
「執る」「撮る」「採る」「捕る」は、どれも読み方が同じ「とる」なので、文章を書くときに迷いやすい漢字です。
たとえば「写真をとる」は「撮る」だと分かっていても、「指揮をとる」「決をとる」「虫をとる」などになると、急に自信がなくなる方も多いはずです。
この4つは、同音異義語として意味の方向がはっきり分かれています。つまり、違いの軸さえ押さえれば、使い分けはむしろ簡単です。
この記事では、執る・撮る・採る・捕るの違いと意味を整理し、使い方、例文、語源、類義語・対義語、言い換え、英語表現まで一気にまとめます。国語辞典や用字用語集での考え方も踏まえながら、実務でも会話でも迷わない基準を作っていきましょう。
- 執る・撮る・採る・捕るの意味の違いを一瞬で見分けるコツ
- シーン別に迷わない使い分けと、間違いやすい境界線
- 語源・類義語・対義語・言い換えまで含めた理解の深め方
- そのまま使える例文と、英語表現での言い分け
目次
執ると撮ると採ると捕るの違い
まずは全体像から整理します。4つの「とる」は、対象が「仕事・手続きを扱う」のか、「映像や写真に残す」のか、「選んで取り上げる」のか、「つかまえる」のかで分かれます。ここを押さえると、例文や言い換えも芋づる式に理解できます。
結論:執ると撮ると採ると捕るの意味の違い
結論から言うと、4つの違いは次の通りです。
| 語 | 核となる意味 | 対象 | 代表的な用例 |
|---|---|---|---|
| 執る | 職務として扱う/取り仕切って行う | 仕事・役目・筆・指揮など | 筆を執る/指揮を執る/事務を執る |
| 撮る | 写真・映像として記録する | 写真・動画・場面など | 写真を撮る/動画を撮る/映画を撮る |
| 採る | 選び取る/採用する/採取する | 意見・方法・票・材料など | 案を採る/決を採る/山菜を採る |
| 捕る | 捕まえる/捕獲する | 生き物・ボールなど | 虫を捕る/魚を捕る/飛球を捕る |
- 仕事・役目を「取り仕切る」なら執る
- 写真・映像で「記録」するなら撮る
- 選んで「採用・採取」するなら採る
- 対象を「捕まえる」なら捕る
執ると撮ると採ると捕るの使い分けの違い
使い分けは、「何を」「どうするか」を言語化するとブレません。私は読者の方には、次の2ステップで判断する方法をおすすめしています。
ステップ1:対象が「行為」か「物体」か
対象が、仕事・式・指揮のような役目や運営(行為)なら「執る」。対象が、虫・魚・ボールのような物体なら「捕る」。対象が、票・意見・方法のような選択なら「採る」。写真・映像の記録なら「撮る」。この整理が最短です。
ステップ2:目的が「扱う/記録/選ぶ/捕まえる」のどれか
たとえば「会議で決をとる」は、単に取るではなく、採決として“採る”のニュアンスが強い場面です。一方「写真をとる」は、成果物が写真なので「撮る」。そして「式をとりしきる」は、運営のニュアンスなので「執る」に寄ります。
- 実務文書では、読みやすさのために「とる」とひらがなにする運用もあります
- ただし、公的文書や社内規程などで表記統一が必要なら、用字用語集や国語辞典の方針に合わせるのが無難です
執ると撮ると採ると捕るの英語表現の違い
英語は日本語ほど同音異義の揺れが少ないため、英訳の発想で逆に整理すると覚えやすくなります。
| 語 | よく使う英語 | ニュアンス | 例 |
|---|---|---|---|
| 執る | conduct / take charge of / handle | 取り仕切る・職務として扱う | take charge of the operation |
| 撮る | take a photo / shoot / film | 撮影する | take a photo / shoot a video |
| 採る | adopt / select / pick / collect | 採用する・選び取る・採取する | adopt a plan / collect wild plants |
| 捕る | catch / capture | 捕まえる | catch a fish / capture an animal |
なお英語表現は文脈で変わります。正確さを優先するなら、最終的には辞書や公式の用語集、またはネイティブチェックで確認することをおすすめします。
執るの意味
「執る」は、4つの中で最も“文章の中で迷いやすい”漢字です。理由は簡単で、対象が「物」ではなく「役目・職務・運営」になりやすいからです。ここでは、定義と使用場面を具体例で固めます。
執るとは?意味や定義
執るは、簡単に言うと「職務として取り扱う」「取り仕切って行う」という意味です。日常会話よりも、文章・仕事・儀式の文脈でよく出てきます。
代表例は「筆を執る」「指揮を執る」「事務を執る」。このように、“役目を担って動かす”方向の語感が核になります。
執るはどんな時に使用する?
