
「通訳と翻訳って、結局なにが違うの?」「和訳って翻訳と同じ?それとも別物?」──言語に関わる言葉は、なんとなく知っているつもりでも、いざ説明しようとすると迷いやすいものです。
特に「通訳・翻訳・和訳」は、仕事の依頼や学習(英語学習、受験、TOEIC、英検、ビジネス、会議、字幕、書類)など、実生活の中で登場頻度が高い一方で、意味の境界があいまいになりがちです。さらに「同時通訳・逐次通訳」「英訳・和訳」「直訳・意訳」「ローカライズ」「機械翻訳(AI翻訳)」といった関連語も絡むと、混同が加速します。
この記事では、「通訳」「翻訳」「和訳」の意味の違いを整理し、場面ごとの使い分け、英語表現、語源、類義語・対義語、言い換え、そしてすぐ使える例文までをまとめます。読んだあとには、自信をもって言葉を選べるようになります。
- 通訳と翻訳と和訳の意味の違い
- シーン別の使い分けと判断基準
- 英語表現(interpretation / translation など)との対応関係
- 例文と、間違いやすいポイントの整理
目次
通訳と翻訳と和訳の違い
まずは全体像を一気に整理します。ここを押さえるだけで、以降の理解がスムーズになります。
結論:通訳と翻訳と和訳の意味の違い
結論から言うと、通訳は「話し言葉(音声)をその場で別言語に移すこと」、翻訳は「書き言葉(文字)を別言語に移すこと」、そして和訳は「翻訳のうち、外国語→日本語にすること」を指します。
| 用語 | 中心の対象 | 方向性 | スピード感 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|
| 通訳 | 音声(会話・スピーチ) | 双方向が基本 | リアルタイム | 会議、商談、医療現場、観光案内 |
| 翻訳 | 文字(文章・資料) | 双方向がある | 時間をかけて精度重視 | 契約書、論文、Webサイト、字幕・吹替台本 |
| 和訳 | 文字(文章・例文) | 外国語→日本語 | 学習でも実務でも使う | 英文和訳、マニュアルの日本語化 |
- 通訳=耳で聞いた内容を口頭で伝える
- 翻訳=目で読んだ内容を文章として置き換える
- 和訳=翻訳の中でも「日本語にする」方向を明示
通訳と翻訳と和訳の使い分けの違い
使い分けは、基本的に「音声か文字か」と「日本語にする方向を強調するか」で決まります。
1)相手と“会話”を成立させたいなら通訳
その場で意思疎通が必要な場面(会議、商談、インタビュー、医療の説明など)では、通訳が中心です。通訳は「正確さ」だけでなく、相手が理解しやすいように要点を素早く組み立てる力が重要になります。
2)資料・文章を“成果物”として残すなら翻訳
契約書、仕様書、論文、Webサイト、プレスリリースなど、あとから読み返される文章は翻訳です。読み手や用途に合わせて語彙・文体を整え、表記ゆれや用語統一も含めて完成度を上げます。
3)「日本語化」をはっきり言いたいなら和訳
同じ翻訳でも、「英語を日本語にする」など方向を明確にしたいときに和訳が便利です。学習文脈(英文和訳)で特に多く、実務でも「この章だけ和訳してください」のように使われます。
- 「英訳」は日本語→外国語、「和訳」は外国語→日本語
- 実務では「翻訳(日本語化)」と言うことも多いが、方向を固定したいなら「和訳」が明確
通訳と翻訳と和訳の英語表現の違い
英語にすると整理がさらにクリアになります。
- 通訳:interpretation / interpreting(名詞)・to interpret(動詞)
- 翻訳:translation(名詞)・to translate(動詞)
- 和訳:Japanese translation / translate into Japanese(説明的に言うのが自然)
なお、英語の interpret は「通訳する」だけでなく「解釈する」という意味でも使われます。文脈で意味が分かれるので、英語表現に迷う場合は、解釈と理解の整理も役立ちます。
通訳の意味
ここからは、3語を1つずつ深掘りします。まずは「通訳」です。
通訳とは?意味や定義
通訳とは、話し手の発言を聞き取り、別の言語で口頭(または手話など)に置き換えて伝えることです。ポイントは、「音声情報をリアルタイムに橋渡しする」ところにあります。
通訳には、同時通訳・逐次通訳・ウィスパリング通訳など手法の違いがありますが、共通して求められるのは、瞬時の理解と再構成です。言葉を“そのまま置換”するというより、相手が理解できる形に再構築して届ける仕事だと捉えると、イメージがズレません。
通訳はどんな時に使用する?
