
「及び」「並びに」「又は」「かつ」は、どれも文章でよく見かける接続の言葉ですが、いざ自分で書こうとすると「違いがあいまい」「意味の切り分けが不安」「使い分けを間違えると解釈が変わりそう」と感じやすいポイントです。
特に、契約書や規程、申込書、条文などの法令用語に近い文章では、「若しくは」との関係も含めて読み方が重要になり、接続詞のルールを知らないまま使うと、意図せず範囲が広がったり狭まったりします。
この記事では、実務で迷いがちな「及び」「並びに」「又は」「かつ」の意味、使い分け、英語表現、語源、類義語・対義語、言い換え、そしてすぐに使える例文まで、ひとつの記事で整理します。
- 「及び」「並びに」「又は」「かつ」の意味の違いと基本ルール
- 文章の階層で迷わない使い分けのコツと判断手順
- 英語表現(and / as well as / or / and also など)への対応の考え方
- そのまま使える例文と、誤解を生む間違いやすいパターン
目次
及びと並びにと又はとかつの違い
まずは全体像をつかみましょう。ポイントは「並列(両方)なのか、選択(どちらか)なのか」、そして「接続が一段なのか、複数階層なのか」です。ここを押さえるだけで、読み間違いと書き間違いが大幅に減ります。
結論:及びと並びにと又はとかつの意味の違い
結論から言うと、意味の芯は次のとおりです。
| 表現 | 核となる意味 | イメージ | 典型シーン |
|---|---|---|---|
| 及び | 両方(AもBも) | and(同列の足し算) | 名詞の並列、項目の列挙 |
| 並びに | 両方(AもBも) | and(グループ同士の接続) | 階層(まとまり)を示したい列挙 |
| 又は | どちらか(AかBの選択) | or(選択) | 条件、選択肢、代替案 |
| かつ | 両方(AもBも)を満たす | and(条件の同時成立) | 要件・条件・評価軸の同時要求 |
- 及び・並びに・かつは「足し算(両方)」の方向
- 又はは「選択(どちらか)」の方向
- 法令用語・契約書寄りの文章では「及び」と「並びに」で階層(まとまり)を表す
日常文では「及び」と「並びに」を厳密に分けないことも多いのですが、規程や契約書のように読み手が複数いる文章では、私はできるだけルールに寄せて書くのをおすすめしています。読み手の解釈が揺れにくくなるからです。
及びと並びにと又はとかつの使い分け
使い分けは、次の順番で判断すると迷いにくいです。
① まず「両方」か「選択」かを決める
「AもBも入る」なら及び/並びに/かつ、「AかBのどちらか」なら又はが基本です。
② 次に「階層があるか」を見る
列挙が一段なら「及び」で足ります。ところが、まとまりが複数あり、グループ同士をつなぎたいときに「並びに」が効いてきます。
- フルーツ:りんご・バナナ
- 主食:ごはん・パン
このように二つのまとまりを表したいなら、「りんご及びバナナ並びにごはん及びパン」のように書くと、括りが見えます。
③ 「かつ」は条件や要件の同時成立で強い
「かつ」は「そして」と似ていますが、私の感覚では、単なる追加というより両方を満たすニュアンスが強い言葉です。要件定義、募集要項、評価基準などで「AかつB」を使うと、読み手に「同時に必要」という圧が伝わります。
- 公的文書や契約書では、接続詞の選び方で範囲解釈が変わることがあります
- 運用ルール(社内表記、官公庁の公用文基準、契約ひな形など)がある場合は、それに従うのが安全です
- 正確な情報は公式サイトや公式資料をご確認ください。最終的な判断は弁護士など専門家にご相談ください
及びと並びにと又はとかつの英語表現
英語にするとイメージが整理しやすい一方で、英語は日本語ほど階層を「語」だけで表さないこともあります。私は次の対応を基本にしています。
- 及び:and / as well as(文脈による)
- 並びに:and / together with / as well as(グループ接続の意識)
- 又は:or
- かつ:and / and also / both A and B / as well as(「両方満たす」なら both が明確)
翻訳や英文契約では、and/or の扱いが絡むこともあります。ここは文章の目的(読みやすさか、厳密性か)で最適解が変わるので、迷うなら先に用語定義を置くのが確実です。
及びの意味
「及び」は最も登場頻度が高く、いわゆる「AとB」を硬めに書きたいときに便利です。日常でも使えますが、少し改まった文体になります。
及びとは?意味や定義
「及び」は、並列(両方を含む)を示す接続語です。「A及びB」は「AとB」「AならびにB」に近い意味になります。
私が実務で意識しているのは、及び=同じ階層のものをつなぐという感覚です。単純に同列の名詞を並べたいとき、まず候補に上がります。
及びはどんな時に使用する?