執るが自然になるのは、次のような場面です。
- 仕事や手続きを担当して進める:事務を執る、職務を執る
- 式典などを取り仕切る:式を執り行う(「執り行う」の形で出やすい)
- 文章を書く・筆記する:筆を執る
- 全体を統率する:指揮を執る
- 「執る」は万能ではありません。迷ったときに無理に漢字へ寄せるより、読みやすさを優先して「とる」とする判断も有効です
- 公的文書や規程など、表記統一が必要な場合は必ず用字用語集等で最終確認してください
執るの語源は?
執るは、もともと「手にしっかり握る」という感覚と、そこから転じた「職務をしっかり行う」という意味合いが背景にあります。実務語としても「執務」「執行」「執筆」など、仕事・責務の語彙と結びつきやすいのが特徴です。
語源や成り立ちは辞書や用例で説明が揺れることもあります。厳密に確認したい場合は、国語辞典や公式の用字用語集をあわせてご確認ください。
執るの類義語と対義語は?
執るの類義語は、文脈によって選び分けます。
- 類義語:取り仕切る、担当する、遂行する、実施する、執行する、運営する
- 対義語:中止する、取りやめる、放棄する(文脈次第で「任せる」「委ねる」も対照になりやすい)
「執る」は硬めの語感があるため、会話では「担当する」「やる」に寄せたほうが自然なことも多いです。
撮るの意味
「撮る」は、4つの中で最も迷いにくい一方、意外と「録る」「取る」と混同しやすい場面があります。ここでは「撮影」の核を、例文と一緒に整理します。
撮るとは何か?
撮るは「写真や映像として記録する」という意味です。カメラ・スマホ・映像機器で、対象を画像や動画に残すときに使います。
要するに、成果物が写真・動画・映像なら、まず「撮る」を疑いましょう。
撮るを使うシチュエーションは?
- 写真:家族写真を撮る、風景を撮る
- 動画:運動会の様子を撮る、Vlogを撮る
- 作品制作:映画を撮る、PVを撮る
- 事務用途:書類をスマホで撮る(撮影して保存する)
- 同じ「とる」でも、音声だけなら「録る」を使うケースが多いです(録音)
- 「写真を取る」と書く人もいますが、意味を限定して誤読を減らすなら「撮る」が分かりやすいです
撮るの言葉の由来は?
撮るは、もともと「指先でつまむ」のような感覚が語源的な背景として語られ、その後、必要な部分を取り出す意味を経て、現代では撮影の意味が中心になりました。常用漢字表でも「撮」は「撮影」の意味で定着しています。
語源の説明は辞書によって表現が異なることがあります。正確な確認は国語辞典や公式資料にあたるのが確実です。
撮るの類語・同義語や対義語
- 類語・同義語:撮影する、写す、収録する(映像寄り)、フィルミングする(口語・外来語的)
- 対義語:削除する、消去する、破棄する(記録を消す方向の対照)
採るの意味
「採る」は「選ぶ」「採用する」「採取する」といった“選択”が芯です。会議・採用・山菜など、場面ごとに連想できると使い分けが安定します。
採るの意味を解説
採るは「選んで取り上げる」「採用する」「採取する」という意味です。単に手に入れるというより、“必要だと思って選び取る”ニュアンスが含まれやすいのがポイントです。
採るはどんな時に使用する?
- 選択・採用:案を採る、意見を採る、手段を採る
- 会議:決を採る(採決する)
- 自然物の採取:山菜を採る、薬草を採る
- 制度・評価:点を採る(※この場合は「取る」も多いので、文脈で調整)
- 採る=「選ぶ」が芯
- 「取る」にしても通じる場面はありますが、選択の意思を強めたいときに「採る」を使うと文章が引き締まります
採るの語源・由来は?
