「悍ましい」「忌まわしい」「恐ろしい」の違いと意味・使い方や例文まとめ
「悍ましい」「忌まわしい」「恐ろしい」の違いと意味・使い方や例文まとめ

ニュースや小説を読んでいると、「悍ましい事件」「忌まわしい記憶」「恐ろしい光景」といった表現が出てきて、その違いや意味が気になったことはないでしょうか。

どれも「嫌な感じ」「怖さ」「悪い印象」を含む言葉ですが、悍ましいと忌まわしいと恐ろしいは、微妙にニュアンスが異なります。その違いを理解しないまま「何となく雰囲気で」使っていると、相手に伝わる印象が変わってしまったり、文章のトーンが意図せず大げさになってしまったりします。

この記事では、悍ましい 忌まわしい 恐ろしいの違いや意味を軸に、語源や類義語・対義語、言い換え、英語表現、具体的な使い方と例文までを網羅的に整理していきます。

特に、悍ましいの意味や使い方、忌まわしいの語源や類義語、恐ろしいの類義語や英語表現が気になっている方、ニュースやビジネス文書でニュアンスの近い言葉をどう使い分ければよいか迷っている方に向けて、違いを一つひとつ丁寧に解説していきます。

最後まで読んでいただければ、「この場面では悍ましい」「ここは忌まわしいの方が自然」「恐ろしいに言い換えた方がわかりやすい」といった判断が自信をもってできるようになります。

  1. 悍ましい・忌まわしい・恐ろしいの意味とニュアンスの違い
  2. それぞれの語源・類義語・対義語とイメージの整理
  3. ビジネス文書や日常会話での自然な使い分けと英語表現
  4. 悍ましい・忌まわしい・恐ろしいを使った例文と言い換えパターン

目次

悍ましいと忌まわしいと恐ろしいの違い

まずは俯瞰的に、悍ましい・忌まわしい・恐ろしいの三つがそれぞれどのような「怖さ」「嫌悪感」を表しているのか、意味と使い分けの全体像を整理します。

結論:悍ましいと忌まわしいと恐ろしいの意味の違い

私自身の感覚も含めて整理すると、三つの言葉はおおよそ次のように捉えるとイメージしやすくなります。

悍ましい:ぞっとするほど強烈な嫌悪感や戦慄を感じる、とても不気味で近寄りがたいさま。ホラー映画の残虐なシーンや、人間の暗部を感じるような事件に使われやすい言葉です。

忌まわしい:不吉さや縁起の悪さ、不愉快さが強調される言葉。「二度と思い出したくない過去」「避けたい出来事」のように、心理的に遠ざけたいものに向けて使います。

恐ろしい:身の危険や将来の不安など、「恐怖」そのものを幅広く表す言葉。純粋に怖い場合にも、程度の甚だしさを強調する「恐ろしい速度」などの比喩的な使い方にも使われます。

三つとも「嫌だ」「怖い」という感情は共通していますが、悍ましい=戦慄やおぞけ 忌まわしい=不吉で不愉快 恐ろしい=恐怖そのものという軸でイメージしておくと、文脈に合わせて選びやすくなります。

悍ましいと忌まわしいと恐ろしいの使い分けの違い

次に、日常の文章や会話でどのように使い分けるかを、シチュエーション別に見ていきます。

例えば、残酷な事件や猟奇的なニュースに触れて、背筋が凍るような気持ちになったときは「悍ましい事件だ」と言うと、そのぞっとする感覚まで含めて表現できます。一方、過去のスキャンダルや、思い出したくないトラブルについて語るときは、「忌まわしい過去」「忌まわしい記憶」という言い方の方がしっくりきます。

「恐ろしい」はもっと幅広く使えます。自然災害や犯罪、戦争といった直接的な危険だけでなく、「恐ろしい勢いで円安が進む」「彼は恐ろしい集中力を持っている」のように、ポジティブ・ネガティブを問わず「程度の大きさ」を強調するときにも用いられます。

言い換えれば、

  • 背筋が凍るような不気味さ・グロテスクさを出したい → 悍ましい
  • 不吉で、できれば関わりたくない・思い出したくない → 忌まわしい
  • 怖さ・危険性・圧倒的な度合いをストレートに伝えたい → 恐ろしい

