
「謂う」と「曰く」は、どちらも「いう」と読める場面があるため、意味の違いが分かりにくい言葉です。特に、辞書で見かける古風な表現や、古典・漢文・文章表現の中で出会うと、「結局どう使い分ければいいのか」「語源は何か」「類義語や対義語はあるのか」「言い換えできるのか」と迷いやすくなります。
実際に、「謂う 曰く の違いと意味を知りたい」「使い方や例文もまとめて確認したい」「英語表現にするとどうなるのか」「所謂や曰く付きのような関連表現も理解したい」と考えて検索する方は少なくありません。
この記事では、「謂う」と「曰く」の違いを、意味・使い分け・語源・類義語・対義語・言い換え・英語表現・使い方・例文まで、初めて学ぶ方にもわかりやすく一つずつ整理します。
読み終えるころには、「謂う」は定義や名づけに近い語、「曰く」は引用や言うことにはという導入語、さらに場合によっては事情・いわくを表す語だと、はっきり説明できるようになります。
- 謂うと曰くの意味の違いが一目でわかる
- 場面ごとの自然な使い分けが身につく
- 語源・類義語・対義語・英語表現まで整理できる
- そのまま使える例文と誤用の注意点がわかる
目次
謂うと曰くの違いを最初に整理
まずは全体像から押さえましょう。この章では、「謂う」と「曰く」が何を表す言葉なのかを、意味・使い分け・英語表現の3つの観点から整理します。最初にここを理解しておくと、その後の語源や例文もすんなり頭に入ります。
結論:謂うと曰くの意味の違い
結論からいうと、謂うは「あるものをこう呼ぶ・こう定義する」という意味合いが強く、曰くは「〜が言うには」「こう言った」という引用の導入、または事情・理由を表す語です。漢字そのものの字義を見ても、この違いはかなり明確です。漢字の「謂」には「いう・述べる・となえる」に加えて「いわれ・理由」の意味があり、特に名づける・ある概念をこう呼ぶという方向に使いやすい字です。いっぽう「曰く」は辞書上、副詞的に「言うことには」、名詞的に「隠れた事情や理由」を表します。
- 謂う:ある対象をどう呼ぶか、どう位置づけるかを示しやすい
- 曰く:発言内容を導くときに使いやすい
- 曰く:名詞としては「わけ」「事情」の意味も持つ
たとえば「この状態を成熟と謂う」は、定義づけ・呼称のニュアンスです。これに対して「古人曰く、学びて時に之を習う」は、誰かの言葉を引用している形です。さらに「曰く付きの品」というと、「何か事情のある品」という意味になります。
| 語 | 中心的な意味 | 主な使われ方 | ニュアンス |
|---|---|---|---|
| 謂う | 呼ぶ・定義する・こう言う | 定義、説明、概念整理 | やや文語的・説明的 |
| 曰く | 言うことには・言った | 引用、古典表現 | 古風・引用導入 |
| 曰く | 事情・理由・わけ | 曰く付き、曰くありげ | 含みのある表現 |
謂うと曰くの使い分けの違い
実際の使い分けでは、「何かをどう呼ぶか」を示したいなら謂う、「誰かの発言を導きたい」なら曰くと考えると迷いにくくなります。
私が文章を整理するときは、次のように判断しています。
- 定義を示す:謂う
- 概念を説明する:謂う
- 人物の言葉を引用する:曰く
- 事情があることをにおわせる:曰く
たとえば、学術的・説明的な文章では「この現象をAと謂う」「一般にBと謂われる」が自然です。いっぽう古典調の言い回しや格言紹介では「孔子曰く」「本人曰く」がなじみます。また、「曰く付き」は引用ではなく事情の意味なので、ここを混同しないことが大切です。
- 現代の一般文では「謂う」も「曰く」も常用的ではない
- 日常文では「言う」に置き換えた方が自然なことが多い
- 「曰く」を定義語として使うと不自然になりやすい
謂うと曰くの英語表現の違い
英語にすると、「謂う」は文脈によって call、define、refer to が近く、「曰く」は say、according to が近い対応になります。「曰く付き」のような事情の意味では、with a past、with a story、questionable など、場面に合わせた訳し分けが必要です。
| 日本語 | 英語の近い表現 | 補足 |
|---|---|---|
| これを成功と謂う | call this success / define this as success | 呼称・定義 |
| 先生曰く | the teacher says / according to the teacher | 引用導入 |
| 曰く付きの人物 | a person with a past / a questionable person | 事情ありの意味 |
謂うとは何かをわかりやすく解説
ここからは「謂う」そのものを詳しく見ていきます。辞書的な意味だけでなく、どんな文章で生きる言葉なのか、どのような場面で使うとしっくりくるのかまで、実用面を意識して整理します。
謂うの意味や定義
「謂う」は、現代語の感覚でいえば「こう呼ぶ」「こう定義する」「こう述べる」に近い言葉です。漢字の「謂」には「いう・述べる・となえる」のほか、「いわれ・理由」「思う・考える」といった意味も見られます。特に日本語の文章では、単なる発話よりも、対象に名前や意味づけを与える場面で生きやすいのが特徴です。
「所謂(いわゆる)」の「謂」も同じ字で、世間でそう呼ばれている、一般にそう言われる、という形で使われます。このことからも、「謂う」が単なる発声ではなく、呼称や認識の枠組みと結びつきやすい語だとわかります。
- 「謂う」は会話で多用する語ではない
- 定義・命名・説明に向く文語寄りの表現
- 「所謂」を知るとニュアンスがつかみやすい
謂うはどんな時に使用する?