採るは、もともと「手の先でつまみ取る」という感覚から、「選び取る」「取り上げる」へ意味が広がってきたと説明されます。結果として「採用」「採決」「採択」など、選択の行為を表す語彙と結びつきやすい字です。
語源の解釈は資料により揺れがあります。迷った場合は辞典・公式の用字用語集を最終基準にしてください。
採るの類義語と対義語は?
- 類義語:選ぶ、採用する、取り入れる、採択する、選定する
- 対義語:却下する、退ける、見送る、棄却する
捕るの意味
「捕る」は、4つの中で意味の方向が最も明快です。ただし「取る」「獲る」「捕まえる」との距離感で迷うことがあります。ここで境界線を整理しておきましょう。
捕るとは?意味や定義
捕るは「捕まえる」「逃がさないように捉える」という意味です。生き物を捕まえるだけでなく、スポーツでボールをキャッチする場合にも使われます。
捕るはどんな時に使用する?
- 生き物:魚を捕る、虫を捕る、ねずみを捕る
- スポーツ:飛球を捕る、ボールを捕る
- 慣用:生け捕る(生きたまま捕まえる)
- 「捕る」は“捕まえる”が中心ですが、狩猟・漁業などの文脈では「獲る」と書く場合もあります
- どちらが適切か迷うときは、読み手に伝わりやすい表記を優先し、必要なら辞書や公式資料で最終確認してください
捕るの語源・由来は?
捕は、「対象をとらえる」方向の意味を持つ字で、現代でも「逮捕」「捕獲」「捕手」などの語に残っています。つまり“とらえる・つかまえる”が中心概念です。
捕るの類語・同義語や対義語
- 類語・同義語:捕まえる、とらえる、捕獲する、キャッチする(口語)
- 対義語:逃がす、放す、解放する
執るの正しい使い方を詳しく
ここからは、それぞれの語を「実際に書ける」レベルに落とし込みます。まずは「執る」。文章・ビジネス文書で出番が多いので、例文と間違いやすい表現をセットで押さえましょう。
執るの例文5選
- 新プロジェクトでは、私が全体の指揮を執ることになった
- 入社式は総務部が中心となって式を執り行う
- 久しぶりに筆を執り、近況を手紙にしたためた
- 会計処理の事務を執る担当者を決める必要がある
- 緊急時は現場責任者が判断を執り、対応を進める
執るの言い換え可能なフレーズ
- 指揮を執る:指揮をとる、取りまとめる、統括する
- 事務を執る:事務を担当する、処理する、取り扱う
- 式を執り行う:挙行する、実施する、開催する(※式典に限定)
執るの正しい使い方のポイント
執るを正しく使うコツは、対象を「物」ではなく役目・運営・職務として捉えることです。
- 執る=“責任を持って取り扱う/取り仕切る”と覚える
- 迷ったら「担当する」「取り仕切る」に置き換えて違和感がないか確認する
- 硬い文脈で映える一方、会話では言い換えたほうが自然な場合もある
執るの間違いやすい表現
よくあるのが「筆を取る」と「筆を執る」の混同です。文房具店で筆を手に取るなら「取る」でも良いですが、文章を書く行為を言うなら「筆を執る」がしっくりきます。
また「式を行う」を「式を執る」としてしまう例もあります。式典の文脈なら「執り行う」が定番なので、表記を整えると読み手の負担が減ります。
「執り行う」のニュアンスをより詳しく知りたい方は、「取り行う」と「執り行う」の違いと使い方も参考になります。
撮るを正しく使うために
「撮る」は分かりやすい反面、スマホ時代になって「撮る/取る/録る」が混ざりやすくなりました。ここで“成果物が何か”を基準に固定しておきましょう。
撮るの例文5選
- 旅行先で夕焼けの写真を撮った
- 手順が分かるように作業の様子を動画で撮る
- 会議資料はスマホで撮って、あとで整理する
- 監督として短編映画を撮るのが目標だ
- 証拠として現場の状況を撮っておいた
撮るを言い換えてみると
- 写真を撮る:写真を撮影する、写す
- 動画を撮る:撮影する、収録する
- 映画を撮る:制作する、撮影する、フィルムに収める(硬め)
撮るを正しく使う方法
撮るの判断軸はシンプルです。「画像・映像として残すか」だけ。
- 成果物が写真・動画なら撮る
