
「旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違い」がわからず混乱していませんか?
これらの時代は人類の歴史を理解する上で欠かせない基本知識ですが、用語や定義、地域ごとの違いが複雑で、特に日本の縄文時代がどの位置づけになるのかに戸惑う人も多いでしょう。
本記事では、旧石器時代・新石器時代・縄文時代の時代背景や文化的特徴、代表的な遺跡や生活の違いをわかりやすく比較して整理します。
「旧石器時代とはいつからいつまでなのか」「新石器時代の特徴は?」「縄文時代は世界史でどう位置づけられるのか」など、教科書だけではつかみにくい視点を含めて丁寧に解説します。
結論として、旧石器時代は狩猟・採集による移動生活と打製石器が中心の時代、新石器時代は農耕と定住生活、そして磨製石器の使用が特徴の時代です。一方、縄文時代は日本においては新石器文化に属しながらも、農耕を主とせず、独自に発展した定住型狩猟採集文化の時代です。
- 各時代の道具・生活様式・住居の違いがわかる
- 縄文時代が新石器時代に含まれる理由が理解できる
- 世界と日本での時代区分の違いを整理できる
- 遺跡や文化の具体例から時代を識別する視点が得られる
目次
旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違いとは?

- 3つの時代はいつのこと?
- 時代ごとの主な特徴まとめ
- なぜ混乱しやすいのか?
- 旧石器時代の特徴と生活
- 新石器時代の変化と技術革新
- 日本独自の縄文時代とは?
3つの時代はいつのこと?

「旧石器時代」「新石器時代」「縄文時代」は、いずれも人類の先史時代を区分する用語ですが、それぞれ時代の始まりと終わり、また地域によって異なる定義がなされています。
1. 旧石器時代(Paleolithic Period)
- 世界の定義: 約250万年前~約1万年前(最後の氷期の終わり頃)
※人類が打製石器を使用し、狩猟・採集生活を行っていた時代。 - 日本における定義: 約3万8000年前~約1万3000年前(最古の石器は3万8000年前のものとされる)
出典:文化庁『発掘調査報告』、国立歴史民俗博物館『日本の旧石器文化』
2. 新石器時代(Neolithic Period)
- 世界の定義: 約1万年前~紀元前3000年頃
※農耕と牧畜の開始、磨製石器や土器の使用が特徴。 - 地域差あり: メソポタミアでは紀元前9000年頃から、ヨーロッパではそれより数千年遅れる。
3. 縄文時代(Jomon Period)
- 日本独自の時代区分: 約1万3000年前~紀元前300年頃
※世界の新石器時代に相当するが、文化的に独自の発展を遂げたため、別に「縄文時代」と分類される。
出典:東京大学大学院人文社会系研究科、文部科学省『学習指導要領解説』
4. 地質時代との関係
- 旧石器時代は「更新世(Pleistocene)」、新石器・縄文時代は「完新世(Holocene)」に重なる。
- 地質学と人類史の区分は一致しないが、気候変動と人類の適応に深く関係している。
時代ごとの主な特徴まとめ

人類の先史時代は、大まかに「旧石器時代」「新石器時代」、そして日本固有の「縄文時代」に区分されます。それぞれの時代は、使用された道具・生活様式・社会構造などにおいて大きく異なります。ここでは、その主な特徴を簡潔に整理します。
1. 旧石器時代の特徴
- 道具: 打製石器(石を打ち砕いて作った鋭利な石器)
- 生活: 狩猟・採集中心の移動生活(定住しない)
- 社会: 小集団での生活。社会的分業や階層はほとんどなし
- 住居: 野営や簡易な風除け(洞窟や岩陰など)
旧石器時代の人類は環境の変化に応じて移動しながら生活しており、火の使用や原始的な道具が見られ始めたのもこの時代です。
出典:国立科学博物館『人類の進化』、文化庁「日本の旧石器時代」
2. 新石器時代の特徴
- 道具: 磨製石器(土器・弓矢・農具など)
- 生活: 農耕や牧畜の導入、部分的な定住化
- 社会: 分業が進み、村落や共同体が成立。社会階層も芽生え始める
- 住居: 長期的な住居(泥や木を使った構造)
この時代は、農業の開始によって生活が安定し、人口増加が促進され、定住化が進行したことが大きな転換点です。
出典:OECD World Archaeological Report、考古学ジャーナル『農耕革命の起源』
3. 縄文時代の特徴(日本限定)
- 道具: 縄文土器(文様が特徴的)、弓矢、石斧など
- 生活: 狩猟・採集・漁労を組み合わせた多様な生業
- 社会: 定住生活の発展、集落の形成、貝塚などの形成
- 住居: 竪穴住居を中心とした定住型の村
縄文時代は世界的には新石器時代に該当しますが、日本列島では農耕よりも狩猟・採集中心の生活が長く続き、文化的にも独自の発展を遂げました。特に土器の早期出現と複雑な文様は世界的にも注目されています。
出典:青森県立郷土館、国立歴史民俗博物館『縄文文化の特色』
なぜ混乱しやすいのか?

