
「勤める」と「働く」は、どちらも仕事に関わる言葉ですが、いざ文章にすると「この場面はどっちが自然?」「履歴書ではどう書く?」と迷いやすい表現です。
特に、勤務や就業、就労、労働といった似た言葉も多く、使い分けを曖昧なままにすると、ビジネスメールや自己紹介で意図がズレて伝わることがあります。
この記事では、勤めると働くの違いと意味を軸に、語源、類義語、対義語、言い換え、英語表現、使い方、例文までを一気に整理します。読み終える頃には、場面ごとに迷わず言葉を選べるようになります。
- 勤めると働くの意味の違いを一文で整理できる
- 履歴書・自己紹介・会話での使い分けが分かる
- 語源・類義語・対義語・言い換え表現まで押さえられる
- すぐに使える例文で正しい使い方が身につく
勤めると働くの違い
ここではまず全体像として、勤めると働くの「意味の中心」「使い分けの基準」「英語にしたときのニュアンス」を整理します。最初にここを押さえるだけで、文章作成の迷いが大きく減ります。
結論:勤めると働くの意味の違い
結論から言うと、勤めるは「組織や勤務先に所属して仕事をする」ことに焦点があり、働くは「労力や能力を使って仕事をする(活動する)」ことに焦点があります。
つまり、勤めるは所属がポイントで、働くは行為・活動がポイントです。たとえば同じ仕事でも、会社員としての立場を言うなら勤める、行為として仕事をしている事実を言うなら働くが自然になります。
- 勤める=勤務先・所属(どこに属しているか)
- 働く=仕事・活動(何をしているか/どんな状態か)
勤めると働くの使い分けの違い
私が文章チェックで一番重視している使い分けは、「所属先を言いたいのか」「行為としての仕事を言いたいのか」のどちらかを先に決めることです。
勤めるが自然なケース
勤めるは、勤務先や組織との関係が見える場面で強い言葉です。たとえば「どこに所属しているか」を問う会話や、履歴書・職務経歴書のように所属歴が重要な文脈でよく使います。
働くが自然なケース
働くは、会社員に限らず幅広い働き方に使える言葉です。フリーランス、個人事業主、アルバイト、在宅勤務など、所属よりも「仕事をしている状態」や「働き方」を語るときにフィットします。
- 「勤める」は「会社に勤める」のように、勤務先とセットになりやすい
- 「働く」は「家で働く」「夜まで働く」のように、場所・時間・状態とセットになりやすい
勤めると働くの英語表現の違い
英語にするとどちらも大枠はworkで表現できますが、ニュアンスを分けたいときは言い回しで調整します。
- 働く:work / labor(やや硬め・肉体労働の響きが出る場合あり)
- 勤める:work for(会社・組織のために)/work at(勤務先で)/be employed by(雇用関係を明確に)
特に「勤める」は、英語では「どこで・どこに雇われて」をセットで言うと誤解が減ります。文章で堅めにするなら、be employed by 〜が安定です。
勤めるとは?
ここからは、勤めるそのものの意味を深掘りします。定義、使う場面、語源、類義語・対義語まで整理して、言葉の輪郭をはっきりさせましょう。
勤めるの意味や定義
勤めるは、一般に「会社・官公庁・団体などに所属し、職務として仕事をする」という意味で使われます。ポイントは、仕事そのものよりも、所属先との関係(雇用・任用・在籍)が前に出ることです。
また「勤め先」「勤め人」「お勤め」のように、名詞表現にも展開しやすく、日常会話でもビジネスでも幅広く定着しています。
勤めるはどんな時に使用する?
勤めるは「どこに所属しているか」を伝えたいときに最適です。私が特におすすめするのは、次のような場面です。
- 自己紹介で勤務先や業種を述べるとき(例:出版社に勤めています)
- 履歴書・職務経歴書で在籍や職歴を説明するとき
- 「今どこに勤めているの?」のように所属先を尋ねるとき
- 官公庁・病院・学校など、組織色が強い勤務先を言うとき
- フリーランスや個人事業主に対して「会社に勤める」を使うと、雇用関係があるように聞こえて不自然になりやすい
勤めるの語源は?
