
ビジネスメールや公的文書で、ふと「当職」や「小職」を見かけて「結局どっちが正しいの?」「意味の違いは?」「使い分けを間違えたら失礼?」と不安になることがあります。
とくに「当職 小職 違い 意味」と検索している方は、敬語としての距離感、一人称としての位置づけ、士業や公務員での使い方、文書での自然な言い換え、英語表現、そして実際の例文まで一気に整理したいはずです。
この記事では、当職と小職の定義・ニュアンス・使い方(メール/文書/依頼文/照会文)を、語源・類義語・対義語も含めてまとめます。読み終えるころには、相手や場面に応じて「当職/小職/私/当方」などを迷わず選べる状態を目指せます。
- 当職と小職の意味の違いと、失礼になりにくい使い分け
- 当職・小職の使うシーンと、メールでの自然な型
- 語源・類義語・対義語、言い換えフレーズと英語表現
- そのまま使える例文10本(当職5・小職5)と注意点
当職と小職の違い
最初に、当職と小職を「意味」「敬意(へりくだり)の強さ」「使われやすい職域」の3点で整理します。ここが分かると、文書での言い換えや例文もスムーズに理解できます。
結論:当職と小職の意味の違い
結論から言うと、当職は「当該の職務に就いている者としての“私”」を指し、小職は「自分の職(役職)をへりくだって述べる“私”」です。
つまり、当職は“立場(職務)を明示する一人称”、小職は“謙遜を強めた一人称”という方向性の違いがあります。どちらも硬い文書語ですが、丁寧さの作り方が異なるため、場面に合わせて選ぶのが安全です。
| 項目 | 当職 | 小職 |
|---|---|---|
| 基本の意味 | その職務に就く者としての「私」 | 自分の職(役職)をへりくだって言う「私」 |
| 敬意(謙遜)の強さ | 中立〜控えめ(謙譲“だけ”が目的ではない) | 強め(へりくだりが中心) |
| よくある場面 | 職務上の回答・通知・受任・担当明示 | 照会・依頼・挨拶・恐縮の意を強めたい文脈 |
当職と小職の使い分けの違い
使い分けのコツは、「何を前に出したいか」です。
当職は、へりくだりよりも“職務上の立場(担当・権限・責任)”を明確にするのに向きます。たとえば「当職が担当します」「当職として回答します」のように、役割を主語にしたいときに自然です。
一方、小職は「自分の立場を小さくして丁寧さを作る」言い方なので、相手に配慮しつつ名乗りたいときに合います。ただし、文章全体が硬くなるため、社内外の慣習によっては「私」や「当方」のほうが無難な場面もあります。
- 当職:職務・担当を明示し、文書の責任主体をはっきりさせたいとき
- 小職:へりくだりを強め、依頼・照会・挨拶をより改まったトーンにしたいとき
- 迷ったら:「私/当方」など、組織の文書ルールに沿う表現を優先
当職と小職の英語表現の違い
当職・小職は日本語特有の「文書語の一人称」なので、英語では直訳よりも「役割」「立場」「書簡の型」で吸収するのが自然です。
当職は、in my capacity as ...(〜の立場として)や I (as ...) のように、職務を前に出す言い回しが相性が良いです。小職は、英語に「へりくだり一人称」の定型が少ないため、過剰にhumblyを連発するより、the undersigned(署名者)など書簡の型で丁寧さを出すのが安定します。
- 当職(職務主体):「In my capacity as counsel, ...」「I, as the person in charge, ...」
- 小職(改まった自称):「the undersigned」「I (respectfully), ...」
当職の意味
ここでは当職の定義・使いどころ・語源イメージ、そして類義語と対義語を整理します。実務で迷いやすい「当職=謙譲語なのか?」もあわせて解説します。
当職とは?意味や定義
当職(とうしょく)は、「当該の職務に就いている者としての自分」を指す硬い表現です。ポイントは、当職が必ずしも「へりくだるためだけ」の語ではなく、“職務の当事者・担当者として述べる”ニュアンスを持つことです。
そのため、「当職が担当いたします」「当職として回答します」のように、役割や責任主体を明確にしたい文書に向きます。口頭会話で多用すると不自然になりやすいので、基本は文書での使用が中心と考えると運用しやすいです。
当職はどんな時に使用する?
