
「問題定義」と「問題提起」は、どちらもビジネスや会議、論文、レポートで頻繁に登場します。ところが、いざ「違い」を説明しようとすると、「意味が似ていて曖昧」「使い方を間違えると話がズレる」と感じる方が多い言葉でもあります。
「問題定義と問題提起の違いの意味」を調べている人の多くは、問題定義とは何か、問題提起とは何か、使い分け、例文、ビジネスでの使い方、論文での書き方、課題との違い、課題設定との関係、論点の整理、英語表現(issueやproblem)、言い換え、類義語や対義語まで一気に整理したいはずです。
この記事では、「問題定義」と「問題提起」を混同しやすいポイントをほどきながら、実務と文章の両方で迷わない使い分けを、具体例ベースでまとめます。読み終える頃には、会議の冒頭で話を正しく立ち上げ、資料やレポートで論旨をブレさせないための“型”が手に入ります。
- 問題定義と問題提起の意味の違いを一言で説明できるようになる
- 会議や資料での使い分けのコツと失敗パターンがわかる
- 英語表現や言い換え、類義語・対義語を整理できる
- そのまま使える例文で文章と発言の精度を上げられる
問題定義と問題提起の違い
最初に全体像を押さえます。両者の違いは「どちらが正しいか」ではなく、役割が違うだけです。ここを誤ると、会議では議論が迷子になり、レポートでは論旨が散らかります。
結論:問題定義と問題提起の意味の違い
結論から言うと、問題提起は「問いを立てて関心と焦点を作る」行為で、問題定義は「その問いを解ける形にまで特定し、範囲と前提を固定する」行為です。
私はよく、次の一文で説明します。
- 問題提起=議論を始めるための問いを投げる
- 問題定義=解ける問題として条件を揃える
たとえば「売上が伸びないのはなぜか?」は問題提起としては成立しますが、これだけでは“何をもって伸びないのか”“どの期間か”“どの商材か”“どのチャネルか”が曖昧で、解決の打ち手が選べません。そこで、データ・対象・期間・ゴールを固定して「第3四半期の新規獲得数が前年同月比で15%落ちている。獲得チャネル別のボトルネックを特定する」と置き直す。ここまで落とすのが問題定義です。
| 観点 | 問題提起 | 問題定義 |
|---|---|---|
| 役割 | 問いを立てる(議論の起点) | 解く対象を確定する(分析の土台) |
| 成果物 | 問い・論点・注目点 | 対象範囲・前提・評価指標・制約条件 |
| 失敗すると | 話題が散らかる | 解決策が刺さらない |
| 相性が良い言葉 | 論点、争点、問い | 要件、定義、スコープ |
問題定義と問題提起の使い分けの違い
使い分けは、場面の「温度」と「確度」で決まります。まだ状況が見えていない段階では、強引に問題定義しようとすると前提が崩れやすいので、まず問題提起で焦点を作る。反対に、施策検討や意思決定の段階では、問題提起だけを繰り返すと議論が前に進みません。
私が現場でよく使う順番は次の通りです。
- 会議冒頭:問題提起で「何について話すか」を揃える
- 議論中盤:情報が出揃ったら問題定義で「何を解くか」を固定する
- 議論終盤:問題定義に対する打ち手(仮説・施策)を選ぶ
注意したいのは、問題提起は便利なぶん“問いを投げっぱなし”になりやすいことです。問いを投げたら、必ず「この会議では何を決めるか(アウトプット)」までつなげましょう。
問題定義と問題提起の英語表現の違い
英語にすると違いがさらに明確になります。問題提起は、文脈によって「raise an issue」「pose a question」「bring up a concern」などが自然です。一方、問題定義は「define the problem」「problem definition」「frame the problem」「clarify the scope」といった表現がよく使われます。
ポイントは、問題提起がraise/pose/bring upのように「持ち上げる・投げる」動詞と相性がよく、問題定義がdefine/frame/clarifyのように「形を整える」動詞と相性がよいことです。
- 英語でproblemを連発すると強い否定ニュアンスになる場面があります。ビジネスではissue(論点・課題)に言い換えると角が立ちにくいこともあります
問題定義とは?