「謂う」は、次のような場面で使うと自然です。
- 概念の定義を述べるとき
- 特定の名称を与えるとき
- 文章に古風な格調を持たせたいとき
- 評論や解説で言葉の輪郭をはっきりさせたいとき
たとえば、「この状態を自立と謂う」「これを近代化と謂う」などは、単に誰かが発言したのではなく、意味を定める言い方です。いっぽう、友人との会話で「昨日そう謂ったよね」とすると、かなり不自然で硬く響きます。日常なら「言った」の方が自然です。
謂うが活きる文脈
私の感覚では、「謂う」は説明文・評論文・古典風の文体で特に活きます。言葉に輪郭を与えるとき、読者に「これは定義として読んでほしい」と伝えやすいからです。文章にきちんとした印象を持たせたいときには便利ですが、多用すると硬くなるため、現代文では使いどころを選ぶのがコツです。
謂うの語源は?
「謂」の字は、漢和辞典では形声文字として説明され、「言」と音符から成り、「いう」の意を表すとされます。字義としては「述べる」に加えて、「名づける」「いわれ」「理由」などがあり、もともと単なる発話だけでなく、言葉によって意味づけを与える方向を持っていたことがわかります。
そのため「謂う」は、現代日本語に置き換えると「〜と呼ぶ」「〜とみなす」「〜という意味で用いる」と近い位置にあります。語源を踏まえると、「謂う」が定義・呼称・概念整理で使いやすい理由が見えてきます。
謂うの類義語と対義語は?
「謂う」は文脈によって近い言葉が変わります。定義の意味なら「呼ぶ」「称する」「定義する」、説明の意味なら「述べる」「指す」「示す」などが類義語になります。いっぽう、明確な一語の対義語は置きにくいですが、定義づけの反対としては「区別しない」「特定しない」「名づけない」などが対照的です。
| 分類 | 語 | 使い分けの目安 |
|---|---|---|
| 類義語 | 呼ぶ | 最も一般的で日常的 |
| 類義語 | 称する | やや硬めで文章向き |
| 類義語 | 定義する | 学術的・論理的 |
| 類義語 | 述べる | 内容を表明する場面 |
| 対照語 | 名づけない | 定義・呼称を与えない |
| 対照語 | 特定しない | 輪郭づけをしない |
「意味」と「意義」の区別まで整理したい方は、意味と意義の違いを解説した記事も合わせて読むと、言葉の定義と価値づけの違いがつかみやすくなります。
曰くとは何かを詳しく整理
次に「曰く」を見ていきます。この語は「言うことには」という引用の意味で知られていますが、実は「事情・理由」という別の顔も持っています。ここを分けて理解すると、曰く付き・本人曰く・古人曰くなどの表現が一気につながります。
曰くの意味を詳しく
「曰く」は大きく分けて2つの意味があります。ひとつは副詞的な用法で、「言うことには」「〜によれば」という意味。もうひとつは名詞的な用法で、「事情」「理由」「わけ」という意味です。辞書でもこの二義が示されており、「古人曰く」は前者、「曰くのありそうな品」は後者にあたります。
- 引用の曰く:「先生曰く」「古人曰く」
- 事情の曰く:「曰く付き」「曰くありげ」
- どちらも現代会話より文章・表現で見かけやすい
この二つを分けて理解しておかないと、「曰く」をすべて引用語だと思い込んでしまいます。実際には、「曰く付きの物件」の「曰く」は、誰かが何かを言ったという意味ではなく、表に出しにくい背景や来歴があるという意味です。
曰くを使うシチュエーションは?
