「誤字」「誤記」「誤植」の違いと意味・使い方や例文まとめ
「誤字」「誤記」「誤植」の違いと意味・使い方や例文まとめ

「誤字誤記誤植の違いや意味がよく分からない」「誤字と誤植どっちが正しい言い方なのか迷う」「誤記の意味や使い方をきちんと押さえてビジネス文書のミスを減らしたい」と感じて検索された方が多いのではないでしょうか。

実際、メールや資料を作っていると、誤字や誤記や誤植の違いや意味を意識せずに「とりあえず誤字脱字」とひとくくりにしてしまいがちです。ところが、文書作成の現場では「これは単なる誤字なのか、内容の誤記なのか、それとも印刷上の誤植なのか」を区別できるかどうかで、修正の範囲や責任の所在の考え方が変わってきます。

また、「誤字誤植の英語表現はtypoでいいのか」「誤記に近いニュアンスの英語は何か」「誤字誤記誤植の言い換え表現や類義語・対義語も併せて整理したい」といったニーズもよく耳にします。この記事では、そうしたモヤモヤをすべて解消できるよう、「誤字」「誤記」「誤植」の違いと意味を軸に、使い方や例文、語源、類義語・対義語、英語表現まで体系的に整理していきます。

ビジネス文書やレポート、Web記事、論文など、文字を書くあらゆる場面で役立つ内容にしていますので、「自分の文章のどこが誤字で、どこが誤記や誤植なのか」「適切な言葉でミスを指摘したい」と思っている方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

  1. 「誤字」「誤記」「誤植」の意味と違いを一度で整理できる
  2. それぞれの正しい使い方・使い分け方と具体的な例文が分かる
  3. 語源・類義語・対義語・英語表現と言い換えパターンを把握できる
  4. ビジネス文書やメールで誤字誤記誤植を減らす実践的なポイントを学べる

目次

誤字と誤記と誤植の違い

まずは全体像として、「誤字」「誤記」「誤植」がそれぞれどんな場面のミスを指すのかを整理します。先に結論を押さえておくことで、あとから出てくる細かい使い方や例文もぐっと理解しやすくなります。

結論:誤字と誤記と誤植の意味の違い

最初に、私が文章指導の現場でいつも伝えている結論からおさえておきましょう。

ざっくりした意味典型的な場面
誤字文字の形や選び方が間違っていること(主に漢字)「社蓄」など漢字を一文字書き間違えたとき
誤記書き誤り全般。数字・かな・記号・内容の書き違いも含む住所や金額、日付、名前などを誤って書いたとき
誤植印刷物における文字・記号の誤り(ミスプリント)本やパンフレット、資料の印刷後に見つかる文字ミス

イメージとしては、誤字は「字そのものの間違い」、誤記は「書かれた内容の間違い」、誤植は「印刷物に出てしまった間違い」と押さえると分かりやすくなります。

なお、現代の実務では「誤字も誤記もひっくるめて誤植と呼ぶ」ケースも少なくありませんが、本来は上のように範囲や対象が異なる言葉です。この記事では、あくまでそれぞれの本来の意味と使い方に基づいて整理していきます。

誤字と誤記と誤植の使い分けの違い

次に、実際の文章でどのように「誤字」「誤記」「誤植」を使い分ければよいかを、私がチェックの現場で使っている考え方で解説します。

① 文字そのものが違うかどうかで考える(誤字)

まず見るべきは、書かれている文字そのものが正しいかどうかです。

  • 例:「社畜」が正しいところを「社蓄」と書いている
  • 例:「一端」が正しいところを「一旦」としてしまっている

このように、漢字そのものを取り違えている場合は「誤字」と呼ぶのが自然です。誤った変換や似た形の漢字の取り違いも基本的には誤字と考えます。

② 内容・数字・かな・記号の書き違いなら誤記

書いた内容自体が事実と違っている、あるいは数字やかな、記号を間違えた場合は「誤記」を使います。

  • 住所の番地を「3–12–5」と書くべきところを「3–21–5」と書いた
  • 売上金額を「1,000万円」とすべきところを「10,000万円」と記載した
  • 人名のかなを「サトウ」とすべきところを「サトオ」としてしまった

