
「意思と意志と意向の違いや意味がいまいち整理できていない」「意思表示や意志が強い、意向を示すなどの使い方に自信がない」「ビジネスメールでの意向確認や意思決定という表現が正しいのか不安」....そんな疑問を抱いて、「意思 意志 意向 違い 意味 や 使い分け 例文 英語表現」といったキーワードで検索している方も多いと思います。
同じ「いし」と読む漢字に、似た印象の「意向」まで加わると、語源や類義語・対義語、言い換え表現の違いまで意識して整理するのは簡単ではありません。特に、文章作成やビジネスシーンでは、微妙なニュアンスの差が信頼感にも影響するため、「意思」と「意志」と「意向」の違いを正しく理解し、適切な使い方や例文を押さえておくことが大切です。
この記事では、違いの教科書を運営しているMikiとして、普段からことばの使い分けを研究している立場から、「意思・意志・意向」の意味の違い、使い分けのポイント、語源・由来、類義語・対義語、英語表現、さらには言い換えや具体的な例文まで、体系的に解説していきます。
読み終えていただく頃には、「この場面では意思、この表現なら意志、このビジネス文書では意向」と自然に選び分けられるようになり、自分の文章や会話に安心して使えるようになります。
- 「意思」「意志」「意向」の意味の違いと、全体像を整理できる
- それぞれの語源・類義語・対義語・英語表現を把握できる
- 日常会話とビジネスシーンでの正しい使い分けと例文を身につけられる
- 間違えやすい表現と、自然な言い換え表現のコツが分かる
目次
意思と意志と意向の違い
まずは全体像として、「意思」「意志」「意向」がそれぞれどのような意味を持ち、どこが違うのかを整理します。ここを押さえておくと、その後の個別解説もすっと頭に入ってきます。
結論:意思と意志と意向の意味の違い
結論からいうと、三つの言葉はどれも「心の中の考えや気持ち」に関わりますが、焦点となる部分が少しずつ異なります。
| 語 | 主な意味 | イメージ・特徴 | よく使う例 |
|---|---|---|---|
| 意思 | 頭や心の中で思い浮かべる「考え」や「気持ち」 | 考えそのものに焦点。まだ行動には移っていない場合も含む | 意思表示、意思決定、本人の意思、意思疎通 |
| 意志 | 物事をやり遂げようとする積極的な思い、決意 | 「やる/貫くぞ」というエネルギーや覚悟に焦点 | 意志が強い、自分の意志を貫く、意志薄弱 |
| 意向 | どの方向に進みたいかという考えの向き、方針 | 心や考えが向かう「方向性」や「方針」に焦点 | 進学の意向、出馬の意向、会社の意向、意向を示す |
ざっくりまとめると、「意思=考えや気持ち」「意志=やり遂げようとする決意」「意向=進もうとしている方向性・方針」と整理すると覚えやすくなります。
同じ「いし」でも、何に焦点を当てているかで使う漢字が変わる、という意識を持つと、漢字の選択ミスがぐっと減ります。
意思と意志と意向の使い分けの違い
使い分けのポイントは、「考えそのもの」なのか、「やり遂げる覚悟」なのか、「方向性や方針」なのか、という三つの観点です。
- 考えを表したいとき…本人の考え・希望 → 「本人の意思」「賛成の意思を示す」
- 決意や粘り強さを表したいとき…やり抜く力 → 「強い意志」「意志を貫く」
- 方針・方向性を表したいとき…組織や人の進む方向 → 「会社の意向」「出馬の意向を固める」
たとえば「いしが強い人」という場合、「目標に向かって最後までやり抜く人」というニュアンスなので、漢字は「意志」が自然です。一方、「賛成のいしを示す」は「賛成という考えをはっきり伝える」という意味なので、「意思」を使います。
「意思」と「意志」は、口語ではどちらも「いし」と読むため、誤変換やタイプミスが起こりやすい言葉です。特にビジネスメールでは、「意思表示」「意思決定」などの決まりフレーズを正しい漢字で覚えておくことをおすすめします。
意思と意志と意向の英語表現の違い
英語表現まで押さえておくと、ビジネスメールや英文資料でのニュアンスの違いを表しやすくなります。
| 日本語 | 代表的な英語表現 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 意思 | intention, will, one’s wishes | 「どうしたいと考えているか」という意図・気持ち |