「旧石器時代」「新石器時代」「縄文時代」の区分は、見た目には明確に思えますが、実際のところ多くの学習者や受験生が混乱しやすいポイントでもあります。その原因は、定義の不一致・用語の誤解・時代の重なりなど、いくつかの要素が複合的に絡んでいます。
原因1:世界と日本での分類方法が異なる
世界的な考古学では「旧石器時代 → 新石器時代」という直線的な進化が前提です。しかし、日本では「新石器時代」という用語はあまり使われず、「縄文時代」という独自の時代名称で分類されています。
- たとえば、日本の縄文時代は土器や磨製石器を用いる点で明らかに「新石器時代」に相当します。
- しかし、農耕が限定的で狩猟・採集が主流である点が他地域の新石器文化とは異なります。
出典:佐原真(1993)『縄文文化の世界史的位置』、東京大学出版会
原因2:時代の重なりによる混乱
一部の学説では、新石器時代と縄文時代が同時並行していたとされる地域もあります。特に、アジアや中東などでは以下のような違いが生じます。
- メソポタミアの新石器時代(紀元前9000年頃)と
- 日本の縄文時代草創期(約1万3000年前~)は、時期が重なっています。
このため、「縄文時代=新石器時代の一部」と見る国際的な視点と、「縄文時代=独立した日本の時代」とする国内の教育方針が一致しません。
出典:岡村道雄『日本考古学の最前線』、国立歴史民俗博物館研究報告
原因3:用語の直訳による誤解
「新石器時代(Neolithic)」という語は、文字通りには「新しい石の時代」を意味しますが、ここでの「新しい」は単に技術的進歩(磨製石器)を意味するものであり、「歴史的に新しい」という意味ではありません。
このため、旧石器時代→新石器時代→縄文時代→弥生時代…と続くと思い込むと、縄文時代は新石器時代の“後”だと誤解しやすくなります。実際には、縄文時代は「新石器時代の一部」でありながら、日本独自の文化的区分という位置づけです。
旧石器時代の特徴と生活

旧石器時代(Paleolithic Period)は、人類が初めて石器を使って生活を始めた時代です。狩猟・採集生活を中心に、道具の使用、火の利用、言語の発達など、人類進化の基礎が形成された重要な時期です。ここでは、日本と世界の旧石器時代における生活の具体像について、3つの視点から見ていきます。
1. 使用された石器と道具
旧石器時代を代表する道具は、打製石器(だせいせっき)です。これは、硬い石を打ち砕いて鋭利な部分を作ったもので、狩猟・加工・解体などに用いられました。
主な打製石器の種類
- 握斧(あくふ)/ハンドアックス: 掌に収まる斧状の石器。世界中で出土。
- ナイフ形石器: 動物の皮や肉を切るために使用。
- 尖頭器(せんとうき): 槍の先端に付けて獲物を突く。
- スクレイパー: 獲物の皮を剥いだり、骨を削るための道具。
日本では群馬県の岩宿遺跡(いわじゅくいせき)などから打製石器が多数発見されており、日本にも約3万8000年前には人類が居住していたと考えられています。
出典:文化庁「日本の旧石器時代」、国立歴史民俗博物館『岩宿遺跡出土品データベース』
2. 狩猟・採集生活の実態
旧石器時代の人類は、農耕を行わず、狩猟・採集によって食料を得ていました。
狩猟の対象
- 日本列島では、ナウマンゾウやオオツノジカが代表的な大型獣。
- 世界的には、マンモスや野牛(バイソン)などが狩られていた。
狩猟は集団で行われ、集団戦略的行動(追い込み漁のような方法)が行われたと考えられています。
採集の内容
- 木の実、根菜、野生の果物など。
- 季節に応じて移動し、自然環境に適応する知恵が発達していた。
このような移動型の生活は、定住が難しい反面、環境への高い適応能力を人類にもたらしました。
3. 人類の進化と旧石器時代
旧石器時代は、人類の生物学的進化と文化の発展が並行して進んだ時期でもあります。
人類の進化のステップ
- 約250万年前:ホモ・ハビリス(器用な人)が最初の石器を使用。
- 約180万年前:ホモ・エレクトス(直立する人)が出現し、アフリカからアジアへ拡散。
- 約30万年前:ネアンデルタール人や初期のホモ・サピエンスが登場。
- 約20万年前以降:現代人の直接の祖先であるホモ・サピエンスがアフリカから世界中に広がる。
日本列島では、沖縄の港川人(みなとがわじん)や静岡の浜北人(はまきたじん)が有名です。彼らは、旧石器時代後期に日本列島に到達したとされており、アジア大陸からの渡来ルートも研究されています。
出典:国立科学博物館『人類の進化展示ガイド』、東北大学人類学研究会報
新石器時代の変化と技術革新

