
「許可」「認可」「承認」、これらの言葉は、ビジネスや行政手続き、日常会話でよく使われますが、その意味や使い分けを正確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。
これらの言葉はいずれも「何かを認める」という意味を持ちますが、その認める対象や認める主体、認める権限の範囲によって重要な違いがあります。適切な言葉を選ぶことで、あなたの意図をより正確に相手に伝えることができるようになります。
この記事では、「許可」「認可」「承認」のそれぞれの意味と特徴、違い、例文、類義語を詳しく解説します。これらの言葉の正確な使い分け方を理解して、あなたのビジネスコミュニケーションや文書作成の質を高めましょう。
- 「許可・認可・承認」それぞれの本来の意味
- 3つの言葉の違いと適切な使い分け方
- それぞれの例文(日本語・英語)と実際の使い方
- それぞれの類義語と関連表現
許可・認可・承認の違いは?意味とそれぞれの比較

「許可」の意味と特徴
「許可(きょか)」とは、ある行為や活動をしてもよいと認めることを指します。主に上位者や権限を持つ者が、下位者や申請者に対して与えるものです。
許可の主な特徴
- 権限に基づく判断:権限を持つ者が判断して与える
- 行為の実行前に必要:特定の行動を起こす前に得る必要がある
- 制限的性格:本来は禁止・制限されていることを特別に認める
- 一方向性:上位者から下位者への一方向的な判断
行政手続きでの「建築許可」「入国許可」、日常生活での「外出許可」「使用許可」など、何らかの権限を持つ者が特定の行為を認める場面で使われます。
「許可」の意味を理解する例:
都市計画区域内で建物を建てるには、自治体から建築許可を得る必要があります。これは、建築基準法に基づき、安全性や環境への影響などを審査した上で、建築行為を認めるものです。許可がなければ、その行為は違法となります。
「認可」の意味と特徴
「認可(にんか)」とは、法的効力を持たせるために公的機関が正式に認めることを意味します。特に法律や規制に基づいた公的な承認を指します。
認可の主な特徴
- 法的効力の付与:法的な効力や権限を与える
- 公的機関による審査:国や自治体などの公的機関が行う
- 基準への適合性:法令で定められた基準を満たすことが条件
- 継続的な監督:認可後も監督や規制の対象となることが多い
「事業認可」「学校法人認可」「医療機関認可」など、公的な機関が法令に基づいて正式に認める場合に使用されます。
「認可」の意味を理解する例:
新しい私立学校を設立するためには、文部科学省からの学校設立認可が必要です。これは、教育内容、施設、教員資格など、法令で定められた様々な基準を満たしていることを公的に認め、学校としての法的地位を与えるものです。
「承認」の意味と特徴
「承認(しょうにん)」とは、提案や申請などを適切と認めて受け入れることを意味します。個人間や組織内での同意や了解を含む広い概念です。
承認の主な特徴
- 内容の確認と受入れ:提案や申請内容を確認し受け入れる
- 相互的な性格:上下関係だけでなく対等な関係でも使われる
- プロセスの一部:業務フローや手続きの一段階として機能する
- 暗黙的な場合も:明示的な場合と暗黙的な場合がある
「企画承認」「稟議承認」「経費承認」など、ビジネスシーンでの決裁プロセスや、「治療方針の承認」のような医療現場など、様々な場面で使われます。
「承認」の意味を理解する例:
新製品開発のプロジェクトを進めるには、予算や人員配置について経営陣の承認が必要です。これは、提案された計画の内容を検討し、その妥当性を認めて実行を認めるというプロセスです。
「許可」と「認可」の違い
「許可」と「認可」は、どちらも何かを認める行為ですが、その目的や効果には明確な違いがあります。
比較点 | 許可(Permission) | 認可(Authorization) |
---|---|---|
主な目的 | 行為の実行を認める | 法的な効力や資格を付与する |
発行主体 | 様々な権限者(公私問わず) | 主に公的機関・行政機関 |
効力の範囲 | 特定の行為に限定 | 事業や資格など広範囲に及ぶ |
法的性質 | 必ずしも法的効力を持たない場合も | 常に法的効力を持つ |
「許可」は単に行為を行うことができるという承諾を与えるのに対し、「認可」は法的な地位や権限を付与するという違いがあります。例えば、「建築許可」は特定の建物を建てることができるという承諾ですが、「不動産業認可」は不動産業を営む法的資格を与えるものです。
「許可」と「認可」の違いを示す例:
レストランを開業する場合、保健所から「営業許可」を得る必要がありますが、これは食品衛生法に基づく特定の場所での飲食店営業を認めるものです。一方、金融業を始める場合は金融庁の「業務認可」が必要で、これは金融機関として業務を行う法的資格を与えるものです。