代表的には次のような場面です。
- 資料の見出し(例:目的及び背景)
- 手続きの案内(例:申請書及び添付書類)
- 要件の列挙(例:本人確認書類及び住所確認書類)
会話では「と」で十分なことが多いですが、文章のトーンを整えたいときや、文書を少し引き締めたいときに「及び」が働きます。
及びの語源は?
「及び」は、動詞の「及ぶ(およぶ)」に由来し、「…にまで達する」「…にまで及ぶ」といった広がりの感覚を持っています。そこから、文中で「Aに加えてBまで含む」という並列の働きを担うようになったと捉えると理解が早いです。
- 語源の理解は「用法の芯」をつかむ助けになりますが、現代文としては「AとB(両方)」と整理して問題ありません
及びの類義語と対義語は?
類義語(近い言い換え)は、文体と厳密性で使い分けます。
- 類義語:と、それと、ならびに、あわせて、さらに
- 対義語(反対の発想に近いもの):又は(選択)、もしくは(選択のニュアンス)
「対義語」は国語として厳密な一対一があるわけではありませんが、両方(及び)に対してどちらか(又は)は発想が反対なので、対比させると整理しやすいです。
関連して、「併せて」と「合わせて」の違いも、文章の温度感を整えるうえで役立ちます。必要なら、以下の記事も参考にしてください。
並びにの意味
「並びに」は、日常ではあまり口にしませんが、文章では「まとまり」を見せたいときに力を発揮します。特に列挙が長くなるほど価値が上がります。
並びにとは何か?
「並びに」は、「及び」と同じく並列(両方を含む)を示す言葉です。ただし、法令用語や規程の文体では、大きいまとまり同士をつなぐ役割として使われることが多いのが特徴です。
私の実務感覚では、「並びに」が入ると文章が一段硬くなります。その分、読み手に「ここで括りが変わる」と伝えやすくなります。
並びにを使うシチュエーションは?
次のようなシーンで便利です。
- 項目をグループ分けして列挙したいとき
- 要件が複数セットあり、セット同士を並列に示したいとき
- 規程・契約書・申込条件など、解釈ブレを減らしたいとき
グループを見せる例
「本人確認書類及び住所確認書類並びに申請書及び委任状」のように書くと、「(本人確認セット)+(申請セット)」の形が見えます。
並びにの言葉の由来は?
「並びに」は、「並ぶ」という動きのイメージがそのまま残っている言葉です。要素を横に並べ、さらにそれらをひとまとまりとして並列する感覚があり、「及び」と組み合わせると階層が表現しやすくなります。
並びにの類語・同義語や対義語
類語はありますが、文章の硬さと階層表現という点で「並びに」ほどピタッと決まる語は多くありません。
- 類語・同義語:および、ならびに、と、そして、さらに
- 対義語(反対の発想に近いもの):又は(選択)
又はの意味
「又は」は、選択を示す接続語です。文章を読むときに「又は」が出てきたら、私はまず「どれか一つでよいのか」「複数選択も含むのか」を確認します。
又はの意味を解説
「又は」は、AかBのどちらかを示す言葉です。典型的には「選択肢」「条件分岐」「代替手段」を表します。
注意したいのは、自然文脈だと「AまたはB(どちらでもよい)」が「AでもBでもよい(両方でもよい)」のように広く解釈されることがある点です。厳密さが必要な場面では、私は「いずれか一つ」など補助語を添えて誤解を防ぎます。
又ははどんな時に使用する?
又はは、次のような場面が定番です。
- 提出方法(例:郵送又はオンライン)
- 連絡手段(例:電話又はメール)
- 要件の代替(例:Aを満たす者又はBを満たす者)
- 誤解が怖いときは「A又はB(いずれか一方)」のように補足する
- 選択肢が複数あるなら、箇条書きで明示すると読み手に優しい
又はの語源・由来は?