新石器時代(Neolithic Period)は、人類の生活様式において革命的な変化が起こった時代です。旧石器時代までの狩猟・採集中心の生活から、農耕・牧畜を基盤とする定住型社会へと大転換を遂げたことで、「新石器革命(Neolithic Revolution)」とも呼ばれます。このセクションでは、技術革新の側面から新石器時代の変化を具体的に見ていきます。
1. 磨製石器と農耕の始まり
新石器時代の最大の技術的進歩は、磨製石器(ませいせっき)の出現です。これは、石を研磨して滑らかに加工した石器で、農耕や建築に適した道具として使われました。
磨製石器の特徴
- 強度と耐久性が高い:打製石器よりも加工が細かく、長持ち。
- 使用目的の特化:鍬(くわ)や斧など、農作業向けの道具が登場。
- 材料の多様化:黒曜石やヒスイなども使用された地域あり。
出典:世界考古学会年報『Neolithic Stone Technology』
農耕の開始と意義
- 最も早い農耕の例は紀元前9000年頃の西アジア(肥沃な三日月地帯)。
- 小麦・大麦・レンズ豆などの栽培が始まる。
- 動物の家畜化もこの時期に:ヤギ・羊・豚など。
このような変化は、人類の食料供給を安定させ、人口の急増と社会構造の複雑化を促進しました。
出典:UNESCO World Heritage Report『Agricultural Origins in the Fertile Crescent』
2. 土器と定住生活の登場
農耕の導入とともに、食料を調理・保存するために土器(どき)が登場しました。これは人類にとって非常に重要な技術革新でした。
土器の利点
- 煮炊きが可能になり、栄養価の高い食事が実現。
- 食料や水の保存がしやすくなり、生活が安定。
- 副産物として粘土の加工技術や焼成技術も発展。
定住生活の始まり
- 安定した食料供給により、人々は特定の場所に定住し始める。
- 村落の形成(最古の例:イェリコ遺跡(現在のパレスチナ))
- 住居は土や木材を使った半地下式・泥レンガ造りの建物。
定住化によって人間関係が継続的となり、協業・共有・秩序といった社会制度が発達する素地が整いました。
出典:考古学ジャーナル『人類定住化の条件』、ユネスコ文化遺産リスト『Jericho』
3. 新石器時代がもたらした社会の変化
農耕と定住がもたらしたのは単なる生活様式の変化だけではなく、人間社会の構造そのものの変革でした。
社会の階層化と分業
- 余剰食料の発生により、労働の専門化が可能に。
- 農民、職人、戦士、祭司などの職業が分化。
- 権力や財産の集中により、**支配者層(首長や王)**が誕生。
精神文化・宗教の発展
- 定住により、祖先祭祀や精霊信仰が発達。
- 神殿や墓などの宗教施設が現れ、精神的な共同体意識が生まれる。
環境との新たな関係
- 農地開拓や動物の飼育は、自然への干渉を意味し、持続可能性の課題も同時に誕生。
- 土壌劣化や洪水などのリスクも増加。
出典:Harvard University Archaeology Review『The Social Impact of the Neolithic Revolution』
日本独自の縄文時代とは?

