「期す」と「期する」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「期す」と「期する」の違いや意味・使い方・例文まとめ

「期すと期するの違いや意味がよく分からない」「万全を期すという言い回しは知っているけれど、期するとの違いはあるの?」「期すの意味や読み方、類義語や対義語、英語表現までまとめて知りたい」....そんな疑問を持って、期すや期するの違いや意味に関する情報を検索している方も多いと思います。

ビジネスメールやスピーチの中で「成功を期す」「安全を期する」「再会を期する」などの表現を目にすると、どちらの形が正しいのか、ニュアンスの違いはあるのか、期すと期待するの違いは何か、万全を期すの意味は本当に理解できているのか、不安になる瞬間がありますよね。

この記事では、期すと期するの意味の違いや使い分け、期すの語源や類義語・対義語、期するの英語表現や例文、「万全を期す」の正しい意味と使い方まで、初学者の方にも分かりやすいように整理して解説していきます。

最後まで読んでいただければ、「期す」と「期する」の違いや意味、ビジネスや日常での自然な使い方がスッキリ整理でき、自信を持って文章や会話の中で使いこなせるようになります。

この記事を読んでわかること
  1. 期すと期するの意味の違いと、どちらを選ぶべきかの判断基準
  2. 期す・期するそれぞれの使いどころ、語源、類義語と対義語
  3. 「万全を期す」などの代表的な言い回しと英語表現・例文
  4. ビジネスで失礼にならない、期す・期するの正しい使い方とよくある誤用

期すと期するの違い

まずは全体像として、期すと期するの意味の違いと、現代日本語でどのように使い分けられているかを整理していきます。ここを押さえておくと、あとで出てくる例文や英語表現も理解しやすくなります。

結論:期すと期するの意味の違い

結論から言うと、期すと期するは、意味としてはほぼ同じで「期待する・あらかじめ時期を定める・心に誓う」といったニュアンスを持つ動詞です。

ただし、歴史的な文法の観点から見ると違いがあります。もともと「期する」はサ行変格動詞で、文語文では

  • 終止形:期す
  • 連体形:期する

という形で使い分けられていました。現代語では終止形と連体形が同じ形に統一されていったため、「期する」が主流になり、期すはやや文語的・硬い印象の残る形として使われています。

意味の面では、どちらも次の三つの意味を共有しています。

意味の分類説明
① 期待するある結果を強く望み、それが実現すると見込む成功を期す/勝利を期する
② 時期を定めるあらかじめ時刻・期限・タイミングを決める正午を期して決起する
③ 心に誓うあることを成し遂げようと固く決意する再会を期する/必勝を期す

期すと期するの使い分けの違い

意味は同じでも、現代の日本語では「どんな文章で、どちらの形がよく使われるか」に違いがあります。辞書や用例集を眺めていると、次の傾向がかなりはっきり見えてきます。

  • 期す:文語的・硬い文章、標語的なフレーズ、やや古風な印象を出したいときに好まれやすい(例:万全を期す、必勝を期す、再起を期す)
  • 期する:現代のビジネス文書・新聞・説明文など、一般的な文章全般で幅広く使われる(例:安全を期する、成功を期する、正確を期する)

特に「万全を期す」「再起を期す」のような定着したフレーズでは、期すの形で覚えている人が多く、逆に「安全を期する」「正確を期する」は期するの形で見かけることが多い印象です。

MEMO

同じようなペアとして「課す/課する」「科す/科する」などもあります。サ行変格動詞から現代語へ移行する過程で、終止形と連体形の形が整理される中で揺れが生じたケースです。詳しくは、「課する/課す」と「科する/科す」の違いも参考になると思います。

期すと期するの英語表現の違い

英語にするときは、期すと期するを区別して訳す必要はなく、文脈に応じて自然な表現を選びます。代表的なパターンを挙げると、次のようになります。

日本語意味のニュアンスよく使う英語表現
万全を期す/万全を期する抜かりがないように徹底的に準備するtake every possible measure/be fully prepared/ensure everything is in place
成功を期す/成功を期する成功を強く期待し、そのための対策を整えるaim for success/be determined to succeed/work to ensure success
安全を期する安全を確保するよう入念に準備するensure safety/take every precaution
再会を期する再び会うことを約束・期待するlook forward to meeting again/plan to meet again
正確を期する誤りのないよう正確さを重視するensure accuracy/strive for accuracy

期す/期するには「期待する」よりも「期待に向けてきちんと備える・図る」という能動的なニュアンスがあるため、単純なexpectよりもensure, make sure, be preparedといった表現を選ぶと雰囲気が近くなります。

