付す(ふす)の意味や使い方【図解Note】

「審議に付す」「一笑に付す」といった表現を見て、付すとは何をすることなのか、どのように読めばよいのか迷ったことはありませんか。日常会話ではあまり耳にしないため、付ける、添える、任せるなどの言葉との違いも分かりにくいところです。

付すは、何かを付け加える場合だけでなく、判断を他者に任せたり、一定の手続きや扱いに委ねたりするときにも使われます。意味を一つだけ覚えていると、文章によっては正しく解釈できません。この記事では、付すの読み方と意味、付するや附すとの違い、代表的な慣用表現、具体的な例文、類語、英語表現まで分かりやすく整理します。読み終える頃には、文脈に合った意味を判断し、自分の文章でも適切に使えるようになるはずです。

英語表記:add, attach, entrust, submit, grant

付すの意味とは?読み方と基本的なニュアンス

付すの意味とは?読み方と基本的なニュアンス

まずは、付すの意味を一つずつ整理しましょう。付すは「ふす」と読み、対象となるものや後ろに続く言葉によって意味が変わります。共通しているのは、あるものを別のものに関係づけるという感覚です。

付すの読み方と意味

付すの読み方は、「ふす」です。「つけす」や「つす」とは読みません。

主な意味は、次の四つに分けられます。

付すの主な意味と用例
意味 内容 用例
添える・加える 本体に情報や物を付け足す 資料に注釈を付す
任せる・委ねる 判断や処理を人や機関に任せる 議案を審議に付す
一定の扱いにする 決まった方法や状態で処理する 問題を不問に付す
与える・交付する 証書や権利などを渡す 修了者に証書を付す

私は、付すを理解するときには「付ける」という一つの意味に限定せず、対象を何かに結び付ける言葉として捉えるのが分かりやすいと考えています。注釈を本文に結び付ける、議案を審議という手続きに委ねる、問題を不問という扱いにする、と考えれば意味がつながります。

  • 「資料に注釈を付す」は、注釈を添えること
  • 「審議に付す」は、審議による判断に委ねること
  • 「不問に付す」は、問題として扱わないこと
  • 「一笑に付す」は、笑って相手にしないこと

付すと付するの違い

「付す」と「付する」は、基本的には同じ意味を表します。付するはサ行変格活用の動詞であり、付すはその文語的な形として使われてきた表現です。また、現代語では付すを五段活用の動詞として扱う用法も見られます。

文章では、次のようにどちらの形も使われます。

  • この議案を委員会の審議に付す。
  • この議案を委員会の審議に付する。
  • 必要な条件を付して契約を締結する。
  • 審査に付された案件を確認する。

 

付すは簡潔で格調のある印象を与え、付するは語の仕組みが分かりやすく、活用させやすい表現です。どちらも誤りではありませんが、一つの文書の中で表記を統一すると読みやすくなります。

「付す」と書き始めた文章で、理由なく「付する」と混在させないようにしましょう。規程や契約書などでは、既存の表記や定型文に合わせることが大切です。

付すと附すの違い

付すは「附す」と表記されることもあります。「附」には、そばに付ける、添える、従わせるという意味があり、本来は何かを付け加える場面との相性がよい漢字です。

ただし、現代の一般的な文章では、付すの表記が広く使われています。固有名詞、法令、組織独自の表記などを除けば、迷ったときは付すを選ぶとよいでしょう。

付と附の使い分けをさらに詳しく確認したい場合は、「付」と「附」の違いや意味・使い方も参考にしてください。

付すの意味が分かる使い方と例文

付すの意味が分かる使い方と例文

付すは改まった文書や報道、規程、会議資料などで多く使われます。ここでは、意味ごとに自然な使い方と例文を確認していきましょう。

「添える・付け加える」という意味の例文

書類や文章などに、説明、条件、名称、記号といった情報を加える場合に使います。日常的な「付ける」よりも硬く、客観的な印象を与える表現です。

  • 報告書の末尾に参考資料を付す。
  • 誤解を避けるため、図表に注釈を付した。
  • 提出する書類には、整理番号を付してください。
  • 契約には一定の条件を付すことができる。
  • 写真ごとに撮影場所と日付を付した。

