「讃える」と「称える」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「讃える」と「称える」の違いや意味・使い方・例文まとめ

「讃える」と「称える」の違いが気になって、意味や使い分けをはっきりさせたいと感じていませんか。どちらも「たたえる」と読むため、漢字変換のたびに迷ってしまったり、ビジネスメールやスピーチでどちらを使うべきか不安になったりする方はとても多いです。

実際、検索エンジンでは「讃えると称えるの違い」「讃える 意味」「称える 意味」「たたえる 漢字」「讃える 使い方」「称える 使い方」「讃える 英語 表現」「称える 英語 意味」「讃える 類義語」「称える 類義語」など、細かな疑問が数多く検索されています。それだけ、ふだんの文章やスピーチで迷いやすいテーマだということです。

この記事では、日本語の意味や語源、ニュアンスの違いにこだわって解説している「違いの教科書」の運営者として、讃えると称えるの意味の違い、語源の背景、類義語や対義語、英語表現、さらに実際の使い方や例文までまとめて整理していきます。

「どちらを使っても良い場面」と「片方のほうがしっくりくる場面」をしっかり押さえておけば、文章全体の印象がぐっと洗練されます。最後まで読んでいただくことで、讃えると称えるの違いと意味、使い方のコツがスッキリと腑に落ちるはずです。

  1. 讃えると称えるの意味とニュアンスの違い
  2. 讃えると称えるの使い分け方と具体的なシチュエーション
  3. 両者に関する語源・類義語・対義語・英語表現とそのイメージ
  4. すぐに使える讃える・称えるの例文と自然な言い換え表現

讃えると称えるの違い

まずは、讃えると称えるが「意味の上でどこまで同じで、どこから違うのか」をざっくり把握します。この章では、結論としての意味の違い、日常での使い分け、英語表現との対応関係を押さえることで、全体像をつかんでいきましょう。

結論:讃えると称えるの意味の違い

結論から言うと、讃えると称えるはどちらも基本的には「ほめたたえる」という意味を持つ言葉です。ただし、ニュアンスと使われやすい場面に違いがあります。

中心的な意味 よくあるイメージ 印象
讃える 心からほめたたえる、賛美する 神仏や自然、芸術、偉業など崇高なものをたたえる やや古風・文学的・格調高い
称える すぐれていると評価してほめる/名を挙げる 努力・功績・タイトルなどをたたえる、称号を与える 一般的・実務的・ニュースでよく見る

どちらも「たたえる」行為に変わりはありませんが、讃えるは気持ちの高まりや崇敬を込めた「賛美」の色合いが強く、称えるは冷静な評価や公的な場面での「称賛・表彰」に使われやすいという違いがあります。

・どちらも「ほめたたえる」の意味だが、ニュアンスと場面が少し違う
・讃える:宗教的・芸術的・崇高な対象を賛美するイメージ
・称える:功績や努力を評価して称賛する、称号を与えるイメージ

讃えると称えるの使い分けの違い

実際の文章では、次のようにイメージすると使い分けしやすくなります。

  • 心からの感動や敬意をこめて、少し格調高く書きたい → 讃える
  • ニュース記事やビジネス文書で、功績・成果を評価したい → 称える
  • 宗教的・芸術的な文脈で「賛美する」と言いたい → 讃える
  • 「栄誉ある称号を与える」「〇〇王者と称える」など名を挙げる → 称える

また、公的な文章や新聞では、漢字を避けて「たたえる」とひらがなで書くことも多くあります。これは、漢字表記に慣れていない人にも読みやすくするための配慮です。

・公的な文書や案内文では、「讃える」「称える」よりも「たたえる」とひらがな表記にするほうが無難な場合が多い
・組織や媒体ごとに表記ルール(表記ガイドライン)が決められていることもあるため、最終的には社内規定・学校の指示に従うのが安全

讃えると称えるの英語表現の違い

英語にするときも、讃えると称えるのニュアンスの差が少しだけ表現に影響します。

  • 讃える:praise, worship, glorify, extol, laud など
  • 称える:praise, commend, honor, hail, acclaim など

