
「唾棄の意味は?」「唾棄すべき行為という表現を見たけれど、どれくらい強い言葉なの?」と疑問に感じていませんか。唾棄は日常会話ではそれほど頻繁に使われないため、漢字だけを見ても読み方やニュアンスをつかみにくい言葉です。
単に「嫌う」「嫌い」という意味だと思って使うと、実際には想像以上に強い表現になってしまうことがあります。特に「軽蔑」「侮蔑」「嫌悪」と意味が似ているため、それぞれの違いまで理解しておくことが大切です。
この記事では、唾棄の意味と読み方をはじめ、言葉の成り立ち、「唾棄する」「唾棄すべき」の使い方、類語・対義語、英語表現まで具体的な例文を交えて整理します。最後まで読むと、文章の中で唾棄を見かけたときにも、その強い感情まで正確に読み取れるようになります。
唾棄
英語表記:despise / hold in contempt
目次
唾棄の意味とは?読み方・言葉の成り立ちをわかりやすく解説

まずは、唾棄という言葉が何を表しているのかを整理しましょう。漢字を一文字ずつ見ると、なぜ「非常に強く嫌い、軽蔑する」という意味になったのかも理解しやすくなります。
唾棄の読み方は「だき」
唾棄は「だき」と読みます。「つばき」「だすて」などとは読みません。
辞書では、もともと「つばを吐き捨てること」を表し、そこから転じて、非常に軽蔑して嫌うことという意味で使われる言葉とされています。
- 文字どおりには、唾を吐き捨てること
- 転じて、相手や行為をひどく軽蔑して嫌うこと
- 強い嫌悪や拒絶を伴って、さげすむこと
つまり、「好きではない」「気に入らない」という程度ではありません。相手やその行為を価値の低いもの、受け入れ難いものとして強く否定するニュアンスがあります。
たとえば「卑劣な行為を唾棄する」と書かれていれば、単にその行為に反対しているのではなく、「軽蔑に値するほど許し難い」と強く否定していると受け取るのが自然です。
唾棄とは簡単にいうと「ひどく軽蔑して嫌うこと」
唾棄をできるだけ簡単な言葉に置き換えるなら、「ひどく軽蔑して嫌うこと」です。
ポイントは、「嫌う」と「軽蔑する」という二つの感情が重なっている点にあります。
- 「嫌う」だけなら、単純に好きではないという感情でも成立する
- 「軽蔑する」には、相手や行為を価値の低いものとして見るニュアンスがある
- 「唾棄する」は、強い嫌悪と軽蔑が同時に表れる
そのため、「私はピーマンが嫌いだ」のような個人的な好き嫌いを「ピーマンを唾棄する」と表すのは、通常は大げさで不自然です。
一方、不正や卑劣な振る舞いなど、道徳的に強く非難したい対象については「唾棄すべき行為」のような形で用いられることがあります。
唾棄の語源・漢字から意味を理解する
唾棄の意味は、二つの漢字に分けるとイメージしやすくなります。
| 漢字 | 読み | 主な意味 |
|---|---|---|
| 唾 | ダ・つば | つば、つばを吐くこと |
| 棄 | キ・すてる | 捨てる、うち捨てること |
「唾」はつば、「棄」は捨てるという意味を持つ漢字です。辞書でも「唾」には、つばを吐くように嫌う意味で「唾棄」という熟語が挙げられ、「棄」は「捨てる」という意味を持つ漢字として説明されています。
そこから「唾を吐き捨てるほど嫌う」というイメージが生まれ、現在では人や考え方、振る舞いなどを強くさげすみ、嫌悪することを表す言葉として使われています。
唾棄の意味を踏まえた使い方|「唾棄する」「唾棄すべき」の例文

唾棄は意味だけ知っていても、実際にどのような形で文章に入るのかわかりにくい言葉です。特によく見られるのが「唾棄する」「唾棄すべき」という形なので、それぞれの違いを例文とともに確認していきましょう。
「唾棄する」の意味と使い方
「唾棄する」は、人・思想・態度・行為などを強く軽蔑して嫌うという意味で使います。
「唾棄」は名詞として扱われるほか、「する」を付けて動詞のように使用できます。
唾棄するの例文
- 弱い立場の人を利用するような卑劣な行為を、彼は心から唾棄していた。
