「得てして」と「往々にして」の違い|意味・使い方・例文
「得てして」と「往々にして」の違い|意味・使い方・例文

「得てして」と「往々にして」は、どちらも文章やビジネス文書で見かける“少し硬め”の副詞です。けれど、いざ自分で使おうとすると、意味の違い、使い分け、頻度感、ニュアンスの強さ、そして「どっちが正しい?」という迷いが生まれがちではないでしょうか。

さらに、類語や言い換え(ややもすれば・とかく・しばしば・たびたびなど)との距離感、対義語(まれに・めったに〜ない等)との対比、英語表現(often / frequently / tend to など)に直すときの選び方も、理解しておくと文章の精度が上がります。

この記事では、「得てして」と「往々にして」の違いと意味を最短で整理したうえで、使い方、例文、誤用として話題になりやすい表現、そして語源や由来まで丁寧に解説します。読み終える頃には、会話でも文章でも“迷わず選べる”状態を目指せます。

  1. 得てしてと往々にしての意味の違い
  2. 場面別の自然な使い分けと注意点
  3. 語源・類義語・対義語・英語表現の整理
  4. そのまま使える例文10選と言い換えフレーズ

得てしてと往々にしての違い

最初に、2語の“ズレ”を一気に解消します。ここを押さえるだけで、文章の中でどちらを置くべきかが判断しやすくなります。ポイントは「頻度の強さ」と「傾向の言い方」です。

結論:得てしてと往々にしての意味の違い

結論から言うと、どちらも「そうなることが多い」を表しますが、中心にある発想が少し違います。

  • 得てしてある事態になりやすい“傾向”を述べる
  • 往々にして同種のことが“しばしば起こる”と述べる

私はこの違いを、次のように整理しています。

項目 得てして 往々にして
コアの意味 そうなる傾向がある しばしば起こる
頻度の印象 やや控えめ(決めつけを弱めやすい) やや強め(“よくある”に寄りやすい)
向いている文脈 性質・心理・構造的に“なりがち” 現象として“繰り返し起きる”
  • 迷ったら「傾向」を言いたいなら得てして、「よく起こる事実」を言いたいなら往々にして
  • どちらも断定を避ける副詞だが、往々にしてのほうが“頻繁さ”を感じさせやすい

得てしてと往々にしての使い分けの違い

使い分けは、次の2点で判断するとブレません。

1)“原因が内側にある”なら得てして

人の性格、組織の構造、状況の性質など、内側の要因から自然にそうなりがち、というときは得てしてがハマります。

例:得てして優秀な人ほど、細部にこだわりすぎて判断が遅れる(能力の“性質”に寄せている)

2)“現象が繰り返される”なら往々にして

同じ種類のミスが何度も出る、トラブルが再発するなど、外に見える出来事として繰り返されるなら往々にしてが自然です。

例:往々にして仕様変更の連絡漏れは、リリース直前に発覚する(“よく起きる現象”に寄せている)

  • 「往々にしてよくある」は意味が重なりやすく、硬い文章では避けるのが無難
  • 相手を責める文脈で使うと刺さりやすいので、ビジネスでは言い回しを少し柔らかくする配慮が安全

なお、言葉の“受け取られ方”を整えるという観点では、表現の選び方そのものが大事になります。言葉の使い分けに迷いやすい方は、当サイトの「言葉遣い」と「言葉使い」の違いもあわせて読むと、文章の整え方が掴みやすくなります。

得てしてと往々にしての英語表現の違い

英語に直すときは、「頻度」なのか「傾向」なのかで選び方が変わります。

  • 得てして:tend to / be likely to / often(文脈により)
  • 往々にして:often / frequently / in many cases

たとえば、「得てして」は“なりがち”のニュアンスを出したいなら tend to が相性抜群です。一方で、「往々にして」は“よく起きる”の頻度を出したいので often / frequently に寄せると自然です。

  • 日本語の「得てして」「往々にして」は、英語だと一語に固定しにくい。文の目的(傾向か頻度か)を先に決めるとブレない

得てしてとは?