期すの意味

ここからは、期すと期するを分けて、より細かい意味や語源、使いどころを見ていきます。まずは、やや古風な響きもある「期す」から整理しましょう。

期すとは?意味や定義

国語辞典では、期すは「期する」の別形として説明されることが多く、意味そのものは期すると同じです。

具体的には、次の三つの意味で使われます。

  • ある結果を期待する(例:成功を期す)
  • あらかじめ時刻や期限を定める(例:来春を期して計画を進める)
  • 何かを成し遂げようと心に誓う(例:再起を期す)

特にビジネスやニュースの文章では、「万全を期す」や「再起を期す」など、四字熟語的なフレーズの中で見かけることが多い形です。単独で「〜を期す」と書くと、やや硬い・格調高い印象を与えます。

期すはどんな時に使用する?

日常会話では「期す」を声に出して使う場面はあまり多くありません。むしろ、ビジネス文書・新聞記事・論説・スピーチ原稿など、少しかしこまった文章で使われることが多い語です。

例えば、次のような場面が典型的です。

  • 会社としての決意や方針を示す文章
    例:「本プロジェクトの成功を期し、全社を挙げて取り組みます。」
  • 失敗が許されないイベント前のコメント
    例:「安全管理には万全を期すよう、改めて指示を徹底しました。」
  • スポーツ・選挙などでの「再起」を表す表現
    例:「彼は来季の完全復活を期して、厳しいトレーニングに励んでいる。」

こうした場面では、期すると書いても意味は同じですが、期すを使うことで、文全体のトーンをぐっと引き締める効果があります。

期すの語源は?

期す・期するの「期」は、漢語由来の語で、もともと中国語で「定められた時」「あらかじめ決めておいた時期」「期待・希望」といった意味を持つ字です。

日本語においても、そのまま

  • 時期を定める → 時期を期す
  • ある結果を期待する → 成功を期す
  • 心に誓い、目標を据える → 再起を期す

といった形で受け継がれてきました。

文語文法では、サ行変格動詞「期す(きす)」の終止形が「期す」、連体形が「期する」とされていましたが、現代語に移る過程で連体形が終止形の役割を兼ねるようになり、「期する」が一般化しました。その結果、「期す」は古い終止形の名残として、文語的なスタイルを出したいときに選ばれる形になっています。

期すの類義語と対義語は?

期すのニュアンスをつかむには、類義語・対義語を並べてみるのが一番分かりやすいです。期すのコアには、「ただ漠然と期待する」のではなく、その期待を叶えるために備える・決意するというイメージがあります。

分類ニュアンス
類義語期待する結果を望む、比較的広く・柔らかい期待
類義語図る実現のために計画・工夫をこらす
類義語誓う/決意する/覚悟する心に誓い、強い意志を持つ
類義語目指す目標に向かって進もうとする
対義語イメージあきらめる期待や目標を手放す
対義語イメージ放棄する/怠る責任や準備をやめる・さぼる

「成功を期す」と「成功を期待する」を比べると、後者は願望寄りですが、前者には「成功させるつもりで準備も整える」という能動的なニュアンスがしっかり含まれます。

期するの意味

次に、現代日本語でより頻繁に使われる「期する」について、意味や使い方、由来などを整理していきます。

期するとは何か?

辞書的には、期するは次の三つの意味を持つサ行変格動詞です。

  1. あらかじめ期限・時刻・タイミングを決める(例:正午を期して決起する)
  2. 結果を期待する(例:生還は期しがたい)
  3. 心に誓い、約束する(例:再会を期する、必勝を期する)

実務的には、「安全を期する」「正確を期する」「万全を期する」など、名詞+を+期するの形で使われるのが最も一般的です。ここでは「〜がきちんと確保されるように備える」というニュアンスになります。

期するを使うシチュエーションは?

期するは、会話よりも文章の中でよく使われる語ですが、期すよりは現代的で、「普通のビジネス日本語」の範囲に収まる印象です。代表的なシチュエーションを挙げると、次の通りです。

  • ビジネスメールや報告書
    例:「本件については、正確を期するため、資料を再確認いたします。」
  • 企業の公式コメント・プレスリリース
    例:「お客様の安全を期するため、再発防止策を徹底してまいります。」
  • 講演・スピーチ・挨拶文
    例:「このプロジェクトの成功を期して、全力で取り組む所存です。」
  • やや硬めの説明記事・コラム
    例:「本書は、日本語表現の正確を期する観点から、細かな用法も検討している。」

口頭でも使えますが、堅くなりすぎる場合は「安全を確保する」「正確さを大切にする」など、より平易な言い換えにすることもよくあります。

期するの言葉の由来は?

