「当方」と「弊方」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「当方」と「弊方」の違いや意味・使い方・例文まとめ

ビジネスメールや文書でよく見かける「当方」と「弊方」。どちらも「自分側」を表す言葉ですが、意味の違いがあいまいなまま使うと、相手に与える印象が変わったり、敬語として不自然になったりします。

この記事では、「当方と弊方の違い」や「意味」「読み方」「使い分け」「ビジネスメールでの使い方」「例文」「言い換え」「類義語」「対義語(先方)」「英語表現」まで、実務で迷わない形に整理します。相手が目上の場合に失礼にならない書き方や、弊社・当社との関係も含めて、すぐ使える形でまとめました。

  1. 当方と弊方の意味の違いと、丁寧さの度合い
  2. ビジネスメールでの自然な使い分けの基準
  3. 英語表現にしたときの言い換えパターン
  4. そのまま使える例文と、避けたい誤用

当方と弊方の違い

ここでは、当方と弊方の「意味」「使い分け」「英語表現」の3点を先に整理します。最初に違いの軸を押さえると、以降の各セクションが一気に理解しやすくなります。

結論:当方と弊方の意味の違い

結論から言うと、どちらも「自分側(自社側・自分たち側)」を示す点は共通ですが、へりくだり(謙譲)の有無が違います。

  • 当方:自分側・こちら側を指す、比較的改まった中立表現
  • 弊方:自分側・こちら側を指すが、よりへりくだった(謙譲)言い方

迷ったら「当方=丁寧だが中立」「弊方=より改まってへりくだる」と覚えるのが最短です

当方と弊方の使い分けの違い

使い分けのコツは、相手との距離感と文書の硬さです。私は実務上、次の基準で判断しています。

  • 当方:社外メールでも使えるが、丁寧さは「標準〜やや硬め」。相手に通じやすい
  • 弊方:より畏まった響きにしたいときに限定して使う。多用すると不自然になりやすい

とくに、日常的な取引メールで毎回「弊方」を使うと、文章が過剰に硬く見えたり、読み手によっては回りくどく感じられたりします。まずは「当方」を軸にして、謝罪・依頼・重要な連絡など「へりくだりを強めたい場面」だけ弊方に寄せると失敗しにくいです。

注意:相手が同席している場で「先方」を相手に向かって使うのは不自然になりやすい(社内で第三者として相手側を指す語)

当方と弊方の英語表現の違い

英語では、日本語の「当方/弊方」のように一語で丁寧さの段階を作りにくいので、文全体のトーンで丁寧さを調整します。基本の言い換えは次の通りです。

日本語 英語の定番 ニュアンス
当方 we / our side / on our end 自社・自分たち側(中立)
弊方 we / our side(丁寧な言い回しを添える) 語よりも文体でへりくだりを表す

例えば「当方の不手際で」は、英語だと「It was an error on our end.」のように言えます。弊方の「へりくだり」を出したいなら、「We sincerely apologize for the inconvenience.」のような謝罪表現を合わせて丁寧さを補います。

当方の意味

当方は「こちら側」を示す便利な語で、ビジネス文書で頻出します。ただし「自分個人」を指すつもりで使うとズレる場面もあるため、定義と使いどころを整理しておきましょう。

当方とは?意味や定義

当方(とうほう)は、「自分の属する方」「自分側」「こちら側」を意味します。個人としての「私」というより、自分が属する部署・会社・チームを含む“こちら側”を指しやすい表現です。

そのため「当方で確認します」「当方の都合で恐縮ですが」のように、社内外の文書で「こちら側の事情・対応」を示すのに向きます。

当方はどんな時に使用する?

当方が自然にハマるのは、次のようなシーンです。

  • 自社側の対応・確認・進捗を伝えるとき(例:当方で確認のうえご連絡します)
  • 自社側の事情・都合を伝えるとき(例:当方の都合により日程を調整いたします)
  • 相手側と対比して「こちら側」を示したいとき(例:当方の認識では〜)

一方、完全に個人的な話(私用の依頼・個人の感想など)では、当方より「私」の方が誤解が少ないです。

当方の語源は?

語の作りとしては、「当(この・こちらの)」+「方(側・方面)」で、「こちらの側」という構造です。古くから「ある一方面」「こちら側」を示す言い方として用いられ、現代ではビジネス場面で「自分側」を表す定番語として定着しています。

「方」は「方面」「やり方」「相手方」などの「側・立場」の意味で広く使われるため、当方も「立場・陣営」を示す語として理解するとブレません

当方の類義語と対義語は?