通訳は、次のように「その場で意思疎通が必要」なシーンで使います。
- 海外クライアントとの会議・商談
- セミナーや記者会見、スピーチ
- 医療・行政・司法などの支援現場
- 観光・アテンド、工場見学の案内
- 通訳は状況により専門性(医療・法律・技術など)が大きく変わります。依頼や採用の判断は、最終的に専門家・提供会社・公式情報で条件を確認してください
- 費用や所要時間などは条件で上下します。数値が出る情報はあくまで一般的な目安として捉え、最終判断は見積もり・契約内容に基づいてください
通訳の語源は?
「通訳」は漢字の通り、“通す”+“訳す”の発想がそのまま語感に表れています。両者の間に立って意味を通し、相手に届く形に訳す──という役割が、言葉の形に凝縮されています。
また、「訳」という字自体が「意味を移し替える」「筋道・事情を説明する」ニュアンスを持つのも重要です。語感の理解を深めたい場合は、当サイト内の「訳」の整理も参考になります。
通訳の類義語と対義語は?
通訳の類義語は、文脈によって幅があります。
- 類義語:口頭翻訳(説明的)、逐次通訳・同時通訳(手法名)
- 近い言い換え:橋渡しする、意思疎通を支える
一方、「通訳」の対義語は辞書的に固定された単語があるというより、機能の反対として捉えると分かりやすいです。
- 対比されやすい語:翻訳(文字中心)
- 機能として反対:単言語で完結する説明(通訳が不要な状態)
翻訳の意味
次は「翻訳」です。通訳と似て見えて、実務上の性質はかなり違います。
翻訳とは何か?
翻訳とは、ある言語で書かれた内容を、別の言語の文章として表現し直すことです。対象は主に文字情報で、成果物として「読める文章」を残します。
翻訳は、正確さに加えて、読み手にとって自然で誤解がない文章に整える力が重要です。直訳・意訳、文体(硬い/柔らかい)、用語統一、表記揺れの制御など、“読みやすさの設計”が仕事の大きな部分を占めます。
翻訳を使うシチュエーションは?
翻訳が使われるのは、次のように文章が残り、再利用される場面です。
- 契約書、規約、法務文書
- マニュアル、仕様書、技術資料
- Webサイト、アプリUI、広報資料
- 書籍、論文、字幕・吹替台本
- Webやアプリの文脈では、翻訳よりも「ローカライズ(現地化)」という言い方が選ばれることがあります
- 「機械翻訳(AI翻訳)」は便利ですが、用途によっては誤訳リスクが残るため、最終的な判断は公式文書・専門家確認が安心です
翻訳の言葉の由来は?
「翻訳」は、“翻(ひるがえす)”+“訳(わける/うつす)”の組み合わせです。原文の内容を別言語へ“ひるがえして”表現する、というイメージが含まれます。
実務感覚としては、「言葉を置き換える」だけでなく、読み手の文化・前提知識に合わせて組み替える工程も含むため、単純な置換よりも広い概念として捉えるとズレません。
翻訳の類語・同義語や対義語
翻訳の類語は、ジャンルや目的で枝分かれします。
- 類語・同義語:訳出、翻案(創作寄り)、ローカライズ(現地化)
- 近い言い換え:文章化する、別言語で書き直す
対義語も固定語があるわけではありませんが、対比としては次が分かりやすいです。
- 対比されやすい語:通訳(音声中心)
- 機能として反対:原文のまま提示する(翻訳しない)
和訳の意味
最後に「和訳」です。学習でも仕事でも登場しますが、意味の芯はシンプルです。
和訳の意味を解説
和訳とは、外国語の文章を日本語に訳すことです。つまり、和訳は「翻訳」という大きな枠の中の一種で、方向(外国語→日本語)を明示した言い方だと整理できます。
英語学習で「英文和訳」と言うときは、文法構造の把握や語彙の理解を目的に、原文に忠実な形で日本語化する練習を指すことが多いです。一方、実務の和訳は「読み手に伝わる日本語」に整える必要があり、同じ和訳でもゴールが変わります。
和訳はどんな時に使用する?
和訳が選ばれやすいのは、次のように「日本語にすること」をはっきり言いたいときです。
- 英語学習・受験の英文和訳
- 海外資料の日本語要約前の下訳
- 社内共有のための外国語資料の日本語化
- 海外記事・論文の内容把握
- 契約書や法務・医療など高い正確性が必要な和訳は、自己判断で運用せず、必ず公式文書・専門家の確認を推奨します
和訳の語源・由来は?
「和訳」の「和」は日本(和語・和文・和風の“和”)を表し、日本語に訳す方向を示します。対になる表現として「英訳(英語に訳す)」があるのも、語感を理解する助けになります。
和訳の類義語と対義語は?