ここからは、それぞれを単体で掘り下げます。まずは問題定義から。言葉としては硬いですが、やっていることはシンプルで「解ける形に整える」ことです。
問題定義の意味や定義
問題定義とは、扱うべき問題を明確な対象として設定し、関係者が同じ土俵で考えられるようにすることです。私は問題定義を「スコープ(範囲)」「指標(何で測るか)」「制約(守る条件)」「前提(当たり前に置くこと)」の4点セットで捉えています。
たとえば「顧客満足度を上げたい」という言い方は、願望としては正しいですが、問題定義としてはまだ粗いです。満足度の指標(NPS、アンケート平均、解約率など)を決め、対象(新規/既存、特定セグメントなど)と期間、制約(コスト、人員、納期)を揃えることで、初めて“解ける形”になります。
問題定義はどんな時に使用する?
問題定義が効くのは、打ち手を選ぶ必要がある局面です。会議で言えば、議論の中盤から終盤。資料で言えば、目的・背景の次に置くと、読み手が迷いません。
- 施策の優先順位を決めるとき(限られたリソース配分)
- 原因分析をする前(何を原因として探すかを固定)
- レポート・論文で研究対象を絞るとき
- トラブル対応で“再発防止”まで踏み込むとき
逆に、情報が不足している段階で問題定義を急ぐと、見たいデータだけを集めてしまう危険があります。ここは後述の「間違いやすい表現」でも触れます。
問題定義の語源は?
「定義」は、言葉や概念の意味をはっきりさせることを指します。問題定義は、その考え方を「問題」に適用したもので、“何が問題なのか”を言葉として固定するニュアンスが中心です。
ビジネス用語としては、英語のproblem definitionやproblem framing(問題をどう枠付けるか)と近い発想で広まりました。要するに、問題の見え方は「枠の作り方」で変わるので、まず枠を定めよう、ということです。
問題定義の類義語と対義語は?
問題定義の類義語は、「課題設定」「論点整理」「要件定義(※文脈次第)」「スコープ設定」などです。特に「課題設定」は近いですが、私は次のように使い分けます。
- 課題設定:やるべきこと(取り組むテーマ)を定める
- 問題定義:解くべき問題を解ける形に落とす
対義語を一語で決めるのは難しいですが、実務上の反対側は「曖昧化」「論点の拡散」「スコープ未設定」あたりです。言い換えるなら、“何でもありの状態”が問題定義の対極にあります。
関連して、「言葉の違いを言語化する」力を底上げしたい人は、概念の整理に近いテーマとして、当サイトの「意味」と「意義」の違い|使い分け・英語表現・例文も一緒に読むと、定義の作り方が掴みやすくなります。
問題提起とは?
次は問題提起です。問題提起は、場を動かすための言葉です。だからこそ便利ですが、雑に使うと炎上や対立の火種にもなります。上手に使うコツを、ニュアンスまで含めて整理します。
問題提起の意味を詳しく
問題提起とは、ある状況について「このままで良いのか」「どこに注目すべきか」といった問いを提示して、議論や検討をスタートさせることです。ポイントは、問題提起が“答え”ではなく、あくまで“入口”だということです。
私は問題提起を、次の3タイプに分けて使うことが多いです。
- 気づき型:見落とされている論点を示す(例:顧客視点が抜けていないか)
- 方向づけ型:議論の焦点を定める(例:コストより継続率を優先すべきでは)
- 警鐘型:リスクを顕在化させる(例:法務確認が未実施のまま公開して良いか)
良い問題提起は、聞いた瞬間に「確かに、その論点が必要だ」と場の認識が揃います。
問題提起を使うシチュエーションは?