勤めるは、漢字の「勤」が核にあります。「勤」には「まじめに仕事をする」「労を尽くす」といったニュアンスがあり、そこから「職務として継続的に仕事をする」という意味に広がっていきました。
また「お勤め」という言い方があるように、単なる作業ではなく「役割を引き受けて日々遂行する」響きが残っています。文章では、継続性や所属をにおわせたいときに強い言葉です。
勤めるの類義語と対義語は?
勤めるの類義語は、文脈によって使い分けが必要です。似ていても焦点が違うため、置き換えるときは「何を強調したいか」を基準にします。
類義語
- 勤務する:勤務形態・時間など、制度・運用の硬さが出る
- 就業する:就業規則・就業時間など、ルール文脈と相性が良い
- 就労する:雇用・支援制度(就労支援など)で見かけやすい
- 在籍する:所属の事実を淡々と示す(仕事の行為は弱い)
対義語
- 退職する:所属関係を終える
- 離職する:職を離れる(統計・制度文脈で多い)
- 辞める:口語的で広く使える
より近い言葉として「勤務」との違いも気になる場合は、違いの教科書内の解説も参考になります。「従事」と「勤務」の違いと意味・使い方では、職歴表現での書き分けまで整理しています。
働くとは?
次に、働くの意味を丁寧に見ていきます。働くは守備範囲が広い言葉なので、どこまで含むのかを理解しておくと、表現の精度が上がります。
働くの意味を詳しく
働くは、基本的に「体や頭を使って仕事をする」という意味です。勤めるよりも幅が広く、会社員だけでなく、フリーランス、家業の手伝い、短期アルバイトなど、さまざまな働き方に対応できます。
さらに働くは、文脈によって「機械が働く(機能する)」「薬が働く(効く)」「頭が働く(思考が回る)」のように、人の労働以外にも展開します。つまり、働くは「活動して作用する」というコアが強い言葉です。
働くを使うシチュエーションは?
働くが自然なのは、所属よりも「仕事の実態」や「状態」を描写したいときです。たとえば次のような場面で活躍します。
- 時間や量を語る(例:遅くまで働く、週に三日働く)
- 場所や環境を語る(例:在宅で働く、海外で働く)
- 働き方を語る(例:副業で働く、リモートで働く)
- 価値観を語る(例:家族のために働く)
働くの言葉の由来は?
働くの由来については、「傍(はた)を楽(らく)にする」という通説がよく知られています。周囲の人を助け、負担を軽くする行為が、仕事の本質だという捉え方です。
ただし語源には諸説あり、断定は避けたほうが安全です。語源はあくまで理解を助けるヒントとして捉え、正確な確認が必要な場合は辞書や公的機関の解説もあわせて確認するのがおすすめです。
働くの類語・同義語や対義語
働くの類語は多く、選ぶ言葉によって印象が大きく変わります。ビジネス文脈では硬さ・制度感が出る語もあるため、文章のトーンに合わせて選びましょう。
類語・同義語
- 労働する:硬め。賃金・労働条件など制度文脈に寄る
- 仕事をする:最も中立で口語にも文章にも使える
- 稼ぐ:収入目的が前に出る
- 従事する:職務内容・業務への関与を示す(説明文向き)
対義語
- 休む:労働を止める状態
- 遊ぶ:余暇としての活動を示す(文脈次第)
- 失業する:仕事がない状態(制度・統計の響きが強い)
勤めるの正しい使い方を詳しく
ここでは勤めるを実際の文章に落とし込みます。例文、言い換え、使い方のコツ、誤用パターンまで具体化して、迷いをゼロにしていきましょう。
勤めるの例文5選
勤めるは「勤務先・所属」が伝わる形にすると自然です。次の例文は、そのまま自己紹介や会話に使えます。
- 私は都内のIT企業に勤めています
- 姉は市役所に勤めており、窓口業務を担当しています
- 以前はメーカーに勤めていましたが、現在は転職しました
- 父が勤める会社は、創業から五十年以上続いています
- 病院に勤める看護師として、夜勤も経験しました
勤めるの言い換え可能なフレーズ
