
「完成」と「完了」という言葉は、日常的にもビジネス文書でもよく見かける用語です。ですが、完成や完了という言葉にはそれぞれの語感や使い分けに微妙な違いがあります。この記事では、「完成」と「完了」の意味や語源、類義語・対義語、英語表現、使い方・例文までを詳しく掘り下げ、「完成」と「完了」の違いを明確に理解できるように整理しています。
この記事を読んでわかること
- 「完成」と「完了」の意味と語源
- 「完成」と「完了」の使い分けのポイント
- 「完成」「完了」の英語表現とその違い
- 使い方・例文、言い換え可能なフレーズ、間違いやすい表現
「完成」と「完了」の違い

結論:「完成」と「完了」の意味の違い
まず結論から言うと、「完成」と「完了」はどちらも“ある状態が終わった/終えた”ことを示しますが、そのニュアンスには違いがあります。
大きく以下のように整理できます
- 「完成」は、目的・目標・作品・構築された物などが当初意図した形・仕様・状態に なった/仕上がった という意味が強い。つまり“出来上がった”というニュアンスがあります。
- 「完了」は、手続き・工程・タスク・動作などがすべて 終わった/終了したという意味であり、「完成」ほど“理想形・仕上がり”を暗示しない場合も多いです。
つまり、「完成」は“出来上がった”・“仕上がった”という感覚が伴いやすく、「完了」は“終わった”・“終了した”という状態の達成感・終了感が強いと考えられます。
「完成」と「完了」の使い分けの違い
使い分けの観点から、下記のような違いも挙げられます。
- プロジェクトや作品に対して「完成」を使う場合:例)「建物が完成した」「設計が完成した」「作品が完成した」など。
- 業務や作業の過程、手続き・タスクに対して「完了」を使う場合:例)「手続きが完了した」「タスクを完了した」「報告書提出が完了した」など。
- ただし、「作業が完成した」と「作業が完了した」は文脈によって使い分けやニュアンスの差が出るため、曖昧にならないよう意識する必要があります。
具体的には、「仕様どおりに作り上げられた」という観点があれば「完成」が自然で、「最後までやり終えた(終結させた)」という観点であれば「完了」が適切、ということが多いです。
「完成」と「完了」の英語表現の違い
英語に訳すときも、ニュアンスの違いを反映できます。
たとえば
- 「完成」 → “be completed”, “be finished”, “completion of the work” など。
- 「完了」 → “be done”, “be completed”, “finish the task” など。
英語 “completion” や “finish” は「完成」「完了」どちらにも使われることがありますが、ニュアンスとして「仕上がった/出来上がった」感を出したいときは “completed”、「終わった/終了した」感を出したいときは “done” といった使い分けがされることもあります。
「完成」の意味

「完成」とは何か?
「完成(かんせい)」とは、物事が初期の構想・設計・目的に照らして、ある形や状態に仕上がったことを意味します。作品・建築・システム・企画など、一定の目的を持って作られたものに使われることが多いです。
「完成」はどんな時に使用する?
以下のような場面で「完成」がよく用いられます。
- 建築物・設備・商品・作品などが目的どおりに仕上がったとき。
- プロジェクトの「完成」というマイルストーンを設定して、その時点で主な作業が終わっているとき。
- 多少の手直し要素が残っていても、基本的に“出来上がった”という評価が可能なとき。
例:新ビルが完成した、新システムが完成した、企画書が完成した、絵画が完成した、…など。
「完成」の語源は?
「完成」という語を分解すると、「完」と「成」です。「完」は“すべて終わる・欠けるところなく満たされる”という意味を持ち、「成」は“成る・形になる・なす”という意味を持ちます。従って「欠けるところなく成る/仕上がる」という語義になっており、“目的とする形に仕上がった”というニュアンスが語源的にも読み取れます。
「完成」の類義語と対義語は?
「完成」の類義語・対義語を整理します。
| 語 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 類義語 | 仕上がり/仕上げる/出来上がる/達成する |
| 対義語 | 未完成(まだ仕上がっていない)/途中(途中段階) |
例えば「この建物は未完成だ」「企画書は途中だ」というように、完成していない状態を示す語が対義語として用いられます。
「完了」の意味