「又」は「また(再び・追加)」の意味を持つ字ですが、「又は」は古くから接続として用いられ、現代では「選択」を表す機能が定着しています。感覚としては、口語の「または」と同じで、硬めの文章でも違和感なく使えます。
又はの類義語と対義語は?
- 類義語:もしくは、あるいは
- 対義語(反対の発想に近いもの):及び、並びに、かつ
とくに「もしくは」は「又は」とセットで語られやすいのですが、この記事では指示された範囲として「又は」中心で整理しました。より厳密に階層を作る文脈では「又は」と「若しくは」を使い分ける発想もあります。
かつの意味
「かつ」は、日常文でも使いますが、文章では「要件の同時成立」を示したい場面で真価を発揮します。「及び」と似ているからこそ、ニュアンスの違いを押さえておくと文章が安定します。
かつとは?意味や定義
「かつ」は、AもBも成り立つことを示す接続語です。「AかつB」は「Aであり、同時にBでもある」というニュアンスを含みやすく、条件文で使うと強い効果があります。
私は「及び=項目の並列」「かつ=条件の同時成立」と分けて考えると、使い分けがスムーズになると感じています。
かつはどんな時に使用する?
かつが自然にハマるのは、次のようなケースです。
- 募集要項(例:日本語での業務経験があり、かつ英語での対応ができる方)
- 評価基準(例:品質が高く、かつ納期を守れる)
- 定義・要件(例:本人であり、かつ同意している場合)
かつの語源・由来は?
「且つ(かつ)」は古くから用いられてきた表現で、「そのうえ」「同時に」といった意味合いを持ちます。現代では漢字で「且つ」と書くこともありますが、文章の可読性を優先してひらがなで「かつ」とする運用も一般的です。
かつの類語・同義語や対義語
- 類語・同義語:そして、そのうえ、さらに、なお、同時に
- 対義語(反対の発想に近いもの):又は(選択)
及びの正しい使い方を詳しく
ここからは、それぞれの言葉を「書く」側として使いこなすための実践編です。まずは「及び」から、例文と言い換え、よくある落とし穴を押さえます。
及びの例文5選
- 申請書及び本人確認書類を提出してください
- 目的及び背景を冒頭で説明します
- 品質及び安全性を最優先に検討します
- 当社は、製品の開発及び販売を行います
- 氏名、住所及び連絡先を記入してください
及びの言い換え可能なフレーズ
文章の硬さを調整したいときは、言い換えも有効です。
- と
- ならびに
- あわせて
- 加えて
- それと
ただし、規程や契約書のように厳密な読みが必要な文書では、言い換えでニュアンスが変わることがあります。目的に応じて選びましょう。
及びの正しい使い方のポイント
- 同列の名詞をつなぐなら、まず「及び」を第一候補にする
- 三つ以上の列挙は「A、B及びC」の形に寄せると読みやすい
- まとまりが二段以上あるなら「並びに」の導入を検討する
及びの間違いやすい表現
私がよく見かけるのは、「及び」だけで長い列挙をつないでしまい、どこまでが一つのまとまりか不明になるケースです。
例えば「A及びB及びC及びD」と続くと、読み手の負荷が上がります。読点を使って「A、B、C及びD」にするか、グループがあるなら「並びに」で階層を見せると一気に解像度が上がります。
並びにを正しく使うために
「並びに」は万能ではありませんが、ハマると文章が一気に明確になります。ここでは、例文と、使いすぎによる硬さの注意点も含めて整理します。
並びにの例文5選
- 本人確認書類及び住所確認書類並びに申請書及び委任状を提出してください
- 開発部及び品質保証部並びに営業部及びカスタマーサポートが連携します
- 国内市場及び海外市場並びにオンライン及びオフラインで施策を展開します
- 生産計画及び在庫計画並びに配送計画及び返品対応を見直します
- 規程の改定及び周知並びに運用チェック及び改善を実施します
並びにを言い換えてみると
文章を柔らかくしたいなら、次の言い換えも選択肢です。
- そして
- それに加えて
- さらに
- あわせて
ただし、「並びに」を外すと階層の情報が消えることがあります。列挙が複雑な場合は、言い換えよりも箇条書きに逃がすほうが安全なことも多いです。
並びにを正しく使う方法
- 「小さい接続=及び」「大きい接続=並びに」と意識する