当職が生きるのは、担当・受任・回答など「立場が重要な場面」です。たとえば、次のような文書では「私」よりも当職のほうが、文章の責任主体が明確になります。
- 受任・担当の通知(当職が担当いたします)
- 照会への回答(当職としては次のとおり回答します)
- 職務上の意見表明(当職の見解としては〜)
- 社外向けの一般的なメールでは硬すぎる場合があります。相手先の文化によっては「私」「当方」のほうが無難です
- 最終的には、所属組織の文書ルールやテンプレートを優先し、正式な運用は公式の規程・マニュアルをご確認ください
当職の語源は?
当職は、「当=この/当該の」「職=職務・職分」という組み合わせで、“この職務に就く者”という構造で理解すると腑に落ちます。語源を細かく覚えるより、実務では“職務の当事者として発言する一人称”という機能で押さえるのが一番役に立ちます。
当職の類義語と対義語は?
当職の類義語は、同じく文書で「自分側」を示す表現です。状況によっては当職より自然に置き換えられます。
- 類義語:当方(当方の理解では〜)、当人(当人としては〜)、本人(本人より連絡します)
- 近い語:本職(文脈により「自分の職業」)、弊職(へりくだりを混ぜた言い方として使われることも)
対義語としては、相手の職務上の立場を立てる表現(例:貴職)が挙げられます。ただし、貴職は使う文書がかなり限られるため、実務では「貴職(貴職におかれましては〜)」のような定型に寄せるのが安全です。
小職の意味
次に小職を整理します。小職は「へりくだり」が強いぶん、使う相手・場面を誤ると違和感が出ます。無難な言い換えも含めて、実務目線でまとめます。
小職とは何か?
小職(しょうしょく)は、自分の職(役職)を“小さいもの”としてへりくだって述べる一人称です。単なる「私」ではなく、“職を持つ立場から名乗る”ニュアンスが含まれます。
そのため、文章全体のトーンが強く改まります。相手との関係性や組織文化によっては「丁寧」よりも「堅い」「古風」「よそよそしい」と受け取られることがあるので、運用には注意が必要です。
小職を使うシチュエーションは?
小職は、典型的には公的・儀礼的・硬い文書で見かけます。たとえば「照会は小職まで」「小職が承ります」のように、へりくだりを前面に出したいときに使われます。
一方、一般企業の通常メールでは「私」「当方」で十分丁寧なケースが多く、小職を選ぶ必然性は高くありません。どうしても小職を使うなら、文章の他の敬語レベルも揃え、唐突に小職だけ浮かないように整えるのがコツです。
- 同じ“硬い一人称”でも、当職は職務主体、小職は謙遜主体。目的が違うので置き換えには注意
- 社内テンプレートがある場合は、テンプレート優先が最も安全
小職の言葉の由来は?
