「がんだれ」「まだれ」「やまいだれ」の違いや意味|漢字部首の使い方
「がんだれ」「まだれ」「やまいだれ」の違いや意味|漢字部首の使い方

結論の要点を先に述べると、「がんだれ」は部首「厂(がんだれ)」で「崖・岩」を示す形に由来し、地形や堅固さのイメージを帯びる字に現れます。一方「まだれ」は部首「广(まだれ)」で、建物・屋内・庁舎など「建築・空間」に関わる意味を担いがちです。「やまいだれ」は部首「疒(やまいだれ)」で、病気・症状に関する漢字を多く生みます。いずれも「偏旁冠脚(へんぼうかんきゃく)」のうち「垂(たれ)」の形で左上から覆う配置をとり、辞書上の部首としては、漢字の索引・分類に使われます。

がんだれ、まだれ、やまいだれの基本理解

がんだれとは?意味と使い方

「がんだれ」は部首「」の通称で、崖を象(かたど)った形とされます。漢検の公式辞典「漢字ペディア」でも、部首索引(がんだれ)が用意されており、原・厚・厄・厳(新字体)など、岩壁のイメージを含む字形や、厂を構成要素にもつ漢字が並びます。特に「厚」は「厂+㫗」で「かたく厚い岩」を表す会意形声と解説されます。

「厂」そのものは2画で書かれ、崖縁を横画と左下がりの画で描きます(字源・画数は各辞典で一致)。用例としては、などが日常頻度の高い字です。

使用頻度の高い例文(がんだれ:5例)

  • 今年は年なので、神社でお祓いを受けた。
  • このノートは紙がくて書きやすい。
  • を渡る風が気持ちいい。
  • 彼は則を守りながら柔軟に対応した。
  • 登山道の途中に、しい崖(がけ)を見上げた。

まだれの定義と特徴

「まだれ」は部首「广」の通称で、康熙部首では第53番。日本語でも一般に「まだれ」と呼び、建物・屋内・庁舎を表す漢字に多く現れます(例:)。漢字ペディアの「まだれ」索引や、学術的概説でもその性格が確認できます。

ただし、部首は辞書上の分類でもあるため、「广=建物の意符」と言いつつも、のように語源上は別の成り立ちを持つ字が「广部」に配されることもあります(音や構形の都合でその部に分類されるケース)。この点は日本漢字能力検定協会の「漢字文化資料館」に詳しい注意書きがあります。

使用頻度の高い例文(まだれ:5例)

  • 新しくできた場でイベントが開かれる。
  • 駅前のはいつもにぎわっている。
  • 県ごとの施策を比較する。
  • 家のでバーベキューをした。
  • の漫才が会場を温めた。

やまいだれの解説

「やまいだれ」は部首「」の通称で、人が病で寝台にもたれかかる姿を象った形。病気・症状に関する漢字(など)を多数含みます。漢検の公式辞典「やまいだれ」索引に代表字が整理されています。

使用頻度の高い例文(やまいだれ:5例)

  • 季節の変わり目は気に注意したい。
  • 走りすぎてれがたまった。
  • けがの養に二週間かかった。
  • のどのみが引かない。
  • 花粉で目がかゆい。

部首の役割と重要性

部首とは何か?

部首は、漢字を辞書で分類・索引するための基準です。漢字は「偏(へん)」「旁(つくり)」「冠(かんむり)」「脚(あし)」「垂(たれ)」「繞(にょう)」「構(かまえ)」といった配置名(偏旁冠脚)で構成部分を説明できますが、部首はあくまで索引・分類上の採用部分を指します。文化庁資料や百科的解説でも、この区別が示されています。

漢字における部首の位置づけ

「部首」は意味・形・音のどれかを手がかりに選ばれることが多いものの、常に語源的中心を担うとは限りません。時代差・字形差を含むため、辞書間で部首判定が異なる場合もあります(漢検の採点では協会の基準に従う旨が明示)。

部首による漢字の意味の変化

部首(索引上のグループ)に入ることで、そのグループに意味領域の傾向が見えるのは事実です。广(まだれ)は「建物・屋内」、疒(やまいだれ)は「病気・症状」、厂(がんだれ)は「崖・岩・断崖」などのイメージ。一方で、個々の字の成り立ちは別要素(音符など)が主役のこともあり、「部首=必ず意味の中心」ではない点に注意しましょう(例:が广部だが原義は計る意など)。

がんだれ、まだれ、やまいだれの違い

がんだれとまだれの違いを比較

項目がんだれ(厂)まだれ(广)
画数・形2画。横画+左下がりで崖を象る。3画。斜め屋根状にかぶさる形で「建物」の覆いのイメージ。
意味傾向崖・岩・堅固・険しさ建物・庁舎・屋内・広がり
代表的な常用例厄・厚・原 など広・店・府・庭・座 など
注意点見た目が広の「广」と紛らわしい。分類上は建物由来が多いが、のように語源が別の字も含む。