漢字そのものは正しくても、数字や情報の中身を取り違えている場合は誤字ではなく誤記と呼ぶ方が適切です。

③ 印刷・公開後に出てきたミスなら誤植

紙の書類や本、パンフレット、あるいはPDFなどの「完成物」に出てしまった文字ミスをまとめて指すときには「誤植」という言い方がよく使われます。

  • 書籍の本文に誤植が見つかり、次の版で訂正する
  • 印刷済みパンフレットに誤植があり、正誤表を同封した

もともと誤植は活版印刷時代の「植字作業の誤り」を指す言葉ですが、今では「印刷物・公開済みコンテンツに残った表記ミス全般」という広い意味で用いられることも多くなっています。

誤字と誤記と誤植の英語表現の違い

英語表現を選ぶときも、どのニュアンスを強調したいかで言葉が変わります。

  • 誤字に近い表現:misspelling(スペルミス)、wrong character、wrong kanji など
  • 誤記に近い表現:clerical error(記載ミス)、wrong entry、misrecording など
  • 誤植に近い表現:misprint、printing error、typographical error(いわゆる typo)など

一般的な日常会話やIT分野では、typo が誤字・誤記・誤植の広い意味で使われることが多いのですが、契約書や論文などフォーマルな場面では、misprint / misrecord / clerical error など、状況に合った語を選ぶ方が望ましいと考えています。

誤字の意味

ここからはそれぞれの言葉を個別に掘り下げていきます。まずは、もっとも耳なじみのある「誤字」から見ていきましょう。

誤字とは?意味や定義

「誤字」は、間違った文字・正しくない文字のことを指します。主に漢字の書き間違いについて使われますが、広く「文字そのものの誤り」を指すこともあります。

たとえば、「社畜」を「社蓄」と書いてしまったり、「確執」を「確室」と書いてしまったりするのが典型的な誤字です。文字の形・部首・画数など、字そのものの選び方や書き方を誤った状態だと考えるとイメージしやすくなります。

誤字はどんな時に使用する?

私自身がビジネス文章の添削をするとき、「これは誤字ですね」と伝えるのは次のようなケースです。

  • 変換ミスで似た漢字に置き換わっているとき(例:「態勢」とすべきところを「体制」としている)
  • 意味の違う漢字を書いてしまっているとき(例:「軋轢」を「圧歴」としている)
  • よくある熟語の一部を間違えているとき(例:「虎視眈々」を「虎視耽々」としている)

逆に、数字やかな、事実関係そのものが違っている場合は「誤記」とみなし、「ここは誤記として訂正した方がよいですね」と表現を変えます。誤字という言葉を使うときは、「どの漢字がどのように違っているのか」を確認する癖をつけておくと、修正もスムーズになります。

誤字の語源は?

語構成としては非常にシンプルで、「誤(あやまち)」+「字(文字)」という組み合わせです。

  • 誤:あやまる、まちがえる
  • 字:文字、ことばを表す記号

古くから「誤字訂正」「誤字脱字」などの形で用いられてきた語で、文字そのものの誤りに焦点を当てる言い方として定着しています。

印刷技術の発達以前から「書き誤った文字」を指す言葉として誤字は存在していましたが、誤植は活版印刷の普及とともに生まれた比較的新しい言い方です。この歴史的背景も、両者のニュアンスの違いにつながっています。

誤字の類義語と対義語は?

誤字に近い意味を持つ類義語としては、次のような表現があります。

  • 誤記(書き誤り全般)
  • 誤植(印刷物に出てしまった文字の誤り)
  • 誤表記(表記の誤り全般)
  • 誤変換(変換ミスに特化した言い方)

対義語としては、直接一語で対応する語はありませんが、意味としては次のような表現が反対の関係になります。

  • 正字(正しい文字)
  • 正しい表記
  • 正記(正しく記すこと)

ビジネス文書では、「誤字が多い」よりも「表記の揺れや誤記が目立つ」といった言い換えをすると、少し柔らかく丁寧な印象になります。

誤記の意味

続いて、「誤記」を掘り下げていきます。誤字よりも範囲が広く、実務上は誤記として扱うべきミスも多いので、しっかり押さえておきたいところです。

誤記とは何か?

「誤記」は、誤って書くこと、書き誤りを意味します。文字そのもののミスだけでなく、数字・かな・記号・内容の誤りなど、書かれた情報の誤り全般を含むのが特徴です。

たとえば、次のようなケースは誤記と捉えるのが自然です。

  • 契約書の日付を「2025年12月1日」とすべきところを「2025年12月11日」としてしまった
  • 名簿の氏名を「山田太郎」とすべきところを「山本太郎」と記載した
  • 地図上の位置情報を一つ隣の番地に記してしまった

このように、意味内容や事実が正しくない記載は誤字ではなく誤記であり、場合によっては大きな問題に発展することもあります。

誤記を使うシチュエーションは?