どちらも基本は praise で表現できますが、神仏や崇高な存在を讃えるなら glorify や worship、功績や受賞者を称えるなら honor や commendのように、対象に合わせて英単語を選ぶとニュアンスが伝わりやすくなります。

たとえば、次のような対応が考えられます。

  • 自然の美しさを讃える → praise the beauty of nature / extol the beauty of nature
  • 功績を称える → honor one’s achievements / commend someone for their achievements
  • 優勝チームを称える → hail the champion / acclaim the winning team

讃えるの意味

ここからは、讃えるそのものに焦点を当てて、意味・定義・語源・類義語と対義語を詳しく見ていきます。文学作品やスピーチで使われることも多い言葉なので、ニュアンスを丁寧に押さえておくと表現の幅が広がります。

讃えるとは?意味や定義

讃えるは、「たたえる」と読み、人や物事を高く評価してほめたたえる、賛美するという意味を持ちます。単に「褒める」よりも、心からの敬意や感動がこもった表現です。

特に次のような対象に対してよく使われます。

  • 神仏や信仰の対象(神を讃える、神の恵みを讃える)
  • 自然や芸術作品(自然の偉大さを讃える、作品を讃える)
  • 人の精神性や志(彼の勇気を讃える、彼女の献身を讃える)

「ただ事実を評価する」というより、「感動を込めて賛美する」イメージが強いのが、讃えるの大きな特徴です。

讃えるはどんな時に使用する?

讃えるは、日常会話でも使えますが、どちらかと言えば少し改まった場面や文章・スピーチで映える言葉です。次のようなシーンで使うと、言葉に深みが出ます。

  • 式典や表彰のスピーチで、功績だけでなく「人柄・精神」を強調したいとき
  • エッセイやコラムで、自然や芸術作品への感動を豊かに表現したいとき
  • 宗教的な文章で、神や仏をほめたたえるニュアンスを出したいとき
  • 歴史上の人物の志や信念を、敬意を込めて語りたいとき

一方、ビジネスメールで「貴社のご尽力を讃えます」と書くと、やや重々しく響くことがあります。そのような場面では、「敬意を表します」「深く感謝申し上げます」といった敬語表現に言い換えるほうが自然な場合もあります。

讃えるの語源は?

讃えるの漢字「讃」は、「言」と「賛」から成り立つ形です。「賛」自体が「賛成する」「賛美する」のように、良い評価を与える意味を持っています。そこに「言」が加わることで、よい言葉をもってほめたたえる=讃えるというイメージになります。

もともとは「賛える」とも書かれましたが、現在では「讃える」と表記されることが多く、どちらも読みは同じ「たたえる」です。戦後の漢字制限の流れの中で、賛・讃の使い分けが整理され、「讃える」「賛美」「賛辞」などが定着していきました。

語源は学説や辞書によって書き方が少しずつ異なる場合があります。ここでは、一般的によく紹介される成り立ちと意味のまとまりをベースに整理しています

讃えるの類義語と対義語は?

讃えるの類義語・同じ方向の意味を持つ言葉には、次のようなものがあります。

  • 賛美する(賛美する・ほめたたえる)
  • 賞賛する・称賛する
  • 絶賛する
  • 礼賛する
  • 崇める・崇敬する

なかでも、賛美と賛辞の違いや意味・使い方・例文まとめでも詳しく解説しているように、「賛美」は対象を心からほめたたえる行為そのものを指し、「賛辞」はほめたたえる言葉そのものを指す傾向があります。讃えるは、その両方にまたがるイメージで使われることが多い言葉です。

対義語・反対の方向を指す言葉としては、次のようなものが挙げられます。

  • けなす・貶す
  • 批判する・非難する
  • 侮辱する
  • 中傷する

否定的な評価の言葉については、貶すと貶めるの違いと意味・使い方や例文で詳しく整理していますので、対になる表現をセットで押さえておきたい方は参考にしてみてください。

称えるの意味

続いて、称えるの意味と使われ方を詳しく見ていきます。ニュースやビジネスで登場する頻度が高いのは、どちらかと言えば称えるのほうです。その背景には、漢字の位置づけや語源の違いも関わっています。

称えるとは何か?

