
ビジネスメールや公文書、契約書の文面で「上記」や「掲記」を見かけて、「結局どう違うの?」「読み方や使い分けは?」「下記や前述、上述、記載、掲載とどう整理すればいい?」と迷った経験はありませんか。
特に「掲記」は日常会話ではあまり使わない一方で、官公庁の書式や会計・法務系の資料では登場しやすく、意味を取り違えると参照先がズレたり、文章が不自然に硬くなったりします。
この記事では、上記と掲記の違いを「意味」「使い分け」「英語表現」の3軸で整理し、語源、類義語・対義語、言い換え、使い方のポイント、すぐに使える例文まで一気にまとめます。文章の指示語で迷う時間を減らして、読み手に伝わる文に整えていきましょう。
- 上記と掲記の意味の違いと混同しやすいポイント
- 文書・メールでの自然な使い分けと適した場面
- 語源、類義語・対義語、言い換え表現の整理
- 英語表現とすぐ使える例文で実務に落とし込む方法
上記と掲記の違い
最初に全体像を押さえると、途中の細かい説明がスッと頭に入ります。ここでは「意味」「使い分け」「英語表現」の順に、上記と掲記を比較して整理します。
結論:上記と掲記の意味の違い
結論から言うと、上記は「文章の上(前)に書いた内容を指す、いわば参照ラベル」です。一方、掲記は本来「掲げて記す=記録として書き記す」という意味を持ちつつ、現代の実務では「上に掲げて記した事項(=上に列挙・表示した項目)」という用法で使われることが多い、やや硬めの表現です。
つまり、同じ“上の内容を指す”場面でも、次の差が出ます。
- 上記:上に書いた内容を指す(参照のための指示語)
- 掲記:上に掲げて記した項目を指す/または記録として書き記す(公的・専門文書寄り)
実務で迷いやすいのは、掲記が「上記と同じ意味で使われる場面がある」点です。ここは“掲記=上に掲げた項目”という硬い言い方と押さえると、読み間違いが減ります。
上記と掲記の使い分けの違い
使い分けはシンプルで、基本は上記を優先し、必要なときだけ掲記を選ぶのが安全です。
- 上記:ビジネスメール、社内チャット、一般的な資料など、広い場面で無難
- 掲記:規程、会計・法務文書、官公庁様式、裁判文書など、硬い文体で“列挙した項目”を指したいときに相性が良い
掲記は、文体が柔らかい文章に混ぜると浮きやすいのが難点です。例えば、普段のメールでいきなり「掲記の件」と書くと、読み手によっては「堅すぎる」「回りくどい」と受け取られることがあります。
- 掲記は“硬い文体の中で生きる語”なので、メール本文が柔らかい場合は上記・前述・先ほどなどに言い換える方が自然
- 社内外の相手や業界によって、掲記の通用度が変わるため、迷う場合は上記に寄せるのが無難
上記と掲記の英語表現の違い
英語では、上記は比較的ストレートに表せます。掲記は「listed above」「as set forth above」のように、“上に掲げた(列挙した)”ニュアンスを足すと噛み合います。
| 日本語 | よくある英語表現 | ニュアンス |
|---|---|---|
| 上記 | above / as above / mentioned above / as stated above / aforementioned | 上に書いた内容を参照 |
| 掲記(上に掲げた項目) | listed above / as set forth above / as stated above | 上に列挙・表示した事項を参照 |
| 掲記(記録として書き記す) | record / enter / state in writing | 記録として書面に残す |
なお、英語表現は文章の種類(契約、規程、メール)で適切さが変わります。対外文書で使う場合は、最終的には相手先のひな形や公式表現に合わせるのが確実です。
上記とは?
ここからは用語を個別に深掘りします。まずは上記の意味・使い方・語源を整理し、どんな文章でも迷わず使える状態にしていきましょう。
上記の意味や定義
上記(じょうき)は、文字通り「上に記したこと」を指す言葉です。文章の前の部分に書かれている内容、あるいは直前に述べた事項を参照するために使います。
ポイントは、上記が“内容そのもの”というより“参照のための指示語”として機能することです。読み手に「どこを見ればいいか」を示すラベルなので、文書をコンパクトにできます。
上記はどんな時に使用する?
