
「犯す・侵す・冒すの違いと意味がいまいち整理できない」「“おかす”は全部同じに見えるけど、どれが正しいの?」――そんなモヤモヤ、かなり多いです。
実際、「罪を犯す」「権利を侵す」「危険を冒す」のように、同じ読みでも漢字が変わるとニュアンスも“対象”も変わります。さらに、使い分けを間違えると文章が不自然になったり、強すぎる印象になったりすることもあります。
この記事では、同訓異義としての「犯す」「侵す」「冒す」を、使い分け・例文・言い換え・英語表現までまとめて整理します。語源や類義語・対義語にも触れながら、「法律」「権利侵害」「プライバシー」「領域」「危険」「過ち」「尊厳」など、検索で一緒に出てきやすい関連語も含めて、実務でも会話でも迷わない形に落とし込みます。
- 「犯す」「侵す」「冒す」の意味の違いを一発で整理できる
- 文章で迷いがちな使い分けの基準とコツがわかる
- 英語表現・言い換え・類義語と対義語までまとめて把握できる
- 例文で“自然なコロケーション”が身につく
目次
犯すと侵すと冒すの違い
ここでは最初に全体像をつかむために、意味・使い分け・英語表現の3つの角度から「犯す」「侵す」「冒す」の違いを整理します。まず“違いの軸”を作ると、後半の語源や例文も一気に理解しやすくなります。
結論:犯すと侵すと冒すの意味の違い
結論から言うと、私の整理では次の通りです。
| 語 | 中心イメージ | 典型的な対象 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 犯す | 規範・ルールに背く(違反・罪・過ち) | 法律、規則、道徳、罪、過ち | 罪を犯す/法を犯す |
| 侵す | 領域・権利に入り込み損なう(侵害・侵入) | 権利、プライバシー、領土、領空、聖域 | 権利を侵す/国境を侵す |
| 冒す | 危険・困難を覚悟してあえて行う/神聖をけがす | 危険、困難、尊厳、風雨、名誉 | 危険を冒す/尊厳を冒す |
- 犯す=違反(ルール破り)
- 侵す=侵害(権利や領域をはみ出す)
- 冒す=覚悟して挑む(危険を引き受ける)
同じ「おかす」でも、“何を対象にしているか”で漢字が決まる、と考えるのが一番スムーズです。
犯すと侵すと冒すの使い分けの違い
使い分けは、文章の温度感(責める・中立・覚悟)にも影響します。私が実務でよく使う判定フローは次の3つです。
- 規範(法律・ルール・倫理)に反した行為なら「犯す」
- 他者の権利・領域に踏み込む/損なうなら「侵す」
- 危険や困難を承知でやるなら「冒す」
- 言い換えで確認すると迷いが減ります。たとえば「危険を(引き受ける/覚悟する)」なら「冒す」寄りです。
- 「権利を犯す」は不自然になりやすく、一般的には「権利を侵す」を選びます。
- 「過ちを侵す」は通常言いません。ここは「過ちを犯す」が定番です。
「侵害」という語の整理が必要な方は、関連知識として「侵害」と「損害」の違い|意味と使い方も合わせて読むと、侵すの感覚がさらに掴みやすくなります。
犯すと侵すと冒すの英語表現の違い
英語は日本語ほど“同訓異義”を漢字で分けませんが、意味ごとに動詞が分かれます。目安としては次の対応が実用的です。
| 日本語 | 代表的な英語 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|---|
| 罪・法律を犯す | commit (a crime), break (the law), violate (a rule) | 違反・犯罪 | commit a crime |
| 権利を侵す | infringe (rights), violate (rights), encroach on (territory) | 侵害・侵入 | infringe on privacy |
| 危険を冒す | take (a risk), risk, venture | 危険を引き受ける | take the risk |
注意点として、英語のviolateは「法律・規則」だけでなく「権利」も目的語に取れるため、日本語の「犯す/侵す」両方に寄ることがあります。日本語で書くときは、目的語で漢字を決めるのが安全です。
犯すの意味
ここからは各語を深掘りします。まずは「犯す」。最も強い非難や違反のニュアンスが乗りやすい言葉なので、使う場面と避けたい場面を押さえておくと文章の精度が上がります。
犯すとは?意味や定義
「犯す」は、法律・規則・道徳などの規範に背く行為をするという意味で使われます。代表的なのは「罪を犯す」「過ちを犯す」「法を犯す」です。
文章上は、“やってはいけないことをやった”という評価が強めに入りやすいのが特徴です。
- 「犯す」には、文脈によって性的暴力を示す用法が含まれることがあります。扱うテーマによっては読者の負担になり得るため、説明・引用の目的と必要性を明確にした上で慎重に用いるのが安全です。
- 法律や犯罪に関する内容は個別事情で結論が変わります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
犯すはどんな時に使用する?