「曰く」を使う代表的なシチュエーションは次の通りです。
- 格言や古典を引用するとき
- やや改まった書き言葉で発言を導くとき
- 「本人曰く」のように伝聞を簡潔に示すとき
- 「曰く付き」で事情ありを表すとき
たとえば、記事やエッセイで「哲学者曰く」と書けば、古風で格調のある引用になります。また、「本人曰く、当時は何も考えていなかったらしい」のように書くと、少し距離を置いて伝える響きが出ます。反対に、ビジネスメールで多用すると硬すぎたり芝居がかった印象になったりすることがあります。
- 日常会話で多用すると不自然
- 軽い雑談では大げさに聞こえることがある
- 「曰く付き」は相手や物事に負の含みを持たせやすい
曰くの言葉の由来は?
「曰」は古い漢字で、漢文では「〜曰く」という形で発言を導く語として広く使われてきました。日本語でもその影響を受け、古典や漢文訓読に由来する表現として定着しています。そのため「曰く」は、現代口語というより、古典・漢文・格言の引用表現として理解するとしっくりきます。
また、名詞としての「曰く」は、「言う」のク語法に由来する説明が辞書に見られます。ここから「言うべき内容」「打ち明けるべき事情」というニュアンスが生まれ、のちに「隠れた事情・理由」という意味でも使われるようになりました。
曰くの類語・同義語や対義語
引用の意味での「曰く」の類語には、「言うには」「〜によれば」「述べるところによれば」「語るに」などがあります。事情の意味での「曰く」なら、「理由」「事情」「いきさつ」「由来」「訳」などが近い言葉です。辞書でも「理由・謂れ・訳・ゆえん・由・故・事由・所由」などが挙げられています。
| 用法 | 類語 | 対照的な表現 |
|---|---|---|
| 引用 | 言うには、〜によれば、述べるところによれば | 直接断定する、引用しない |
| 事情 | 理由、事情、訳、いきさつ、由来 | 無事情、背景なし、問題なし |
なお、「いわれ」と「由来」の違いも気になる場合は、サイト内で関連語が見つかれば補助的に確認すると理解が深まりますが、このページだけでも実用上は十分です。
謂うの正しい使い方を詳しく
ここでは「謂う」を実際に使うための視点に絞って解説します。例文を通して、どの場面なら自然か、どんな言い換えができるか、どこで誤用しやすいかを確認していきましょう。
謂うの例文5選
まずは自然な例文を5つ挙げます。
- このような状態を、一般に成熟と謂う。
- 地域の古い呼び名では、この川を清流と謂うことがある。
- 努力と工夫が積み重なった結果を、私は成長と謂いたい。
- 世間で成功と謂われる姿が、本人の幸福とは限らない。
- この発想こそ、創造性と謂うにふさわしい。
いずれの例文も、単なる発話ではなく「どう呼ぶか」「どう位置づけるか」が中心です。謂うは、名づける・定義する・評価語を与える文脈で強いと覚えておくと、使い方を外しにくくなります。
謂うの言い換え可能なフレーズ
現代文では「謂う」が硬すぎることもあるため、次のような言い換えが便利です。
| 謂う | 言い換え | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 〜と謂う | 〜と呼ぶ | 日常文・説明文 |
| 〜と謂う | 〜と称する | 硬めの文章 |
| 〜と謂う | 〜と定義する | 学術・論理的説明 |
| 〜と謂われる | 〜とされる | 一般論の提示 |
- 自然さ重視なら「呼ぶ」
- 硬さを保つなら「称する」
- 論理性を高めるなら「定義する」
謂うの正しい使い方のポイント
「謂う」を正しく使うポイントは3つです。第一に、日常会話ではなく文章表現向きだと理解すること。第二に、単なる発言ではなく、概念の整理や名づけに近い場面で使うこと。第三に、現代の一般的な文書では「言う」や「呼ぶ」に置き換えた方が読みやすい場合も多いことです。
- 発言よりも定義・呼称で使う
- 古風で硬い文体に合う
- 読みやすさを優先するなら言い換えも有効
謂うの間違いやすい表現
