
「迎える」と「向かえる」は、読みやすさや形は同じ「むかえる」でも、意味・語源・使い方が微妙に異なります。本記事では、この「迎える」と「向かえる」の違い、意味、語源、類義語、対義語、言い換え、使い方、例文までを詳しく解説していきます。それぞれの語感・役割・使いどころを明確に理解していただければと思います。
この記事を読んでわかること
- 「迎える」と「向かえる」の意味の違い
- それぞれの語源・ニュアンス・正しい使い方
- 「迎える」と「向かえる」の英語表現や言い換え
- 各言葉を用いた例文(各5選)および言い換え例・注意点
迎えると向かえるの違い
結論:迎えると向かえるの意味の違い
まず結論から言うと、「迎える」と「向かえる」の違いは、“誰が動くか/どちらの方向に動くか” という視点の違いです。
具体的には
- 「迎える」=相手や出来事・時期が自分のもとへ来る・到来する/受け入れるという意味。
- 「向かえる」=自分が何かに向かっていく、自分が対象/目的へ動く・直面するという意味。
表にまとめると以下の通りです。
| 漢字 | 主な意味 | 動作の方向 | イメージ |
|---|---|---|---|
| 迎える | 相手・出来事・時期を受け入れる/迎え入れる | 相手→自分 | 待って・受け入れる |
| 向かえる | 自分が対象や目的地・状況へ向かう/直面できる | 自分→対象 | 進んで・向かう |
このように、「迎える」は受動的、「向かえる」は能動的・主体的というニュアンスの差があります。
迎えると向かえるの使い分けの違い
では、実際の文章でどのように使い分ければいいのかを掘り下げましょう。
まず「迎える」は、たとえば「新年を迎える」「客を迎える」「終わりを迎える」など、何かが“到来する”・“訪れる”・“受け入れる”という場面で多く使われます。
一方で「向かえる」は、「試験に向かえる」「困難に向かえる」「目的地に向かえる準備をする」など、自分から動く・進む・備えるという意味合いが強く出る場面で使われます。
例えば
- 「新しい年度を迎える」→時間や節目をこちらが受け入れる。
- 「未来に向かえる」→こちらが未来に向かって動く、進む。
このように“誰が”“どちらが動くか”という意識を持つことで、正確な使い分けが可能になります。
迎えると向かえるの英語表現の違い
英語でこれらを訳すと、その違いがさらに明確になります。
- 迎える → 「welcome」「greet」「receive」など、相手を迎え入れるという意味の動詞。
- 向かえる → 「be able to head toward」「be able to face」「can go toward」など、“自分が進める/動ける”という可能性・行動を含む表現。
例えば
- We welcomed our guests at the airport. → 「ゲストを空港で迎えた」。
- We are able to head toward the future with confidence. → 「私たちは自信を持って未来に向かえる」。
このように、英語でも「迎える=受け入れる」「向かえる=向かっていく/直面できる」のニュアンスが活かされます。
迎えるの意味
迎えるとは?意味や定義
「迎える」は、「むかえる」と読み、人・出来事・時期などを自分のもとへ来させて受け入れる・出迎える・迎え入れるという意味を持っています。
辞書的には、「来る人を待ち受けて出迎える」「ある時期・状態・段階に入る」「迎え入れる」という用法が挙げられています。
したがって、対象がこちらに来る、あるいはこちらが対象を受け入れるという関係性がベースになっています。
迎えるはどんな時に使用する?
「迎える」がよく使われる場面を整理してみましょう。
- 人を迎えに行ったり、出迎えたりする場面:例「空港で友人を迎える」。
- 新しい時期・状況を迎える:例「新しい年度を迎える」「人生の節目を迎える」。
- 受け入れる・迎え入れるという意味合いが強い場面:例「新たな仲間を迎える」「終わりを迎える」。
このように、「迎える」は変化・到来・受容というキーワードとセットで使われることが多いです。
迎えるの語源は?
「迎える」の「迎」に関して、語源的には「迎(むか)ふ」が「向かって出る/出迎える」という意味を持っており、そこから「来る者を待ち受けて出る」という形で現在の意味へ発展したと言われています。
つまり、漢字「迎」は“道に出て迎える”という動きのイメージが含まれており、そこから“受け入れる”意味が派生しています。
迎えるの類義語と対義語は?
「迎える」の類義語・対義語を整理します。
| 語彙 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 類義語 | 「受け入れる」「出迎える」「迎え入れる」「迎合する」(ただし「迎合」はニュアンス異なる) |
| 対義語 | 「見送る」「拒む」「避ける」など、来るものを受け入れない/見届けて手放すという意味 |
なお、「迎える」に比べて「向かえる」との対比で用いられることも多いため、語感的には逆方向性の言葉とも言えます。
向かえるの意味
向かえるとは何か?
「向かえる」は「むかえる」と読み、主に「自分が何か/誰か/目的地/状況へ向かっていくことができる」という意味合いを持っています。
なお、辞書によっては「向かえる」が単独の動詞として掲載されていない場合もあり、「向かう+可能の「える」」という構造から生まれた言い回しだとされることがあります。
向かえるを使うシチュエーションは?
「向かえる」が適切に使われる場面を以下に整理します。
- 自分が目的地や場所へ向かう/移動する場面:例「駅に向かえる」「会場へ向かえる」。
- 自分が状況や課題へ立ち向かう/準備ができる場面:例「試験に向かえる」「困難に向かえる」。
- 自分自身が変化・次の段階へ進めるというポジティブな意味合い:例「未来に向かえる心構えを持つ」。
このように、「向かえる」は“進む・挑む”という能動的な場面で用いられることが多いです。
向かえるの言葉の由来は?