ここからは、それぞれの言葉を単体で深掘りします。まずは「得てして」。硬めの文章で“説明を整える”ときに役立つ一方、誤用も起きやすい言葉なので、芯の意味を押さえておきましょう。

得てしての意味や定義

得てしては、「ある事態になる傾向があるさま」を表す副詞です。言い換えるなら、「ややもすると」「ともすると」「とかく」などが近い仲間になります。

辞書的な確認をしたい場合は、コトバンク(得てして)が手早いです。

得てしてはどんな時に使用する?

私が実務で便利だと感じるのは、「断定しないまま、傾向として説明したい」場面です。たとえば、次のようなシーンで活躍します。

  • 人の性格や心理の“なりやすさ”を述べる
  • 組織の構造上、起こりがちなパターンを説明する
  • 一般論として注意喚起したいが、決めつけは避けたい

「いつもそうだ」と言い切ると角が立つ。けれど「たまに」だと弱すぎる。そんなときに、得てしてはちょうど良い“距離感”を作ってくれます。

得てしての語源は?

得てしての成り立ちは、「得て(えて)」に由来する説明がよく知られています。「得て」は古い日本語で、ある方向になりがちな傾向を示す用法があり、そこから「得てして」という形で定着していきました。

語の由来を辞書で確認するなら、コトバンク(得て)も参考になります。なお、語源や初出は資料によって整理の仕方が異なることがあります。厳密な出典が必要な場面では、国語辞典や公的な語彙資料など公式性の高い情報をご確認ください。

得てしての類義語と対義語は?

得てしての類義語は、意味の近さでグラデーションがあります。

  • 近い類義語:ややもすれば、ともすると、とかく
  • 頻度寄りの類義語:しばしば、たびたび、往々にして
  • 文脈次第で使える言い換え:ありがちに、よく(※文体がくだける)

対義語としては一語で固定しにくいですが、意味として反対方向を作るなら「まれに」「めったに〜ない」「ほとんど〜ない」などが扱いやすいです。

  • 得てしては“傾向”なので、データや根拠が必要な説明では、決めつけず「一般的には」「あくまで目安として」などの緩衝表現を添えると安全

往々にしてとは?

続いて「往々にして」です。「よく起こる」を少し硬めに言いたいときに便利ですが、頻度の受け取り方は人によってズレることもあります。意味と使いどころを丁寧に揃えましょう。

往々にしての意味を詳しく

往々にしては、「物事がしばしばあるさま」を表す表現です。「往々(おうおう)」に「にして」が付いた形で、文章語として定着しています。

辞書での確認は、コトバンク(往々にして)や、語の核になるコトバンク(往々)が分かりやすいです。

往々にしてを使うシチュエーションは?

往々にしては、「同種のことが繰り返し起こる」という見立てを述べるときに強いです。特に、次のような場面で文章が締まります。

  • トラブルやミスの再発傾向を説明する
  • ありがちな落とし穴を注意喚起する
  • 複数ケースを見た上での“一般論”を述べる

ただし「しばしば」の頻度感は主観が入ります。相手が数字を求めている文脈では、回数や期間など具体化できる情報を添えるのが無難です。

往々にしての言葉の由来は?

往々にしての中心語である「往々」は、“しばしば”を意味する副詞として辞書に整理されています。漢字の見た目は難しく感じますが、文章語として「往々にして」「往々に」などの形で使われます。

由来を厳密に掘る場合は、語源研究や古典用例に踏み込む必要があります。一般的な文章作成の範囲では、辞書の定義に沿って使えば十分に実用的です。正確な情報が必要な場合は、国語辞典や公式性の高い資料をご確認ください。

往々にしての類語・同義語や対義語

往々にしては“頻度”側の言葉なので、類語も頻度表現が中心です。

  • 類語・同義語:しばしば、たびたび、よく、時に、間々ある、得てして(※傾向寄りに弱まることあり)
  • 対義語:まれに、めったに〜ない、ほとんど〜ない

  • 頻度表現は“数字”ではなく“印象”で伝わることが多い。重要な報告書や契約関連の文章では、頻度の曖昧さが誤解を生むため注意

得てしての正しい使い方を詳しく

ここからは実戦編です。得てしては「賢そうに見える」一方で、置く場所と文の組み方を間違えると、不自然になったり、別の慣用句と混ざって誤用が起きたりします。私が添削でよく直すポイントも交えて解説します。

