
「本年」と「今年」は、どちらも同じ年を指しているように見えるため、違いの意味や正しい使い分けで迷いやすい言葉です。特に、ビジネスメールや年賀状、あいさつ文では「どちらを書けば自然なのか」「失礼にならないか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、本年と今年の違いと意味をはじめ、語源、類義語、対義語、言い換え、英語表現、使い方、例文まで、はじめて調べる方にもわかりやすく整理します。日常会話では今年、改まった文書では本年、と何となく覚えている方でも、その理由まで理解すると使い分けに迷いにくくなります。
新年のあいさつだけでなく、案内文、お知らせ、社外文書、会話表現など、実際に使う場面を想定して解説しますので、「本年もよろしくお願いいたします」と「今年もよろしくお願いします」の違いを自信を持って説明できるようになります。
- 本年と今年の意味の違いと共通点
- 場面別に自然な使い分けのコツ
- 語源・類義語・対義語・英語表現の整理
- そのまま使える例文と誤用しやすいポイント
目次
本年と今年の違いを最初に整理
まずは全体像をつかみましょう。この章では、本年と今年の違いを「意味」「使い分け」「英語表現」の3つに分けて、最短で理解できるようにまとめます。
結論:本年と今年の意味の違い
結論から言うと、本年と今年は、どちらも「今のこの年」を指す言葉で、基本の意味そのものに大きな差はありません。違いが出るのは、意味の中身よりも文章のかたさと使われる場面です。一般的な辞書解説や言葉の解説でも、両者はほぼ同じ年を指す表現として扱われています。
| 語 | 基本の意味 | ニュアンス | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 本年 | 今のこの年 | 改まっていて丁寧 | 年賀状、挨拶状、案内文、社外文書 |
| 今年 | 今のこの年 | 自然で日常的 | 会話、日記、普段の文章、親しい相手への連絡 |
- 意味の中心はほぼ同じ
- 違いは「丁寧さ」と「文体のかたさ」
- 迷ったら、公的・改まった文は本年、日常表現は今年で考えると判断しやすい
本年と今年の使い分けの違い
いちばん大切なのは、相手との距離感と文章の場です。 たとえば、取引先への挨拶メールで「今年もよろしくお願いします」と書いても間違いではありませんが、「本年もよろしくお願いいたします」としたほうが、より丁寧で落ち着いた印象になります。一方、友人や家族との会話で「本年は忙しくなりそうです」と言うと、少しかしこまりすぎて聞こえることがあります。
私が使い分けるときは、次の基準で判断しています。
- 相手に敬意をしっかり示したいときは「本年」
- 自然な口語でやわらかく伝えたいときは「今年」
- 会話では基本的に「今年」
- 書面・通知・年頭の文章では「本年」がなじみやすい
- 意味が同じだからといって、どの場面でも完全に同じ印象になるわけではない
- 口頭で「本年」を多用すると、やや硬く不自然に聞こえることがある
本年と今年の英語表現の違い
英語では、本年も今年も、場面に応じて this year と表すのが基本です。日本語のように「本年」と「今年」で丁寧さを細かく分けるより、英語では文全体のトーンや敬語表現で改まり具合を調整するのが自然です。
| 日本語 | 英語表現 | 補足 |
|---|---|---|
| 本年もよろしくお願いいたします | I look forward to your continued support this year. | 直訳より自然な定型表現で伝える |
| 今年は新しい企画を始めます | We will start a new project this year. | 通常は this year で十分 |
| 本年中に完成予定です | It is scheduled to be completed within this year. | 文脈によって by the end of this year も使える |
つまり、日本語では語そのものの格式差が目立ち、英語では文全体の丁寧さで調整すると考えると理解しやすいです。
本年とは?意味・語源・使う場面を解説
ここからは、それぞれの語を個別に見ていきます。まずは本年の意味や定義、どんな場面で選ぶと自然なのか、語源や似た言葉との関係まで順番に整理します。
本年の意味や定義
本年とは、今問題にしているこの年、つまり「今年」と同じく現在の年を表す語です。ただし、語感としては今年よりも改まっており、文書語・あいさつ語として使われやすいのが特徴です。一般的な言葉の解説でも、「本年」は「今年」とほぼ同義で、よりかしこまった響きを持つ表現として説明されています。
たとえば、次のような文では本年がよくなじみます。
- 本年もよろしくお願いいたします
- 本年中の完成を予定しております
- 本年は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございました
このように、本年は「同じ年を指す語」でありながら、文章に礼儀や公的な雰囲気を加える役割を持っています。
本年はどんな時に使用する?
