
「参る」と「まいる」は同じ読み方なのに、漢字とひらがなで書き分けられているのがややこしいところです。ビジネスメールで「参ります」と書くべきか、それとも「まいります」が自然なのか、敬語として正しいのはどちらか、迷った経験がある方も多いはず。
結論から言うと、両者は「意味が違う」というより、文脈によって「動詞としての参る(漢字)」か「補助動詞としてのまいる(ひらがな)」かを見分けて表記を決めるのがポイントです。謙譲語・丁寧語としての扱い、使い分け、正しい使い方、例文、言い換え、英語表現まで整理すると、文章の印象と信頼感がぐっと上がります。
この記事では、参るとまいるの違いと意味を軸に、語源、類義語、対義語、言い換え、英語表現、使い方、例文、表記ルール(漢字・ひらがな)、ビジネスでの注意点まで、まとめて解決します。
- 参るとまいるの違いと判断基準
- 参る・まいるの意味と正しい使い分け
- 例文と、言い換え・英語表現の整理
- 誤用しやすいパターンとビジネスでの注意点
参るとまいるの違い
参るとまいるは、読み方は同じでも「漢字で書くべき場面」と「ひらがなで書くのが自然な場面」がはっきり分かれます。ここでは最初に、迷いをなくすための結論と、使い分けのコツを整理します。
結論:参るとまいるの意味の違い
結論として、参るとまいるは「意味が別物」というより、役割(文法上の立ち位置)が違うと捉えるのが分かりやすいです。
漢字の「参る」は、動詞としてしっかり意味を持ちます。代表的には、「行く・来る」の謙譲語、そして「参拝する」「降参する」「困る・弱る」など、文脈によって意味が広がる語です。
一方、ひらがなの「まいる」は、主に補助動詞として使われることが多く、「~してまいる」の形で「これから続ける」「丁寧に述べる」といった機能を担います。たとえば「引き続き検討してまいります」の「まいります」は、移動の意味が薄く、継続・方針表明のニュアンスが中心です。
| 表記 | 中心的な役割 | 代表的な意味・ニュアンス | 例 |
|---|---|---|---|
| 参る(漢字) | 自立動詞 | 行く・来る(謙譲)/参拝/降参/弱る・困る | 明日、御社へ参ります |
| まいる(ひらがな) | 補助動詞 | ~していく(継続)/丁寧な方針表明 | 改善に努めてまいります |
- 移動そのもの・参拝・降参など「意味が立つ」なら漢字の参る
- 「~してまいる」で動作の継続や方針を添えるなら、ひらがなのまいる
参るとまいるの使い分けの違い
私が文章をチェックするときにまず見るのは、「参る(まいる)」が単独で意味を持っているか、それとも他の動詞にくっついて機能しているかです。
①単独で成立するなら「参る」
「参る」を外してしまうと文が崩れる、または意味が大きく変わるなら、たいてい自立動詞です。
- これから先方へ参ります(=行く)
- 神社へ参る(=参拝する)
- もう参りました(=降参する/困った)
②「~て(で)まいる」なら「まいる」
「確認してまいります」「努めてまいります」のように、動詞の連用形+て(で)+まいるは、実務では補助動詞として扱うのが自然です。ここを漢字にすると、文章が硬くなるだけでなく、読み手によっては「移動の意味?」と誤読されることもあります。
- 「~して参ります」と漢字で書く企業もありますが、読みやすさ重視なら「~してまいります」が無難
- 社内ルールや広報の表記基準がある場合は、それに合わせるのが最優先
参るとまいるの英語表現の違い
英語にすると、参るとまいるの違いは「表記の違い」ではなく「文脈の違い」として整理できます。日本語では同じ読みでも、英語では別の動詞・言い回しに分かれます。
| 日本語 | 場面 | 英語表現の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| (行く・来る)参る | 訪問・参上 | go / come / visit | I will visit your office tomorrow. |
| (参拝する)参る | 神社・寺 | visit a shrine/temple / pay a visit | We visited a shrine for New Year. |
| 参りました(降参) | ギブアップ | I give up. / You got me. | Okay, I give up. |
| ~してまいります | 継続・方針 | will continue to / will keep / going forward | We will continue to improve our service. |
英訳では、敬語としての「へりくだり」よりも、英語として自然な意図(訪問・継続・降参など)に寄せるほうが伝わりやすいです。
参るとは?