- 利益のためなら約束を破っても構わないという考え方を、私は唾棄する。
- 他人の努力をあざ笑うような態度は、多くの人から唾棄されるだろう。
- 彼女は差別的な思想を一貫して唾棄してきた。
このように、「唾棄する」の対象になるのは人そのものに限りません。行為、思想、価値観、態度などに対しても使えます。
ただし非常に強い表現なので、単なる意見の相違に対して使うと、必要以上に攻撃的な文章になることがあります。
「唾棄すべき」の意味と使い方
唾棄と一緒によく使われるのが「唾棄すべき」という表現です。実際に国語辞典でも「唾棄すべき行為」という用例が示されています。
「すべき」は「そうするのが当然である」「そうするのが適当である」という意味を表します。そのため「唾棄すべき」は、簡単に言えば「強く軽蔑し、退けるべき」という意味です。
唾棄すべきの例文
- 自分の責任を他人に押し付けるのは、唾棄すべき行為だ。
- 立場の弱い人を意図的に傷つけるような振る舞いは唾棄すべきだ。
- 人を欺いて利益だけを得ようとする態度を、彼は唾棄すべきものと考えていた。
「唾棄すべき行為」「唾棄すべき存在」「唾棄すべき態度」など、後ろに名詞を置く形が自然です。
「唾棄に値する」とはどんな意味?
「唾棄に値する」は、「唾棄されても当然なほど、軽蔑すべきである」という意味です。
「値する」には「それだけの価値や資格がある」という意味があるため、「軽蔑に値する」「非難に値する」と同じ構造で理解できます。
たとえば、「その卑劣な行動は唾棄に値する」とすれば、「非常に強い軽蔑を向けられて当然と思えるほど卑劣だ」という厳しい非難になります。
ただし、「唾棄すべき」と比べると硬い文章表現です。日常会話では「到底許せない」「軽蔑する」のように言い換えたほうが自然な場面も多いでしょう。
唾棄の意味と類語・対義語の違い|軽蔑・侮蔑・嫌悪との使い分け

唾棄を正しく理解するうえで特に重要なのが、軽蔑・侮蔑・嫌悪などとの違いです。どれも否定的な感情を表しますが、感情の中心が少しずつ異なります。
唾棄の類語は?軽蔑・嫌悪・憎悪との違い
唾棄の類語としては、「軽蔑」「嫌悪」「憎悪」「忌み嫌う」などが挙げられます。辞書でも、嫌う・忌み嫌う・憎悪する・嫌悪するなど多くの近い表現が示されています。
| 言葉 | 意味の中心 | 特徴 |
|---|---|---|
| 唾棄 | ひどく軽蔑して嫌う | 嫌悪と軽蔑の両方が非常に強い |
| 軽蔑 | 価値の低いものとして見下す | 「見下す」という評価が中心 |
| 侮蔑 | 相手をあなどり、さげすむ | 相手を低く扱う響きが強い |
| 嫌悪 | ひどく嫌う | 不快感や拒絶感が中心 |
| 憎悪 | 激しく憎む | 憎しみが中心 |
たとえば「嫌悪」は相手を見下していなくても成立します。ある食べ物や行動に強い不快感を覚える場合にも使える言葉です。
一方、唾棄には「嫌う」だけでなく「さげすむ・軽蔑する」感情まで含まれるのが大きな特徴です。
軽蔑と侮蔑の細かな違いについては、「軽蔑」と「侮蔑」の違い・意味・使い分けでも詳しく整理しています。
唾棄と軽蔑の違いは感情の強さ
唾棄と軽蔑は非常に近い言葉ですが、同じではありません。
軽蔑は、相手やその行為を価値の低いものとして見下すことが中心です。それに対して唾棄は、軽蔑に加えて「嫌でたまらない」「遠ざけたい」という強い嫌悪感まで感じさせます。
唾棄=強く見下したうえで、激しく嫌い退ける
そのため、程度としては「軽蔑」より「唾棄」のほうがかなり強い表現として受け取られやすいでしょう。
また、「蔑視」と「軽視」など見下す意味を持つ言葉との違いが気になる場合は、「蔑視」と「軽視」の違い・使い分けもあわせて確認すると整理しやすくなります。
唾棄の対義語は?敬愛・尊敬・称賛との関係
唾棄には、一語だけで完全に対応する対義語が決まっているわけではありませんが、意味の方向が反対になる言葉として「敬愛」「尊敬」「称賛」などが考えられます。