本年が自然に使われるのは、主に次のような場面です。
- 年賀状や寒中見舞いなどの季節の挨拶
- ビジネスメールの冒頭や末尾
- 社外向けのお知らせや案内文
- 式典・スピーチ・挨拶状などの改まった文章
特に、年頭の挨拶では「今年」より「本年」のほうが落ち着いた印象になりやすく、文章全体も整って見えます。新年の表現をより広く知りたい方は、「迎春」と「新春」の違いと使い方もあわせて読むと、挨拶文の言葉選びがよりスムーズになります。
- 本年は「正しいかどうか」より「文体に合うか」で選ぶと失敗しにくい
- 口頭より書面で使うほうが自然に見えやすい
本年の語源は?
本年の「本」は、「この」「当の」「自分に関わる」という意味合いを持つ漢語的な接頭的表現として理解するとわかりやすい言葉です。そのため、本年は「当の年」「今まさに問題にしている年」という感覚を帯びます。毎日新聞のことば解説でも、「本」には“今問題にしているそのもの”や“自分の側に属している”という説明が示されています。
つまり本年は、単に時期を示すだけでなく、文章の視点を現在の年にしっかり固定する表現だと言えます。そのため、公的な文脈や定型挨拶との相性がよいのです。
本年の類義語と対義語は?
本年には、文脈によって近い意味で使える語があります。ただし、完全に置き換えられるとは限らないので、違いを押さえておくことが大切です。
| 分類 | 語 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 類義語 | 今年 | 意味はほぼ同じで、より日常的 |
| 類義語 | 当年 | かなり硬い表現で、一般会話ではあまり使わない |
| 類義語 | 本年度 | 年ではなく年度を示すため、意味の範囲が異なる |
| 対義語 | 昨年 | 前年を指す |
| 対義語 | 来年 | 翌年を指す |
なお、「本年」と「本年度」は似ていますが同じではありません。年度の言葉は暦年とは区切り方が異なるため、混同しないことが重要です。年と年度の違いを整理したい場合は、「年次・年時・年度」の違いも役立ちます。
今年とは?意味・由来・日常での使い方
次に、今年を詳しく見ていきます。今年はもっとも日常的で使いやすい表現ですが、だからこそ本年との違いが曖昧になりがちです。ここでは意味、使う場面、由来、類語・対義語を整理します。
今年の意味を詳しく
今年とは、話し手が現在いるその年を指す、ごく自然な日本語です。日常会話、ニュース、日記、学校の作文など、幅広い場面で使えます。言葉の解説でも、「現在を含んでいる年」「話し手が身を置いているその年」という説明が一般的です。
今年は、意味としては本年とほぼ同じでも、響きがやわらかく、聞き手に距離を感じさせにくいのが特長です。そのため、かしこまりすぎたくない場面では今年のほうが自然に伝わります。
今年を使うシチュエーションは?