| 意志 | will, determination, willpower, volition | 「やり遂げようとする強い気持ち・決意」 |
| 意向 | intention, inclination, one’s intention, policy | 「どの方向へ進みたいのか」という方向性・方針 |
たとえば、「会社としての意向を示す」であれば、express the company’s intention / policy、「強い意志を持つ」は have a strong will / strong determination などが自然な英語表現です。
日本語の「意思」「意志」「意向」は、英語ではいずれも will / intention の範囲で表されることが多く、完全に一対一対応する単語があるわけではありません。文脈に応じて、意図なのか決意なのか方針なのかを意識して訳語を選ぶことが大切です。
意思の意味
ここからは、「意思」「意志」「意向」を一つずつ掘り下げていきます。まずは、もっとも広い場面で使われる「意思」から見ていきましょう。
意思とは?意味や定義
「意思」とは、頭や心の中に思い浮かべる考えや気持ちを指す言葉です。ある物事について「どうしたいか」「どう思っているか」といった内面的な考えを含む、比較的広い概念だと捉えてください。
辞書的には、「ある行為をしようとする考え」「物事に対して持つ考えや気持ち」といった説明がなされることが多く、まだ行動に移していなくても、その人の中に存在している考え・希望・思い全般を含みます。
そのため、「本人の意思」「患者の意思」「意思表示」「意思決定」「意思疎通」といったように、主に「考えの内容」や「それを伝える行為」を表す場面で使われます。
意思はどんな時に使用する?
「意思」は、日常会話からビジネス、医療、法律文書まで幅広く登場する言葉です。典型的な使い方を整理しておきましょう。
- その人の考えや希望を指すとき…「本人の意思を尊重する」「患者の意思を確認する」
- 賛成・反対などの考えを表すとき…「賛成の意思を示す」「意思表示を求める」
- 集団としての考えをまとめるとき…「組織としての意思決定」「意思統一を図る」
- コミュニケーションの可否を指すとき…「意思疎通を図る」「意思の疎通がうまくいかない」
特にビジネスや公的な場面では、「ご本人の意思」「ご家族の意思」「会社としての意思」など、当事者の考えを確認し、尊重する姿勢を示すためのキーワードとして頻出します。
意思の語源は?
「意思」という熟語は、「意」と「思」の二つの漢字から成り立っています。
- 「意」…心の中にある考えや気持ち
- 「思」…頭と心であれこれと考える働き
「思」は、「田(頭)」と「心」を組み合わせた形から、頭と心でじっくり考える様子を表すとされています。
この二つが組み合わさることで、心の中で練られた「考え」「思案」そのものというニュアンスが強くなり、現在の「意思」という意味合いにつながっています。
意思の類義語と対義語は?
「意思」に近い意味を持つ類義語としては、次のような語が挙げられます。
- 考え
- 思い
- 気持ち
- 意図
- 意向
- 本心
- 希望
- 意図
一方で、「意思」の対義語といえる表現には、次のようなものがあります。
- 無意識
- 無自覚
- 無関心
- 無意図(意図がない状態)
厳密な意味で一対一に対応する「対義語」があるというより、「はっきりした考えがある状態」と「特に考えていない状態」を対比させる形で理解すると分かりやすくなります。
意志の意味
次に、「強い意志」「意志が固い」といった形でよく使われる「意志」について、意味や使われ方を整理します。
意志とは何か?
「意志」とは、ある目的に向かって行動しようとする積極的な思い、決意を表す言葉です。
心理学的には、「目的を選び、その実現に向かって自分の行動をコントロールしようとする精神の働き」と説明されることもあります。日常的には、「やると決めたらやり抜く心の力」と捉えるとイメージしやすいと思います。
そのため、「意志が強い」「意志を貫く」「意志が弱い」「意志薄弱」といったように、人の粘り強さや覚悟の度合いを表す場面で多く使われます。
意志を使うシチュエーションは?