文書の硬さや用途に応じて、勤めるは次の表現に言い換えできます。
- 勤務する:規程・勤務形態の説明に強い
- 在籍する:所属事実を淡々と示す
- 所属する:組織内の立場を示す(部署名と相性が良い)
- 雇用される:雇用関係を明確にしたいとき(やや硬い)
勤めるの正しい使い方のポイント
勤めるを自然に使うコツは、「どこに」や「どんな組織に」をセットにすることです。勤務先を言うだけで、言葉が安定します。
- 勤務先を明示する(例:出版社に勤める)
- 在籍の文脈で使う(例:以前勤めていた会社)
- 役割や仕事内容は、必要なら後ろで補足する
なお、「つとめる」は「勤める(所属)」「務める(役割)」「努める(努力)」と書き分けが必要な場面があります。表記で迷う場合は、「努める」と「務める」の違いと使い方もあわせて確認しておくと、誤字による印象ダウンを防げます。
勤めるの間違いやすい表現
勤めるの誤用で多いのは、「所属がないのに勤めるを使う」パターンです。
- × フリーランスとして勤めています(雇用・所属があるように聞こえる)
- ○ フリーランスとして働いています
- × 自宅に勤めています(場所の表現として不自然)
- ○ 自宅で働いています
- 勤めるは「所属」を含むため、場所・時間・働き方の説明は働くのほうが自然になりやすい
働くを正しく使うために
働くは便利な反面、幅が広いぶん、文章の焦点がぼやけることがあります。例文とポイントで「何を伝えているか」を明確にしましょう。
働くの例文5選
働くは、働く時間・場所・目的などを添えると意図が伝わりやすくなります。
- 生活のために毎日働いています
- 在宅で働ける環境に切り替えました
- 繁忙期は夜遅くまで働くことがあります
- 将来は海外で働くのが目標です
- 副業として週末に働いています
働くを言い換えてみると
同じ意味でも、言い換えで文章の温度感が変わります。目的に合わせて選ぶと表現が整います。
- 仕事をする:柔らかく中立
- 労働する:制度・条件の話題に強い
- 稼ぐ:収入目的が明確
- 従事する:業務内容の説明に向く(硬め)
働くを正しく使う方法
働くを的確にするコツは、「働く」の後ろに補語を足して、焦点を定めることです。
- どこで働く(場所)
- いつ働く(時間)
- 何のために働く(目的)
- どんな形で働く(雇用形態・働き方)
たとえば「家で働く」「週三日働く」「副業で働く」のように、補足語があるだけで、読み手の理解が一気に安定します。
働くの間違った使い方
働くの誤りで多いのは、「所属や職歴を厳密に示すべき場面で、働くに寄せすぎる」ケースです。
- 履歴書で「〇〇社で働く」とだけ書く(在籍や雇用形態が曖昧になりやすい)
- 職歴説明で勤務先の情報が不足する(読み手が確認を要する)
- 公的書類や社内文書など正確性が求められる場面では、勤務する・在籍するなどの表現も含めて検討すると安全
用語の使い分けは、業界や書式によっても慣習差があります。最終的には、提出先の公式ガイドや規程、辞書等の信頼できる情報を確認し、不安がある場合は人事・総務、あるいは専門家に相談したうえで判断してください。
まとめ:勤めると働くの違いと意味・使い方の例文
勤めると働くは似ていますが、焦点が違います。勤めるは「組織に所属して仕事をする」、働くは「労力や能力を使って仕事をする(活動する)」が中心です。
勤務先や職歴の文脈では勤めるが強く、働き方や状態(在宅・副業・時間など)を語るなら働くが自然になります。迷ったときは、所属を言いたいのか、行為を言いたいのかを先に決めるのがコツです。
なお、公的書類や提出物では表現の正確さが求められるため、公式の案内や辞書を確認し、必要に応じて担当部署や専門家に相談して最終判断をしてください。
関連して、仕事用語の書き分けをまとめて整理したい場合は、「従事」と「勤務」の違いや、表記で混同しやすい「努める」と「務める」の違いもあわせて読むと、文章の精度がさらに上がります。