といった感覚で選ぶと、ニュアンスのブレが少なくなります。

悍ましいと忌まわしいと恐ろしいの英語表現の違い

英語でのニュアンスの違いも、三つの言葉のイメージをつかむうえでとても役に立ちます。

たとえば「悍ましい」に近いのは、horrible / ghastly / gruesome / repulsive といった単語です。どれも「ぞっとする」「身の毛がよだつような」「吐き気を催すほど嫌悪感を覚える」といったニュアンスで、ホラー作品や凄惨な事件の記事などでよく使われます。

「忌まわしい」に近い表現としては、abominable / accursed / damnable / detestable などが挙げられます。特に damn は「忌まわしい」「けしからん」といった、強い嫌悪や非難を込めたスラング寄りの表現として用いられます。

「恐ろしい」は、terrible / dreadful / fearful / terrifying など、恐怖や危険、あるいは「ひどさ」の度合いを表す単語が対応します。特に terrible は、「恐ろしい」だけでなく「ひどい」「最悪だ」といった意味でも幅広く使われるため、文脈による読み分けが重要です。

英語表現のイメージを合わせて押さえると、悍ましい・忌まわしい・恐ろしいのニュアンスの違いがより立体的に見えてきます。

悍ましいの意味

ここからは、三つの言葉を一つずつ深掘りしていきます。まずは「悍ましい」について、意味・語源・類義語・対義語を整理します。

悍ましいとは?意味や定義

「悍ましい(おぞましい)」は、辞書的には「いかにも嫌な感じがする。ぞっとするほど、いとわしい」「我が強い。強情だ」といった意味を持つ形容詞です。

現代日本語では、二つ目の「強情だ」という意味で使われることはまれで、強烈な嫌悪感・戦慄を伴う不快さを表す語として定着しています。

日常会話よりも、ニュース・評論・小説・ホラー作品の紹介文など、やや硬め・文学的な文脈で目にすることが多い言葉です。

悍ましいはどんな時に使用する?

私が文章を書くとき、「悍ましい」を使うのは次のような場面です。

  • 猟奇的な事件や連続殺人など、残虐さが強調されるニュース
  • 人間の醜悪さや歪んだ心理が露骨に現れている出来事
  • ホラー作品の中で、見るに耐えないシーンや怪異の描写
  • 人を踏み台にしてのし上がるなど、倫理的に許容しがたい行為

単に「嫌だ」「怖い」だけでなく、「口にするのも嫌だ」と感じるレベルの不気味さを含ませたいときに選ぶイメージです。

そのため、日常のちょっとした出来事に対して「悍ましい」を多用すると、必要以上に大げさ・芝居がかった印象になってしまいます。適度な距離感で使うことが大切です。

悍ましいの語源は?

「悍ましい」の語源は、古語の「おぞし」「おぞむ」などにさかのぼるとされています。これらは「恐れて避ける」「嫌って近づかない」といった意味を持つ言葉で、そこから「悍ましい(おぞましい)」という形容詞が生まれました。

古典文学の中では、「おぞし」が「恐ろしい」「強情だ」「悪賢い」など複数の意味で使われており、その一部が現代の「悍ましい」に引き継がれていると考えられます。

語源のイメージを踏まえると、悍ましいには単なる「怖さ」以上に、本能的に近づきたくない・視線をそらしたくなるといった感覚が含まれていることがわかります。

悍ましいの類義語と対義語は?

悍ましいと近い意味を持つ類義語として、次のような言葉が挙げられます。

類義語ニュアンス
忌まわしい不吉さや不愉快さを強調。悍ましいより少し広い場面で使える
いとわしい(厭わしい)不愉快で避けたい、わずらわしいという嫌悪感
疎ましい距離を置きたい、関わりたくないという気持ち
不気味だ理由のわからない不安や気味の悪さ
おどろおどろしい雰囲気が異様で、いかにも怖そうな感じ

一方、対義語にあたるのは、安心できる・穏やかな・心地よいといったポジティブな感覚を表す言葉です。「安らかな」「穏やかな」「平穏な」などが反対側のイメージになります。

忌まわしいの意味

次に「忌まわしい」について、意味や由来、類語・対義語を詳しく見ていきます。

忌まわしいとは何か?

「忌まわしい(いまわしい)」は、

  • よくないことが起こりそうで、縁起が悪い
  • 嫌な感じで、不愉快である

といった意味を持つ形容詞です。

特に、過去の事件・出来事・記憶など「できれば思い出したくない・触れたくないもの」に対して使われることが多く、「心理的に遠ざけたい対象」を指すことが多いのが特徴です。

忌まわしいを使うシチュエーションは?