「意志」が登場しやすいシチュエーションを整理してみましょう。
- 目標達成への決意を語るとき…「最後までやり切る強い意志を持つ」
- 困難に負けない心を褒めるとき…「逆境にも負けない意志の強さ」
- 信念を貫く姿勢を表すとき…「自分の意志を貫いて生きる」
- 自己管理や習慣づくりに関して…「禁煙を続けるには強い意志が必要だ」
「意思」との違いを一言でいうなら、「意志」には“行動へのベクトル”が強く含まれているという点です。単なる考えではなく、「実際に動くための心のエネルギー」だと考えてください。
意志の言葉の由来は?
「意志」は、「意」と「志」という二つの漢字から成り立っています。
- 「意」…心の中の考え・思い
- 「志」…ある方向をめざす気持ち、こころざし
「志」は、「士(進んで行く足の形)」と「心」から成り、「心が目標に向かって進んでいくこと」を意味する字とされます。
この「志」によって、単なる考えではなく、目標へ向かって進もうとする前向きな力が強調され、「意志」という言葉が「決意」「やる気」「忍耐力」のようなイメージを持つようになりました。
意志の類語・同義語や対義語
「意志」に近い意味を持つ類語としては、次のような語が挙げられます。
- 決意
- 覚悟
- 信念
- 志(こころざし)
- やる気
- 志向
- 決心
一方で、反対のイメージを持つ対義語・反意的な表現には、次のようなものがあります。
- 優柔不断
- 意志薄弱
- 無気力
- 無気力状態
- 流されやすさ
「意志」は単独でもよく使われますが、「強い意志」「固い意志」「不屈の意志」のように、前に形容詞をつけて強調して使うのが一般的です。
意向の意味
最後に、「出馬の意向」「会社の意向」など、ニュースやビジネスシーンで頻出する「意向」について整理します。
意向の意味を解説
「意向」とは、どうするつもりかという考えの方向性や方針を表す言葉です。
個人の意向であれば「本人がどのようにしたいと考えているか」、組織の意向であれば「組織としてどちらの方向に進む方針なのか」を示すときに使われます。
ニュースなどでは、「出馬の意向を固める」「続投の意向を示す」「廃止する意向を明らかにした」といった表現がよく見られます。
意向はどんな時に使用する?
「意向」が使われる代表的なシチュエーションは次の通りです。
- 政治・ニュース…「立候補の意向を表明した」「続投の意向を示す」
- ビジネス…「取引先の意向を尊重する」「会社としての意向を確認する」
- 進路・キャリア…「進学の意向」「転職の意向」「独立の意向」
- 医療・福祉…「治療方針についてご本人の意向を伺う」
ここから分かる通り、「意向」はある程度具体的な選択肢の中で、どちらの方向に進みたいかが形になりつつある段階で使われることが多い言葉です。
意向の語源・由来は?
「意向」は、「意」と「向」の二つの漢字から成り立っています。
- 「意」…心の中にある考えや気持ち
- 「向」…ある方向へ向かうこと、向き
「向」は、屋根に開けた穴から空気が出ていく様子を表す字形から、「ある方向に向かう」という意味が生まれたとされています。
これに「意」が組み合わさることで、「心や考えがどの方向に向かっているか」=「意向」という意味合いができあがりました。
意向の類義語と対義語は?
