐさが出ると、逆に読みにくくなります。言葉遣い全体を整えたいときは、敬語の過不足を整理した解説も参考になります(参考:「言葉遣い」と「言葉使い」の違いや意味・使い方・例文まとめ)。
ご存じの間違いやすい表現
- 自分のことに使う:「私はご存じです」は不自然(自分は「存じています」「承知しています」などが自然)
- 相手に強く迫る形:「ご存じですよね?」は圧になりやすい(「ご存じでしたら」などへ)
- 混在:同一文書で「ご存じ/ご存知/御存じ」が混ざると編集品質が落ちて見える
- 表記の正誤や社内ルールは、組織や媒体の方針で変わることがあります。迷いが残る場合は、国語辞典や公的機関・各社の表記ガイドなど公式情報をご確認ください。最終的な判断に不安があるときは、校閲者や文章の専門家に相談するのが確実です。
ご存知を正しく使うために
ご存知は広く使われていますが、文章では「整え方」が大事です。ここでは、ご存知を選ぶ場合に損をしない使い方を整理します。
ご存知の例文5選
- ご存知のとおり、当社の営業時間が変更になりました
- ご存知かもしれませんが、仕様が一部更新されています
- 部長はこの経緯をご存知ですので、説明は簡潔で構いません
- ご存知でしたら恐縮ですが、提出締切は本日中です
- ご存知の方もいらっしゃると思いますが、改めてご案内します
ご存知を言い換えてみると
ご存知を使うと漢字の密度が上がるので、文面が硬くなりすぎる場合は言い換えが有効です。
- ご存じ(表記を整える最短ルート)
- ご承知
- ご認識
- 念のため共有いたします
- すでにご案内のとおり
ご存知を正しく使う方法
ご存知を使うなら、次の点を守ると文章として破綻しにくくなります。
- 同一文書内で表記を統一:「ご存知」と決めたら、そのページは統一する
- クッション語を併用:「ご存知かもしれませんが」「念のため」で断定感を弱める
- 相手・媒体に合わせる:社外向けで厳密さを求められるなら「ご存じ」に寄せる
ご存知の間違った使い方
- 自分に使う:「私はご存知です」は不適切(自分は「存じています」など)
- 相手を詰める言い方:「ご存知のはずです」は強い(確認・共有の形に直す)
- 敬語の重ねすぎ:「ご存知でいらっしゃいますでしょうか」などは冗長になりやすい
まとめ:ご存じとご存知の違いと意味・使い方の例文
ご存じとご存知は、会話としての意味はほぼ同じで、違いの中心は表記の扱いにあります。迷ったら、文章として整いやすいご存じが無難です。一方で、ご存知も慣用として広く使われており、社風や媒体によっては自然に受け入れられます。
- 意味:どちらも「相手が知っている」を丁寧に述べる敬語表現
- 実務:統一感と相手への配慮を優先し、クッション語で角を取る
- 英語:As you know / As you may know で断定の強さを調整する
- 例文:本文の型をそのまま使えば、メールや資料で迷いにくい
なお、表記の正誤や推奨は、出版社・公的機関・組織の表記ルールによって扱いが異なる場合があります。より正確な情報は国語辞典や各種公式ガイドをご確認ください。