期するは、前述の通りサ行変格動詞で、文語文では「期す(終止形)/期する(連体形)」と活用していました。現代語の中で連体形が終止形の機能を吸収していく過程で、「期する」が主役の形として残ったと考えると理解しやすいと思います。

また、「期せずして」という表現もありますが、これは

  • 期する(期待する・予定する)+ ず(打ち消し)+ して

が一語になったもので、「予期しないで・思いがけず」という意味です。「期せずして再会した」=「予定もしていなかったのに偶然再会した」といったニュアンスになります。

期するの類語・同義語や対義語

期するの類語も、基本的には期すと同じグループに属しますが、現代語としての使われ方を意識すると整理しやすくなります。

区分現代語での使われ方
類語期待するもっとも一般的・口語的な表現。ビジネスでも広く使用。
類語嘱望する活躍・将来性に期待する、やや硬い書き言葉。
類語図る「成功を図る」「改善を図る」など、計画的な行動に焦点。
類語誓う/心がける心の中の決意・継続的な意識に焦点。
対義語イメージ無視するリスクや課題に目をつぶるイメージ。
対義語イメージ怠る「安全を期する」の反対、「安全管理を怠る」など。

ビジネス文書では、「安全を期する」→「安全を確保する」「安全管理を徹底する」などに言い換えるだけで、読み手にとって分かりやすく、かつ同じニュアンスを保つことができます。

期すの正しい使い方を詳しく

ここからは、実際の文章で迷いやすいポイントを、具体的な例文や言い換え表現とともに見ていきます。まずは、やや文語的な響きを持つ「期す」の使い方からです。

期すの例文5選

期すを使った例文を、ビジネス寄りのものを中心に5つ挙げます。

  1. 本プロジェクトの成功を期すため、全メンバーが準備に全力を注いでいる。
  2. 不測の事態が起こらないよう、安全面には万全を期す必要がある。
  3. 来期の業績回復を期して、新たなマーケティング戦略を打ち出した。
  4. 彼は再起を期す思いで、基礎からトレーニングをやり直している。
  5. 品質の向上を期す観点から、検査工程を一部見直した。

例文を見ると分かる通り、「〜を期す」の前には、成功・安全・再起・品質など、実現したい状態を表す名詞が来ることが多いのが特徴です。

期すの言い換え可能なフレーズ

期すは便利な言葉ですが、使いすぎると文章が硬く感じられることもあります。場面に応じて、次のような言い換えも検討できます。

  • 成功を期す → 成功を目指す/成功させるつもりで準備する
  • 安全を期す → 安全を徹底して確保する/安全管理を万全にする
  • 再起を期す → 再起を図る/もう一度立ち上がろうと決意する
  • 品質の向上を期す → 品質向上を図る/品質をさらに引き上げることを目標とする
  • 勝利を期す → 必ず勝つつもりで臨む/勝利に向けて万全の準備をする

文章のトーンを少し柔らかくしたいときには、「期す」をそのまま使うよりも、これらの言い換えの方が自然に感じられるケースも多いです。

期すの正しい使い方のポイント

  • 「期す=期待+準備」のイメージで使う(単なる願望ではない)
  • 文書のトーンを少し格調高くしたいときに選ぶ
  • 名詞+を+期すの形で使うと自然(成功を期す/安全を期す など)
  • 日常会話では、より平易な表現への言い換えも積極的に検討する

特にビジネスの現場では、読み手が「期す」という語に馴染んでいるとは限りません。社外文書などで誤解を避けたいときは、「万全を期す(=万全の準備をする)」のように、意味が透けて見えるようなセットで使うのがおすすめです。

期すの間違いやすい表現

期すに関してよくある誤り・注意点も押さえておきましょう。

  • × 万端を期す → ○ 準備万端整える/万全を期す
    「万端」は「準備万端」のように使う語で、「期す」とは通常組み合わせません。
  • 表記ゆれに注意
    「万全を期す」「万全を期する」はどちらも見かけますが、文章全体でどちらかに統一した方が読みやすくなります。
  • あまり多用しない
    一つの文書の中で「〜を期す」が連続すると、くどい印象になります。必要な箇所に絞って使うのがポイントです。
CAUTIONT

日本語表現の「正しさ」には、辞書的な意味だけでなく、業界ごとの慣習や自社の文章スタイルも大きく関わってきます。数値・契約条件・安全に関わる表現などは、あくまで一般的な目安として捉え、正確な情報は公式サイトや社内規程なども必ずご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて日本語教育や法務などの専門家にご相談ください。

