
「寄る」「因る」「拠る」「依る」という漢字は、すべて「よる」と読む同訓異字の語ですが、意味・語源・使い方にはそれぞれ明確な違いがあります。この記事では、これら4つの言葉「寄る」「因る」「拠る」「依る」の違いや意味、語源、類義語・対義語、言い換え、使い方の例文を詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
- 「寄る」「因る」「拠る」「依る」のそれぞれの意味と違い
- 各語の語源・成り立ちと使いどころ
- 日常・ビジネス場面での使い分けと例文
- 類義語・対義語・言い換え表現を用いたバリエーション
目次
寄ると因ると拠ると依るの違い
結論:寄ると因ると拠ると依るの意味の違い
まず簡単に、結論として4語の意味を比較します。
| 語 | 意味の概要 |
|---|---|
| 寄る | 近づく・集まる・片寄る・立ち寄る |
| 因る | 原因・理由とする・起因する |
| 拠る | 根拠・基準・よりどころとする |
| 依る | 頼る・依存する・手段・方法・それ次第である |
つまり、場面に応じて「何に近づくか」「何を原因とするか」「何を根拠とするか」「何に頼るか」という視点で使い分けられます。
寄ると因ると拠ると依るの使い分けの違い
上記の意味を日常や文章の中でどう使い分けるか、もう少し掘り下げます。
- 「寄る」:物理的・空間的・比喩的な「近づく」「立ち寄る」「集まる」意味で用います。
- 「因る」:出来事や状態が「~によって/~を原因として」起きるという因果関係を示します。
- 「拠る」:判断・結論・主張などが「~に基づいて/~を根拠として」成り立つという論理関係を示します。
- 「依る」:何かに「頼る」「依存する」「~によって左右される」といった関係を示します。
このように使い分けることで、意味が曖昧になるのを防ぎ、読み手に誤解を与えない表現が可能です。
寄ると因ると拠ると依るの英語表現の違い
英語でそれぞれを表現すると、次のような対訳が典型的です。ただし文脈によって変化します。
| 語 | 典型的な英語表現 |
|---|---|
| 寄る | approach, go by, gather, visit |
| 因る | be caused by, due to, owing to |
| 拠る | based on, according to, in reference to |
| 依る | rely on, depend on, by means of |
例えば「調査に拠って(based on the survey)」「天気に依って(depending on the weather)」「不注意に因って(due to carelessness)」「仕事帰りに寄る(stop by after work)」という具合です。
寄るの意味
寄るとは?意味や定義
「寄る(よる)」は、物理的・比喩的に「近づく」「集まる」「片寄る」「立ち寄る」といった動きを表す語です。
例えば、ある場所に「寄る」、椅子に「寄る」、重心が「右に寄る」などの用法があります。
寄るはどんな時に使用する?
具体的には以下のようなシチュエーションで使われます
- 目的地へ向かう途中で別の場所に立ち寄る場合:例「帰りにコンビニに寄る」
- 何かが一方へ片寄る・偏る場合:例「重心が左に寄る」
- 人や物がある一点に集まる・集まって話す場合:例「子どもたちが先生の周りに寄る」
- 比喩的に「思いも寄らない展開」など、意図しない方向に近づく・至る場合もあります。
寄るの語源は?
「寄」という漢字には「たちよる」「身をよせる」「あずける」「集める」という意味があります。
動詞「寄る」はこの意味から発展しており、古くから「身を寄せる」「寄り添う」などの表現に使われてきました。
寄るの類義語と対義語は?
主な類義語・対義語を以下に整理します
| 語 | 類義語 | 対義語 |
|---|---|---|
| 寄る | 立ち寄る、近づく、集まる | 離れる、離脱する、遠ざかる |
言い換え例として「立ち寄る」「近づく」「集まる」などが使用できます。
因るの意味
因るとは何か?
「因る(よる)」は「それを原因・理由とする」「起因する」という意味を持ちます。
例えば「事故は不注意に因る」「増税に因る影響」などの用法があります。
因るを使うシチュエーションは?
典型的には以下のような場面です
- ある出来事が別の出来事を引き起こしたと述べるとき:「台風に因る洪水」
- 原因や理由を示す説明文で:「欠席は病気に因るものだ」
- 法律・政策・統計などで「~に因る」という形式で用いられることがあります。
因るの言葉の由来は?
「因」という漢字は「もと・事のおこり・由来」を意味し、「因る」はその意味を受けて「~を起因とする」という概念を持つ動詞に発展しています。
因るの類語・同義語や対義語
| 語 | 類義語 | 対義語 |
|---|---|---|
| 因る | 起因する、~による、由来する | 結果として~、~を招く(原因ではない) |
言い換え例として「~による」「~を原因として」「~から生じる」などが使えます。
拠るの意味
拠るの意味を解説
「拠る(よる)」は「根拠・基準・よりどころとする」という意味です。
例えば「資料に拠ると」「法律に拠って」などの表現があります。
拠るはどんな時に使用する?
以下のような状況で使われます
- 調査・分析・報告などで「~に拠ると/~に拠れば」という形で根拠を示すとき。
- 法令・条文・規則などに基づく判断を示すとき:「法に拠って処分する」など。
- 物理的・比喩的な拠点やよりどころに「拠る」ことを示す場合もあります。
拠るの語源・由来は?
「拠」という漢字は「たよる」「たてこもる」「よりどころ」という意味を持ち、「拠る」はその意味を受けて「~をよりどころにする」という意味で使われるようになりました。
拠るの類義語と対義語は?