縄文時代(約1万3000年前〜紀元前300年頃)は、日本列島独自の新石器文化が発展した時代です。世界的には「新石器時代」に該当しますが、農耕や金属器の本格導入がなかったため、日本では独自に「縄文時代」という呼称が使われています。この時代は、世界最古級の土器文化を含み、人類文化史上でも注目されています。
1. 縄文土器とその特徴
縄文時代の最も象徴的な発見物が、縄文土器(じょうもんどき)です。その名称は、表面に施された縄目(縄を押しつけたような模様)に由来します。
縄文土器の特徴
- 加熱調理用の用途: 魚や植物の煮炊きに使われた。
- 文様の多様性: 撚糸文、櫛目文、火焔型など地域・時代により異なる。
- 技術の高度さ: 成形・焼成ともに高度で、美術的価値も高い。
特に新潟県の火焔土器(かえんどき)や、青森県大平山元遺跡出土の土器(約1万6000年前)は、世界最古級の土器として、国際的に高い評価を受けています。
出典:文化庁『縄文時代の遺物に関する報告書』、国立歴史民俗博物館、British Museum Jomon Exhibit
2. 縄文人の生活と文化
縄文時代の人々は、農耕を本格的に行わず、狩猟・採集・漁労を複合的に組み合わせた生活を送りました。これにより、地域ごとに非常に多様な文化が形成されました。
生業(生活の手段)
- 狩猟: シカ・イノシシなどの中型獣を主に弓矢で狩る。
- 採集: クリ、ドングリ、クルミなどの木の実を利用。
- 漁労: 魚・貝・海藻など。釣針や網の使用も確認されている。
住居と集落
- 竪穴住居(たてあなじゅうきょ): 地面を掘り下げて柱を立て、屋根をかぶせた住居。断熱性が高い。
- 集落の形成: 複数の住居がまとまって配置され、中央に広場や炉(集会所のような空間)が設けられた例もある。
精神文化・儀式
- 土偶(どぐう): 女性像が多く、出産・豊穣・呪術と関係していたとされる。
- 貝塚: 食べ物の残骸や葬送に関係したと考えられる遺構。
出典:東北大学『三内丸山遺跡調査報告書』、文化庁「縄文時代の暮らしと精神文化」
3. 新石器時代との関係性
縄文時代は、石器や土器の使用、定住生活といった点で明確に「新石器時代」に該当します。しかし、世界の新石器文化とは異なる特徴も多く、特に農耕の本格化や金属器の使用がなかった点が異なります。
要素 | 縄文時代(日本) | 新石器時代(西アジアなど) |
---|---|---|
農耕 | 一部の雑穀栽培のみ | 本格的な農耕(麦・豆など) |
金属器 | なし | 一部で銅・青銅器の使用開始 |
土器 | 世界最古級 | 縄文より後に出現 |
住居 | 竪穴住居・集落形成 | 土・レンガ造りの村落 |
生活形態 | 狩猟・採集・漁労 | 農耕・牧畜中心 |
このように、縄文時代は技術的には新石器時代に属しつつも、文化的には独立した系譜をたどったと考えられています。こうした背景から、考古学的にも「日本の縄文文化」は特異で貴重な例とされています。
出典:小林達雄『縄文文化の考古学』、Journal of World Prehistory, Vol. 32 (2021)
旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違いに関する補足と受験対策

- なぜ縄文時代は日本だけの名称?
- 弥生時代との違いは?
- 各時代の代表的な遺跡は?
- 時代の違いを正しく理解しよう
- 「旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違い」受験対策のポイント
なぜ縄文時代は日本だけの名称?

「旧石器時代」や「新石器時代」は、世界中の考古学で使われる一般的な時代区分です。一方で「縄文時代」は、日本列島に特有の文化的発展を反映した、国内限定の歴史区分です。
1. 世界基準と日本の違い
- 世界では、新石器時代は農耕・牧畜・定住の3要素が揃うことで定義される。
- 日本では、狩猟・採集を続けながらも定住し、高度な土器文化を築いたため、「新石器時代」とは異なる独自文化と認識。
2. なぜ独自名称になったのか
- 明治〜昭和期の考古学者(特に鳥居龍蔵や相沢忠洋など)が、日本の土器文化を独立した時代として整理。
- 国際的にも認められるほどの長期間かつ高度な狩猟採集定住社会が、日本の縄文文化の特色とされた。
出典:小林達雄『縄文人の世界』、国立歴史民俗博物館『縄文時代と世界史のなかの日本』
弥生時代との違いは?