文章や会話の中で「忌まわしい」がよく使われるのは、次のような場面です。

  • 戦争や災害など、悲惨な歴史的出来事を語るとき(例:忌まわしい戦争の記憶)
  • 個人的なトラウマや黒歴史を表現するとき(例:忌まわしい過去を振り返る)
  • 不正・ハラスメントなど、社会的に許されない行為を批判するとき
  • 不吉な噂や、縁起の悪いとされる場所について述べるとき

悍ましいが「その場で背筋が凍るような感覚」を強く表すのに対して、忌まわしいは、時間が経っても払拭されない嫌悪感・不快感に焦点があるイメージです。

忌まわしいの言葉の由来は?

「忌まわしい」は、動詞「忌む(いむ)」が形容詞化した言葉です。「忌む」には「不吉なもの、けがれを避けて慎む」「嫌って避ける」といった意味があり、そこから「忌まわしい=避けるべきで、嫌悪や不吉さを感じるもの」というニュアンスが生まれました。

語源からも分かるように、「忌まわしい」には宗教的・儀礼的な「忌み慎む」という感覚も含まれており、単なる「嫌い・不愉快」とは少し違う、重さのある言葉です。

忌まわしいの類語・同義語や対義語

忌まわしいの類義語・同義語には、次のような表現があります。

類義語ニュアンス
厭わしい(いとわしい)不愉快で嫌、わずらわしい
禍々しい(まがまがしい)不吉で、悪いことが起こりそうな雰囲気
汚らわしい道徳的・感情的に「汚れている」と感じる嫌悪
呪わしい呪いたくなるほど憎らしいという強い感情
いけ好かない・虫が好かない理屈ではなく感覚的に嫌い

対義語としては、「楽しい」「心地よい」「快適」「幸先がよい」「吉兆」など、縁起の良さや快さを表す言葉が反対の位置づけになります。

恐ろしいの意味

最後に、最も耳なじみのある「恐ろしい」について、意味や語源、類義語・対義語を確認しておきましょう。

恐ろしいの意味を解説

「恐ろしい(おそろしい)」は、

  • 身の危険を感じるほど怖いさま
  • 程度が極端で驚くべきさま(例:恐ろしい集中力)

といった意味を持っています。

「怖い」とほぼ同じ場面で使えますが、恐ろしいの方がやや客観的・叙述的で、文章語寄りの印象があります。また、ポジティブな対象に対して「恐ろしいほど〜だ」と言うことで、驚嘆や賞賛を含む強調表現として使われることもあります。

恐ろしいはどんな時に使用する?

「恐ろしい」がよく使われるのは、次のようなケースです。

  • 自然災害・事故・犯罪・戦争など、命の危険を感じさせる出来事
  • 将来の不況・環境問題・紛争拡大など、社会的なリスクを語る場面
  • 「恐ろしい記憶力」「恐ろしいスピード」のように、度合いの大きさを強調するとき
  • ホラー作品や怖い体験談について話すとき

悍ましいや忌まわしいと比べると、日常会話からニュース、ビジネスまで汎用性が高いのが「恐ろしい」の特徴です。

恐ろしいの語源・由来は?

「恐ろしい」の語源は、古語の動詞「恐る(おそる)」です。「恐る」には、「怖がる」「畏敬の念を抱く」「慎む」といった意味があり、そこから形容詞「おそろし」が生まれ、のちに「恐ろしい」という形で定着しました。

漢字の「恐」は、「巩(固める)」と「心」から成り、「心が強く揺さぶられる様子」を表しているとされます。危険や畏怖の対象に心が大きく動かされる感覚が、「恐ろしい」という言葉の根底にあると言えるでしょう。

恐ろしいの類義語と対義語は?

「恐ろしい」の類義語として、次のような表現が挙げられます。

  • 怖い
  • おっかない
  • 物騒だ
  • ゾッとする
  • 身の毛がよだつ
  • 戦々恐々として

対義語としては、「楽しい」「安心だ」「平穏だ」「穏やかだ」など、心が落ち着いている状態を表す言葉が位置づけられます。

悍ましいの正しい使い方を詳しく

ここからは、実際の文章でどのように使えば自然に伝わるか、例文と言い換え表現を交えながら具体的に見ていきます。まずは「悍ましい」からです。

悍ましいの例文5選

ビジネス・ニュース・日常の三つの場面に分けて、例文を挙げます。

ニュース・社会の文脈での例文

  • その連続殺人事件の詳細は、聞くだに悍ましく、途中で記事を読むのをやめてしまった。
  • SNSで拡散された動画には、動物への悍ましい虐待行為が映し出されていた。