唾棄が「相手の価値を低く見て、強く嫌う」方向の言葉だとすれば、敬愛や尊敬は「相手の価値を認め、敬う」という反対方向の感情です。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 敬愛 | 敬い、親しみや愛情を持つこと |
| 尊敬 | 相手の人格や能力などを価値あるものとして敬うこと |
| 称賛 | 優れた点を褒めたたえること |
「唾棄」がかなり強い否定の言葉なので、文脈によっては「敬愛」「尊敬」「称賛」のどれが最も対照的になるかが変わります。
唾棄の意味を英語表現まで整理|よくある疑問とまとめ

最後に、唾棄を英語にするとどうなるのか、日常会話で使ってもよいのかといった疑問を整理します。ここまでの内容を押さえれば、文章中でのニュアンスも判断しやすくなります。
唾棄を英語で表すと「despise」「hold in contempt」
唾棄には日本語と完全に一対一で対応する英単語があるわけではありません。文脈に応じてdespiseやhold ~ in contemptなどが近い表現になります。
Cambridge Dictionaryでは「despise」は、人や物を嫌い、敬意を持たないという意味で「軽蔑する」と訳されています。また「contempt」は、相手を尊重しない強い感情、つまり「軽蔑」を表します。
| 英語 | ニュアンス |
|---|---|
| despise | ひどく嫌い、軽蔑する |
| hold ~ in contempt | ~を軽蔑する、さげすむ |
| contempt | 軽蔑、さげすみという感情を表す名詞 |
日本語の「唾棄」が持つ強烈な嫌悪まで表したい場合は、前後の文章でdisgustなどの要素を加え、どれほど強く拒絶しているかを補うこともあります。
唾棄は日常会話で使える?使う際の注意点
唾棄は間違った日本語でも古語だけの言葉でもないため、現在の文章でも使えます。しかし、日常の軽い会話ではかなり硬く、感情の強い表現です。
たとえば友人との会話で「その態度は嫌だな」と言えば済む場面で、「その態度は唾棄すべきだ」と言うと、評論や演説のような重々しい印象になります。
自然に使いやすいのは、次のような場面です。
- 評論や論説で強い非難を表すとき
- 文学作品で人物の激しい嫌悪感を描写するとき
- 倫理的に許容できない行為を厳しく批判するとき
- 歴史的な文章や硬い文章を読むとき
反対に、軽い好き嫌いや日常的な不満には向きません。
唾棄の意味と使い方のまとめ
唾棄は「だき」と読み、もともとは唾を吐き捨てること、そこから転じて「非常に軽蔑して嫌うこと」を意味する言葉です。
単なる「嫌い」よりもはるかに感情が強く、軽蔑・嫌悪・拒絶が重なった表現と考えると理解しやすいでしょう。
- 唾棄の読み方は「だき」
- 意味は「ひどく軽蔑して嫌うこと」
- 「唾棄する」「唾棄すべき行為」などの形で使われる
- 軽蔑よりも嫌悪や拒絶のニュアンスが強い
- 類語には軽蔑・侮蔑・嫌悪・憎悪などがある
- 反対方向の言葉には敬愛・尊敬・称賛などがある
- 英語ではdespiseやhold in contemptなどが文脈によって近い
- 日常会話では硬く、非常に強い表現なので使う場面に注意する
「唾を吐き捨てたくなるほど強く嫌い、軽蔑する」というイメージを持っておけば、意味を忘れにくくなります。「嫌悪」だけでも「軽蔑」だけでも表しきれないほど強い否定を伝える言葉が「唾棄」です。文章で見かけた際は、その強烈な感情まで読み取るようにしてみてください。
【参考文献】
- コトバンク「唾棄」―デジタル大辞泉・精選版 日本国語大辞典・字通
- goo国語辞書「唾棄」―デジタル大辞泉(小学館)
- 国立国語研究所 国語研コーパスポータル
- 国立国語研究所「現代日本語書き言葉均衡コーパス」
- Cambridge Dictionary「despise」
- Cambridge Dictionary「contempt」