小職は「職」を「小さく言う(へりくだる)」構造で、自分の地位・職分を控えめに述べる発想から来ています。現代日本語では、へりくだりの度合いが強めに響くため、場面を選びます。
小職の類語・同義語や対義語
小職の類語は、同じく「自称(自分の呼び方)」として使われる硬い語です。相手・文脈に合わせて、より自然なものに言い換えると読みやすくなります。
- 類語・同義語:下名(かめい)、小生(しょうせい)、私、当方
- 対義語(相手側を立てる語):貴職、貴殿(文脈・相手により注意)
なお、関連する自称表現の比較は、違いの教科書内でも詳しく扱っています。小職まわりの語感をまとめて整理したい方は、「下名」「小職」「小生」の違い|意味・使い方・語源・例文も合わせて読むと判断が早くなります。
当職の正しい使い方を詳しく
ここからは実戦編です。当職を「自然に」「責任主体が明確に」伝わる形で使うために、例文と言い換え、そしてミスしやすいポイントを押さえます。
当職の例文5選
- 本件につきましては、当職が担当いたします
- ご照会の件、当職としては次のとおり回答いたします
- 当職の見解としては、現時点では追加対応は不要と考えます
- 書類は当職宛にご送付ください
- 本件の進行管理は当職にて承ります
当職の言い換え可能なフレーズ
当職は便利ですが、硬さが気になるときは言い換えで十分です。文章全体のトーンに合わせて、次の候補から選ぶと失敗しにくくなります。
- 私(もっとも汎用的)
- 当方(組織側として述べたいとき)
- 担当(担当が対応します/担当の私が承ります)
- (役職名)+私(例:法務担当の私が確認します)
当職の正しい使い方のポイント
当職を上手に使うポイントは、「職務・担当が絡む文」に寄せることです。「当職は〜が好きです」のような私生活寄りの内容には合いません。
また、当職は“立場を示す語”なので、受け手が「誰が責任を持つのか」を知りたい場面で特に効きます。逆に、距離を縮めたいメール(営業の初回以降、社内の軽い連絡など)では、当職が文章を固く見せる原因になります。
当職の間違いやすい表現
ありがちなミスは次のとおりです。
- 文体がカジュアルなのに当職だけ硬い(例:よろしく!当職がやります)
- 当職を“へりくだり語”として多用し、逆に偉そうに見える
- 社内ルールで「私」指定なのに当職を使う
- 文書表現の正解は「相手先の慣習」と「自組織の規程」で変わります。最終判断は所属先の公式テンプレートや上長・専門家にご相談ください
小職を正しく使うために
小職は丁寧さを作れますが、強い文書語でもあります。だからこそ、例文と「避けたい使い方」をセットで覚えるのが近道です。
小職の例文5選
- ご不明点がございましたら、小職までご照会ください
- 本件は小職にて承りました
- 差し支えなければ、小職宛にご返信いただけますと幸いです
- 取り急ぎ、小職より現状をご報告申し上げます
- 当日は小職が同席いたします
小職を言い換えてみると
小職が硬すぎると感じる場合、言い換えで十分丁寧にできます。文章が読みやすくなり、相手の負担も減ります。
- 私までご連絡ください
- 担当までご照会ください
- 当方よりご連絡します(組織として)
- (部署名)よりご案内します
小職を正しく使う方法
小職を使うなら、まず文書全体の敬語レベルを揃えることが大前提です。小職だけが浮くと、丁寧さではなく「不自然さ」が目立ちます。
次に、相手との距離感です。相手がフランクな文体でやり取りしているのに、小職で返すと温度差が出ます。相手の文体・組織文化を観察し、迷うなら「私」や「当方」に寄せるのが無難です。
小職の間違った使い方
小職で起きやすい失敗は、「へりくだっているつもりが、逆に立場を誇示して見える」パターンです。小職は“職がある前提”の語感があるため、使い方によっては相手が引っかかることがあります。
- 親しい相手への軽い連絡で小職を使い、距離を広げてしまう
- 短文チャットで小職を使い、過度に堅い印象になる
- 社外一般向けの案内で小職を連発し、読みづらくする
まとめ:当職と小職の違いと意味・使い方の例文
当職は「その職務に就く者としての私」で、職務・担当・責任主体を明確にしたい文書で力を発揮します。小職は「自分の職をへりくだって述べる私」で、改まった依頼・照会・挨拶などで丁寧さを強めたいときに有効です。
ただし、どちらも文書語として硬く、組織文化によって受け止め方が変わります。迷ったら「私」「当方」「担当」などの言い換えを使い、自社のテンプレートや相手先の慣習を優先してください。最終的な判断は、所属組織の公式ルールの確認や、必要に応じて上長・専門家への相談をおすすめします。