康熙部首や漢検系統の索引では、上記の通称と性格が安定して用いられています。

やまいだれの特異性

「やまいだれ(疒)」は意味のまとまりが比較的明確で、病・痛・疲・療・症など健康・医療語彙に直結する字が集中します。漢字ペディアの一覧を引くと、その傾向が一目瞭然です。

漢字部首の違いの広がり

部首は検索・教育・検定の現場で実用上の役割を果たします。とりわけ学習者は、「似た形の部首の区別」を押さえると、書き分けが安定し、辞書引きも速くなります。文化庁の資料や漢検のガイドも、偏旁冠脚(配置名)部首(索引)の概念を区別して伝えています。

「まだ」「れ」に関連する漢字の一覧

「まだ」関連の漢字(=广:まだれ)

漢字よみ主な意味用例
ひろ(い)広い・広がる広場/広報/広告
みせ商店・店舗店員/本店/出店
行政区画・官庁政府/大阪府/官府
にわ庭園・庭先庭木/家庭/中庭
座る・座席座席/座談/星座

「まだれ」は建物・屋内を連想する語彙が中心で、漢字ペディアの索引(まだれ)に代表例が網羅されています。

「れ」関連の漢字(=垂れ形の代表:厂/疒)

グループ代表的な漢字言い換え意味傾向
がんだれ(厂)厄・厚・原 など厂部崖・岩・堅固・険しさ
やまいだれ(疒)病・痛・疲・療・症 など疒部病気・症状・療治

いずれも左上から覆いかぶさる「たれ」の配置(偏旁冠脚)です。

「てんてん」を使用する漢字

ここでは俗に「てんてん」と呼ばれる点が連なる部首に注目し、にすい(冫)さんずい(氵)、さらにれっか/れんが(灬)を挙げます。いずれも意味傾向が明確で、語彙の整理に有効です。

部首意味傾向代表漢字(よく使う5語)
冫(にすい)冷・凍・凝固・寒さ冷/凍/冷静/凍結/凄然
氵(さんずい)水・液体・流れ海/酒/河川/清潔/洗浄
灬(れっか・れんが)火・熱・燃焼熱/無(※旧義関係)/然/焦/熟

覚えておきたい部首の似ている漢字

がんだれに似た部首とは?

厂(がんだれ)广(まだれ)は見た目が似ています。
・厂=2画で、水平の縁+左下がり。崖の縁のシルエット。
・广=3画で、斜めの屋根がかかるような形。建物の覆いを想起。
この違いを押さえると、厄(厂)広(广)の取り違えを防げます。康熙部首や漢字辞典の部首解説・画数情報に基づく区別です。

やまいだれに関連する漢字

疒(やまいだれ)は、語彙が医療・健康に集中しやすいのが特徴です。日常でよく見るのは、。新聞・ニュース・健康情報で頻出のため、読めて書けると語彙力が大きく伸びます。索引は漢検の漢字ペディアが充実しています。

不思議な部首たちの見分け方

  • は広い建物のイメージから離れていても「广部」に入る——部首は索引上のグループである好例。
  • の本字は「冰」で、冫(にすい)が「こおる」の意を担う——点(てん)の部首は意味をよく運ぶ。
  • は「火」の変形で、下に四点が並んだ形——「れっか/れんが」と呼ぶ。

よくある質問:「がんだれ」「まだれ」「やまいだれ」の違いや意味

Q. 「がんだれ」と「まだれ」を一目で見分けるコツは?

A. 画数と輪郭で判断します。厂=2画で角ばった崖の縁、广=3画で屋根がかぶさる形。厄(厂)と広(广)を見比べる練習が近道です。

Q. 部首は必ず漢字の意味の中心を表しますか?

A. いいえ。部首は分類・索引のための採用部分で、語源的中心や意味の核と一致しない例もあります(例:)。

Q. 検定で部首の答え方が辞書によって違うときは?

A. 漢検では、協会が定める「部首一覧表」に基づいて採点されます。受験時はその基準に従いましょう。

まとめ:「がんだれ」「まだれ」「やまいだれ」の違いや意味

「がんだれ(厂)」「まだれ(广)」「やまいだれ(疒)」は、見た目は似ていても意味のまとまりが異なる三つの「たれ」系部首です。学习のコツは、①形(画数と筆勢)②意味傾向(崖/建物/病気)③代表語(厄・広・病など)をセットで記憶すること。さらに、部首は辞書分類であり、語源の中心と一致しない場合もある(例:度)という原則を理解しておくと、例外に出会っても動じません。最後に、学習・検定の場では、漢検の採点基準のような運用上の基準に従うことも大切です。

参考文献・出典

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