「認可」と「承認」の違い
「認可」と「承認」は、どちらも肯定的な判断を下す行為ですが、その性質と効果には重要な違いがあります。
比較点 | 認可(Authorization) | 承認(Approval) |
---|---|---|
主な目的 | 法的効力の付与 | 内容の妥当性確認と同意 |
判断基準 | 法令や規制の基準への適合性 | 組織のポリシーや目的への合致 |
権限者 | 主に公的機関 | 組織内の上位者や関係者 |
プロセス | 厳格な審査と公的手続き | 組織内の決裁プロセス |
「認可」が法的な効力を与える公的な判断であるのに対し、「承認」は主に組織内での意思決定や同意のプロセスという違いがあります。例えば、「薬品認可」は医薬品の製造販売を法的に認めるものですが、「開発計画承認」は組織内でその計画の実施を認めるものです。
「認可」と「承認」の違いを示す例:
新薬を市場に出すためには、厚生労働省からの「製造販売認可」が必要で、これは安全性や有効性の基準を満たしていることを公的に認めるものです。一方、その新薬の開発計画は社内での「研究開発承認」のプロセスを経て、経営資源の投入が決定されます。
「許可」と「承認」の違い
「許可」と「承認」は、日常的にも混同されやすい言葉ですが、その性質や適用場面には明確な違いがあります。
比較点 | 許可(Permission) | 承認(Approval) |
---|---|---|
主な性質 | 行為の実行権限を与える | 内容や提案を受け入れる |
関係性 | 上位者から下位者への一方向的 | 様々な関係性(上下・対等)で成立 |
対象 | 具体的な行為や活動 | 提案、計画、申請内容など |
タイミング | 主に行為の前に必要 | プロセスの一部として随時 |
「許可」が特定の行為を行う権限を与えるのに対し、「承認」は提案や申請の内容そのものを妥当と認める点が大きな違いです。例えば、「外出許可」は外出という行為を認めるものですが、「出張承認」は出張の目的や内容を含めて妥当と認めるものです。
「許可」と「承認」の違いを示す例:
会社での休暇取得を考えると、「休暇許可」は単に休暇を取ることができるという権限を与えるものですが、「出張計画承認」は出張の目的、訪問先、予算などの内容を確認し、その計画全体を妥当と認めるものです。
許可・認可・承認の違いは?例文や英語表記

「許可」の例文(日本語・英語)
- この公園では管理者の許可なくバーベキューはできません
- 施設内での撮影は事前に許可を得る必要があります
- 両親の許可を得て友人の家に泊まることになりました
- 入国審査で無事に入国許可をもらいました
- You cannot have a barbecue in this park without permission from the administrator.
(この公園では管理者の許可なくバーベキューはできません) - You need to obtain permission in advance to take photos inside the facility.
(施設内での撮影は事前に許可を得る必要があります) - I got permission from my parents to stay at my friend's house.
(両親の許可を得て友人の家に泊まることになりました) - I successfully received entry permission at immigration control.
(入国審査で無事に入国許可をもらいました)
「認可」の例文(日本語・英語)
- この幼稚園は国から正式に認可された教育施設です
- 新薬の製造販売は厚生労働省の認可が必要です
- 金融事業を始めるには当局の認可が不可欠です
- 認可保育園と無認可保育園では補助金の額が異なります
- This kindergarten is an educational facility officially authorized by the government.
(この幼稚園は国から正式に認可された教育施設です) - Manufacturing and selling new drugs requires authorization from the Ministry of Health, Labor and Welfare.
(新薬の製造販売は厚生労働省の認可が必要です) - Authorization from the authorities is essential to start a financial business.