私が「犯す」を選ぶのは、対象が規範(ルール)であるときです。たとえば、社内規程、契約上の禁止事項、法律、倫理など、“守るべきライン”が明確な場面で自然にハマります。
- コンプライアンス:規程を犯す、法を犯す
- 一般文脈:過ちを犯す、ミスを犯す
- 道徳・倫理:道義を犯す(やや硬い表現)
逆に、対象が「権利」「領域」なら「侵す」に寄せた方が誤解が少ないです(例:プライバシーを侵す)。
犯すの語源は?
「犯」は、もともと境界を越える・おきてを破るといったイメージに結びつく字で、そこから「規範に背く」方向へ意味が伸びていきます。現代では「犯罪」「共犯」などの語にも残っており、“違反・罪”の中心語として定着しています。
犯すの類義語と対義語は?
「犯す」は文脈で言い換えの幅が変わります。近い語を並べつつ、ニュアンスの差も押さえておきます。
- 類義語:破る(ルールを破る)、違反する、犯行に及ぶ、背く(規範に背く)
- 対義語:守る(規則を守る)、順守する、遵守する
「破る」は口語的で軽め、「違反する」は説明的で中立寄り、「犯す」は評価(悪さ)が最も乗りやすい、という使い分けが実務では便利です。
侵すの意味
次は「侵す」。文章が急に“法務っぽく”なるのは、この語が権利・領域・侵害の文脈と相性が良いからです。ニュースやビジネス文書で頻出なので、使い方を押さえる価値が高い言葉です。
侵すとは何か?
「侵す」は、他者の権利・領域に入り込み、損なう/侵害するという意味で使われます。代表例は「権利を侵す」「領空を侵す」「プライバシーを侵す」です。
ポイントは、対象が“境界や領分”として意識されていること。人の領域に踏み込むイメージが核になります。
侵すを使うシチュエーションは?
「侵す」は、次の3パターンで押さえると迷いません。
- 権利・自由・利益:権利を侵す/表現の自由を侵す/肖像権を侵す
- 領域・国境:国境を侵す/領海を侵す/領空を侵す
- 心身への浸食:病に侵される/霜に侵される(※受け身表現が多い)
「侵す」とセットで理解しやすいのが「侵害」です。行為(侵害)と結果(損害)を分けて理解したい方は、「侵害」と「損害」の違い|意味・使い方・例文まとめが補助線になります。
侵すの言葉の由来は?
「侵」の字は、少しずつ中へ入り込むニュアンスを持つとされ、そこから「侵入」「侵害」など“領域に入り込む”意味へ広がります。だからこそ、侵すは「ガツンと破る」というより、境界を越えて入っていく感じが文章に残ります。
侵すの類語・同義語や対義語
「侵す」を言い換える場合、硬さ・法的ニュアンスの強さを調整するのがコツです。
- 類語・同義語:侵害する、踏み込む、立ち入る、侵犯する(硬い)、逸脱する(文脈次第)
- 対義語:尊重する、守る、保護する、順守する
冒すの意味
最後は「冒す」。これは「危険を冒す」が圧倒的に有名ですが、実は「尊厳を冒す」「風雨を冒して」のように、覚悟と無謀の境目を扱う語でもあります。
冒すの意味を解説
「冒す」は、主に危険・困難を承知であえて行うという意味で使われます。代表例は「危険を冒す」です。
また、文脈によっては神聖・尊厳・名誉などをけがす方向にも寄ります(例:尊厳を冒す)。
- 「冒す」は“勇気”にも“無謀”にも寄り得ます。評価は文脈で決まるため、文章全体のトーン設計が大事です。
冒すはどんな時に使用する?
私が「冒す」を選ぶ場面は、リスクを引き受けて行動するときです。ビジネスでも「リスクを冒して投資する」のように書けますが、やや硬いので「リスクを取る」と使い分けると読みやすくなります。
- 危険を冒して救助に向かう
- 批判を冒して改革案を出す(=批判を受ける覚悟で)
- 風雨を冒して現地へ向かう
「冒涜」など“神聖をけがす”の系列に関心がある方は、関連語として「冒涜」と「侮辱」の違い|意味・語源・使い方も参考になります。
冒すの語源・由来は?
「冒」は、もともと覆う・かぶせるといった字義を持ち、そこから「向こう見ずに押し切る」「あえて進む」ニュアンスへ展開します。現代語では「冒険」「感冒」などにも残り、“危険や困難とセット”でイメージしやすい字です。
冒すの類義語と対義語は?