私が「この部分は誤記ですね」と表現するのは、主に次のようなシーンです。

  • 契約書・見積書・請求書などで金額や日付が間違っているとき
  • 顧客名・会社名・役職名などの重要情報を書き違えているとき
  • 統計データやグラフの値が原データと一致していないとき

このような場面では、ただの誤字以上に、信用問題や法的なトラブルにつながるリスクがあるため、慎重な確認と修正が必要です。

契約書や請求書など、費用や法律・安全に関わる文書で誤記があると、取引条件を巡るトラブルや損害が発生するおそれがあります。ここでの説明はあくまで一般的な目安であり、正確な情報は公式サイトをご確認ください。重要な文書の作成や修正について迷ったときは、最終的な判断は専門家にご相談ください

誤記の言葉の由来は?

「誤記」は、「誤(あやまち)」+「記(しるす・書きとめる)」から成る語です。

  • 誤:あやまる、おかす
  • 記:記す、書きつける

もともとは「書き誤る」という動作に焦点を当てた言葉で、漢字・かな・数字・記号など、記録された情報全体の誤りを広くカバーする表現として使われてきました。現代でも「誤記訂正」「誤記が多い原稿」といった形でよく用いられます。

誤記の類語・同義語や対義語

誤記と似た意味を持つ表現は次の通りです。

  • 誤記載(誤った記載)
  • 記載ミス
  • 記録ミス
  • 入力ミス
  • 記載誤り

反対の意味を持つ表現としては、

  • 正記(正しく記すこと)
  • 正確な記載
  • 正しい記録

などが挙げられます。誤記という言葉がやや硬いと感じる場合は、「記載に誤りがありました」「入力ミスがありました」といった言い換えもよく使われます。

誤植の意味

最後に、「誤植」について解説します。出版・印刷の世界でよく使われる言葉ですが、Webやビジネスの現場でも耳にする機会が増えています。

誤植の意味を解説

「誤植」は、印刷物における文字や記号の誤りを指します。もともとは活版印刷の「植字(活字を並べて版を作る作業)」の誤りに由来する言葉です。

現代では、次のような場面で使われます。

  • 書籍・雑誌・新聞などの紙媒体
  • 会社案内やパンフレットなどの印刷物
  • 印刷用PDFとして配布される資料

こうした「完成物」に残ってしまった文字・記号の誤りを、まとめて誤植と表現することが多いです。

誤植はどんな時に使用する?

誤植という言葉を使うかどうかは、「すでに印刷・公開されたものかどうか」で判断すると分かりやすくなります。

  • 編集段階のWord原稿で見つかったミス:誤字・誤記と呼ぶ方が自然
  • 刷り上がった本やパンフレットで見つかったミス:誤植と呼ぶのが一般的

ただし、最近はWeb記事やブログのように印刷を伴わない媒体でも、「公開済みの記事に残っている表記ミス」を誤植と呼ぶケースが増えています。私もサイト運営者として、公開後に読者からご指摘いただいたミスについては「誤植の修正」と表現することが多いです。

誤植の語源・由来は?

誤植の「植」は、「植字(しょくじ)」という印刷用語に由来します。活字を一つひとつ並べて版を作る作業を「植字」と呼び、その過程で文字を取り違えたり、順番を間違えたりすることがありました。

  • 誤:あやまる、まちがえる
  • 植字:活字を並べて組む作業

この「植字の誤り」から転じて、印刷物に出てしまった文字の誤り全般を誤植と呼ぶようになったわけです。現在では、DTPやデジタル入稿など、活版印刷とは異なる技術が主流ですが、言葉だけはそのまま残っています。

誤植の類義語と対義語は?