得てしての例文5選

得てしては、文の中で“傾向”を柔らかく提示する役割を担います。

  • 得てして新しい施策は、現場の負荷を見落としたまま走り出しやすい
  • 得てして忙しい時期ほど、連絡の行き違いが起きる
  • 得てして経験が長い人ほど、前例に引っ張られて発想が固くなることがある
  • 得てして急いで結論を出すと、確認不足が残りやすい
  • 得てして“できる人”ほど、抱え込みすぎて限界が見えにくくなる

得てしての言い換え可能なフレーズ

文章のトーンや相手に合わせて、言い換えも用意しておくと便利です。

  • ややもすると
  • ともすると
  • とかく
  • ありがちに(やや口語寄り)
  • 傾向として(説明文向き)

得てしての正しい使い方のポイント

私のおすすめは、次の3つを意識することです。

  • 断定の代わりに“傾向”として置く(「いつも」よりも角が立ちにくい)
  • 主語が「人」「組織」「状況」など、性質を持つ対象のときに自然
  • 一文の中で“結論の直前”に置くと読みやすい(例:得てして〜になりやすい)

得てしての間違いやすい表現

混同が多いのが「得てして妙」です。これを「言い得て妙」と同じ意味で使ってしまうと、文章が崩れます。

「言い得て妙」は“表現が的確でうまい”という褒め言葉ですが、得てしては“傾向”の副詞なので、同じノリで使うと意味が噛み合いません。実務では、誤解を避けるために「言い得て妙」を選ぶほうが安全な場面が多いです。

  • 慣用句の誤用は、相手が気づくと文章全体の信頼感が落ちやすい。迷ったら国語辞典や公式性の高い辞書で確認するのが確実

往々にしてを正しく使うために

往々にしては、説明が“締まる”便利な表現です。一方で、頻度のニュアンスが強いぶん、受け手によっては「決めつけ」に聞こえやすいこともあります。言い方の角を取る工夫をセットで覚えましょう。

往々にしての例文5選

  • 往々にして要件が曖昧なまま進めると、後工程で手戻りが増える
  • 往々にして引き継ぎ資料が薄いと、同じ質問が繰り返される
  • 往々にして短納期の案件ほど、確認工程が圧縮されやすい
  • 往々にしてリリース直前に、依存関係の問題が表面化する
  • 往々にして“当たり前”と思っている前提ほど、共有されていない

往々にしてを言い換えてみると

文章の硬さや強さを調整したいときは、次の言い換えが使えます。

  • しばしば
  • たびたび
  • よく
  • 時に
  • ケースによっては(分析文向き)

往々にしてを正しく使う方法

往々にしてを上手に使うコツは、「言い切りの強さをコントロールする」ことです。

  • 「往々にして+起こる」は強めに響くので、「往々にして〜しがちだ」「往々にして〜になりやすい」と少し傾向寄りにすると角が取れる
  • 相手を責める文章ではなく、“現象の説明”として書くと反発が起きにくい
  • 重要な判断を伴う文章では「一般的な傾向として」「あくまで目安として」を添えると安全

往々にしての間違った使い方

避けたいのは、意味が重なる言葉を重ねる形です。たとえば「往々にしてよくある」は、内容としては伝わっても、硬い文章では冗長に見えやすいです。

また、「往々にして=必ず」と誤解してしまうのも危険です。往々にしては“頻度が高い”ことを示しますが、例外は当然あります。データや根拠が必要な場面では、頻度の表現だけで結論を断定せず、最終的な判断は専門家にご相談ください。

  • 言葉の意味・用法の最終確認は、国語辞典や公式性の高い情報をご確認ください。ビジネス上の重要文書では、表現の適否が結果に影響することがあります

まとめ:得てしてと往々にしての違いと意味・使い方の例文

最後に要点をまとめます。得てしてと往々にしては似ていますが、軸は「傾向」か「頻度」かで分かれます。

  • 得てして:ある事態になりやすい“傾向”を述べる(やや控えめに一般論を作れる)
  • 往々にして:同種のことが“しばしば起こる”と述べる(頻度の印象が強め)

英語表現では、得てしては tend to、往々にしては often / frequently が基本線ですが、最終的には文脈で決めるのが正解です。例文を手元に置いて、文章のトーンに合わせて言い換えも使ってみてください。

なお、語源や正確な定義など、厳密さが求められる場面では、コトバンク(得てして)コトバンク(往々にして)など、公式性の高い辞書情報をご確認ください。

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