「意向」の類義語には、次のような語が挙げられます。
- 意思
- 意志
- 希望
- ニーズ
- 方針
- 意図
- 方策
一方で、対義的なイメージを持つ言葉としては、以下のような表現が考えられます。
- 無方針
- 白紙
- ノープラン
- 意向を持たない(方向性が定まっていない状態)
ビジネス文書では、「ご意向」という形で、相手の方針やお考えを丁寧にうかがう表現として用いられます(例:「先方のご意向を伺った上で決定いたします」)。
意思の正しい使い方を詳しく
ここからは、「意思」「意志」「意向」それぞれについて、より実践的な使い方や例文、言い換え表現を整理していきます。まずは「意思」から具体的なイメージを固めていきましょう。
意思の例文5選
「意思」を使った例文を、日常とビジネス場面からバランスよく挙げてみます。
- 本人の意思を尊重して、進学先を決めたいと考えています。
- 彼は、その計画に参加する意思がないようだ。
- 退職の意思を、上司に正式に伝えた。
- 担当者との意思疎通がうまくいかず、プロジェクトが遅れてしまった。
- 患者さんの意思表示を確認したうえで、治療方針を決定します。
これらの例文に共通するのは、「どうしたいか」「どのように考えているか」という内面の考えや希望が中心になっている点です。
意思の言い換え可能なフレーズ
文脈によっては、「意思」を別の表現に言い換えたほうが伝わりやすくなることがあります。
- 意思 → 考え/思い/希望/本心/意図
- 意思を示す → 考えを表明する/意図を伝える/本心を打ち明ける
- 意思表示 → 意思表明/意図の表明/考えの明示
たとえばビジネスメールでは、「参加の意思があります」だけでなく、「参加する意向があります」「参加を希望しております」のように、状況に応じて言い換えることで、より丁寧かつ分かりやすいニュアンスを伝えられます。
意思の正しい使い方のポイント
「意思」を正しく使うためのポイントを整理しておきましょう。
- 「考え・希望」に焦点があるときに使う(行動力そのものではなく、その前段階)
- ビジネスでは、「意思決定」「意思疎通」「意思表示」などの決まり表現を覚えておく
- 相手の考えを尊重する文脈では、「ご意思」「ご本人の意思」のように敬語を付ける
迷ったときは、「まだ頭の中で考えている段階かどうか」を基準に判断すると、「意志」や「意向」との使い分けがしやすくなります。
意思の間違いやすい表現
「意思」でよくある間違い・注意点も押さえておきましょう。
- ×「意思が強い」→ 一般的には「意志が強い」が自然
- ×「いしを貫く」→ 「意志を貫く」が適切
- △「意思疎通」→ 「意志疎通」と書く場合もありますが、現代日本語では「意思疎通」が主流
特に「意思が強い/意志が強い」のような表現は、IMEの変換候補にまかせてそのまま送ってしまうと誤字になることが多いです。送信前に、「考え」なのか「決意」なのかを一呼吸おいて見直す習慣をつけておくと安心です。
意志を正しく使うために
続いて、「意志」の具体的な例文と使い方のコツを見ていきます。ここでは、「決意」や「粘り強さ」をどう表現するかに注目してみてください。
意志の例文5選
「意志」を使った例文を、日常・ビジネス・自己啓発的な文脈から挙げます。
- 彼女は困難な状況でも、自分の意志を貫き通した。
- 禁煙を続けるには、相当な意志の強さが求められる。
- チームをまとめるには、リーダーとしての意志を明確に示す必要がある。
- 彼は、自分の信念と意志を持って行動するタイプだ。
- 強い意志があったからこそ、長年の目標を達成できたのだと思う。
どの例文も、「やると決めたことをやり遂げようとする気持ち」が中心になっている点がポイントです。
意志を言い換えてみると
「意志」は、文脈に応じて次のような言葉に言い換えることができます。
- 意志 → 決意/覚悟/信念/やる気/志
- 意志が強い → 決意が固い/覚悟ができている/ブレない信念がある
- 意志を貫く → 信念を貫く/決意を曲げない/志を通す
たとえば、「意志が強い人だ」の代わりに「決意を行動で示せる人だ」と表現すれば、やや抽象的な「意志」を具体的な行動イメージに落とし込むことができます。
意志を正しく使う方法
「意志」を正しく使うためには、次の三点を意識するとよいでしょう。
- 「行動へのエネルギー」が話題になっているかを確認する
単なる考えなら「意思」、方向性・方針なら「意向」、粘り強さや決意なら「意志」です。 - 人物評価と相性がよいことを意識する
「意志が強い人」「意志の強さに驚いた」のように、人柄を評価する文脈で使われることが多いです。 - ポジティブな場面で使うことが多い