縄文時代のあとに始まるのが弥生時代(紀元前300年頃〜3世紀頃)です。この2つの時代の違いは、単なる年代差ではなく、生活様式・技術・社会構造の根本的な変化にあります。
比較項目 | 縄文時代 | 弥生時代 |
---|---|---|
主な生業 | 狩猟・採集・漁労 | 本格的農耕(稲作) |
土器 | 縄文土器(厚くて装飾的) | 弥生土器(薄くて実用的) |
住居 | 竪穴住居中心 | 竪穴+高床式倉庫など |
金属器 | 使用なし | 青銅器・鉄器が出現 |
社会構造 | 比較的平等 | 支配者と被支配層の階層化 |
特に稲作の本格的導入と金属器の使用が、縄文から弥生への大きな転換点となりました。これは単なる技術の進歩ではなく、政治組織や戦争、国家形成へとつながる変化でもあります。
出典:国立歴史民俗博物館『弥生文化の成立と展開』、考古学研究『稲作と社会変動』
各時代の代表的な遺跡は?

受験や学習で問われやすいのが、各時代における代表的な遺跡や発見物です。以下の表で整理します。
時代 | 遺跡名 | 所在地 | 特徴 |
---|---|---|---|
旧石器時代 | 岩宿遺跡 | 群馬県 | 日本で最初に旧石器文化が確認された遺跡。打製石器が多数出土。 |
新石器時代(世界) | イェリコ遺跡 | パレスチナ | 世界最古級の農耕定住遺跡。城壁と塔を持つ初期都市。 |
縄文時代 | 三内丸山遺跡 | 青森県 | 大規模集落跡。大型建物跡、土偶、貝塚が出土。縄文時代を象徴する遺跡。 |
弥生時代 | 吉野ヶ里遺跡 | 佐賀県 | 環濠集落と高床倉庫が見つかる。防御性と政治的組織の存在が示唆される。 |
出典:文化庁『重要文化財遺跡一覧』、日本考古学協会資料
時代の違いを正しく理解しよう

各時代の違いを正しく把握するには、年代・道具・生活様式の3つの軸で整理するとわかりやすくなります。
整理のコツ
- 年代順に並べる(旧石器→新石器→縄文→弥生)
- 道具の進化を見る(打製石器→磨製石器→金属器)
- 生活の変化に注目(移動生活→定住→農耕社会→国家形成)
また、表や年表を活用して「どの時代に何が起こったのか」を視覚的に整理するのが受験対策にも効果的です。
「旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違い」受験対策のポイント