類義語
拠る基づく、根拠とする、倚る(たよる)
対義語
無根拠、根拠なく、当てにならない
依るの意味
依るとは?意味や定義
「依る(よる)」は「頼る・依存する」「手段・方法」「それ次第である」という意味を含みます。
例えば「生活は年金に依る」「天気に依って左右される」など。
依るはどんな時に使用する?
典型的には次のような場面で使われます
- 何かに頼って・依存している状態を表現する場合:「母親の支えに依る」
- 何かを手段・方法として使っている場合:「オンライン授業に依る教育」
- 条件・状況・主体などによって左右される場合:「時と場合に依る」など。
依るの語源・由来は?
「依」という漢字は「たよる・よりかかる」という意味を含み、「依る」はそのまま「~にたよる」「~によって行われる」という意味の動詞として用いられてきました。
依るの類語・同義語や対義語
| 語 | 類義語 | 対義語 |
|---|---|---|
| 依る | 頼る、依存する、~によって | 独立する、自立する、左右されない |
寄るの正しい使い方を詳しく
寄るの例文5選
- 帰り道に駅前のカフェに寄る。
- しわが年齢とともに頬に寄る。
- 子どもたちが先生の周りに寄る。
- 話が思いも寄る展開を見せた。
- 重心が右足に寄る動きになった。
寄るの言い換え可能なフレーズ
「立ち寄る」「近づく」「集まる」「身を寄せる」などが言い換えとして挙げられます。
寄るの正しい使い方のポイント
- 物理的・空間的な「近づき」や「立ち寄り」の意味で使う。
- 比喩的表現でも「何かに近づく」「思い至る/至らない」の意味合いで使用可能。
- 「~に寄る」という形で使う場合、目的地・対象に向かって動く・集まるというニュアンスがある。
寄るの間違いやすい表現
「原因・根拠・依存」のニュアンスで「寄る」を使ってしまうと意味が曖昧になりやすいです。
例えば「事故は不注意に寄る」という表現では「原因」という意味なら「因る」を用いた方が正確です。
因るを正しく使うために
因るの例文5選
- 台風の接近に因る大雨で交通が乱れた。
- この結果は長年の準備に因るものだ。
- 病気に因る欠勤が長引いている。
- 成功はチームワークに因るところが大きい。
- 事故の原因は運転手の脇見運転に因ると判断された。
因るを言い換えてみると
「~が原因で」「~によって」「~を起因として」などが言い換えとして用いられます。
因るを正しく使う方法
- 「~に因る」という形で、明確に原因/理由を示す文脈で使う。
- 因果関係を示す場面で用いると適切です。
- 日常会話では平仮名「よる」とする場合も多いですが、書き言葉・文章では漢字「因る」が適切な場合があります。
因るの間違った使い方
「手段・方法」「頼る」「基準」の意味で使おうとして「因る」を選んでしまうと誤用となります。
例えば「調査に因って」という場面では「拠る(based on)」が正しい場合があります。
拠るの正しい使い方を解説
拠るの例文5選
- 最新の統計に拠ると、人口は減少傾向にある。
- 契約書の条項に拠って判断された。
- 歴史的記録に拠ると、この城は12世紀に建設された。
- この判断は先例に拠るものだ。
- 資料に拠って報告書を作成した。
拠るを別の言葉で言い換えると
「~に基づいて」「~を根拠に」「~によれば」などが言い換えとして使えます。
拠るを正しく使うポイント
- 根拠・基準・よりどころを示す場面で「拠る」を使うと、文章に説得力が出ます。
- 「~に拠って/~に拠ると」という構文が多く用いられます。
- 口語では平仮名で「よって」と書かれることもあり、漢字「拠る」は主に書き言葉で用いられます。
拠ると誤使用しやすい表現
「依存する」「頼る」という意味で「拠る」を使ってしまうと誤用です。
その場合は「依る」の方が適切です。また、「立ち寄る」「集まる」という意味では「寄る」を用いるべきです。
依るの正しい使い方・例文
依るの例文5選
- 私たちの生活は給料に依る部分が大きい。
- 成功は彼の情熱と努力に依るところが大きい。
- 旅行計画は天候に依って変更する可能性がある。
- この研究はAI技術に依る方法で行われた。
- 子どもの成長は環境に依る影響がある。
依るの言い換え可能なフレーズ
「頼る」「~に任せる」「~次第である」「~を手段とする」などが言い換えとして挙げられます。
依るの正しい使い方のポイント
- 「何かに頼る/依存する」「何かを手段とする」「何かによって左右される」という意味を明確に示す。
- 「~に依る」「~によって」「~に依って」という表現で条件・手段・依存を表せる。
- 書き言葉では漢字「依る」を用いてもよいが、口語ではひらがな「よる」で表記されることが多いです。
依るの間違った使い方
「原因」「根拠」「近づく」の意味で「依る」を使ってしまうとニュアンスがずれてしまいます。
例えば「事故は不注意に依る」は「因る」が正しいケースです。
まとめ:寄ると因ると拠ると依るの違いと意味・使い方の例文
「寄る」「因る」「拠る」「依る」は、見た目も読み方も同じ「よる」ですが、意味・語源・使い方が異なります。
以下のように整理できます
- 寄る:近づく・立ち寄る・偏る。「帰りに駅に寄る」など。
- 因る:原因・理由。「台風に因る洪水」など。
- 拠る:根拠・基準。「資料に拠ると…」など。
- 依る:頼る・依存・手段。「時と場合に依る」など。
それぞれを正しく使い分けることで、文章表現がより明確になり、読み手に伝わりやすい文章を書けるようになります。類義語・対義語・言い換えも活用しながら、実例を参考に日常・ビジネスシーンでぜひ使い分けてみてください。