「意志薄弱」というマイナスの言い方もありますが、基本的には「尊敬や称賛」を込めた表現として使われます。
意志の間違った使い方
「意志」で注意したい誤用・紛らわしい表現も確認しておきましょう。
- ×「本人の意志確認書」→ 一般的には「本人の意思確認書」
- ×「賛成の意志を示す」→ 「賛成の意思を示す」が自然
- △「意志表示」→ 法律・ビジネスでは「意思表示」が圧倒的に一般的
契約書や同意書、医療同意文書などでは、「意思」「意志」「意向」の違いが法的な意味合いにも関わってくる場合があります。重要な文書の表記については、必ず公式なひな形や専門家のチェックを受け、自己判断だけで決めないようにしましょう。
意向の正しい使い方を解説
最後に、「意向」の具体的な使い方と例文を確認し、ビジネスシーンで迷わず使える状態を目指しましょう。
意向の例文5選
「意向」を使った代表的な例文を挙げます。
- 新規事業について、取締役会としての意向を早めに示す必要がある。
- 先方の意向を十分に踏まえたうえで、提案内容を調整してください。
- 彼は、来年度の総選挙への出馬意向を固めたと報じられている。
- 進学の意向について、保護者の方にもアンケートをお願いしています。
- 会社の意向としては、現在の方針を維持する考えです。
このように、「意向」は具体的な選択肢の中で、どちらに進むかという方針を表すときに多用されます。
意向を別の言葉で言い換えると
「意向」は、状況によって次のような表現に言い換えることができます。
- 意向 → 方針/考え/希望/意図/スタンス
- 意向を示す → 方針を示す/考えを明らかにする/スタンスを表明する
- 意向を伺う → 方針を伺う/ご希望をお聞きする/お考えを確認する
ビジネスメールなどで丁寧に表現したい場合は、「ご意向を伺えますと幸いです」「先方のご意向を確認した上で、あらためてご連絡いたします」のような形にすると、相手を立てつつ、柔らかく意思確認ができます。
意向を正しく使うポイント
「意向」の使い方で意識しておきたいポイントは、次の三つです。
- 方向性・方針を表す言葉であること
単なる「気持ち」ではなく、「どちらへ進むつもりか」という方向性がはっきりしているときに使います。 - 個人だけでなく組織にも使えること
「会社の意向」「政府の意向」「学校としての意向」など、組織の方針にもよく使われます。 - ニュースや公的な文脈で頻出すること
「出馬の意向」「続投の意向」など、ややフォーマルな響きを持つ表現です。
意向と誤使用しやすい表現
「意向」は、「意思」や「意志」と混同しやすい言葉でもあります。特に次のような表現には注意が必要です。
- ×「本人の意向確認書」→ 内容によっては「本人の意思確認書」が適切(本人の考えそのものを確認する文書の場合)
- △「転職の意思」/「転職の意向」→ 転職するかどうかの考えを広く指すなら「意思」、転職に向けて動き出す方針が固まっているなら「意向」
- ×「意向疎通」→ 「意思疎通」が正しい表現
特に人事・労務・契約関連の文書では、「意思」「意志」「意向」の選び方が、本人の意思決定のレベル感や、会社としての責任範囲に関係してくるケースもあります。迷った場合は、社内規定や公式な書式、専門家の判断を必ず確認してください。
似たような言葉の違いを整理したい場合には、同じ「違いの教科書」の記事である「自信」と「自身」の違いや意味・使い方・例文や、「完遂」と「遂行」の違い・意味・使い方、「ほか」「他」「外」の違いと意味・使い方・例文も、あわせて読むと理解が深まります。
まとめ:意思と意志と意向の違いと意味・使い方の例文
最後に、「意思」「意志」「意向」の違いと使い分けのポイントをコンパクトにまとめます。
- 意思…頭や心の中にある「考え」「気持ち」を表す。意思表示・意思決定・本人の意思など、考えそのものやその表明にフォーカスする場面で使う。
- 意志…目的をやり遂げようとする「決意」「覚悟」「粘り強さ」を表す。意志が強い/意志を貫くなど、行動へのエネルギーを語る場面で使う。
- 意向…どちらの方向に進みたいかという「方針」「方向性」を表す。出馬の意向/会社の意向/進学の意向など、具体的な選択をめぐる方針を表す。
迷ったときは、
- 考えそのもの → 意思
- やり遂げる決意 → 意志
- 進む方向や方針 → 意向
という三つの観点で考えてみてください。
ことばの選び方は、相手への配慮やプロとしての信頼感にも直結します。日々の記事や会話の中で、「今使っているのは意思・意志・意向のどれか?」を少しだけ意識してみるだけでも、日本語の感覚は確実に磨かれていきます。