- 類義語:危険を引き受ける、覚悟する、挑む、賭けに出る(口語寄り)、リスクを取る(カタカナ寄り)
- 対義語:回避する、避ける、慎重に進める、リスクを下げる
犯すの正しい使い方を詳しく
ここからは「使い方」を例文ベースで固めます。まずは「犯す」。定番コロケーションを覚えるのが最短ルートです。
犯すの例文5選
- 彼は会社の規程を犯したとして処分を受けた
- 私は同じミスを犯さないよう手順を見直した
- 未成年が法律を犯すと、保護者や学校にも影響が及ぶことがある
- 感情的な発言で相手への配慮を欠くのは、マナーに反する過ちを犯すことになり得る
- 規則を犯す前に、まず例外規定がないか確認した
犯すの言い換え可能なフレーズ
文章の硬さを調整したいときは、次の言い換えが便利です。
- (軽め)ルールを破る
- (説明的)規程に違反する
- (硬め)規範に背く
犯すの正しい使い方のポイント
ポイントは、目的語をルール側に置くことです。
- 「罪」「法」「規則」「規範」「過ち」など、守るべき基準と相性が良い
- 中立に書きたいなら「違反する」、非難を強めたいなら「犯す」
犯すの間違いやすい表現
よくある混同は次の2つです。
- × 権利を犯す → ○ 権利を侵す(侵害の文脈)
- × 危険を犯す → ○ 危険を冒す(覚悟して引き受ける文脈)
侵すを正しく使うために
「侵す」は、権利・領域・侵害の文章で強い武器になります。一方で、対象がズレると一気に不自然になるので、“境界”を意識して使うのがコツです。
侵すの例文5選
- 他人のプライバシーを侵す行為は慎むべきだ
- その表現は著作権を侵す可能性があるため、利用条件を確認した
- 無断で敷地に入るのは、相手の領域を侵す行為になり得る
- 外国機が領空を侵したとして問題になった
- 病が体力を侵していく感覚があった
侵すを言い換えてみると
- (法務寄り)侵害する/侵犯する
- (日常寄り)踏み込む/立ち入る
- (説明寄り)損なう/害する(文脈に注意)
侵すを正しく使う方法
「侵す」は、“境界線”があるものに使うと安定します。
- 権利・自由・利益(著作権、プライバシー、表現の自由など)
- 領域・領土・領空・領海
- 心身をむしばむもの(受け身「侵される」が自然になりやすい)
侵すの間違った使い方
- × 過ちを侵す → ○ 過ちを犯す
- × 危険を侵す → ○ 危険を冒す
冒すの正しい使い方を解説
「冒す」は、文章に“覚悟”の温度を足せる言葉です。ただし、似た意味で「リスクを取る」があるので、硬さや読者層に合わせて選ぶのが実務的です。
冒すの例文5選
- 彼は批判を冒してでも改革を進めようとした
- 危険を冒して夜道を一人で歩く必要はない
- 風雨を冒して現地へ向かった
- 損失の可能性を冒す以上、事前にリスク評価をしておきたい
- 相手の尊厳を冒す表現になっていないか見直した
冒すを別の言葉で言い換えると
- (自然)危険を引き受ける/覚悟する
- (口語)賭けに出る
- (ビジネス)リスクを取る(読みやすい)
冒すを正しく使うポイント
「冒す」は、“危険・困難・批判”を受ける可能性を承知して行動するときに最も自然です。
- 「危険」「リスク」「批判」「困難」「風雨」などと相性が良い
- 硬い文章では「冒す」、読みやすさ優先なら「リスクを取る」も選択肢
冒すと誤使用しやすい表現
- × 危険を犯す → ○ 危険を冒す
- × 権利を冒す → ○ 権利を侵す
まとめ:犯すと侵すと冒すの違いと意味・使い方の例文
最後に、要点だけもう一度まとめます。
| 語 | 最短の判断基準 | 定番例 | 言い換え例 |
|---|---|---|---|
| 犯す | ルール・法律・倫理に反したか | 罪を犯す/過ちを犯す | 違反する/破る |
| 侵す | 権利・領域に踏み込んだか | 権利を侵す/国境を侵す | 侵害する/踏み込む |
| 冒す | 危険・批判を覚悟してやったか | 危険を冒す/批判を冒す | リスクを取る/覚悟する |
- 言葉の選び方は、文脈・媒体・読者層で最適解が変わります。本記事は一般的な目安としてご活用ください。
- 法律や権利に関する判断が必要な場合は、正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。
迷ったら「対象はルール?権利?危険?」の3択に戻る。これだけで「犯す」「侵す」「冒す」はほぼブレなく使い分けられます。
関連テーマとして、同じ“おかす”周辺の理解を深めるなら「蹂躙」と「侵害」の違い|意味・使い分けもおすすめです(強い侵害表現の整理に役立ちます)。