誤植に近い意味を持つ類義語としては、次のようなものがあります。

  • ミスプリント(misprint)
  • 印刷ミス
  • 組版ミス
  • 表記ミス(印刷物に限定した場合)

対義語としては、

  • 正植(正しく植字されている状態:やや専門的な語)
  • 誤植のない版
  • 完全版(誤植が取り除かれた版の意味で使われることがある)

などが挙げられます。出版業界では、誤植の少なさがそのまま品質や信頼性に直結するため、校正・校閲の段階で誤植をどこまで減らせるかが大きなポイントになります。

誤字の正しい使い方を詳しく

ここからは具体的な使い方に踏み込みます。まずは「誤字」をテーマに、例文・言い換え・注意点を整理していきましょう。

誤字の例文5選

ビジネスや日常で使いやすい「誤字」の例文を挙げておきます。

  • プレゼン資料を見直したところ、タイトルにいくつか誤字が見つかった。
  • レポートの誤字脱字をチェックしてから、上司に提出してください。
  • 社名を誤字のまま送付してしまい、先方に大変失礼な印象を与えてしまった。
  • 漢字の誤字が多いと、文章全体の信頼性まで疑われてしまう。
  • メールを送る前に、名前や役職に誤字がないか必ず確認するようにしている。

誤字の言い換え可能なフレーズ

文脈によっては、あえて「誤字」という言葉を使わず、もう少し柔らかい表現に言い換えた方が良い場合もあります。例えば次のようなフレーズです。

  • 文字の間違い → 文章中の文字の誤り
  • 漢字のミス → 漢字の表記ミス
  • 変換ミス → 漢字変換の誤り
  • 誤字脱字 → 表記上の細かなミス

取引先やお客様に向けて誤字を指摘するときは、「誤字があります」と断定するよりも、「表記に誤りがありましたので、念のため共有いたします」のように、配慮ある言い回しを選ぶことも大切です。

誤字の正しい使い方のポイント

誤字という言葉を適切に使うために、次のポイントを意識してみてください。

  • 「字そのもの」のミスに絞って使う(内容の誤りは誤記と分ける)
  • ビジネスでは人名・社名・役職名の誤字に特に注意する
  • 指摘するときは「誤字があります」だけでなく、正しい表記を必ず併記する

特に人名・社名の誤字は、相手の印象を大きく損ねてしまいます。違いの教科書でも、「社蓄」と「社畜」の違いと意味・使い方と例文のように、「似た漢字を取り違えやすいケース」を個別に取り上げて解説しています。

誤字の間違いやすい表現

誤字そのものが「間違いやすい言葉」に登場することもあります。例えば次のようなパターンです。

  • 一旦/一端(意味の違いを押さえないと誤字とみなされる)
  • 体制/態勢/体勢/大勢(どの漢字を使うかで意味が変わる)
  • 不適/不敵(「不適な笑み」は多くの場合「不敵な笑み」の誤字)

こうした同音異義語の詳しい違いは、たとえば「一旦」と「一端」の違いや意味・使い方・例文まとめや、「体制」「態勢」「体勢」「大勢」の違いと意味・使い方や例文でも詳しく解説しています。「どの漢字を選ぶべきか」まで含めて理解することが、誤字を減らす近道です。

誤記を正しく使うために

次に、「誤記」を正しく使いこなすための具体的なイメージを、例文や言い換え表現とともに整理していきます。

誤記の例文5選

誤記を使った代表的な例文は次の通りです。

  • 住所欄に誤記があり、荷物が返送されてしまった。
  • 契約書の金額に誤記が見つかったため、再締結が必要になった。
  • 統計データの誤記が報道され、大きな混乱を招いた。
  • 来賓の名前を誤記してしまい、式典の場で慌てて訂正した。
  • 図表の凡例に誤記があったので、正しいものを共有し直した。

誤記を言い換えてみると

誤記はやや硬めの言い方なので、社内向けの説明では次のような言い換えもよく使います。

  • 誤記 → 記載ミス
  • 誤記 → 入力内容の誤り
  • 誤記 → 数字の打ち間違い
  • 誤記 → データの記録ミス

一方で、お詫び文書や公式な訂正文では、「誤記」「記載に誤りがございました」といった表現を用いる方が、事務的で落ち着いた印象になります。

誤記を正しく使う方法

誤記という言葉を使い分けるうえで、私が意識しているポイントは次の3つです。

  • 「内容・数字・かな・記号」の誤りに対して優先的に使う
  • 人名・会社名・金額など、重要情報のミスには誤記という言葉を使って重さを伝える
  • 誤記の箇所と正しい内容を必ずセットで提示する