 

「名前を付す」「記号を付す」「条件を付す」のように、対象を識別したり意味を補ったりする情報を加える場面で特に自然です。

「任せる・委ねる」という意味の例文

議案や問題について、自分だけで決めず、会議、委員会、裁判、投票などの判断に委ねる場合にも付すを使います。

  • 重要な議案を取締役会の決議に付す。
  • この問題は専門委員会の審議に付された。
  • 最終案を住民投票に付すことが決まった。
  • 土地を競売に付して代金を回収する。
  • 事業者の選定を一般競争入札に付す。

 

この用法では、単に「任せる」だけでなく、定められた手続きによって結論を出すというニュアンスが含まれます。「審議に付す」は審議してもらうこと、「決議に付す」は賛否などの決定を求めることです。

一笑に付す・不問に付すなどの慣用表現

付すは、特定の名詞と結び付いた慣用的な表現でもよく使われます。前に置かれる言葉によって、どのような扱いにするのかが決まります。

付すを使った代表的な表現
表現 意味 例文
一笑に付す 笑って相手にせず、問題として取り上げない 彼は根拠のないうわさを一笑に付した。
不問に付す 責任や問題を追及しないことにする 今回は軽微なミスとして不問に付された。
審議に付す 会議などで検討や議論を行わせる 改正案を次回の会議の審議に付す。
決議に付す 会議で賛否や意思決定を求める 議長は修正案を決議に付した。
競売に付す 競売という方法で売却する 差し押さえられた財産を競売に付す。
火葬に付す 遺体を火葬する 故人の遺志に従い、遺体を火葬に付した。
驥尾に付す 優れた人物に従い、その力を借りて物事を成し遂げる 先生の驥尾に付して研究を進めたい。

「一笑に付す」は、単に笑うのではなく、価値がないものとして取り合わないという意味です。相手の意見を軽視する響きがあるため、人に向けて使う際には注意が必要です。詳しいニュアンスは、一笑の意味と「一笑に付す」の使い方でも解説しています。

「不問に付す」は、事実がなかったという意味ではありません。問題や過失があったことを前提として、処分や責任追及を行わないことにする表現です。黙認や容認との違いは、容認と黙認の違いを読むと整理しやすくなります。

「驥尾に付す」の「驥」は、優れた馬を表します。優秀な人の後について力を借りるという意味から、目上の人に協力を求める際の謙遜表現として使われます。

付すの意味を類語や英語表現との違いから理解する

付すの意味を類語や英語表現との違いから理解する

付すを自然に使うには、似た言葉と置き換えられる場合、置き換えると意味が変わる場合を見分けることが大切です。類語と英語表現を比較してみましょう。

付すの類語・言い換え表現

付すの類語は、どの意味で使っているかによって変わります。

付すの意味別の類語
付すの意味 主な類語 使い分けのポイント
添える 加える、付け足す、添付する、付記する 情報や物を追加する場面
任せる 委ねる、託す、付託する 判断や処理を他者に任せる場面
手続きにかける 諮る、提出する、審査に回す 会議や制度による判断を求める場面
与える 交付する、授ける、付与する 証書、資格、権利などを渡す場面

例えば「注釈を付す」は「注釈を加える」と言い換えられます。一方、「議案を審議に付す」を「議案を審議に加える」とすると、判断を委ねるという意味が弱くなります。

付すは一語で複数の働きを表せる便利な言葉ですが、その分、前後の名詞を見て適切な言い換えを選ぶ必要があります。

付す・付ける・添付する・付与するの違い

似た言葉であっても、適している対象や場面には違いがあります。

  • 付す:情報を添える、手続きに委ねる、一定の扱いにする
  • 付ける:物理的な接着から名称の設定まで、日常的に広く使う
  • 添付する:書類、画像、データなどを別のものに添える
  • 付与する:権利、資格、機能、ポイントなどを与える

