「先般」「先日」「過日」の違いと意味・使い方や例文まとめ
「先般」「先日」「過日」の違いと意味・使い方や例文まとめ

「先般と先日と過日の違いと意味が、いまいち言語化できない」「ビジネスメールや手紙で、どれを選べば失礼にならない?」「いつまでの期間を指すの?」と迷う方は多いです。

結論から言うと、3語はどれも「近い過去」を表しつつ、フォーマル度合い・焦点(出来事か日付か)・文章向きか会話向きかに差があります。うっかり混在させると、文章がちぐはぐに見えたり、堅すぎて違和感が出たりします。

この記事では、先般と先日と過日の意味と使い分けを、語源や類語・対義語、言い換え、英語表現(the other dayなど)、そしてそのまま使える例文まで一気に整理します。読み終えるころには、状況に応じて自然に選べるようになります。

  1. 先般・先日・過日の意味の違いと時間感覚
  2. ビジネスメールや文書で失敗しない使い分け
  3. 語源・類義語・対義語・言い換え表現の整理
  4. すぐにコピペできる例文と誤用しやすいポイント

先般と先日と過日の違い

まずは全体像をつかみましょう。ここでは「意味の違い」「使い分け」「英語表現」という3つの軸で、先に迷いをほどきます。細かな定義は後半で深掘りしますが、最初に地図を持っておくと理解が速いです。

結論:先般と先日と過日の意味の違い

結論としては、3語とも「近い過去」を指しますが、どこに焦点が当たっているかが違います。

言葉 核となる意味 焦点 文体・印象 向く場面
先日 日にちが特定できない近い過去のある日 日付寄り 標準・柔らかめ 会話/メール/幅広い
先般 この間・最近の出来事(ある件) 出来事(案件)寄り 硬め・公的 公式文書/改まった連絡
過日 過ぎ去ったある日(先日相当) 日付寄り(ただし書き言葉) 丁寧・文語的 手紙/儀礼的な文面

イメージで覚えるなら、「先日=一番ふつう」「先般=より改まる(案件寄り)」「過日=書き言葉で丁寧」です。

  • 期間は厳密に決まっていないため、「いつまで」を断定できる言葉ではありません
  • 迷ったら、会話や通常メールは「先日」、儀礼寄りは「過日」、公的・通知的なら「先般」が無難です

先般と先日と過日の使い分けの違い

私が文章を整えるときに意識しているのは、次の3点です。

  • 相手との距離:親しいほど「先日」が自然。かしこまるほど「先般」「過日」へ
  • 媒体:会話は「先日」が中心。手紙や案内状は「過日」が馴染む
  • 焦点:日付感を出したいなら「先日」、案件・出来事を受けるなら「先般」

たとえば「お送りした見積書」への言及でも、文の狙いで選び方が変わります。

  • 日付感を出す:先日お送りした見積書ですが…
  • 案件として受ける:先般お送りした見積書につきまして…
  • 儀礼的に整える:過日お送りいたしました見積書の件ですが…

  • 同じメール内で「先日」と「過日」を混在させると、文体がブレて読みにくくなりがちです
  • 口頭で「過日」を多用すると堅すぎて不自然に聞こえることがあります

ビジネス文書の語感を整えたい方は、あわせて「「ご教示」と「ご教授」の違いと使い分け」も参考になります。敬語・定型表現の選び方が一段クリアになります。

先般と先日と過日の英語表現の違い

日本語の「近い過去」は、英語では表現が分散します。直訳よりも「距離感」で選ぶのがコツです。

  • 先日:the other day(この前)、a few days ago(数日前)
  • 過日:a while ago(しばらく前)、some time ago(以前)
  • 先般:the other dayでも通りますが、文脈が「案件」ならpreviously / in our previous meeting(前回の会議で)などが自然

英語は「丁寧語としての言い換え」で差をつけにくいので、メールの文体(Dear〜/Sincerely〜)や語彙の丁寧さで調整するのが実務的です。

先般の意味

ここからは各語を個別に掘り下げます。まずは「先般」。ビジネスメールや通知文で見かけやすい一方、会話では浮きやすい言葉です。性格を理解しておくと、文章が締まります。

先般とは?意味や定義

先般(せんぱん)は、「この間」「最近のある時」「先日」をやや改まって言う表現です。特徴は、日付そのものよりも、出来事(案件)に意識が向きやすい点にあります。

「先般の会議」「先般のご案内」「先般お送りした資料」のように、出来事を受けて話を続ける形と相性が良いです。文章全体が公的・儀礼的なトーンのときに置くと、違和感なく収まります。

先般はどんな時に使用する?

先般は、次のような場面で特に安定します。

  • 社外向けの連絡や案内など、少し改まった文章
  • 会議・訪問・通知など、出来事を受けて本題に入るとき
  • 手紙ほど堅くはしないが、通常メールより丁寧に寄せたいとき

  • 口頭で使うなら、相手との関係が固く、場が公式に近いときに限定すると自然
  • 通常のやりとりなら「先日」のほうが読み手に負担がありません

文章の温度感を整える観点では「「早速」「早々」「迅速」の違いと使い分け」も併読すると、語彙の選び方が上達します。

先般の語源は?