ここからは「参る」を単体で深掘りします。意味の幅が広い言葉なので、代表的な用法を押さえておくと、誤用を一気に減らせます。
参るの意味や定義
参るは、基本的に自分側の行動をへりくだって述べるときに使う言葉で、敬語分類では謙譲語として扱われます。代表的には「行く・来る」の謙譲表現として「伺う」と並ぶ重要語です。
ただし参るはそれだけではなく、日常会話では「困る」「弱る」、スポーツや将棋などでは「降参する」の意味でも使われます。つまり参るは、敬語だけに閉じない多義語だと理解しておくと、文脈判断がスムーズです。
参るはどんな時に使用する?
参るが自然にハマるのは、次のようなシーンです。
- 訪問・参上:目上の相手や取引先へ行く/来る
- 参拝・お墓参り:神社仏閣や墓所へ行く
- 降参:勝負がついたときの「参りました」
- 弱る・困る:体調や状況がつらいときの「参ったな」
- 「参る」は自分の動作をへりくだる表現なので、相手や第三者の動作に安易に使うと不自然になりやすい
- 敬語の正確な扱いは、国語辞典や公的機関の解説、社内表記基準など公式情報の確認が安心
参るの語源は?
参るの語源は古い日本語にさかのぼり、もともとは宮中や神社など尊い場所へ出向くニュアンスが核にありました。そこから「貴人のもとへ参上する」「持ち物を携えて参上する」といった用法が広がり、現代では「行く・来る」の謙譲表現として定着しています。
語源を知ると、「参る」が単なる移動ではなく、改まった場所・相手に向かう気配を含むことが腑に落ちます。だからこそ、日常の「行く」よりも一段丁寧に聞こえるのです。
参るの類義語と対義語は?
参るの類義語は、意味ごとに分けると整理しやすいです。
類義語
- (行く・来る)伺う/参上する/お邪魔する
- (参拝)参拝する/詣でる
- (降参)降参する/ギブアップする
- (困る)弱る/困り果てる
対義語
参るは多義語なので、対義語も「どの意味で使っているか」によって変わります。
- (行く・来る)戻る/帰る(文脈次第)
- (降参)勝つ/制する
- (困る)順調だ/うまくいく
対義語は一語でピタッと決めにくいことが多いので、文章では「何と対にしたいのか」を先に決めるのがコツです。
まいるとは?
次に「まいる」を見ていきます。ここでのポイントは、ひらがな表記の「まいる」が、実務では補助動詞として扱われることが多い点です。
まいるの意味を詳しく
まいるは、形としては「参る」と同じ動詞ですが、ひらがな表記で用いられるときは、主に「~てまいる」の形で補助動詞になりやすいのが特徴です。
補助動詞の「まいる」には、「これからも続ける」「今後その方針で進める」「丁寧に言い切る」といったニュアンスが乗ります。つまり、移動の意味よりも、継続・推移・意志表明が中心になります。
まいるを使うシチュエーションは?
まいるが活躍するのは、ビジネスの文章や挨拶文、社外向けの発信など、「丁寧に、しかし硬すぎずに」意志を示したい場面です。
- 引き続き改善に努めてまいります
- 今後も品質向上に取り組んでまいります
- 確認のうえ、改めてご連絡してまいります
これらは「行く」の意味ではなく、「継続する」「進める」の意味合いです。だからこそ、ひらがな表記のほうが読み手にとって自然で、スッと入ります。
まいるの言葉の由来は?