ビジネス・組織の文脈での例文

  • 短期的な利益のために従業員を切り捨てる姿勢には、どこか悍ましいものを感じる。
  • 社内で長年まかり通ってきた派閥争いの実態は、外部の人間から見ると悍ましい権力闘争そのものだ。

日常会話・文学的な文脈での例文

  • あの絵には、言葉にしがたい悍ましい気配が漂っている。

悍ましいの言い換え可能なフレーズ

文章のトーンや読み手の層によっては、「悍ましい」だとやや硬すぎる・重すぎることがあります。その場合は、次のような言い換えも検討できます。

  • ぞっとするような
  • 身の毛がよだつような
  • 背筋が凍るような
  • おぞましいほどの
  • 異様なまでの

例えば、「悍ましい事件だ」をビジネスメールで少しトーンダウンしたいなら、「背筋が凍るような事件だ」「ぞっとする事件だ」と書き換えると、意味は保ちつつも表現が柔らかくなります。

悍ましいの正しい使い方のポイント

① 本当に「背筋が凍るレベル」の出来事に絞って使う

ちょっとした不快感に対してまで「悍ましい」を乱用すると、読み手にとっては大げさ・芝居がかった印象になってしまいます。深刻な事件や倫理的に許されない行為など、本当に強い嫌悪感を表したい場面に絞るのがコツです。

② 対象をできるだけ具体的に書く

「悍ましい」と形容するだけでなく、「何が」「どの点で」悍ましいのかを具体的に書くと、読み手の理解度がぐっと上がります。

③ 口語よりは文語・文章向きの言葉として意識する

会話で多用すると堅苦しく響くため、レポート・コラム・レビューなど「文字として読む」場面を中心に使うのが自然です。

悍ましいの間違いやすい表現

悍ましいは、似たニュアンスの言葉と混同されがちです。

  • × 悍ましいほど忙しい(→ 大変さの強調なら「恐ろしいほど忙しい」「信じられないほど忙しい」が自然)
  • × 悍ましい人気(→ ポジティブな対象なので「圧倒的な人気」「驚異的な人気」などに言い換える)

悍ましいは基本的にネガティブな対象にだけ使われます。ポジティブな対象や中立的な対象にまで使ってしまうと、日本語として違和感のある表現になってしまうので注意しましょう。

忌まわしいを正しく使うために

続いて、「忌まわしい」を具体的な例文とともに整理し、言い換えや注意点を見ていきます。

忌まわしいの例文5選

歴史・社会の文脈での例文

  • 私たちは、忌まわしい戦争の歴史から目を背けてはならない。
  • 差別に基づく忌まわしい慣習は、いまだに世界各地に残っている。

個人の経験・心理の文脈での例文

  • あの日の出来事は、私にとって今でも忌まわしい記憶だ。
  • 彼は忌まわしい過去と向き合い、新しい一歩を踏み出そうとしている。

ニュース・評論の文脈での例文

  • 権力者による忌まわしい腐敗の構図が、ようやく明るみに出た。

忌まわしいを言い換えてみると

「忌まわしい」はやや硬い表現なので、文章のトーンによっては別の言い方がしっくりくることも多いです。

  • 不吉な・縁起が悪い
  • 不愉快な・胸が悪くなるような
  • 二度と思い出したくない
  • 目を背けたくなるような
  • 暗い過去の

例えば、「忌まわしい過去」と書く代わりに、「二度と思い出したくない過去」「暗い過去」と言い換えると、少し柔らかい語感になり、日常的な文章にもなじみやすくなります。

忌まわしいを正しく使う方法

① 「避けたい」「思い出したくない」という心理に着目する

忌まわしいの核になっているのは、「忌む=避けて慎む」という感覚です。純粋な恐怖だけでなく、「近づきたくない・思い出したくない」という心理があるかどうかを基準に、使うかどうかを判断するとブレにくくなります。

② 歴史・社会問題など、重いテーマとの相性が良い

戦争・差別・虐待など、人間社会の暗部を語るときに「忌まわしい」は非常に相性が良い言葉です。一方で、軽い愚痴やちょっとしたミスにまで使うと、文章全体が重苦しくなってしまいます。