「謂う」でよくある誤りは、何でも「言う」の代わりに使ってしまうことです。たとえば「彼はそう謂った」は、文法的に絶対誤りとまではいえなくても、現代文ではかなり不自然です。ここは「言った」で十分です。
また、「謂う」と「曰く」を混同して、「先生謂う、努力は大切だ」としてしまうのも避けたいところです。引用導入なら「先生曰く」または自然な現代文なら「先生はこう言った」が合います。 謂うは定義、曰くは引用という基本線を崩さないことが大切です。
曰くを正しく使うために
最後に「曰く」の実践的な使い方を整理します。引用と事情という二つの意味を意識しながら、自然な例文と言い換えを見ていきましょう。
曰くの例文5選
「曰く」の例文を、引用と事情の両方を含めて挙げます。
- 古人曰く、継続は力なり。
- 本人曰く、そのときは直感で決めたらしい。
- 先生曰く、基礎を軽視してはいけないとのことだ。
- その絵には、どこか曰くありげな雰囲気があった。
- あの建物は曰く付きで、地元では有名だ。
前半3つは引用、後半2つは事情の意味です。特に「本人曰く」は今でも比較的見かける表現ですが、やや書き言葉寄りです。「曰く付き」はより慣用的で、現代でも定着しています。
曰くを言い換えてみると
「曰く」はそのままだと硬いので、場面に応じて言い換えると読みやすくなります。
| 曰くの表現 | 言い換え | 補足 |
|---|---|---|
| 先生曰く | 先生によれば | 現代的で自然 |
| 本人曰く | 本人によると | 会話文・記事向き |
| 曰く付き | 事情のある、問題のある、過去のある | 含みの強さに注意 |
| 曰くありげ | 意味ありげ、事情がありそう | 婉曲表現として使いやすい |
曰くを正しく使う方法
「曰く」を正しく使うには、まず引用の語か、事情の語かを判別することが重要です。引用なら「A曰く、〜」の形、事情なら「曰く付き」「曰くありげ」の形が基本です。両者を混ぜないだけでも、かなり自然な文章になります。
- 引用では「誰が」の主語を明確にする
- 事情の意味では負の含みが出やすいことを意識する
- 現代文では「〜によれば」に置換可能かを確認する
引用表現全般の整理に近いテーマとして、呼び方の違いが気になる方は、呼称と呼び名の違いをまとめた記事も参考になります。呼ぶ・名づける・言い表す感覚の違いを補強できます。
曰くの間違った使い方
「曰く」で間違いやすいのは、現代の説明文でむやみに多用することです。たとえば、普通の案内文やビジネス連絡で「担当者曰く」と書くと、やや古めかしく、場面によっては軽い皮肉にも見えます。実務的には「担当者によれば」で十分です。
また、「曰く」を定義の意味で使うのも不自然です。「この行為を挑戦曰く」とは言わず、「この行為を挑戦と謂う」または「挑戦と呼ぶ」が自然です。引用なのか定義なのかを見極めることが、誤用防止のいちばんの近道です。
まとめ:謂うと曰くの違いと意味・使い方の例文
最後に要点をまとめます。
| 比較項目 | 謂う | 曰く |
|---|---|---|
| 基本の意味 | 呼ぶ・定義する・こう述べる | 言うことには・言った/事情・理由 |
| 主な役割 | 名づけ・概念整理 | 引用導入・事情の提示 |
| 向く場面 | 評論、定義、古風な説明文 | 格言、古典調の引用、曰く付き |
| 自然な言い換え | 呼ぶ、称する、定義する | 〜によれば、言うには、事情 |
| 注意点 | 日常会話では硬い | 多用すると古めかしい |
- 謂うは「何と呼ぶか・どう定義するか」を示す語
- 曰くは「誰かがこう言った」「〜によれば」を示す語
- 曰くには「事情・理由」の意味もある
- 迷ったら、定義なら謂う、引用なら曰くで考えると整理しやすい
「謂う」と「曰く」は似て見えて、役割ははっきり違います。意味の違いを理解しておくと、古典・評論・説明文・引用表現の読み書きがぐっと正確になります。場面に応じて「呼ぶ」「〜によれば」といった現代的な言い換えも活用しながら、自然で伝わる表現を選んでみてください。