特に金額や条件に関する誤記は、取引先との信頼や契約内容に大きく関わります。二重三重のチェック体制を整え、「誤字レベルのミス」と同列に扱わない意識も大切です。

誤記の間違った使い方

一方で、次のような使い方はあまりおすすめできません。

  • 単なる誤字(漢字一文字の取り違え)だけを指して「誤記」と呼ぶ
  • 内容が事実と全く異なる誤報レベルのミスまで「誤記」と矮小化してしまう
  • 責任の所在をあいまいにするためだけに、誤記という表現を乱用する

誤記という言葉は便利ですが、「どの程度のミスなのか」を適切に伝えるための語でもあります。事実関係を大きく誤認させるような誤りの場合は、「誤記」と同時に「重大な記載ミス」「誤った情報を掲載してしまった」など、程度の重さを示す表現も補うことをおすすめします。

誤植の正しい使い方を解説

最後に、誤植の具体的な使い方と実務上の注意点を見ていきましょう。

誤植の例文5選

誤植を使った例文は次の通りです。

  • 新刊書籍に誤植が見つかり、出版社が公式サイトで訂正を告知した。
  • パンフレットの会社名に誤植があり、増刷分から修正することになった。
  • 資料の誤植を指摘してくれた読者に、感謝のメールを送った。
  • 初版にはいくつか誤植があったが、改訂版でほとんど解消された。
  • 論文誌の編集部から、誤植に関する確認の連絡が届いた。

誤植を別の言葉で言い換えると

誤植は出版・印刷の文脈に特有の言葉なので、一般の読者にはなじみが薄い場合もあります。その場合、次のような言い換えが役立ちます。

  • 誤植 → 印刷上の誤り
  • 誤植 → 刷り上がりの文字ミス
  • 誤植 → ミスプリント

英語表現では、misprint / printing error / typographical error などが一般的です。IT文脈では「typo」が広く使われますが、出版の世界では今でも「誤植」「misprint」がよく使われています。

誤植を正しく使うポイント

誤植という言葉を実務で使うとき、私が意識しているのは次のような点です。

  • 「印刷・公開後のミス」に限定して使う(原稿段階なら誤字・誤記と呼ぶ)
  • どの版・どの刷りで誤植があるのかを明示する
  • 正誤表や公式サイトでの訂正告知とセットで扱う

特に商業出版や公式資料では、どのロットまで誤植が含まれているのかが重要になります。「初版第1刷には誤植がありますが、第2刷以降は修正済みです」といった説明を添えると、読者の混乱を防ぎやすくなります。

誤植と誤使用しやすい表現

最後に、「誤植」と混同しがちな表現についても触れておきます。

  • 誤記:印刷物に限らず、広く書き誤り全般を指す言葉
  • 誤字:文字そのもののミスであって、印刷かどうかは問わない
  • 誤表記:表記の仕方が誤っている状態(誤植と重なる部分もあるが、印刷に限らない)

たとえば、Webサイトの記事の一部にミスがあった場合、「誤植」と呼ぶか「誤記」「誤表記」と呼ぶかはスタンスによって変わります。「印刷物かどうか」よりも、「読者にとって分かりやすいかどうか」を優先して言葉を選ぶとよいでしょう。

まとめ:誤字と誤記と誤植の違いと意味・使い方の例文

最後に、この記事でお伝えしたポイントをまとめます。

  • 誤字は「文字そのものの誤り」で、主に漢字の書き間違い・変換ミスを指す。
  • 誤記は「書き誤り全般」で、数字・かな・記号・内容の誤った記載も含む。
  • 誤植は「印刷物における文字・記号の誤り」で、活版印刷の植字ミスに由来する。
  • 英語表現としては、誤字=misspelling、誤記=clerical error、誤植=misprint / typographical error などのイメージで使い分けるとよい。

ビジネスや学術の現場では、これらを正しく区別して使えるかどうかが、文書の信頼性やプロフェッショナリズムに直結します。特に、人名・社名・金額・日付などに関わる誤記や、印刷物に残った誤植は、大きなトラブルの元にもなりかねません。

この記事で紹介した例文や言い換え表現を参考にしながら、「これは誤字なのか、誤記なのか、それとも誤植なのか」を意識して見直す習慣をつけてみてください。日々のメールや資料作成の中で少しずつ実践していくことで、自然と表記の精度が上がり、読み手からの信頼も高まっていきます。

言葉の違いを一つひとつ丁寧に押さえていくことで、文章は確実に読みやすく、伝わりやすくなります。今回ご紹介した「誤字」「誤記」「誤植」の違いも、ぜひ日々のライティングや校正の中で活用してみてください。

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