上記は、次のような場面で特に便利です。
- ビジネスメールで、冒頭に書いた要件や箇条書きを再参照したいとき
- マニュアルや社内資料で、同じ説明の繰り返しを避けたいとき
- 見積書・請求書・申請書などで、上段の情報を指し示したいとき
文章の流れとしては「上記の通り」「上記の件」「上記内容をご確認ください」のように、参照を促す定型になりやすいのも特徴です。
- 「上記」は“どこを指しているか”が命です。参照先が遠すぎる場合は、上記ではなく「前述」「先ほど」「〇〇の箇所」のように具体化すると親切です。
上記の語源は?
上記は「上(うえ)」+「記(しるす)」の組み合わせで、「上に書いたこと」という構造がそのまま意味になっています。難しい背景知識がなくても、漢字の成り立ちから直感的に理解しやすい語です。
文章内での役割は、古くからある「前述」「上述」と同じ系統で、“参照の効率化”のために発達してきた言い回しだと捉えると整理しやすいです。
上記の類義語と対義語は?
上記は「上の内容を指す」語なので、類義語は“前に述べた”系、対義語は“下に書く”系が中心です。
- 類義語:前述、上述、先述、上に記した、上に挙げた、上掲
- 対義語:下記、以下、後述、下段、次項
文章の硬さを調整したいときは、上記だけで押し切らず、文体に合わせて言い換えるのがコツです。
掲記とは?
掲記は、上記よりも硬く、分野によっては意味の捉え方に差が出やすい言葉です。ここでは「意味」「使う場面」「由来」「類語・対義語」を丁寧に整えます。
掲記の意味を詳しく
掲記(けいき)は、もともと「掲げて記す」、つまり記録として書き記すという意味合いを持ちます。現代の文書では、これが発展して“上に掲げて記した事項(=上に列挙・表示した項目)”を指す用法で使われることがよくあります。
このため、掲記は次の2つの顔を持つと理解すると混乱が減ります。
- 動作としての掲記:記録として書き記す(例:重要事項を掲記する)
- 参照としての掲記:上に掲げて記した項目(例:掲記の条件、掲記のOS)
ただし、日常の文章で“動作としての掲記”まで使いこなす必要はあまりありません。一般的には、掲記は「上に列挙した項目」を指す硬い表現として押さえておくと実用的です。
掲記を使うシチュエーションは?
掲記が出やすいのは、次のような「定型」「制度」「形式」が強い文章です。
- 官公庁の申請書類や手引き、会計基準などの説明文
- 規程、契約書、約款のような改まった文書
- 判決文や準ずる法務文書(例:証拠の掲記)
一方で、一般的なメールや社内チャットで掲記を多用すると、文が硬くなりすぎることがあります。迷う場合は、まず上記、次に「前述」「先ほど」などで柔らかくする、という順番が安全です。
掲記の言葉の由来は?
掲記は「掲(かか)げる」+「記(しる)す」から成ります。「掲」は“目立つ位置に示す・掲げる”、「記」は“書いて残す”なので、合わせて“示して、記して、残す”というニュアンスになります。
この成り立ちがあるため、掲記には単なる参照(上記)よりも、列挙・提示・明示の色が出やすいと覚えると使い分けに効きます。
掲記の類語・同義語や対義語
掲記の類語は「書いて示す」「列挙して示す」系が中心です。対義語は厳密に一語で固定しにくいので、実務では“反対方向の参照”や“未記載”の発想で整理するとよいです。
- 類語・同義語:記載、明記、掲載、列記、上掲、上記(文脈による)、書き記す
- 対義語(近い発想):下記、以下、未記載、記載なし
掲記は分野によって定型化していることがあります。対外文書で使うときは、公式の用語集や相手先の指定を優先してください。
上記の正しい使い方を詳しく
上記は便利な一方で、参照先が曖昧だと誤解の原因になります。ここでは例文と言い換え、使い方のポイント、間違いやすい表現をまとめます。
上記の例文5選
- 上記の通り、今週の締切は金曜日です。
- 上記の件について、追加で確認したい点が2点あります。
- 上記内容に誤りがあれば、本日中にご連絡ください。
- 上記の条件を満たす場合のみ、申請が可能です。
- 上記の資料を参照のうえ、次回会議までに案をご準備ください。
どの例文も、上記が「前に書いた内容」を指している点は共通です。読み手が迷わないよう、上記の直前に箇条書きや番号を置くと、より親切になります。
上記の言い換え可能なフレーズ
同じ語の連続や硬さが気になるときは、言い換えで文章が読みやすくなります。
- 前述の通り
- 先ほど述べた通り
