「同業他社」と「競合他社」の違いとは?意味・使い分け・例文・英語表現をわかりやすく解説
「同業他社」と「競合他社」の違いとは?意味・使い分け・例文・英語表現をわかりやすく解説

ビジネス文脈でよく使われる言葉として「同業他社」「競合他社」があります。これらは似た意味を持つようでありながら、実際には使い分けが重要です。本記事では、まず結論として、「同業他社」は同じ業種・業界に属する他の企業を広く指し、「競合他社」はその中でも“顧客や市場を奪い合うライバル関係にある企業”を指すもの、と整理します。それを踏まえて、定義・使い分け・英語表現・例文まで丁寧に解説します。

「同業他社」と「競合他社」の基本理解

「同業他社」とは?その定義と特徴

「同業他社(どうぎょうたしゃ)」とは、自社と同じ業種・業界に属し、類似または同様の業務を行っている他の会社を指す言葉です。ここでのポイントは、「業種・業界が同じ」であることです。必ずしも直接の競争関係にはない場合もあります。

特徴として、以下のような点が挙げられます

  • 自社と同じ業種・業界に属する
  • 提供する商品・サービスのジャンルに共通性があることが多い
  • ただし顧客層・販売チャネル・地域などは異なるケースもある
  • 必ずしも直接的な競合関係とは限らない

たとえば、国内で様々な自動車メーカー(トヨタ、ホンダ、日産など)は「同業他社」と言えます。同じく、ファストフードチェーンで言えば、全国展開レベルでマクドナルド、ケンタッキー、モスバーガーは同業他社の関係にあります。

「競合他社」とは?業界内での位置づけ

「競合他社(きょうごうたしゃ)」とは、自社と同じ市場・顧客セグメントを狙い、商品・サービスを通じて直接的に競争関係にある他社を指します。単なる“同じ業界”という枠を超え、顧客を奪い合うライバルとの関係性が前提となります。

ここで重要なのは、「顧客ニーズ・ターゲット・販売チャネル」が重なる部分があるかどうかということです。たとえ業界が同じであっても、顧客層が異なれば競合関係とは言えないこともあります。

競合他社にはさらに「直接競合」と「間接競合」があります

  • 直接競合:ほぼ同じ商品・サービスで、同じ顧客層を相手に競っている企業
  • 間接競合:異なる商品・サービスであっても、一部顧客ニーズを奪い合う可能性のある企業

「同業他社」と「競合他社」の違いを明確にする

では、両者を対比して違いを整理してみましょう。

視点同業他社競合他社
定義同じ業界・業種に属する他社顧客や市場で競い合う関係にある他社
関係性必ずしも競争関係ではない競争関係が前提
対象範囲広く業界全体競合対象として意味ある範囲
焦点業界動向・ベンチマーク差別化・戦略対策
例示自動車業界の各社スマートフォン市場でiPhoneとGalaxy

このように、「競合他社」は「同業他社」のサブセットであり、使う場面も目的も異なると理解できます。

「同業他社」と「競合他社」の使い分け

「同業他社」の使い方と例文

「同業他社」は、業界全体や業種を俯瞰して語るとき、ベンチマークや比較対象として使うことが多い用語です。

以下は、実用性の高い例文を5つ挙げます

  1. 弊社は同業他社と比べてコスト構造を見直しています。
  2. 同業他社の動向を定期的にモニタリングしています。
  3. そのプラットフォームは、同業他社による採用も進んでいます。
  4. 同業他社の導入実績から学ぶ点が多いです。
  5. 同業他社が新製品を発表した際には注目せざるを得ません。

これらは、「業界における他社」という広い視点で語るケースです。

「競合他社」の使い方と例文

「競合他社」は、自社の売上・マーケット獲得戦略を意識して語る際によく用いられます。「競争する相手」として位置づける表現です。

以下、使われやすい例文を5つ示します

  1. 競合他社の価格戦略に対抗して、割引キャンペーンを実施した。
  2. 我々はその競合他社との差別化を明確に打ち出すべきだ。
  3. 競合他社が新機能を追加したため、当社も追随すべきか検討している。
  4. 当社の売上が伸びた要因は、競合他社よりも優れたUXを提供できたからだ。
  5. 競合他社のプロモーション活動をベンチマークして対策する。

使い分けで気を付けるべきタブー

使い分けの際には、以下の点に注意する必要があります

  • 両者を混同しない:
    業界全体を語りつつ「競合他社」と言ってしまう誤用
  • 競合範囲を過度に拡大しすぎない:
    関連性が薄い企業まで「競合」と見なすと焦点がぼやける
  • ネガティブ表現のみに使わない:
    競合他社を「敵」と捉えすぎず、ポジティブな刺激として扱う
  • 使う場面・文脈を明確に:
    経営戦略・マーケティングで使うものと、業界リサーチで使うものを区別する

たとえば、「同業他社を全て競合他社と見なす」は誤りになり得ます。業界全体を俯瞰するには「同業他社」が適切ですが、競合対策を語るなら「競合他社」を用いるべきです。

「同業他社」と「競合他社」の英語表現

「同業他社」を使った例文(翻訳)

「同業他社」に相当する英語表現には、たとえば peer companiescompanies in the same industryindustry counterpart などがあります。

以下に例文を示します

  • We monitor peer companies’ trends.(同業他社の動向をモニタリングしています。)
  • Compared to other companies in the same industry, our cost structure is more efficient.(同業他社と比べて、当社のコスト構造はより効率的だ。)
  • That platform is adopted by several industry counterparts.(そのプラットフォームは複数の同業他社に採用されている。)
  • We benchmark peer companies to learn best practices.(同業他社をベンチマークして優良事例を学んでいる。)
  • Our product stands out among companies in the same industry.(当社製品は同業他社の中で際立っている。)

「競合他社」を使った例文(翻訳)

「競合他社」は英語で competitor(s)rival company などと表されます。

英語例文はこちら

  • We adjusted our pricing to compete with key competitors.(主要な競合他社と競うために価格を調整した。)
  • Our strategy emphasizes differentiation over direct competition with rivals.(我が社の戦略は競合他社と直接競うよりも差別化を重視する。)
  • The competitor introduced a new feature, prompting us to respond.(競合他社が新機能を導入したため、我々も対応を迫られた。)
  • We have outperformed our rivals in user retention.(ユーザー定着率では競合他社を上回った。)
  • By benchmarking key competitors, we refine our tactics.(主要な競合他社をベンチマークして戦術を洗練させる。)

まとめ:同業他社と競合他社の違い・意味・使い分け

「同業他社」と「競合他社」は似て非なる概念です。整理すると、以下のようになります

  • 同業他社:業界や業種が同じである他社。必ずしも直接競争関係にない。
  • 競合他社:自社と顧客や市場を取り合うライバル企業。競争関係が前提。

使い分けのコツとして、業界全体を語る文脈では「同業他社」、マーケティングや戦略を論じる文脈では「競合他社」を用いると明瞭になります。

また、英語表現も併せて押さえておくと、グローバル発信や社内資料での表現の幅が広がります。

言葉を正確に使い分けられることで、文章や議論の筋道が通りやすくなり、誤解の少ないコミュニケーションに役立ちます。

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