
「利害関係人」と「利害関係者」は、どちらも“利害がからむ人”を指す言葉ですが、文章で使い分けようとすると意外と迷います。
たとえば、契約書や相続などの法律文書では「利害関係人」を見かける一方、ビジネスの場では「利害関係者」や「ステークホルダー」という言い方も一般的です。さらに「関係者」との違い、当事者・第三者の扱い、範囲はどこまでか、英語ではどう表すか(interested party / stakeholder など)も気になるところでしょう。
この記事では、言葉の意味とニュアンスの違いを軸に、実務で迷わない使い分け、言い換え、類義語・対義語、語源の考え方、例文まで一気に整理します。法律が絡む場面での注意点も含め、読み終わる頃には「この文脈ならどっち?」がスッと判断できるようになります。
- 利害関係人と利害関係者の意味の違いと使い分け
- 法律文書とビジネス文書での自然な選び方
- 英語表現・言い換え・類義語と対義語の整理
- すぐ使える例文と間違いやすいポイント
目次
利害関係人と利害関係者の違い
まずは最短で“核”を押さえます。両者は似ていますが、文章の世界では「どの範囲を想定しているか」「どれだけフォーマルか」で選び方が変わります。ここでは意味・使い分け・英語表現の順に整理します。
結論:利害関係人と利害関係者の意味の違い
結論から言うと、両者の違いは次の一文に集約できます。
どちらも「利害(利益・不利益)が結び付く人」を指しますが、利害関係人は法律用語寄りで、手続き上「その人に権利義務や法律効果が及び得る」ニュアンスが強くなります。
一方で利害関係者はより一般語で、企業活動やプロジェクト運営などの場面で「関わる人・影響を受ける人」を広めに含めやすい言葉です。ビジネス文脈では「ステークホルダー」とほぼ同じ感覚で使われることもあります。
| 項目 | 利害関係人 | 利害関係者 |
|---|---|---|
| 主なニュアンス | 法的利害がある“人” | 利害が関係する“人たち” |
| よく出る場面 | 相続・行政手続・訴訟・規程 | ビジネス・組織運営・プロジェクト |
| 硬さ(フォーマル度) | 高い | 中〜高(文脈次第) |
| 範囲の取り方 | 法令・手続で定義されやすい | 目的に応じて広く設定しやすい |
利害関係人と利害関係者の使い分けの違い
使い分けで迷うポイントは、「誰の何に影響するのか」を、法的に扱うのか、運用上(ビジネス上)扱うのかです。
利害関係人を選びやすいケース
- 行政手続・許認可・審査・不服申立てなど、手続き上の参加や閲覧の可否が論点になる
- 相続・遺言・成年後見など、当事者以外でも法律効果の影響を受け得る立場を示したい
- 規程・約款・契約書など、定義が必要な“硬い文章”で統一したい
利害関係者を選びやすいケース
- プロジェクトで調整が必要な相手(取引先、顧客、株主、従業員、地域住民、行政など)を広く指す
- 説明責任・情報共有の対象を示したい(例:利害関係者向けの説明資料)
- 「関係者」よりも、利害(利益・不利益)が絡むことを明確にしたい
文章を自然にするコツは、「利害関係者=範囲を広めに」「利害関係人=法的な位置づけを意識して」と覚えることです。もし「利害」を強調する必要がないなら、「関係者」や「当事者」などに落として文章を軽くするのも一つの手です。
なお、交渉がこじれる文脈では「利害が絡み合って〜」のような表現もよく使います。言い回しのニュアンス整理は、当サイトの「相まって」と「絡み合って」の違いも参考になります。
利害関係人と利害関係者の英語表現の違い
英語は日本語以上に“場面で語が変わる”ので、直訳よりも用途で選びます。
- 利害関係者:stakeholder / parties concerned / interested parties(ビジネス全般で広く)
- 利害関係人:interested party / interested person(手続き・法律寄りの文脈で使われやすい)
また「ステークホルダー」は英語由来のカタカナ語として日本語にも定着しています。社外向け資料やESG・サステナビリティ領域では「利害関係者(ステークホルダー)」のように併記すると誤解が減ります。
利害関係人とは?