今年は、次のような場面で特によく使われます。
- 家族や友人との会話
- SNSや日記などの私的な文章
- 学校のレポートや一般的な説明文
- カジュアルなメールやチャット
たとえば、「今年の夏は暑い」「今年は資格の勉強を頑張る」「今年も会えてうれしい」といった文では、今年のほうが自然です。逆に、「本年の夏は暑い」とすると、意味は通じても少し硬い印象になります。
- 今年は口語にも文語にも使いやすい万能表現
- 親しい相手とのやりとりでは今年が基本
- 自然さを優先するなら、まず今年を候補にするとよい
今年の言葉の由来は?
今年は和語の「ことし」に漢字を当てた表記で、古くから日本語の中で日常的に使われてきた表現です。「今」と「年」を組み合わせた感覚に近く、話し手の現在地点に密着した言葉だと考えると理解しやすいでしょう。
本年が漢語的でやや書き言葉寄りなのに対し、今年は和語としてのやわらかさがあり、口に出したときにもなじみやすいのが違いです。この“和語らしい自然さ”が、今年の使いやすさにつながっています。
今年の類語・同義語や対義語
今年の近い言葉や反対の言葉も、整理しておくと使い分けやすくなります。
| 分類 | 語 | 補足 |
|---|---|---|
| 類語 | 本年 | 同じ年を指すが、より改まった表現 |
| 類語 | 当年 | かなり硬く、限定的な場面で使う |
| 対義語 | 昨年・去年 | どちらも前年だが、昨年のほうがやや改まる |
| 対義語 | 来年 | 次の年を指す |
「昨年」と「去年」のように、年を表す言葉には改まりの差があるものが少なくありません。年齢や暦表現の整理もしたい方は、「歳」と「年」の違いも参考になります。
本年の正しい使い方を例文で詳しく解説
ここでは、本年を実際の文章でどう使えばよいかを具体的に見ていきます。例文、言い換え、使い方のコツ、誤用しやすい表現まで押さえれば、実務でも迷いにくくなります。
本年の例文5選
まずは、そのまま使いやすい例文を5つ紹介します。
- 本年もどうぞよろしくお願いいたします
- 本年中の納品を目標としております
- 本年は格別のご愛顧を賜り、心より御礼申し上げます
- 本年の営業は十二月二十七日までとなります
- 本年一月より新体制で運営しております
どの例文にも共通するのは、やや改まった書き言葉であることです。特に、「本年もよろしくお願いいたします」は年始の定番表現として非常によく使われます。
本年の言い換え可能なフレーズ
本年は、文脈によって次のように言い換えることができます。
| 本年 | 言い換え | 使い分けの目安 |
|---|---|---|
| 本年もよろしくお願いいたします | 今年もよろしくお願いします | 親しみやすさを出したいとき |
| 本年中 | 今年中 | 日常的な文ならこちらが自然 |
| 本年一月 | 今年一月 | 会話や説明文ならやわらかい |
| 本年のご支援 | 今年のご支援 | ややくだけた文体にしたいとき |
言い換え自体は可能でも、文章の調子まで同じになるわけではありません。読み手に与える印象まで考えるのが大切です。
本年の正しい使い方のポイント
本年をうまく使うためのポイントは、次の3つです。
- 書き言葉として使う意識を持つ
- 敬語表現や定型句と組み合わせる
- 日常会話では無理に使わない
たとえば、「本年中にご返信ください」はビジネス文として自然ですが、「本年、映画見た?」のような会話では硬すぎます。本年は、意味ではなく“文体に合わせる語”として覚えると失敗しません。
- 年賀状・案内状・お礼状では本年が安定
- 社内チャットや口頭連絡では今年のほうがなじみやすい
本年の間違いやすい表現
本年でよくある混乱は、次の2つです。
- 本年と本年度を同じだと思ってしまう
- 口語でも本年を使えば丁寧だと思ってしまう