和訳の類義語は、目的によって選び分けると自然です。
- 類義語:日本語訳、日本語化
- 近い言い換え:日本語に直す、日本語で書き直す
対義語は、方向が逆のものが分かりやすいです。
- 対義語(方向が逆):英訳(日本語→英語)
通訳の正しい使い方を詳しく
ここからは「使い方」を例文中心に固めます。まずは通訳からです。
通訳の例文5選
- 明日の商談は専門用語が多いので、通訳を手配した
- 彼女は医療現場での通訳経験が豊富だ
- 会議では同時通訳より、今回は逐次通訳が向いている
- オンライン配信に通訳チャンネルを追加した
- 来賓対応のため、受付に通訳スタッフを配置した
通訳の言い換え可能なフレーズ
文章の流れによっては、次の言い換えが自然です。
- 通訳を手配する → 言語サポートを入れる
- 通訳を介して話す → 通訳を通してやり取りする
- 通訳が必要 → 言語の橋渡しが必要
通訳の正しい使い方のポイント
通訳は「訳す」以前に、会話を成立させるための機能だと考えると使い方が安定します。
- 音声・会話・その場がキーワードなら通訳
- 手法(同時/逐次)まで言うと、意図がさらに明確になる
- 専門領域が絡む場合は「分野名+通訳」(医療通訳など)で精度が上がる
なお、用語として「逐次通訳」が出てくる文脈は、日常語よりも実務寄りです。頻出語の整理として「逐次」の感覚を押さえておくと、文章が読みやすくなります。
通訳の間違いやすい表現
通訳と翻訳を混同すると、依頼や説明で齟齬が起きやすくなります。
- ×「会議資料を通訳してください」→ ○「会議資料を翻訳してください」
- ×「契約書の通訳」→ ○「契約書の翻訳(和訳/英訳)」
- ○「会議でのやり取りを通訳」→ 音声なので自然
翻訳を正しく使うために
次に「翻訳」です。文章として残るもの=翻訳、が基本線になります。
翻訳の例文5選
- 利用規約を英語に翻訳して公開した
- 技術資料の翻訳は用語統一が重要だ
- この小説は複数の言語に翻訳されている
- 字幕翻訳では文字数制限も意識する
- 機械翻訳の結果は、最終的に人がチェックした
翻訳を言い換えてみると
文体や場面によって、次の言い換えが使えます。
- 翻訳する → 別言語で書き直す
- 翻訳版 → 他言語版、ローカライズ版
- 翻訳文 → 訳文
翻訳を正しく使う方法
翻訳は「文字の成果物」なので、次の観点で言い方を整えるとプロっぽく伝わります。
- 対象(契約書/マニュアル/字幕など)を添えると誤解が減る
- 方向を明示するなら「英訳」「和訳」を併記する
- 目的(公開用/社内確認用/参考訳)を添えると品質要件が伝わる
翻訳の間違った使い方
翻訳は広い言葉なので、「何をどうするのか」が曖昧になる誤用が多いです。
- ×「この動画を翻訳して」→ ○「字幕を翻訳して」または「内容を日本語で要約して」
- ×「会議を翻訳して」→ ○「会議を通訳して」
和訳の正しい使い方を解説
最後に和訳です。方向が固定される分、使いどころが明確な言葉です。
和訳の例文5選
- この段落だけ先に和訳して、要点を共有する
- 英文和訳の練習で、文構造が見えるようになった
- 社内向けに海外ニュースを和訳した
- 専門用語が多いので、和訳は注釈付きにした
- この表現は直訳より、意訳で和訳したほうが伝わる
和訳を別の言葉で言い換えると
- 和訳する → 日本語に訳す、日本語化する
- 和訳文 → 日本語訳、訳文
和訳を正しく使うポイント
和訳は便利ですが、「目的」によって訳し方の最適解が変わります。
- 学習目的の和訳:原文の構造に寄せて、文法理解を優先しやすい
- 実務目的の和訳:読み手の理解を優先し、日本語として自然に整える
- 高リスク領域(法務・医療・安全)は、公式情報や専門家確認を前提に運用する
和訳と誤使用しやすい表現
和訳は「外国語→日本語」なので、次の混同に注意します。
- ×「英語に和訳する」→ ○「英語に英訳する」
- △「翻訳してください」だけだと方向が不明なことがある → ○「和訳(または英訳)してください」
まとめ:通訳と翻訳と和訳の違いと意味・使い方の例文
最後に、この記事の要点をコンパクトにまとめます。
- 通訳:音声(会話)をリアルタイムに別言語へ。会議・商談・現場対応に強い
- 翻訳:文字(文章)を別言語の文章へ。成果物として残り、精度と整文が重要
- 和訳:翻訳のうち外国語→日本語。方向を明確にしたいときに便利
用途(音声か文字か、方向はどちらか、読み手は誰か)を意識して言葉を選べば、「通訳」「翻訳」「和訳」は迷いません。費用・品質・契約に関わる判断が必要な場合は、必ず公式情報の確認や専門家への相談も併せて行ってください。