称えるは、「たたえる」と読み、人や物事をすぐれていると認めてほめるという意味を持ちます。ここまでは讃えると同じですが、称えるにはもう一つ、名を挙げる・呼ぶ・称号を与えるという意味も含まれます。

  • 彼の功績を称える(功績を高く評価してほめる)
  • 彼を英雄と称える(英雄という名で呼ぶ、英雄だと認める)
  • 彼を功労者と称える声が上がった(功労者だと評価する声)

評価と「名づけ」のニュアンスがまじった言葉であることが、讃えるとの大きな違いです。

称えるを使うシチュエーションは?

称えるは、ニュースやビジネス文章、公的なスピーチなど、比較的フォーマルでありながら実務的な場面で多く使われます。

  • スポーツニュース:優勝チームの健闘を称える
  • 社内報・会議:プロジェクトチームの努力を称える
  • 表彰式:受賞者の功績を称える
  • 歴史・評論:彼は「近代教育の父」と称えられている

ふだんの会話で「みんなで彼の頑張りを称えよう」と言っても良いのですが、少しカチッとした印象になります。日常会話では、「みんなで彼の頑張りを褒めよう」「感謝しよう」のように、より柔らかい言い方を選ぶことも多いでしょう。

称えるの言葉の由来は?

称えるの漢字「称」は、本来「はかりにかける」「つりあう」といった意味を持つ字です。ものを持ち上げて重さをはかるイメージから、転じて「価値や名前を評価する」「名乗る」といった意味を持つようになりました。

そこから派生して、「名前や称号を言う」「その名にふさわしいと認める」→「ほめたたえる」という意味が生まれ、現在の称えるの用法につながっています。

称えるの類語・同義語や対義語

称えると近い意味を持つ類語・同義語には、次のようなものがあります。

  • 賞賛する・称賛する
  • 褒める・褒めたたえる
  • 高く評価する
  • 功績をたたえる
  • 栄誉を讃える(この場合は讃えるも使える)

「褒める・誉める」のニュアンスや使い分けに関心がある方は、褒めると誉めるの違いや意味・使い方・例文まとめもあわせて読んでおくと、評価に関する語彙全体のイメージがつかみやすくなります。

称えるの対義語としては、讃えると同じく次のようなものが挙げられます。

  • けなす・貶す
  • 批判する・非難する
  • 価値を低く見る・低く評価する

讃えるの正しい使い方を詳しく

ここからは、讃えるの具体的な使い方に踏み込んでいきます。例文・言い換え・注意点を押さえておくと、文章のトーンを自在にコントロールしやすくなります。

讃えるの例文5選

フォーマル・改まった場面での例文

  • 彼の長年にわたる献身的な活動を、心から讃える。
  • 大会の成功を陰で支えたスタッフの努力を讃える言葉が、会場にあふれた。
  • 亡き師の功績を讃える式典が、厳かな雰囲気の中で執り行われた。

自然・芸術などを表現するときの例文

  • 詩人は、山々の静けさと力強さを讃える詩を紡いだ。
  • この曲は、人間の尊厳を讃えるアンセムとして、多くの人に愛されている。

讃えるの言い換え可能なフレーズ

讃えるがやや重い・かたいと感じる場合は、次のような言い換えもよく使われます。

  • 賛美する(例:自然の恵みを賛美する)
  • ほめたたえる(例:彼女の勇気をほめたたえる)
  • 称賛する・賞賛する(例:その功績は世界中で称賛されている)
  • 崇める・敬う(例:先人たちの知恵を敬い、讃える)

「少しかしこまった雰囲気を残しつつ、読みやすさを優先したいとき」には、称賛する・賞賛するあたりがバランスの良い選択になります。

讃えるの正しい使い方のポイント

讃えるを自然に使うためのポイントをまとめると、次の3つに集約されます。

・感動や敬意を強く出したいときに選ぶ
・宗教的・芸術的・歴史的な文脈との相性が良い
・ビジネス文書では、文脈によっては「たたえる」「感謝する」「敬意を表する」などに言い換える