利害関係人は、一般語としても使われますが、実務では法律・手続きの文脈で“定義されやすい”言葉です。ここでは意味・使いどころ・語源の見方、類義語と対義語まで整理します。
利害関係人の意味や定義
利害関係人は、ある法律上の行為や処分、地位などについて、直接の当事者ではないが、法律上の利害関係を持つ人を指す言い方です。
ポイントは「当事者ではない」という点です。当事者(申請者・被処分者など)ではないのに、結果によって権利や利益に影響が出るため、手続きの中で一定の位置づけを持つ——このイメージが核になります。
ただし、利害関係人に当たるかどうかは手続き・法令で変わり得ます。実務で確定が必要な場合は、規程・法令・行政の公式案内を確認し、必要なら専門家に相談してください。
利害関係人はどんな時に使用する?
私が文章作成や校正で「利害関係人」を選ぶのは、主に次のような場面です。
- 申請・審査・不服申立てなど、手続きへの関与(参加、閲覧、意見提出など)を表す
- 相続や後見など、当事者以外の立場(相続人、関係する権利者など)を区別したい
- 社内規程・約款・契約関連で、読み手に“法的な硬さ”を伝えたい
利害関係人の語源は?
「利害関係人」は、語源をたどるというより、漢語の組み合わせで意味が立ち上がるタイプです。
- 利害:利益と不利益(損害)の両面
- 関係:つながり、影響関係
- 人:個人としての主体(“者”よりも個を立てやすい)
ここでの肝は「人」です。文章上、手続きの主体として“個人を指す感じ”が出やすく、法的文脈の硬さとも相性が良いと私は捉えています。
利害関係人の類義語と対義語は?
似た言い方はいくつかありますが、ニュアンスが微妙に違います。
類義語(近い意味)
- 当事者:手続きや契約の中心にいる人(利害関係人とは区別されやすい)
- 関係人:関わりのある人(利害の強調は弱い)
- 利害関係者:より一般的で範囲が広い
- 関係当事者:当事者の集合として扱う硬めの言い方
対義語(反対側の概念)
- 無関係の人:利害がない、影響を受けない
- 第三者(非利害関係者):中立で利害がない立場として語りたいとき
利害関係者とは?
利害関係者は、日常・ビジネスで最も使う頻度が高い言葉です。範囲を広く取りやすい反面、文章の目的によっては曖昧にもなり得るので、使い方のコツを押さえておきましょう。
利害関係者の意味を詳しく
利害関係者は、ある意思決定や活動によって、利益を得たり不利益を受けたりする可能性がある人・組織を指します。
特徴は「者」です。個人に限らず、会社、団体、行政、地域社会などを含めて、影響し合う相手をひとまとめに扱うニュアンスが出ます。ビジネスでの「ステークホルダー」に近い感覚で使われるのはこのためです。
利害関係者を使うシチュエーションは?
利害関係者は、特に次のような場面で自然にハマります。
- プロジェクトや施策で、説明・合意形成・調整が必要な相手をまとめて指す
- 発表資料やプレスリリースで、影響範囲を広く示す
- コンプライアンスやガバナンスで、接触や利益供与のルールを定める
たとえば「利害関係者への説明責任」という表現は、「会社が影響を与える相手は顧客だけではない」という視点を自然に含められます。社外向け資料では「利害関係者(ステークホルダー)」と併記すると、受け手の理解がさらに揃いやすいです。
また、社内外で敬語・依頼表現を整える場合は、当サイトの「ご確認のほど」と「ご確認の程」の違いのように、文書全体のフォーマル度を合わせるのも効果的です。
利害関係者の言葉の由来は?
