「破損」「損壊」「損傷」の違い|意味や類語・例文・正しい使い方
「破損」「損壊」「損傷」の違い|意味や類語・例文・正しい使い方

「破損」「損壊」「損傷」、これら三つの言葉は、すべて“何かが傷つく・壊れる”という意味を含みますが、使い方やニュアンスには違いがあります。本記事では、「破損」「損壊」「損傷」の違いを明確にし、正しい意味・使い方・例文・類語まで丁寧に解説します。結論を先に述べると、「損壊」が最も被害の度合いが大きく広義、「破損」は中程度~部分的、「損傷」は軽い傷・損害または人体にも用いる言葉という使い分けが基本的な線になります。

「破損」「損壊」「損傷」の違いとは?

破損とは何か?具体的な意味と例

破損(はそん)は、物が壊れたり傷ついたりすること、また、壊したり傷つけたりすることを指します。通常、物(器物・建築物・機器など)に対して用いられ、部分的な破壊や損傷を含む範囲を指す場合が多いです。語の構成は「破(やぶれる/壊す)」と「損(そこなう)」からなり、やぶれて損なわれるという意味合いを含んでいます。

注意点として、通常「破損」は物に対して使われ、人の身体には用いられません。壊れ方としては“完全破壊”には至らないものの、機能に支障を来す程度の状態を指すことが多く、保険や契約文書、事故報告書などで頻繁に用いられます。

損壊とは?定義と使い方の解説

損壊(そんかい)は、物が壊れたり破壊されたり、また壊すことを意味します。保険・災害・法律分野では、台風・火災・地震など外力によって建築物や設備が機能を喪失するレベルまで壊れる状態を含む、広義の概念として使われることがあります。

「損壊」は被害の度合いが大きく、修復が難しい・費用がかかるレベルを想起させる語です。物理的な破壊だけでなく、「効用を失わせる」「使用目的を果たせない状態にする」ような損害も含むと見なされる場合があります。

損傷の意味と使用される場面

損傷(そんしょう)は、物や人体などが損なわれ、傷つくことを指します。物体に対しても人体・臓器・組織に対しても使える語であり、軽度〜中度の損害を示すことが多いです。

特に医学・事故・怪我の分野で頻出し(例:脳損傷、筋肉損傷)、壊れるほどではないが機能が低下するような傷のニュアンスが強く含まれます。

それぞれの言葉の漢字の成り立ち

漢字構成漢字の意味・含意語感/補足
破損破 + 損「破」:やぶる・壊す、「損」:そこなうやぶれて損なう → 部分破壊・損傷を含む意味合い
損壊損 + 壊「損」:そこなう、「壊」:こわす・こわれる壊す・壊れるを含む、被害の強度が高め
損傷損 + 傷「損」:そこなう、「傷」:きず・傷つける傷をつける・傷つく意味が前面

漢字の語義背景にもとづくと、「破損」は“やぶれる/壊れる”、「損壊」は“壊し傷める度合いが強い”、「損傷」は“傷つける・傷をつける”といった感覚の違いが理解できます。

「破損」「損壊」「損傷」の具体的文例

「破損」を使用した例文

  • 配送中に製品の外箱が破損していた。
  • 台風の強風で屋根の瓦が破損した。
  • スマートフォンの画面にヒビが入ってガラスが破損した。
  • 書籍のページが折れ、カバーが破損してしまった。
  • 保険会社に破損した部品の修理代を請求した。

「損壊」を使用した例文

  • 地震により家屋が損壊し、住めない状態になった。
  • 豪雨によって道路が損壊して通行できなくなった。
  • 台風で町のインフラが損壊した地域も多かった。
  • 火災の延焼でビルがほぼ完全に損壊した。
  • 洪水により橋が損壊して復旧工事が必要となった。

「損傷」を使用した例文

  • 交通事故で車体が損傷したが、人命には影響なかった。
  • 長年の使用で建物の外壁にひびが入り、損傷が目立つ。
  • スポーツ中に膝の靭帯を損傷して手術を要した。
  • 落下の衝撃でスマートフォン内部の回路が損傷した。
  • 洪水で家具が水に浸かり、木材が損傷した。

言い換えのポイント:類語・同義語と使い方

類語・同義語とその使い方

「破損」「損壊」「損傷」と近い意味を持つ語には以下のようなものがあります。使い分けのポイントを添えて紹介します。

  • 毀損(きそん):物理的損害に加え、名誉・信用など無形の損害にも使える語。
  • 破壊(はかい):完全な破壊・崩壊を意味。損壊より激しいニュアンスを含む。
  • 毀棄/棄損:物を捨てる・破棄する意味を含み、物理的破壊とは異なる文脈で用いられることがある。
  • 滅失/滅却:存在を失う・完全に消滅することを指す語。
  • 傷む/痛む:表面的な損傷・劣化を指す語。比較的軽い損害を表現するのに適す。

これらの語を併用するときは、「被害の大きさ」「対象(物・人体・無形)」「回復可能性」などを意識して語を選ぶと、表現がより正確になります。

毀損・毀棄などの類語一覧

類語読み意味の焦点使いどころ・ニュアンス
毀損きそん物理的・無形の損害物理的損害、また無形の損害(名誉毀損など)
破壊はかい完全な崩壊構造物・制度など強い破壊を含む場面
毀棄/棄損きき/きそん破棄・放棄の意味法律文書などで用いられることがある
滅失めっしつ完全な消失権利や構造物などが存在を失う場合
傷むいたむ表面的な損傷・劣化食物・建材・家具などに用いやすい

英語における翻訳例

日本語英語訳の例備考・使い分け
破損damage, breakage, fracture“damage” は汎用的、破損度合いが深刻なら “severe damage” など
損壊destruction, devastation, collapse全面破壊を強調する語を使う。建築物・インフラで “destruction” や “collapse” が多用
損傷damage, injury, impairment物にも人体にも “damage”/“injury” を使える。“injury” は主に人体・組織対象

使用例(英語)

  • The earthquake caused destruction to the downtown area.
  • The shipment arrived with several items damaged.
  • The bridge sustained damage but is still usable.
  • The athlete suffered injury to the ACL in her knee.

まとめ:「破損」「損壊」「損傷」の違いや意味

本記事では、「破損」「損壊」「損傷」の違いと使いどころを、語義・漢字構成・例文・類語・英語訳まで含めて詳しく解説しました。改めて整理すると、以下のようになります:

  • 損壊:被害の度合いが強く、構造的な破壊・機能喪失を含む概念。
  • 破損:物に使われやすく、中~強程度の損害・壊れを示す語。
  • 損傷:軽~中の傷・ダメージであり、物にも人体にも使える語。

これらを適切に使い分けられれば、文書・報告・記事などで表現がより緻密になり、読み手に正確なニュアンスが伝わりやすくなります。

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