先般は、漢字の組み合わせでニュアンスがつかめます。「先」は時間的に前、「般」は「一連」「いくつかの事柄」といった広がりのある語感です。

そのため、先般は「前のほうの一件」「この間の件」というように、出来事をひとまとまりで受ける方向に寄りやすい、と私は捉えています。

先般の類義語と対義語は?

先般の類義語は「先日」「過日」「先ごろ」「この間」などです。どれも近い過去ですが、文体や距離感が違います。

  • 類義語:先日/過日/先ごろ/この間/先頃
  • 対義語(反対方向の語感):後日/後ほど/今後

  • 「対義語」は辞書的に一対一で定まるとは限りません。文章の意図に合わせて「後日」「今後」などを選びましょう

先日の意味

次は「先日」。もっとも一般的で、会話にもメールにも乗せやすい言葉です。だからこそ、期間感の誤解(昨日を含む?どれくらい前?)が起きやすいのも事実です。

先日とは何か?

先日(せんじつ)は、「日にちは特定できないが、近い過去のある日」を表す言葉です。ポイントは、厳密な日付を言う必要がないこと。相手に「その件ね」と伝われば十分な場面で便利です。

また、「先日お話しした件ですが」のように、出来事を受ける形でも使えますが、語感としては日付寄りで標準です。最初に迷ったら、先日が一番安全です。

先日を使うシチュエーションは?

先日は万能ですが、特に次のシーンで強いです。

  • 社内外の通常メール(丁寧語を添えれば十分に改まる)
  • 会話で「この前」と同程度の温度感で言いたいとき
  • 日付を特定しないほうが自然なとき(例:訪問・電話・紹介など)

  • 「先日=昨日」ではありません。昨日と分かっているなら「昨日(さくじつ)」が明確です
  • 遠い過去まで引っ張ると違和感が出るため、迷うなら「先月」「昨年」など具体表現へ切り替えます

先日の言葉の由来は?

先日は「先+日」で、文字どおり「前の日(以前の日)」という構造です。日本語の「先(さき)」には「基準点より前」という意味が強く、そこに「日」が合わさることで、近い過去のある日という使い方が定着しました。

語感としては平易なので、フォーマルに寄せたい場合は「過日」や「先般」にスイッチすると文章が引き締まります。

先日の類語・同義語や対義語

先日の類語は多く、文体の硬さで選べます。

  • 類語・同義語:この前/この間/先ごろ/先般/過日/せんだって
  • 対義語:後日/後ほど/今度/近日

メールの「返し方」そのものも整えたい場合は、「「返答」「返事」「返信」の違い」もあわせて読むと、文章全体の格が上がります。

過日の意味

最後に「過日」。見かける頻度は高くありませんが、手紙や儀礼的な文章では、自然に読める場面があります。会話で使うと硬さが目立つため、得意領域を知るのが重要です。

過日の意味を解説

過日(かじつ)は、「過ぎ去ったある日」「先日」を意味する言葉です。意味そのものは先日と近いのですが、文語的で丁寧という性格が強いのが特徴です。

たとえば「過日ご案内申し上げました件」のように、儀礼の型に沿った文章で使うと、文章がきれいに整います。

過日はどんな時に使用する?

過日は、次のような文脈で活躍します。

  • 手紙・礼状・案内状など、書き言葉中心の文面
  • 社外向けで、先日より一段丁寧にしたいとき
  • 日付をぼかしつつ、過去の言及を礼儀正しく置きたいとき

  • 口頭で多用すると、堅すぎて距離感が出る場合があります
  • 社内チャットなどスピード重視の場では「先日」のほうが誤解が少なめです

過日の語源・由来は?

過日は「過+日」で、「過ぎた日」という構造です。意味が字面どおりなので理解しやすい反面、現代の会話ではやや古風に響きます。

私は、過日を「丁寧さのための選択肢」と捉えています。内容が固い文面で、過去の言及を角なく置くときに便利です。

過日の類義語と対義語は?

過日の類義語は先日・先般などです。対義語は未来方向の語(後日・今後など)が文脈上の反対になります。

  • 類義語:先日/先般/この間/先ごろ
  • 対義語:後日/今後/以後

先般の正しい使い方を詳しく

ここからは「実際に書ける・言える」状態に落とし込みます。先般は便利ですが、硬さがある分、誤用すると目立ちます。例文とポイントで感覚を固定しましょう。

先般の例文5選

  • 先般ご案内申し上げました件につき、進捗をご報告いたします。
  • 先般の会議でいただいたご意見を踏まえ、資料を更新しました。
  • 先般お送りいたしました見積書の内容について、ご確認をお願いいたします。
  • 先般はご多忙のところお時間を頂戴し、誠にありがとうございました。
  • 先般ご相談した件ですが、社内で検討のうえ、結論がまとまりました。