問題提起が最も役立つのは、議論が惰性で進んでいるときです。進行中の会議でも、文章でも、問題提起は“流れ”を変える力があります。
- 会議の冒頭で議題の焦点を作るとき
- 施策がマンネリ化しているときに新視点を入れるとき
- 資料の導入で読者の関心を引き、読み進める理由を作るとき
- 研究・論文で「未解決の論点」を示すとき
- ただし、問題提起は言い方を誤ると「批判」「揚げ足取り」に見えやすいです。事実・目的・代替案の方向性まで添えると、建設的になりやすいです
問題提起の言葉の由来は?
「提起」は「持ち上げて示す」という意味合いを持ちます。つまり問題提起は、問題(論点)をその場に“持ち上げて提示する”ニュアンスです。
実務では「問題を提起する」とセットで使われることが多く、英語では先ほど触れたようにraise an issueが近い感覚です。ここで重要なのは、提起=確定ではないという点です。提起した時点では、まだ“問い”であって、定義(確定)ではありません。
問題提起の類語・同義語や対義語
問題提起の類語は、「論点提示」「疑問提起」「提案」「問いかけ」「警鐘を鳴らす」などです。ただし「提案」は解決策寄り、「論点提示」は整理寄りなので、完全な同義語ではありません。
対義語として実務でわかりやすいのは、「追認」「黙認」「スルー」「現状追随」あたりです。言い換えるなら、“問いを立てない姿勢”が問題提起の反対側にあります。
なお、用語のズレが原因で議論が噛み合わないときは、言葉の“ズレ”を扱うテーマとして、当サイトの齟齬・乖離・相違の違いと使い分けも参考になります。言葉のズレを放置しない姿勢は、問題定義にも直結します。
問題定義の正しい使い方を詳しく
ここからは実践編です。問題定義は「できているつもり」になりやすい分、型を持つのが一番です。例文とセットで、使い方のポイントを固めましょう。
問題定義の例文5選
問題定義は、対象・指標・範囲が入っているほど強くなります。以下は、そのまま社内資料にも使える形でまとめました。
- 今回の問題定義は「新規登録後7日以内の離脱率が上昇している原因を特定し、改善策を提案する」とする
- 問題定義として、対象を首都圏店舗に限定し、平日昼帯の客数減少に絞って分析する
- 議論が拡散しているので、まず問題定義を「納期遅延の再発防止」に置き直そう
- 問題定義の評価指標は、問い合わせ件数ではなく一次解決率と顧客満足度で見る
- 問題定義が曖昧なままだと打ち手が選べないため、スコープと制約条件を先に確定する
問題定義の言い換え可能なフレーズ
文章の硬さを調整したいときは、言い換えが便利です。ニュアンス別に使い分けると、読み手の負担が減ります。
- 「問題定義する」→「何が問題かをはっきりさせる」
- 「問題定義を固める」→「論点と範囲を揃える」
- 「問題定義を置き直す」→「焦点を絞り直す」
- 「問題定義が甘い」→「対象と指標が曖昧」
- 社内向け資料なら「スコープを切る」「評価指標を決める」のように具体語にすると、理解が早いです
問題定義の正しい使い方のポイント
問題定義で最重要なのは、「何を解くか」と同時に「何を解かないか」も書くことです。ここが書けると、議論がブレにくくなります。
- 対象(誰・どこ・どの範囲)を限定する
- 指標(何が良くなれば成功か)を決める
- 制約(期限・予算・人員・法規など)を明記する
- 前提(現時点で確からしい事実)と未確定事項を分ける
そして最後に、読み手が迷わないように「この問題定義に対して、次に何をするか」を一文でつなげます。たとえば「この問題定義に基づき、チャネル別の離脱要因を仮説立てし、検証計画を作成する」といった具合です。
なお、資料の組み立てで迷う人は、情報の“要約”と“中身”を分ける発想が役立ちます。導入と本文の設計に近いテーマとして、当サイトの「概要」と「内容」の違い|意味・使い分け・例文も合わせて読むと、構成が整いやすくなります。