社会科・歴史の分野では、特に中学・高校受験や大学入試(共通テスト)で「時代の違い」を問う問題が頻出です。以下では、出題傾向の分析と得点力を高めるための具体的な勉強法を紹介します。
① 頻出パターン別・対策ポイント
出題パターン | 内容 | 対策キーワード・ポイント |
---|---|---|
時代区分の並び替え | 「旧石器→縄文→弥生」など正しい順序を問う | 年代と技術(石器・土器・農耕)をセットで覚える |
土器の特徴を問う | 「縄文土器」と「弥生土器」の違いなど | 厚さ・模様・用途に注目(縄文=厚く装飾的、弥生=薄く実用的) |
遺跡と時代の対応 | 「岩宿遺跡は何時代か」など | 有名遺跡を時代ごとに図表で整理 |
生活様式の比較 | 狩猟採集と農耕の違いを問う | 生業・住居・道具・食文化など、暮らしの中身に注目 |
用語選択 | 「打製石器/磨製石器」「土偶/青銅器」などの区別 | 語感に頼らず、写真や図で具体的に覚えるのが効果的 |
② 各時代の重要キーワードと図解整理法
受験で問われやすいのは、用語とその内容のセット理解です。以下のような図表を自分でまとめておくと、視覚的に整理できます。
時代 | 石器 | 土器 | 主な生活 | 有名遺跡 | ポイント |
---|---|---|---|---|---|
旧石器 | 打製石器 | なし | 狩猟・採集(移動) | 岩宿遺跡(群馬) | 土器がない点が決定的 |
新石器(世界) | 磨製石器 | 土器あり | 農耕・牧畜・定住 | イェリコ遺跡(パレスチナ) | 「農耕」がキーワード |
縄文 | 打製+磨製 | 縄文土器 | 狩猟・採集・漁労(定住) | 三内丸山遺跡(青森) | 土偶・貝塚も一緒に |
「新石器時代」は日本では「縄文時代」とほぼ一致するが、農耕の有無が区別のカギ。受験では“世界的な定義”と“日本的な用語”の違いが狙われやすい。
③ 記述問題で差がつく表現例
記述式問題では、「なぜそうなるのか」「どう違うのか」を説明する力が求められます。以下に記述の型を示します。
📝 設問例:なぜ縄文時代は新石器時代に含まれるのか?
模範解答例:
「縄文時代は土器や磨製石器が使われ、定住生活をしていたため、世界的な定義では新石器時代に含まれる。ただし、本格的な農耕が行われていないため、日本では独自に“縄文時代”として区分されている。」
📝 設問例:縄文土器と弥生土器の違いを説明しなさい。
模範解答例:
「縄文土器は縄目の模様がある厚手の土器で、煮炊きに使われた。弥生土器は薄くてシンプルな形をしており、米の保管などに使われた。」
▶️ ポイント:
- 「◯◯は〜だったが、△△は〜だった」と対比で書く
- 「理由」や「目的」を含めて説明すると高評価
- 専門用語(打製石器、竪穴住居など)は積極的に使う
④ 覚え方の工夫と暗記術
- 🧠 語呂合わせ:
旧石器は「だ(打)せいせっきで、きゅう(旧)にさむくなる」→氷河期の移動生活
縄文は「じょう(縄)もん(文)どき、かえんのようなかたち」→火焔土器
弥生は「やよいのたんぼで、こめたべる」→稲作のイメージで記憶 - 📚 一問一答カードを作る:
「岩宿遺跡→旧石器時代」「三内丸山遺跡→縄文時代」といった対比カードを使うと整理しやすい。 - 🗺 地図やイラストで覚える:
日本地図に遺跡の位置をプロットすると、記憶の定着率が大きく上がる。
⑤ 模試・入試での実戦アドバイス
- 選択肢問題では「消去法」が有効。
特に「土器がない時代」「農耕がまだの時代」など、特徴的な要素をチェック。 - 時代の流れを意識した整理が重要。
旧石器(移動・打製)→ 縄文(定住・狩猟・土器)→ 弥生(稲作・金属器) - 資料集・年表で“つながり”を確認。
ただの暗記ではなく、「なぜそうなったか」を意識する。
✅ まとめポイント:
- 記述では“対比”と“理由説明”を意識して書く
- 「用語+生活+遺跡」の3点セットで整理
- 表・図・語呂など多様なツールで記憶定着
旧石器時代・新石器時代・縄文時代の違いを理解するための要点
この記事全体の要点を以下にまとめます
- 旧石器時代は打製石器を使用し、移動しながら狩猟採集生活をしていた
- 新石器時代は磨製石器や土器を使い始め、農耕と定住生活が進んだ
- 縄文時代は日本特有の文化で、磨製石器と縄文土器を使用し定住していた
- 旧石器時代は主に洞窟や岩陰などに住み、住居の形が未発達だった
- 新石器時代には長期的な木造・泥造りの住居が建てられた
- 縄文時代では竪穴住居が普及し、集落が形成された
- 旧石器時代には社会的階層や分業はほとんど見られなかった
- 新石器時代になると分業が進み、階層社会の萌芽が見られた
- 縄文時代は狩猟・採集・漁労の多様な生業を併用していた
- 旧石器時代の代表的遺跡は岩宿遺跡である
- 新石器時代の代表例はイェリコ遺跡で農耕定住の痕跡がある
- 縄文時代の代表遺跡は三内丸山遺跡である
- 縄文時代は世界の新石器時代と時期が重なるが文化的に異なる
- 新石器時代は農耕開始が特徴であるのに対し、縄文時代は狩猟採集が継続していた
- 旧石器→新石器→縄文→弥生の順に文化と技術が進化している