 

「メールに資料を付す」でも意味は伝わりますが、通常は「メールに資料を添付する」の方が具体的です。「利用者に権限を付す」よりも「利用者に権限を付与する」の方が、権利や機能を与えることが明確になります。

日常的な文章では「付ける」「添える」「任せる」を使い、規程、議事録、契約書などの改まった文章では「付す」を使うと、場面に合った表現になります。

付すの英語表現

付すには複数の意味があるため、すべての場面に使える一つの英単語はありません。文脈に応じて訳し分けます。

  • 注釈を付す:add a note / attach a note
  • 条件を付す:add a condition / impose a condition
  • 議案を審議に付す:submit a proposal for deliberation
  • 委員会に付す:refer the matter to a committee
  • 証書を付す:issue or grant a certificate
  • 一笑に付す:laugh off / dismiss with a laugh
  • 競売に付す:put up for auction

 

英訳するときも、日本語の付すだけを見るのではなく、何を、どのような扱いにするのかを読み取ることが重要です。

付すの意味に関する疑問と間違いやすいポイント

付すの意味に関する疑問と間違いやすいポイント

最後に、付すを実際に使うときに迷いやすい表記、活用、文章上の注意点を確認します。

付すの使い方に関するよくある質問

付すは日常会話でも使える?

誤りではありませんが、日常会話ではやや硬く聞こえます。「説明を付す」より「説明を加える」、「判断に付す」より「判断を任せる」とした方が自然な場合が多いでしょう。

一方、会議、契約、行政手続き、報道などでは、付すを使うことで簡潔かつ正確に内容を表せます。

「付す」と「伏す」は同じ読み方?

どちらも「ふす」と読みますが、意味は異なります。

  • 付す:添える、任せる、一定の扱いにする
  • 伏す:体を低くする、顔を下に向ける、身を隠す

 

「議案を付す」「顔を伏す」のように、目的語から判断できます。「一笑に伏す」「審議に伏す」と書くのは誤りです。

付すはどのように活用する?

実際の文章では、「付す」と「付する」の形に応じて、次のような表現が使われます。

  • 基本形:審議に付す/審議に付する
  • 過去形:審議に付した
  • 否定形:審議に付さない/審議に付しない
  • 受け身:審議に付される
  • 条件表現:条件を付して認める

 

活用に迷う場合は、「付する」を基準にして「付しない」「付した」「付される」と組み立てると安定します。定型句として言い切る場合は、「審議に付す」「決議に付す」の形が簡潔です。

「付す」は硬い表現なので、分かりやすさが求められる案内文では、無理に使用する必要はありません。「添える」「任せる」「問題にしない」など、意味が直接伝わる言葉への言い換えも検討しましょう。

付すの意味や使い方のまとめ

付すは「ふす」と読み、主に添える、付け加える、任せる、一定の扱いにする、交付するという意味を持つ言葉です。文章の前後によって意味が変わるため、「何を何に付すのか」を確認することが大切です。

  • 付すの読み方は「ふす」
  • 基本的な意味は、添える、任せる、一定の扱いにする、交付する
  • 付すと付するは、基本的に同じ意味で使われる
  • 附すという表記もあるが、一般的な文章では付すが使いやすい
  • 一笑に付すは、笑って相手にしないこと
  • 不問に付すは、問題や責任を追及しないこと
  • 審議に付すは、会議などの判断に委ねること
  • 英語ではadd、attach、submit、refer、grantなどを文脈に応じて使い分ける

付すは、普段の会話では少し硬く感じられる一方、複雑な手続きや扱いを短い言葉で表せます。前に置かれた名詞とセットで意味を考えると、「一笑に付す」「審議に付す」といった表現も迷わず理解できるようになります。

【参考文献】

 

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