問題定義の間違いやすい表現
よくある誤りは、問題提起レベルの問いを問題定義だと思い込むことです。たとえば次のような状態は、まだ問題定義として弱いです。
- 「売上が伸びない」「業務が回らない」のように、対象と指標が曖昧
- 原因や解決策が混ざっている(例:「広告が弱いのが問題」など結論を先に置く)
- 範囲が広すぎて、結局何も決められない
- 特に注意したいのは「原因の決めつけ」です。正確な原因やデータの取り扱いは、必ず社内の一次情報や公式資料で確認し、最終判断は関係部門や専門家に相談してください
問題提起を正しく使うために
問題提起は、使い方次第で「議論の推進力」にも「摩擦の火種」にもなります。ここでは、角を立てずに焦点を作る書き方・言い方をまとめます。
問題提起の例文5選
問題提起は、「問い」+「目的(なぜ今それを問うのか)」があると強くなります。例文は次の通りです。
- この施策は短期の数字には効きますが、中長期の継続率に影響しないでしょうか
- 顧客の声は増えていますが、私たちはどの層の声を優先して見ていますか
- 現状の進め方だと属人化しやすいですが、引き継ぎの観点で問題はありませんか
- コスト削減を優先していますが、品質低下のリスクをどう評価していますか
- この結論に至る前提データは十分でしょうか。未確認の前提が混ざっていませんか
問題提起を言い換えてみると
同じ内容でも、言い方で受け取られ方が変わります。場の空気が硬いときほど、言い換えが効きます。
- 「それは問題では?」→「念のため確認したい点があります」
- 「おかしくない?」→「前提を揃えると、別の見え方がしそうです」
- 「間違っている」→「この条件だと結果が変わる可能性があります」
- 「危ない」→「リスクとして一度洗い出しておきたいです」
- 相手を否定する言葉を避け、「目的」と「確認」に寄せると、問題提起が建設的になります
問題提起を正しく使う方法
問題提起を上手く使うコツは、問いを投げた直後に“議論の着地点”を添えることです。私は次の型をおすすめしています。
- 問い(何を気にしているか)
- 理由(なぜ今それが重要か)
- 次の一手(何を確認・整理すれば前に進むか)
例えば、「この施策は短期では効きますが、継続率に影響しないでしょうか(問い)。継続率が落ちると回復に時間がかかるので、先に影響を見たいです(理由)。過去施策との比較と、継続率の先行指標を確認しませんか(次の一手)」という流れです。これなら、場が“批判”ではなく“検討”に切り替わります。
問題提起の間違った使い方
問題提起でありがちな失敗は、問いが人格攻撃や結論の押し付けに見える形です。次のような言い方は避けましょう。
- 「どうしてこんなことになったの?」(責任追及に聞こえやすい)
- 「それって意味あります?」(相手の努力を否定しやすい)
- 「普通はこうでしょ」(前提の押し付けになりやすい)
- 法務・医療・金融・安全など、判断を誤ると影響が大きいテーマでは、推測で断定しないことが重要です。正確な情報は公式サイトや一次資料で確認し、最終判断は専門家に相談してください
まとめ:問題定義と問題提起の違いと意味・使い方の例文
「問題提起」は、議論や検討を始めるための問いを立てる行為です。関心と焦点を作り、場を動かす力があります。一方「問題定義」は、その問いを解くために、対象・範囲・指標・制約を揃えて解ける形に固定する行為です。
使い分けはシンプルで、まだ状況が見えない段階では問題提起で焦点を作り、意思決定や分析の段階では問題定義で土台を固める。これだけで、会議も文章も驚くほどブレにくくなります。
最後に、実務で迷ったときは次の一文を思い出してください。問題提起は「問い」、問題定義は「条件を揃えた問い」です。問いを投げたら、解ける形に整える。この流れができれば、あなたの資料と議論は一段上がります。