期するを正しく使うために

続いて、現代の文章で最もよく使われる形「期する」について、例文や言い換え表現を通じて、より実践的な使い方を整理していきます。

期するの例文5選

まずは、期するを使った代表的な例文を5つ挙げます。

  1. お客様の安全を期するため、設備の点検を強化いたしました。
  2. 試験の正確を期するため、第三者機関による再検証を行う。
  3. このプロジェクトの成功を期して、関係各所と連携を図っている。
  4. 正午を期して、新サービスの提供を開始いたします。
  5. 再会を期する思いで、互いの連絡先を交換した。

ビジネス文脈では、「〜を期するため」の形で、目的や配慮を丁寧に説明する役割を担うことが多いのが分かると思います。

期するを言い換えてみると

期するも、状況によってはより分かりやすい日本語に言い換えた方が伝わりやすくなる場合があります。いくつか例を挙げます。

  • 安全を期する → 安全を確保する/安全対策を徹底する
  • 正確を期する → 正確さを重視する/誤りがないようにする
  • 成功を期する → 成功を目指す/成功するよう全力を尽くす
  • 信頼回復を期する → 信頼回復を図る/信頼を取り戻すことを目指す
  • 再会を期する → また会えるように約束する/再び会うことを楽しみにする

特に、社外向けの文章や、幅広い年齢層が読むお知らせでは、期するという語そのものがハードルになる場合もあります。そのときは、上記のような平易な言い換えを検討してみてください。

期するを正しく使う方法

期するを使うときのコツを、簡潔にまとめておきます。

  • 名詞+を+期するの形を基本形として覚える
  • 「〜を期するため」の形で、配慮や目的を説明するのに使う
  • 文脈に応じて「期待する」「図る」「確保する」などに言い換えも検討する
  • 同じ文章内で「期す」と混在させないよう、どちらかに統一する
MEMO

また、違いの教科書では、「通常どうり」と「通常どおり」など、表記ゆれが生じやすい言葉の違いも詳しく解説しています。期するのような硬めの語を使うときも、表記統一の意識を持っておくと、読みやすく信頼される文章につながります。

期するの間違った使い方

最後に、期するに関して注意したいポイントを見ておきましょう。

  • 意味があいまいなまま多用する
    「期する」には「期待する」「時期を定める」「誓う」の三つの意味があります。前後の文脈から、どの意味で使っているかが読み手に伝わるように書くことが大切です。
  • 「期待する」と完全に同じだと思って使う
    単なる願望ではなく、「そのための備え・準備」のニュアンスがあることを意識しておくと、使い方が自然になります。
  • 口語として多用しすぎる
    会話で「〜を期してさ」などと言うと、大げさ・芝居がかった印象になることがあります。会話では、もう少しくだけた表現に置き換えた方が自然です。

まとめ:期すと期するの違いと意味・使い方の例文

最後に、この記事で見てきたポイントをコンパクトにまとめます。

  • 期すと期するは、意味としてはほぼ同じで、「期待する」「あらかじめ時期を定める」「心に誓う」の三つの意味を持つ
  • 歴史的には「期す」が終止形、「期する」が連体形だったが、現代語では期するが一般化し、期すはやや文語的・硬い印象を持つ形として残っている
  • ビジネスや公式な場面では、「万全を期す/期する」「安全を期する」「成功を期する」など、名詞+を+期する/期すの形で使うのが基本
  • 「期す=期待+準備」のイメージを持ち、必要に応じて「期待する」「図る」「確保する」などの言い換えも活用すると、読み手にとって分かりやすい文章になる
MEMO

同じように似ているけれど意味が異なる日本語には、「習得」と「修得」、ひらがな・漢字表記の揺れなど、さまざまなパターンがあります。例えば、「習得」と「修得」の違いのように、背景や語源を押さえることで、表現の選び方に自信がつきます。

期すと期するは、一見するとどちらを使ってもよさそうに見える表現ですが、文章のトーンや読み手の印象を微妙に変えてしまう重要な言葉です。この記事の内容を参考にしながら、シーンや読み手に合わせて、最適な形を選べるようになっていただけたら嬉しいです。

なお、本記事で紹介した意味や使い方・英語表現・類義語/対義語などは、あくまで一般的な目安に基づいて整理したものです。正確な情報は公式の辞書や公的な日本語ガイドライン、関連する公式サイトなども必ずご確認ください。契約文や法律・安全にかかわる文章など、重要な場面で用いる場合は、最終的な判断を日本語教育・校閲・法務などの専門家にご相談いただくことを強くおすすめします。

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