本年は暦の年、つまり一月一日から十二月三十一日を意識しやすい表現です。一方、本年度は学校や会計などの制度上の一年を指すため、期間が一致しないことがあります。この違いを見落とすと、案内文や事務文書で誤解を招きかねません。年度の考え方は、公的・制度的な区切りとして扱われることが多いと解説されています。
今年を正しく使うために知っておきたいこと
最後に、今年の使い方を具体的に確認します。今年は身近な言葉だからこそ、何となく使ってしまいがちです。例文と注意点を押さえて、より自然な表現に整えましょう。
今年の例文5選
今年は、次のような文で自然に使えます。
- 今年は新しい趣味を始めたいです
- 今年の目標は毎日読書を続けることです
- 今年も花火大会に行けるといいね
- 今年の夏休みは旅行の予定です
- 今年は昨年より売上が伸びました
どれも、会話や日常文で違和感なく使える例です。話し言葉の自然さを大切にしたいなら、今年を選ぶのが基本になります。
今年を言い換えてみると
今年は文脈に応じて、次のように言い換えられます。
| 今年 | 言い換え | ニュアンス |
|---|---|---|
| 今年 | 本年 | 改まった印象になる |
| 今年中 | 年内 | 期限や期間の印象が強まる |
| 今年の初め | 年初 | やや書き言葉らしくなる |
| 今年の終わり | 年末 | 定着した熟語で簡潔に言える |
ただし、言い換えた瞬間に印象も変わります。たとえば「今年中に終える」と「年内に終える」は近い意味ですが、後者のほうがやや事務的・定型的に響きます。
今年を正しく使う方法
今年を上手に使うコツは、相手にとって自然に聞こえるかを基準にすることです。ふだんの会話、ブログ、説明文、親しい相手へのメールでは、今年のほうが過不足なく伝わります。
また、文章の前後がやわらかい表現なのに、そこだけ本年にすると浮いて見えることがあります。たとえば、「今年は頑張ります。引き続きよろしくお願いいたします」のように、全体のトーンをそろえると文章が自然にまとまります。
- 会話では今年が基本
- 親しみやすさを保ちたいなら今年を優先
- 文全体のかたさとのバランスを見る
今年の間違った使い方
今年の誤用で多いのは、改まった文書でも常に今年を選んでしまうことです。もちろん誤りではありませんが、社外向けの年頭挨拶やお礼状では、今年だと少し軽く見える場合があります。
反対に、「今年度」と言うべき場面で「今年」を使うのも注意が必要です。たとえば学校や会社の予算・計画の話では、暦年ではなく年度が基準になっていることがあります。そこで単に今年と言うと、読む人によって範囲の解釈がずれることがあります。
- 今年は便利だが、どんな文体にも万能というわけではない
- 制度上の期間を述べる場合は、今年ではなく今年度・本年度が適切なことがある
まとめ:本年と今年の違いと意味・使い方の例文
本年と今年は、どちらも「今のこの年」を表す言葉で、基本の意味に大きな違いはありません。違いの核心は、本年は改まった書き言葉、今年は自然な日常表現という点にあります。
私のおすすめの覚え方は、とてもシンプルです。迷ったら、書面や挨拶状なら本年、会話や普段の文章なら今年です。この基準だけでも、かなりの場面で自然に使い分けられます。
| 比較項目 | 本年 | 今年 |
|---|---|---|
| 意味 | 今のこの年 | 今のこの年 |
| 文体 | 改まっている | 自然で日常的 |
| 主な場面 | 年賀状、社外文書、挨拶状 | 会話、日常文、親しい相手への連絡 |
| 英語 | this year | this year |
最後に、すぐ使える形でまとめると次のとおりです。
- 本年もよろしくお願いいたします → 丁寧で改まった表現
- 今年もよろしくお願いします → 親しみやすく自然な表現
- 本年中にご連絡ください → 事務的・文書向き
- 今年中に連絡してね → 口語的でやわらかい
意味の違いだけでなく、場面に合う表現として選べるようになると、文章の印象はぐっと整います。本年と今年の違いで迷ったときは、ぜひこの記事の比較表と例文を見返してみてください。