「利害関係者」も、基本は漢語の合成で意味が読み取れる語です。
- 利害:利益・不利益
- 関係:影響し合うつながり
- 者:立場・属性を持つ人(個人に限らず組織にも広げやすい)
ビジネスの場では、英語の stakeholder が普及したことで、「利害関係者」という言葉の射程も広がりました。近年はESG文脈での登場が増え、「株主だけでなく利害関係者全体に配慮する」のような言い方も一般的です。
利害関係者の類語・同義語や対義語
類語・同義語
- ステークホルダー:利害関係者の定番の言い換え
- 関係者:関わる人(利害の強調は弱い)
- 当事者:中心にいる人(範囲は狭くなりやすい)
- 関係各所:組織・部署・機関など“場所・窓口”寄りにまとめる言い方
対義語
- 無関係者:影響がない立場
- 中立の第三者:利害を持たない立場(ただし「第三者」単体は中立を保証しない)
利害関係人の正しい使い方を詳しく
利害関係人は「硬い文章ほど強い」言葉です。便利な一方、広く使いすぎると“法的な意味”を勝手に背負わせてしまうことがあります。例文とポイントで、ブレない使い方を固めましょう。
利害関係人の例文5選
- 本件の審査に関して、利害関係人は所定の方法で意見を提出できる
- 利害関係人による閲覧請求があった場合は、規程に従い対応する
- 相続手続において、利害関係人から追加資料の提出を求められることがある
- 利害関係人の範囲は、手続の種類と根拠規程により異なる
- 委任状の提出が必要となるケースもあるため、事前に窓口へ確認する
利害関係人の言い換え可能なフレーズ
文書の硬さや目的に応じて、次のように言い換えると読みやすくなります。
- 法律上の利害関係を有する者(定義を明確にしたい)
- 当事者以外で影響を受ける人(一般向けに噛み砕く)
- 関係当事者(手続き上の関係者をまとめたい)
- interested party(英語の手続き文書)
利害関係人の正しい使い方のポイント
私が文章で特に意識しているポイントは3つです。
特に②が重要です。利害関係人は“それっぽく”使える分、対象範囲を勝手に広げると誤解を招きます。制度や規程に紐づく場面ほど、用語選択は慎重にしておくと安心です。
利害関係人の間違いやすい表現
ありがちなミスは次の通りです。
- 単なる「関係者」まで全部「利害関係人」と呼んでしまう(法的ニュアンスが過剰になる)
- 「第三者=利害関係人ではない」と決めつける(第三者でも利害を持つ場合がある)
- 「利害関係人=必ず手続きに参加できる」と断定してしまう(可否は制度次第)
利害関係者を正しく使うために
利害関係者は「広く、実務的に」使える便利な言葉です。ただし、対象が広いぶん、文章の目的によっては“誰のこと?”となりやすいので、例文とコツで精度を上げていきましょう。
利害関係者の例文5選
- 本件は利害関係者が多いため、合意形成までに時間を要する見込みです
- 利害関係者への説明資料は、事実と根拠を明確にして作成してください
- 利害関係者の意見を踏まえ、計画の一部を見直しました
- 利害関係者との調整が完了し次第、正式に告知します
- 社内外の利害関係者と連携し、再発防止策を推進します
利害関係者を言い換えてみると
文章の硬さや想定読者に合わせて、次の言い換えが有効です。
- 関係者(利害の強調が不要なとき)
- 関係各所(組織・部署・機関をまとめたいとき)
- ステークホルダー(ビジネス・ESG文脈で一般的)
- 関係者一同(挨拶文など、柔らかいまとめ方)
「利害関係者」は便利ですが、社外向けでは「ステークホルダー」と併記すると通じやすい一方、社内向けでは「関係各所」とした方がスムーズな場面もあります。読み手の前提に合わせて調整するのがコツです。
利害関係者を正しく使う方法
利害関係者を“ちゃんと伝わる言葉”にするために、私は次の3点をセットで運用します。
たとえば「利害関係者と調整する」だけだと範囲が曖昧です。「取引先を含む利害関係者と調整する」とするだけで、読み手の理解が揃います。利害関係者は“広い言葉”だからこそ、具体を添えるのが実務上の正解です。
利害関係者の間違った使い方
よくあるズレを先に潰しておきます。
- 単なる参加者や同席者まで「利害関係者」と呼ぶ(利害がないなら「関係者」で足りる)
- 利害関係者を“敵対する相手”の意味で使う(対立が含意されると誤解される)
- 利害関係者が誰か不明なまま、責任の所在をぼかす文章にしてしまう
なお「利害関係者が多くて調整が難しい」のような表現は便利ですが、外部向け文書ではトーンが強い場合もあります。状況に応じて「関係先が多く調整が必要」など、少しマイルドに言い換える選択肢も持っておくと安心です。
まとめ:利害関係人と利害関係者の違いと意味・使い方の例文
「利害関係人」と「利害関係者」は似ていますが、使い分けの軸は明確です。
- 利害関係人:法律・手続きで使われやすい、法的利害を前提にした言い方
- 利害関係者:ビジネスなどで広く使う、影響し合う相手をまとめる言い方(ステークホルダーに近い)
英語では、利害関係者は stakeholder、利害関係人は interested party が目安になりますが、文書の種類によって自然な語は変わります。