文章全体のトーンが堅めであればあるほど、讃えるはしっくりはまりやすくなります。逆に、くだけた日常会話に突然「讃える」が出てくると、浮いてしまうこともあります。

讃えるの間違いやすい表現

讃えるでよくある誤り・注意点としては、次のようなものがあります。

  • 「賛える」と表記してしまう(誤字として見なされることがある)
  • やたらと多用し、文章全体が大げさ・芝居がかった印象になる
  • ビジネスメールで、多くの相手に送る定型文として使ってしまう

特にビジネスのシーンでは、大げさに聞こえないか・相手との距離感に合っているかを意識して選ぶことが大切です。

言葉の選び方ひとつで、相手に「持ち上げられすぎている」と感じさせてしまうこともあります。評価や感謝の気持ちを伝えるときは、相手との関係性と場面を踏まえて、適度なトーンの表現を選びましょう

称えるを正しく使うために

次に、称えるの具体的な例文・言い換え・注意点を見ていきます。ニュースや社内報、スピーチでよく使われるだけに、自然な使いこなし方を押さえておくと便利です。

称えるの例文5選

ニュース・ビジネスでの例文

  • 表彰式では、受賞者の長年の功績が称えられた。
  • 社長は、プロジェクトチームの粘り強い努力を称えた。
  • 多くのメディアが、彼女のチャレンジ精神を称えている。

日常会話・少し改まった場面での例文

  • 私たちは、被災地で活動を続けるボランティアの方々を心から称えたい。
  • 彼は、仲間から「チームの柱」と称えられている。

称えるを言い換えてみると

称えるは、ややフォーマルな語感を持つため、シーンによって次のような言い換えがよく使われます。

  • 褒める・褒めたたえる(少しくだけた表現)
  • 評価する・高く評価する(ビジネス寄りの表現)
  • 敬意を表する(相手へのリスペクトを前面に出す)
  • 感謝する・感謝の意を示す(努力や貢献への感謝を強調)

たとえば、「社員一人ひとりの努力を称えます」という文は、「社員一人ひとりの努力に深く感謝します」と書き換えることで、より自然で温かいトーンのメッセージになります。

称えるを正しく使う方法

称えるをバランスよく使うためのポイントは、次の3つです。

・「功績・努力・実績」といった、評価対象が明確なときに使う
・人や団体に対する称賛に用いることが多く、物に対してはやや限定的
・ビジネス文章では、必要以上にくどくならないよう、1文中の敬語を整理する

たとえば、「部長は、彼の努力を高く称えられました」という文は、敬語が過剰で少し読みにくくなります。「部長は、彼の努力を高く評価しました」「部長は、彼の努力を称えました」のように、敬語を整理してシンプルにすることが大切です。

称えるの間違った使い方

称えるに関しても、次のような誤用・不自然な使い方には注意が必要です。

  • 「称えられられる」など、敬語や受け身が二重になってしまう
  • 対象があいまいなまま「称える」を使い、何を評価しているのか伝わらない
  • 身近でくだけた会話なのに、急に称えるを使って浮いてしまう

敬語や尊敬表現全般については、「おられる」と「いらっしゃる」のように微妙な違いが多く、文全体を見て整理することがとても重要です。細かな敬語の違いに興味がある方は、「おられる」と「いらっしゃる」の違いを扱った解説記事なども参考になるでしょう。

まとめ:讃えると称えるの違いと意味・使い方の例文

最後に、この記事でお伝えしたポイントをまとめます。

  • 讃えるも称えるも、基本は「ほめたたえる」という意味で共通している
  • 讃えるは、宗教・芸術・歴史的な偉業など、崇高な対象を賛美するイメージが強い
  • 称えるは、功績・努力・称号などを評価してほめる、ニュースやビジネスで使いやすい表現
  • 場面や相手との距離感によっては、「たたえる」「褒める」「感謝する」「敬意を表する」などへの言い換えも有効

言葉の違いを押さえることは、単に「正しい日本語」を覚えるためだけでなく、相手にどう受け取ってほしいのかを丁寧に設計することでもあります。讃えると称えるのニュアンスを理解しておけば、スピーチや文章の説得力が大きく変わってきます。

今後も「違いの教科書」では、讃える・称えるのように一見似ている言葉の違いや意味、使い方、例文を丁寧に解説していきます。気になる言葉があれば、ぜひ他の記事ものぞいてみてください。

おすすめの記事