- 音声だけなら「録る」も検討する(録音)
- 「取る」でも通じる場面はあるが、誤読を減らしたいなら撮るが安全
撮るの間違った使い方
典型は「メモを撮る」です。メモを“書く”なら「取る(メモを取る)」が一般的で、写真で残すなら「メモを撮る」でも筋は通りますが、読み手が混乱することがあります。文章では、「メモを取る」「メモを写真に撮る」のように具体化すると誤解が減ります。
採るの正しい使い方を解説
「採る」は「選択」が芯です。会議・採用・採取のどれで使っているかを明確にすると、表記がブレません。
採るの例文5選
- 複数案を比較し、最も現実的な案を採った
- 会議では多数決で決を採ることになった
- 応募者の中から新メンバーを採る基準を決める
- 山で食べられる野草を少しだけ採った
- 意見を採るかどうかは、根拠の強さで判断する
採るを別の言葉で言い換えると
- 案を採る:採用する、選ぶ、取り入れる
- 決を採る:採決する、決議する
- 山菜を採る:採取する、摘む(対象次第)
採るを正しく使うポイント
採るを安定させるコツは、「選び取る意思」があるかを確認することです。
- 採る=“選択して取り上げる”
- 「取る」よりも、意思決定・採択のニュアンスが出しやすい
- 会議なら「採決(決を採る)」がセットで覚えやすい
採ると誤使用しやすい表現
「対策をとる」を「対策を採る」とするかは、文章の方針で揺れやすいところです。私は、一般向けの文章なら読みやすさを優先して「対策を取る」も十分ありだと思っています。一方で、選択としての意思決定を強く出したいなら「採る」がしっくりくる場面もあります。
表記で迷う場合は、最終的には国語辞典や公式の用字用語集に合わせて統一してください。
捕るの正しい使い方・例文
「捕る」は“捕まえる”でほぼ決まりですが、言い換えや周辺語(獲る・捉える)に引っ張られて迷うことがあります。誤解が起きやすい点を先回りして整理します。
捕るの例文5選
- 子どもと一緒に川で魚を捕った
- 夏休みに昆虫を捕るのが楽しみだった
- 外野手が飛球を捕ってピンチを切り抜けた
- 逃げた猫を捕ろうとして転んでしまった
- 網で虫を捕るときは、傷つけないように注意する
捕るの言い換え可能なフレーズ
- 捕る:捕まえる、とらえる、キャッチする(口語)
- 生け捕る:生きたまま捕まえる、確保する(文脈による)
- 飛球を捕る:捕球する、キャッチする
捕るの正しい使い方のポイント
捕るのポイントは、「対象が動くもの(逃げるもの)で、手で確保する」イメージを持つことです。
- 捕る=“逃げるものをつかまえて離さない”
- スポーツ文脈では「捕球する」と言い換えると硬さを調整できる
- 狩猟・漁業の成果を強く言うときは「獲る」も候補(文脈次第)
捕るの間違った使い方
「チャンスを捕る」「要点を捕る」のように、抽象物に使うと違和感が出やすいです。抽象物を“つかむ”なら、多くは「捉える(とらえる)」が自然です。
「捕らわれる」など、「捕」が入る語のニュアンス(物理的に捕まえる/縛られる感覚)を確認したい方は、「捕らわれる」と「囚われる」の違いと使い方も参考になります。
まとめ:執ると撮ると採ると捕るの違いと意味・使い方の例文
最後に、執る・撮る・採る・捕るの違いをもう一度、短くまとめます。
- 執る:職務として扱う/取り仕切る(筆を執る・指揮を執る)
- 撮る:写真・映像として記録する(写真を撮る・動画を撮る)
- 採る:選んで取り上げる/採用する/採取する(案を採る・決を採る)
- 捕る:捕まえる/確保する(魚を捕る・飛球を捕る)
- 迷ったら「対象」と「目的(扱う/記録/選ぶ/捕まえる)」を言語化すると判断が速くなります
- 読みやすさ優先で「とる」とひらがなにする運用も現実的です
- 公的文書・規程・論文などは表記統一が重要なので、国語辞典や公式の用字用語集で最終確認してください
関連して「取る」と「摂る」も混同しやすいので、体内に取り入れる文脈で迷う方は、「取る」と「摂る」の違いと意味・使い方もあわせて読むと、同音異義語の整理が一段ラクになります。