忌まわしいの間違った使い方

次のような使い方は、意味として不自然になりやすいので注意が必要です。

  • × 忌まわしいほどきれいな景色(→ ポジティブな対象には基本的に使わない)
  • × 忌まわしいスピードで売上が伸びている(→ 「驚異的な」「目覚ましい」などに言い換える)

また、似ている表現として「忌々しい(いまいましい)」がありますが、こちらは「悔しく腹立たしい」という意味で、感情のベクトルが異なります。混同しないように気をつけましょう。

恐ろしいの正しい使い方を解説

最後に、「恐ろしい」の具体的な使い方と、ほかの表現との言い換え方法を確認します。

恐ろしいの例文5選

危険・リスクを表す例文

  • 地震の被害状況を映した映像は、自然の力の恐ろしさをまざまざと見せつけた。
  • 彼の無責任な発言が、どれほど恐ろしい結果を招きかねないか想像してほしい。

能力・程度を強調する例文

  • 彼女は、初対面の人の名前を一度で覚えてしまう恐ろしい記憶力の持ち主だ。
  • このサービスは、ほんの数年で恐ろしいスピードで成長している。

日常会話寄りの例文

  • あのホラー映画は、本当に恐ろしくて途中で見るのをやめてしまった。

恐ろしいを別の言葉で言い換えると

恐ろしいは便利な言葉ですが、多用すると語感が単調になりやすいので、場面によって次のように言い換えるのもおすすめです。

  • 怖い・おっかない
  • ゾッとする・鳥肌が立つ
  • 危険だ・リスクが高い
  • 驚くべき・信じがたい
  • 目を見張るほどの・圧倒的な

「恐ろしいほどの成果」と書く代わりに、「目を見張るほどの成果」「驚くべき成果」と言い換えると、冷静なトーンの文章にもなじみやすくなります。

恐ろしいを正しく使うポイント

① 「本当に怖い」のか「程度が大きい」のかを意識して使い分ける

恐ろしいは、恐怖と凡例の大きさの両方を表せる便利な言葉です。ただし、どちらの意味で使っているのかが曖昧だと、読み手が解釈に迷います。文脈や具体的な描写で、どちらを強調したいのかを明確にしておきましょう。

② 「怖い」とのニュアンスの違いを意識する

「怖い」は主観的な感情寄り、「恐ろしい」は客観的な叙述寄りという違いがあります。日記や会話では「怖い」、レポートや評論では「恐ろしい」と使い分けると、文章全体のトーンが整いやすくなります。

恐ろしいと誤使用しやすい表現

恐ろしいも、ポジティブな文脈に使えるとはいえ、対象との相性を誤ると違和感が生まれます。

  • △ 恐ろしいほどかわいい(→ 文脈によってはユーモラスな表現として成立するが、ビジネス文書では避けた方が無難)
  • × 恐ろしいほど安らかな景色(→ 「驚くほど」「信じられないほど」などに言い換える)

フォーマルな文章では、恐ろしいの代わりに「著しい」「極めて大きな」といった語を選ぶと、冷静なトーンを保ちながら程度の大きさを伝えやすくなります。

まとめ:悍ましいと忌まわしいと恐ろしいの違いと意味・使い方の例文

最後に、この記事全体のポイントをコンパクトに振り返っておきます。

  • 悍ましい:ぞっとするほど不気味で嫌なさま。本能的に目をそらしたくなるような対象に使う。
  • 忌まわしい:不吉で不愉快なさま。二度と思い出したくない過去や、避けるべき出来事を指す。
  • 恐ろしい:恐怖そのもの、あるいは程度の大きさを表す、汎用性の高い言葉。

三つの違いを整理しておくと、ニュースや小説を読むときにニュアンスがより鮮やかに伝わってくるだけでなく、自分が文章を書くときの表現の幅もぐっと広がります。

日本語の「似ているけれど少し違う言葉」を整理しておきたい方は、同じ「違いの教科書」で扱っている以下の記事もあわせて読むと、理解がさらに深まります。

これらの記事でも、語源・類義語・対義語・英語表現・例文といった切り口から、言葉の違いを立体的に整理しています。

悍ましい・忌まわしい・恐ろしいの違いを押さえ、場面に応じた言葉の選び方が身につくと、文章表現は一段と豊かになります。違いの教科書の運営者として、これからも日本語の微妙なニュアンスを整理しながら、読者の皆さんの「言葉の引き出し」を増やすお手伝いができればうれしいです。

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