「向かえる」は、漢字「向(む)く/むこう」が根底にあり、「向かう(むかう)」という動詞に可能を表す助動詞「える/られる」が付いた構造、と説明されることがあります。
つまり、「向かえる=向かうことができる」という意味合いが隠れており、そこから“ある方向へ進む/直面できる”というニュアンスが生まれています。
向かえるの類語・同義語や対義語
「向かえる」の類語・対義語を以下に整理します。
| 語彙 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| 類義語 | 「進める」「挑める」「赴ける」「臨める」など、自分から向かっていけるという意味 |
| 対義語 | 「避ける」「逃げる」「受動的に構える」など、自分から動かない・向かわないという意味 |
「向かえる」が「迎える」としばしば比較されるのは、“動き出す側”という点での違いがあるためです。
迎えるの正しい使い方を詳しく
迎えるの例文5選
- 1. 新年度を迎えるにあたって、私たちは決意を新たにした。
- 2. 駅で友人を迎えるために、早めに改札口に向かった。
- 3. 春の訪れを迎える桜の花が、見事に咲き誇った。
- 4. 新たなチャレンジを迎える覚悟を、胸に刻んだ。
- 5. 製品リリースの日を迎える企業は、社内外で祝賀ムードが高まっていた。
迎えるの言い換え可能なフレーズ
「迎える」を言い換えると、次のような表現が使えます。
- 「受け入れる」
- 「出迎える」
- 「迎え入れる」
- 「迎え入れられる」
- 「迎撃する」(やや軍事・比喩的)
ただし、ニュアンスが微妙に異なるため、文脈に応じて適切な言い換えを選びましょう。
迎えるの正しい使い方のポイント
「迎える」を使う際のポイントは以下の通りです。
- 対象が「こちらへ来る/訪れる/到来する」ことを意識する。
- 歓迎・受け入れ・節目・到来といった意味合いが背景にある。
- 主体が「受け入れ側/受け止める側」であるという視点を持つ。
- 「迎える」は「迎えに行く」などとしても用いられますが、その場合でも「出迎える」「迎え入れる」という意味合いが強い点を忘れない。
迎えるの間違いやすい表現
誤用されやすいケースとして、以下が挙げられます。
- 「目的地へ迎える」=○ではなく、「目的地へ向かえる」が正しい。
- 「困難を迎える」=受け入れる/到来を受け止めるという意味ならOKだが、「自分から立ち向かう」という意味なら「向かえる」が適切。
- 「向かえる準備を迎える」など混同した使い方。
文脈をよく確認して、「相手が来る・自分が動く」のどちらかを意識するとミスを防げます。
向かえるを正しく使うために
向かえるの例文5選
- 1. 新しい挑戦に向かえるよう、社内で体制を整えた。
- 2. 明日の発表会に向かえる準備は、もうほぼ完了している。
- 3. 困難な環境に向かえる強い意志を持つことが、大きな差を生む。
- 4. 目的地に向かえるまで、あと数キロある。
- 5. 未来に向かえる若者たちが、希望を胸に集まっていた。
向かえるを言い換えてみると
「向かえる」を言い換えると、次のような表現が考えられます。
- 「進める」
- 「挑める」
- 「赴ける」
- 「臨める」
- 「立ち向かえる」
ただし、「向かえる」には「自分から動ける/進める」という含みがあるため、単なる「行く」や「来る」とはニュアンスが異なります。
向かえるを正しく使う方法
「向かえる」を使う際には、以下のポイントを意識しましょう。
- 主体が「自分」である、または「自分たち」である場面に使う。
- 対象・目的地・状況へ「向かう/進む/備える」という動きが明確である。
- 受け身ではなく、能動的・主体的な姿勢や準備・行動を伴う。
- 「向かえる準備ができた」「〜に向かえる体制」を作る、などの形でも使える。
向かえるの間違った使い方
よくある誤用には次のようなものがあります。
- 「お客様を向かえる」→誤用。「お客様を迎える」が正しい。(こちらが待つ/迎え入れる)
- 「春を向かえる」→「春を迎える」が自然。もし「春に向かえる心構えを持つ」と言うならOK。
- 「会場へ迎える」→「会場へ向かえる」あるいは「会場を迎える(イベントを迎える)」のように使い分ける。
まとめ:迎えると向かえるの違いと意味・使い方の例文
本記事では、「迎える」と「向かえる」の違い、意味、語源、類義語、対義語、言い換え、使い方、例文をもとに、以下の点を解説しました。
- 「迎える」と「向かえる」の意味・ニュアンスの違い(受け入れる vs 向かう)
- それぞれの語源・成り立ち・使われる場面
- 英語表現・類義語・対義語・言い換え表現
- それぞれの例文(各5選)と、正しい使い方・間違いやすい表現
「迎える」と「向かえる」は、読みは同じ「むかえる」でも、“こちらが待つ/こちらから動く”という視点の違いが表れています。
文章や会話で使う際は、どちらの方向性かを意識するだけで、ぐっと精度の高い表現になります。
今後、日常・ビジネス・ライティングでこの2語を使い分ける際には、本記事を参考にしていただき、的確な言葉選びを実践してみてください。
参考文献・引用