まいるは、古い表記では「まゐる」のように書かれた時代もあり、長い時間の中で音や表記が整ってきた言葉です。現代の文章では、「漢字で意味を立てる参る」と「補助動詞として柔らかくつなぐまいる」を使い分けることで、読みやすさと誤読防止の両方を狙えます。
由来まで含めると専門的になりすぎることもあるので、実務では「補助動詞っぽいならひらがな」という判断軸だけ持っておくと十分戦えます。
まいるの類語・同義語や対義語
まいる(補助動詞)の類語は、「継続・方針」を示す言い回しに寄せると分かりやすいです。
類語・言い換え(同義)
- ~していきます
- ~を続けます
- 今後も~します
- これから~します
対義語
補助動詞のまいるは「続ける」方向性が強いので、対にするなら「やめる」「中止する」「見送る」などが文脈上の対義になります。
- ~を中止します
- ~を取りやめます
- ~は見送ります
参るの正しい使い方を詳しく
参るは多義語なので、例文で感覚を固めるのが近道です。ここでは、ビジネスから日常まで、使える形をまとめます。
参るの例文5選
- 本日15時に御社へ参りますので、受付にてお声がけください
- ただいま担当者が参りますので、少々お待ちください
- 来週、現地へ参って状況を確認いたします
- 暑さで体が参ってしまい、今日は早めに休みます
- その一言には参りました。次から気をつけます
同じ参るでも、1〜3は「行く・来る(謙譲)」、4は「弱る」、5は「降参・困る」の方向です。文脈で意味が切り替わるのが参るの特徴です。
参るの言い換え可能なフレーズ
参るを言い換えるときは、「どの意味の参るか」を先に決めます。
| 参るの用法 | 言い換え例 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 行く・来る(謙譲) | 伺う/お邪魔する/参上する | へりくだりを強める/柔らかくする |
| 参拝 | 参拝する/詣でる | 行為を明確化 |
| 降参 | 降参する/ギブアップする | 場面に応じて口語寄りに |
| 弱る・困る | 困る/まいった/弱っている | カジュアルに調整 |
なお、「持参」という語は「持つ+参る」から成り立つ表現で、ビジネス文書でもよく使います。持参表現の丁寧さの調整に迷う場合は、関連記事として「お持ちいたします」と「持参いたします」の違いや意味・使い方も参考になります。
参るの正しい使い方のポイント
参るを上手に使うコツは、次の3点です。
- 「誰の動作か」を確認し、自分側の動作に使う
- 「行く・来る」以外の意味(降参・困る・参拝)では、誤読されない文脈を作る
- 社内文書や対外文書では、表記ゆれ(参る/まいる)をルール化して統一する
参るの間違いやすい表現
誤用で多いのが、尊敬表現との混線です。参るは「へりくだる」側なので、相手を立てる尊敬語としては使いません。
- × 社長が参られました(参る+られるで不自然になりやすい)
- △ お客様が参ります(相手の動作に参るを当てると違和感が出る場合がある)
敬語は相手・自分・第三者の関係で判断が変わるため、迷うときは国語辞典や公的機関の解説、社内の敬語ルールなど公式の基準を確認してください。最終的な判断は、必要に応じて文章校正の担当者や専門家にご相談ください。
まいるを正しく使うために
まいるは、丁寧で柔らかい印象を作れる便利な表現です。一方で「全部ひらがなにすればOK」という話でもないので、補助動詞としての扱いを軸に整えましょう。
まいるの例文5選
- ご指摘の点は、社内で共有して改善してまいります
- 本件は確認してまいりますので、少々お時間をください
- 今後も品質向上に取り組んでまいります
- 引き続き、関係各所と調整してまいります
- まずは現状を整理してから進めてまいります
どれも「行く・来る」ではなく、「続ける」「進める」「丁寧に述べる」ニュアンスです。この用途なら、ひらがなのまいるが読みやすく、誤解も起きにくいです。
まいるを言い換えてみると
まいる(補助動詞)を言い換えると、文章の硬さを調整できます。相手との距離感や媒体(メール/資料/口頭)で選び分けると効果的です。
- ~していきます(ややフラット)
- ~を続けます(ストレートで明快)
- 今後も~します(方針表明向き)
- ~いたします(より丁寧だが多用注意)
まいるを正しく使う方法
まいるの運用ルールは、私は次のようにしています。
- 「動詞+て+まいる」になっていて、移動の意味が薄いなら、ひらがなのまいるを優先
- 対外文書は「読みやすさ」と「誤読防止」を優先し、表記を統一
- 企業・官公庁・媒体ごとの表記基準がある場合は、必ずそれに合わせる
まいるの間違った使い方
まいるの誤りとして多いのは、「動詞としての参る」まで全部ひらがなにしてしまうパターンです。
- × 明日、御社へまいります(動詞としての意味が立つ場合は漢字の参るが一般的)
- × 神社へまいる(参拝の意味なら参るが自然)
ただし、表記は媒体や社内ルールで差が出ます。読者に誤解が生まれないことが最優先なので、最終的には公式の表記基準や国語辞典を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。
まとめ:参るとまいるの違いと意味・使い方の例文
参るとまいるは、読みは同じでも、文章では「自立動詞として意味が立つ参る(漢字)」と「補助動詞として機能するまいる(ひらがな)」に分けて考えると迷いません。
- 移動・参拝・降参・困るなど、意味が明確に立つなら参る
- 「~してまいる」で継続や方針を添えるならまいる
- 英語では go/come/visit、continue to、I give up など文脈ごとに訳し分ける
- 表記は社内ルールや媒体の基準がある場合は統一し、公式情報の確認も忘れない
使い分けに自信がつくと、ビジネスメールの文章が整い、読み手の印象も安定します。迷ったときは「そのまいるは単独で意味が立つか?」を合言葉に判断してみてください。