先般の言い換え可能なフレーズ

先般は硬さの調整がしやすい言葉です。場面に合わせて言い換えると、読み手に優しい文章になります。

  • 少し柔らかく:先日/この間/この前
  • より文書向け:過日/先ごろ
  • 日付を出す:○月○日の会議で/前回の打ち合わせで

先般の正しい使い方のポイント

先般を自然に見せるコツは、「出来事(案件)」を受けて次の文につなぐことです。

  • 「先般+名詞(会議/訪問/ご案内/ご相談)」の形にすると安定
  • メール冒頭の謝意(ありがとうございました)と相性が良い
  • 本文が丁寧なら丁寧なほど、先般が浮かない

先般の間違いやすい表現

先般の誤用で目立つのは、温度感のズレです。

  • 砕けた会話に混ぜる(例:先般さ〜、さっきのさ〜)と浮きやすい
  • 同一文面で「先日」と乱用して文体がブレる
  • いつの話か重要な場面で、先般で曖昧にしてしまう(必要なら日付を明記)

先日を正しく使うために

先日は万能ですが、万能だからこそ「昨日を先日と言う」「遠い過去を先日と言う」などのズレが起きやすいです。相手の受け取り方を前提に、迷いを潰していきます。

先日の例文5選

  • 先日はお忙しい中、お打ち合わせのお時間をいただきありがとうございました。
  • 先日お送りした資料について、ご不明点があればお知らせください。
  • 先日お電話で伺った件ですが、対応方針が決まりました。
  • 先日ご紹介いただいたお店に行ってみました。
  • 先日お話ししたスケジュールを、念のため共有します。

先日を言い換えてみると

先日は言い換え先が豊富です。文章の温度に合わせて選べます。

  • 会話寄り:この前/この間
  • 少し丁寧:先ごろ
  • より文語:過日
  • 明確化:○月○日/前回/先週

先日を正しく使う方法

私が推奨しているのは、次の運用です。

  • 相手が日付を気にしそうなら、先日に頼らず日付や「先週」などで具体化する
  • ビジネスでは、先日に「先日はありがとうございました」の謝意を添えると印象が良い
  • 出来事が複数あるなら「先日のAの件」「先日のBの件」と特定情報を添えて曖昧さを減らす

先日の間違った使い方

  • 昨日のことを先日と言ってしまう(昨日と言えるなら「昨日(さくじつ)」が明確)
  • 数か月前のことを先日と言ってしまう(先月/昨年など具体語へ)
  • 相手が複数の出来事を思い浮かべる状況で、説明を省いてしまう

過日の正しい使い方を解説

過日は「丁寧に整える」ための言葉です。狙いが合えば非常に美しく決まりますが、場を選びます。適材適所で使いましょう。

過日の例文5選

  • 過日はご来訪賜り、誠にありがとうございました。
  • 過日ご案内申し上げました内容について、補足をご連絡いたします。
  • 過日お送りいたしました書類をご査収のほどお願いいたします。
  • 過日頂戴したご意見を踏まえ、対応案を取りまとめました。
  • 過日のお問い合わせにつきまして、下記の通り回答いたします。

過日を別の言葉で言い換えると

過日を言い換えると、文体の硬さを調整できます。

  • 柔らかく:先日/この間
  • 案件寄りに:先般
  • 具体化:○月○日/前回
  • 未来方向へ切り替え:後日/改めて

過日を正しく使うポイント

過日は「書き言葉の礼儀」として活きます。次のポイントを守ると、ぐっと自然です。

  • 手紙・礼状・案内など、文面全体が丁寧なときに使う
  • 「過日+(ご案内/お送り/頂戴/ご来訪)」の定型に乗せる
  • 会話では無理に使わず、「先日」に戻す勇気を持つ

過日と誤使用しやすい表現

過日と近い語は多いですが、混同しやすいところがあります。

  • 会話で「過日」を多用して距離感が出る
  • 「先般」と同一文面で混在させ、どちらも同じ意味で使ってしまう
  • 重要な期限や契約などで、過日という曖昧語を使って誤解の余地を残す

まとめ:先般と先日と過日の違いと意味・使い方の例文

先般・先日・過日はどれも近い過去を表しますが、先日は標準で万能先般は改まって案件寄り過日は書き言葉で丁寧という性格があります。迷ったら、通常は先日、より公的なら先般、礼状や儀礼なら過日を軸にするとブレません。

  • 日付をぼかして自然に言うなら「先日」
  • 出来事(会議・案内・通知)を受けて改まるなら「先般」
  • 手紙や礼状など文章を丁寧に整えるなら「過日」

なお、「いつまで」を含め、これらの言葉が指す期間はあくまで一般的な目安で、文脈や相手の受け取り方で変わります。費用・契約・期限・法務など、誤解が損失につながる可能性がある場面では、先般・先日・過日に頼らず、日付や回次(○回目の会議)を明記するのが安全です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。最終的な判断は専門家にご相談ください。

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