- グループが二つ以上あるときにだけ登場させると過不足がない
- 読み手が一般の読者なら、必要に応じて箇条書きで補助する
並びにの間違った使い方
よくあるのは、グループがないのに「並びに」を入れてしまい、文章が不自然に硬くなるパターンです。
例えば「A並びにB」だけだと、日常文ではやや大げさに見えます。厳密さが不要なら「A及びB」や「AとB」で十分です。文章の目的(読みやすさか、厳密性か)を先に決めてください。
又はの正しい使い方を解説
「又は」は便利ですが、読み手が「両方でもいいの?」と迷う余地が残ることがあります。書き手としては、選択の範囲を明示する工夫が大切です。
又はの例文5選
- 申請は郵送又はオンラインで受け付けます
- 連絡は電話又はメールでお願いします
- 本人確認書類又は住民票の写しを提出してください
- 返金は口座振込又はクレジットカードへの返金となります
- 当日に欠席する場合は、担当者又は事務局へご連絡ください
又はを別の言葉で言い換えると
- もしくは
- あるいは
- どちらか
- いずれか
迷いを減らすなら、「A又はB(いずれか一つ)」のように補助語を添えるのが実務的です。
又はを正しく使うポイント
- 「一つ選ぶ」なのか「複数選べる」なのかを文章内で明示する
- 選択肢が多い場合は、文章でつなげず箇条書きにする
- 条件文では、括弧や読点で範囲を見やすくする
又はと誤使用しやすい表現
「又は」を使ったのに、後続で「必要に応じて複数提出」などと書いてしまい、読み手が混乱するケースがあります。選択と併記が混ざると、解釈ブレが生まれます。
もし「一つでもよいし複数でもよい」を表したいなら、「A又はB(複数可)」のようにルールを書き切るか、最初から箇条書きで「提出可否」を明示するのが安全です。
「選択」という発想を文章で分かりやすく整理したい場合は、次の記事も役立ちます。
かつの正しい使い方・例文
最後に「かつ」です。条件を並べるときに便利ですが、使いどころを外すと「及び」との違いが曖昧になります。ここでは、要件文での使い方を中心に固めます。
かつの例文5選
- 本制度は、本人であり、かつ同意している場合に利用できます
- 品質が高く、かつ納期を守れる体制を整えます
- 経験があり、かつチームで協働できる方を募集します
- 安全で、かつ継続可能な運用を目指します
- 情報が正確で、かつ最新であることを確認してください
かつの言い換え可能なフレーズ
- そして
- そのうえ
- さらに
- 同時に
- 加えて
ただし、要件文で「かつ」を言い換えると、同時成立の強さが弱まることがあります。意図が「両方必須」なら、私は「かつ」を残すことが多いです。
かつの正しい使い方のポイント
- 要件・条件・評価軸など「両方満たす」を明確にしたいときに使う
- 単なる項目の列挙なら「及び」のほうが自然なことが多い
- 読み手が誤解しそうなら「いずれも満たす」など補助語を添える
かつの間違った使い方
「AかつB」と書いたのに、実際は「AとBのどちらかでもよい」だった、というズレは意外と起きます。これは完全に意味が逆です。
選択なら「又は」、両方必須なら「かつ」。この二つだけは、文章の性格を変えるほど重要なので、書き終えたら一度「要件が厳しくなりすぎていないか」を見直すのがおすすめです。
まとめ:及びと並びにと又はとかつの違いと意味・使い方の例文
「及び」「並びに」「又は」「かつ」は、似ているようで、文章の解釈を左右する重要な接続語です。最後に要点をまとめます。
- 及び:同列の並列(AもBも)
- 並びに:グループ同士の並列(まとまりを見せる)
- 又は:選択(AかB)
- かつ:同時成立(AもBも満たす)
日常文なら、読みやすさを優先して「と」「そして」を使うのも自然です。一方で、規程・契約書・申込条件のように厳密さが求められる文書では、接続のルールを意識して「及び/並びに/又は/かつ」を選ぶことで、解釈ブレを減らせます。
- 文書の種類(社内規程、契約書、官公庁向け書類など)によって望ましい厳密性は変わります
- 運用ルールがある場合はそれに従い、疑義があるときは公式資料の確認をおすすめします
- 正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は弁護士など専門家にご相談ください