(金融事業を始めるには当局の認可が不可欠です) - The amount of subsidies differs between authorized and unauthorized daycare centers.
(認可保育園と無認可保育園では補助金の額が異なります)
「承認」の例文(日本語・英語)
- 新プロジェクトは経営会議で正式に承認されました
- 出張報告書が上司に承認されました
- この治療法は患者の承認を得た上で実施します
- 予算の承認が下りるまでは購入できません
- The new project was officially approved at the management meeting.
(新プロジェクトは経営会議で正式に承認されました) - The business trip report was approved by the supervisor.
(出張報告書が上司に承認されました) - This treatment will be performed after obtaining the patient's approval.
(この治療法は患者の承認を得た上で実施します) - You cannot make the purchase until the budget is approved.
(予算の承認が下りるまでは購入できません)
「許可」の類義語
- 認め(みとめ):何かを良しとすること
- 了承(りょうしょう):了解して認めること
- 容認(ようにん):認めて受け入れること
- 許し(ゆるし):許して受け入れること
- 公認(こうにん):公に認めること
【英語での類義語】permission, consent, allowance, authorization, permit
「認可」の類義語
- 認定(にんてい):一定の基準を満たしていると認めること
- 公認(こうにん):公に認めること
- 免許(めんきょ):特定の行為を行う資格を与えること
- 公許(こうきょ):公に許すこと
- 認証(にんしょう):正当性や適合性を証明すること
【英語での類義語】authorization, accreditation, licensure, certification, sanction
「承認」の類義語
- 同意(どうい):意見や提案に賛成すること
- 認容(にんよう):要求や主張を認めること
- 了解(りょうかい):内容を理解して受け入れること
- 認諾(にんだく):要求や依頼を承諾すること
- 合意(ごうい):互いに意見が一致すること
【英語での類義語】approval, endorsement, consent, acceptance, ratification
使い方のポイント
「許可」「認可」「承認」の違いを理解することは、ビジネス文書や公式文書を作成する際に特に重要です。ここで各単語の使い分けポイントをまとめます。
- 「許可」を使うとき:権限を持つ者が、特定の行為を認める場合。特に法令や規則で禁止されている行為を例外的に認める場合に適しています。
- 「認可」を使うとき:公的機関が法的効力を付与する場合。特に事業や施設に関する公的な承認を表現したい時に適しています。
- 「承認」を使うとき:提案や申請内容の妥当性を認める場合。特に組織内の意思決定プロセスや、相互の同意を表現したい時に適しています。
これらの違いを理解することで、文書や会話での表現がより精確になり、伝えたい内容をより適切に相手に伝えることができるでしょう。行政書類や契約書、社内文書などではこの3つの言葉の使い分けが特に重要になります。
💡ワンポイントアドバイス
これらの言葉を使い分ける際は、「誰が」「何を」「どのような基準で」認めるのかを明確にすると良いでしょう。「許可」は行為そのものに対する判断、「認可」は法的地位や資格に対する公的判断、「承認」は内容や提案に対する受入れという点を意識すると、より適切な言葉を選ぶことができます。文脈や状況に応じて、最も適切な言葉を選ぶことが効果的なコミュニケーションの鍵となります。
許可・認可・承認の違いを理解するための要点まとめ
この記事全体の要点を以下にまとめます
- 許可は特定の行為を行ってもよいと認めること
- 認可は法的効力や資格を公的に付与すること
- 承認は提案や申請内容を妥当と認めて受け入れること
- 許可は権限者から対象者への一方向的な関係性が特徴
- 認可は法令や規制に基づく公的な判断である
- 承認は組織内プロセスや相互合意に基づくことが多い
- 許可は「〜してもよい」という行為の実行権限を与える
- 認可は「〜する資格がある」という法的地位を与える
- 承認は「〜という内容でよい」という妥当性を認める
- 許可は比較的限定的な効力を持つ場合が多い
- 認可は継続的な監督や規制の対象となることが多い
- 承認はプロジェクトや業務の進行のステップとなる
- 許可は日常的な場面から公的な場面まで幅広く使われる
- 認可は主に公的・法的な文脈で使われる
- 承認はビジネスプロセスや意思決定の場面で多用される