- 先に挙げた内容
- 冒頭で触れた件
- (箇条書きがあるなら)1番の内容、上の2点
私は、相手が社外であるほど「前述の通り」よりも、具体的な指し示し(例:上の2点)に寄せることが多いです。読み手の負担が減り、確認スピードも上がります。
上記の正しい使い方のポイント
上記を正しく使うコツは、「参照先を迷わせない」ことに尽きます。
- 上記の直前に、箇条書き・番号・見出しなど“目印”を置く
- 参照先が遠い場合は「前述」や「〇〇の段落」など具体化する
- 上記だけで済ませず、必要なら対象語を補う(例:上記の条件、上記の日程)
上記は便利ですが、短くしすぎると伝わらないことがあります。読み手が初見でも追えるように、文章の道しるべとして使いましょう。
上記の間違いやすい表現
上記で起きがちなミスは、参照先がズレる・曖昧になるケースです。
- 「上記の件」だけで、何の件か分からない(件名や対象語がない)
- 上記が長文の上にあり、読み手が探しにくい(参照距離が長い)
- 「上記」と「下記」を同一文書内で多用し、どれを指すか混乱する
上記の使いどころは「短く、明確に」。曖昧になりそうなときは、言い換えや補足で調整するのが確実です。
掲記を正しく使うために
掲記は硬い分、ピタッとはまると文章が締まります。ただし、誤用や過剰使用で逆に読みにくくなることもあるので、例文と注意点を押さえましょう。
掲記の例文5選
- 掲記の条件を満たす場合に限り、手続きを受理します。
- 掲記の内容に基づき、資料を作成してください。
- 掲記の項目以外に利用している機器がある場合は、別途記載してください。
- 会議の議事録には、決定事項を漏れなく掲記する。
- 証拠として提出された資料は、本文中に掲記して整理する。
1〜3は“上に掲げた項目を参照する”用法、4〜5は“記録として書き記す”用法です。どちらの意味で使うかが曖昧な文章では、掲記を避けて「記載」「明記」「上記」に寄せる方が誤解を減らせます。
掲記を言い換えてみると
掲記は言い換えの選択肢が多い語です。文章の温度感に合わせて選びましょう。
- (参照)上記の、上に挙げた、前述の、上掲の、先に示した
- (記録)記載する、明記する、書き記す、記録する、列記する
私は、社外向けのやり取りでは「掲記」を無理に使わず、相手が読み慣れている語(上記、前述、記載、明記など)に寄せる方針にしています。
掲記を正しく使う方法
掲記を使うときは、文体と参照の明確さをセットで整えます。
- 文書全体が硬い文体(規程・約款・手引き等)なら掲記が自然
- 掲記が指す対象は“列挙・表示した項目”に寄せるとズレにくい
- 同一文書内で「上記」と混在させる場合は、役割を分ける(上記=一般参照、掲記=列挙参照など)
また、費用・契約・法務・税務など、読者の判断に影響しやすい領域では、用語の解釈で結論が変わることがあります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。判断に迷う場合は、最終的には専門家にご相談ください。
掲記の間違った使い方
掲記でよくある失敗は、「硬い言葉を使ったつもりが、意味がズレている」ケースです。
- 柔らかいメール本文に掲記を混ぜて、文体が不自然になる
- 掲記が“参照”なのか“記録する動作”なのか曖昧で、読み手が迷う
- 掲記の対象が列挙されていないのに「掲記の〜」と書いてしまう
掲記は、はまると強い反面、外すと読みにくさが増えます。迷うときは、上記・前述・記載・明記など、より通じやすい語に逃がすのが実務的です。
まとめ:上記と掲記の違いと意味・使い方の例文
上記は「上に書いた内容を指す参照ラベル」で、ビジネスメールから一般資料まで広く使える無難な表現です。掲記は本来「掲げて記す」という意味を持ち、現代の文書では「上に掲げて記した項目」を指す硬い表現として使われることが多いのが特徴です。
使い分けに迷ったら、基本は上記で問題ありません。掲記は、規程・会計・法務など硬い文書で「列挙した項目」を参照したいときに選ぶと、文章が締まり、意図も通りやすくなります。
英語表現は、上記なら「mentioned above」「as stated above」、掲記なら「listed above」「as set forth above」など、ニュアンスに合わせて選ぶのがコツです。なお、契約や制度に関わる文書では、正確な情報は公式サイトをご確認ください。判断が必要な場面では、最終的には専門家にご相談ください。