「完了」とは何か?
「完了(かんりょう)」とは、ある動作・作業・手続きなどが全て終わった・終了した状態を意味します。必ずしも「目的どおりに仕上がった」かどうかを含まない場合もあり、手続き的・工程的な“終わり”を指すことが多いです。
「完了」はどんな時に使用する?
以下のような場面で「完了」がよく用いられます。
- 手続きをすべて終えたとき:「登録が完了した」「支払いが完了した」など。
- タスクや項目をチェックリスト上で “終わった” と判断できたとき:「作業が完了した」「報告書の提出が完了した」など。
- “終結”性・終了性を強調したいとき。作品が“出来上がった”というより、“すべてのプロセスが終わった”という意味合い。
「完了」の語源は?
「完了」という語を分解すると、「完=すべて終わる・欠けるところない」と「了=終わる・おわる」という意味があります。従って「すべて終わって終わる」という意味が語源的に成立しており、“全ての手続きを終えて状態が終わっている”といったニュアンスが含まれます。
「完了」の類義語と対義語は?
「完了」の類義語・対義語を整理します。
| 語 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 類義語 | 終了/終了する/済む/終わる |
| 対義語 | 未了(まだ終わっていない)/継続中/途中 |
「手続きは未了だ」「報告書処理は途中だ」というような表現が、完了していない状態を示します。
「完成」の正しい使い方・例文

「完成」の例文
「完成」を使用した例文
- 1. 新社屋が予定より早く完成しました。
- 2. このシステムの開発がようやく完成に近づいています。
- 3. 作品を完成させるために、最後の仕上げをしています。
- 4. 企画書をブラッシュアップして、今日中に完成させます。
- 5. 建設中の橋が今月末に完成予定です。
「完成」の言い換え可能なフレーズ
「完成」を別の言い回しにするなら
- 仕上がる/仕上げる
- 出来上がる/出来上げる
- 成立する/完結する(目的達成型)
「完成」の正しい使い方のポイント
「完成」を使うときのポイント
- 目的・仕様・設計などがあらかじめ存在し、そこに対して“到達”したというニュアンスがあるかを確認する。
- 「完成しました」を使うとき、“形態・状態として期待どおりになった”という意味合いが含まれているかを意識する。
- 逆に、単に“終わった”という意味だけで使ってしまうとニュアンスがずれてしまう可能性がある(その場合は「完了」のほうが適切なこともある)。
「完成」の間違いやすい表現
「完成」を使う際の間違いやすい表現
- 「手続きが完成した」:手続きは“終わった”という意味なので「完了」がより適切。
- 「報告が完成した」:報告書が“出来上がった”なら「完成」も可ですが、内容確認やプロセス終了を指すなら「完了」が無難。
- 「作業が完成した」:作業が“仕上がった”という意味ならOKですが、単に“作業を終えた”だけなら「完了作業です」という表現のほうが自然。例:✕「作業が完成しました」→○「作業が完了しました」。
「完了」の正しい使い方・例文

「完了」の例文
「完了」を使用した例文
- 1. 支払いが無事に完了しました。
- 2. インストールが完了次第、メールでお知らせします。
- 3. 本日の業務が予定通り完了しました。
- 4. アンケートへのご回答が全て集まり、集計処理も完了しています。
- 5. 設定変更は完了しましたので、システムをご利用ください。
「完了」の言い換え可能なフレーズ
「完了」を別の言い回しにするなら
- 終了する/終了した
- 終える/終わった
- 済む/済んだ
「完了」の正しい使い方のポイント
「完了」を使うときのポイント
- 何らかの手続き・タスク・処理が“最後まで終わった”という意味が明確かどうかをチェックする。
- 「完了しました」を使うとき、“終了”というニュアンスがしっかり伝わるかを意識する。
- “仕上がった”というニュアンスよりも“終わった”というニュアンスが強い点を理解しておく。
「完了」の間違いやすい表現
「完了」を使う際に間違いやすい表現
- 「作品が完了しました」:作品が“仕上がった”という意味なら「完成」が適切です。「完了」は“作業が終わった”という意味がメイン。
- 「建物が完了した」:建物が“仕上がった”という意味で言いたいなら「完成」。「建築工事が完了した」という言い方なら「完了」でも文法的には誤りではないが、ニュアンスの違いがあります。
- 「設計がすべて完了しました」:この文脈なら問題ありませんが、「設計が完成しました」と言いたいのか「設計が全て終わりました」と言いたいのかを明確にしておくと良いでしょう。
まとめ:「完成」と「完了」の違いと意味・使い方の例文
本稿では、「完成」と「完了」の意味、語源、類義語・対義語、英語表現、使い方・例文、言い換え可能なフレーズ、間違いやすい表現などを広く深掘りしてきました。
大切なポイントを改めて整理しますと
- 「完成」は“目的・仕様に照らして仕上がった”というニュアンスが強い。
- 「完了」は“手続き・タスク・処理がすべて終わった”というニュアンスが強い。
- 使い分けるときには「何が」「どのように終わった/仕上がった」のかを意識すると、適切な語を選びやすくなります。
- 英語に訳すときも “be completed” や “be done” などでニュアンスを反映できます。
日常生活やビジネスの場面で、「完成/完了」を使い分けることができれば、表現の精度が上がり、メッセージをより明確に伝えることができます。ぜひ、この記事で得た知識を活用して、言葉の使い方をブラッシュアップしてください。
参考文献・引用