当方は「こちら側」を表すため、近い言い換えが多いのが特徴です。

  • 類義語:こちら、私ども、自社、当社、当社側、当チーム
  • 対義語:先方(相手側)、相手方

なお、会社をへりくだって言うなら「弊社」が自然で、「当社」は中立(へりくだりなし)です。文脈によって「当方/当社/弊社」を使い分けると文章の精度が上がります。

弊方の意味

弊方は「当方より丁寧にへりくだる」ニュアンスを持ちます。ただし万能ではなく、使いどころを外すと堅すぎたり、回りくどく見えたりします。ここで整理しておきましょう。

弊方とは何か?

弊方(へいほう)は、「自分側(こちら側)」を指す点は当方と同じですが、自分側をへりくだって表現するときに使われます。

「弊社」「弊店」などの「弊」と同様に、相手への敬意を強めるための言い回しとして位置づけると理解しやすいです。

弊方を使うシチュエーションは?

弊方が特に活きるのは、文書の格を上げたい場面です。

  • 謝罪やお詫びの文面を、より丁重に整えたいとき
  • 重要な依頼や正式な案内文で、文体を揃えたいとき
  • 官公庁・規程・契約関連など、硬い文書トーンに合わせたいとき

逆に、普段のやり取りやチャット、ライトな連絡で弊方を多用すると、文章が不自然に硬く見えることがあります。私はまず「当方」で成立するかを確認し、必要な場面だけ弊方に寄せる運用をおすすめします。

弊方の言葉の由来は?

「弊」は「弊社」「弊店」などで見られる通り、自分側を控えめに言うための漢字として使われます。そこに「方(側・方面)」が付いて「弊方=へりくだった自分側」という構造になります。

注意:読みは「へいほう」です。「平方(へいほう)」と混同しないよう、文脈(ビジネス文書か数学か)で判断します

弊方の類語・同義語や対義語

弊方の言い換えは、「へりくだり」を保てるかどうかで選びます。

  • 類語・同義語:私ども、弊社(会社を指すならこちらが自然)、弊社側、当方(へりくだりを弱めた形)
  • 対義語:先方、相手方

「当方」と「弊方」の差は小さく見えますが、敬意の微調整として効きます。文章全体のトーン(敬語レベル)と揃えて選ぶのがポイントです。

当方の正しい使い方を詳しく

ここでは、当方を「そのまま使える例文」「言い換え」「使い方のコツ」「誤用パターン」に分けて整理します。メールに貼り付けても不自然にならない形を意識しました。

当方の例文5選

  • 本件につきましては、当方で確認のうえ、改めてご連絡いたします。
  • 当方の都合により、日程を一部調整させていただけますでしょうか。
  • ご指摘の点は、当方の認識と一部相違がございました。内容を整理して共有いたします。
  • 当方にて手配が完了次第、発送予定日をご案内いたします。
  • 当方の不手際によりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。

「相違」のような、落ち着いた言い回しで“違い”を示す表現も合わせて覚えると便利です。よりフォーマルに差分を伝えるなら、齟齬・乖離・相違の違いと使い方も参考になります。

当方の言い換え可能なフレーズ

当方は便利ですが、文脈によっては言い換えた方が自然なこともあります。

  • 当方 → こちら(やや柔らかい)
  • 当方 → 私ども(丁寧・口当たりがよい)
  • 当方 → 当社/自社(会社主体を明確にする)
  • 当方 → 当チーム/当部署(範囲を限定する)

当方の正しい使い方のポイント

当方をうまく使うコツは、「誰を含む“こちら側”なのか」を暗黙にでも伝えることです。

当方=個人ではなく、所属組織を含む「こちら側」を指しやすい/必要なら「当社」「当部署」などで範囲を明確化する

また、費用・契約・納期など、読者の判断に影響しやすい内容は断定しすぎず、「一般的な目安」「状況により異なる」を添えるのが安全です。正確な条件は契約書・規程・公式案内を確認し、最終判断は必要に応じて専門家に相談する姿勢が信頼につながります。

当方の間違いやすい表現

当方でよくある混乱は、次のパターンです。

  • 個人の予定や私用の話に「当方」を多用してしまう(読み手が「会社として」の話と誤解する)
  • 社内メールで「当方」を使い、わざとらしく硬くなる(社内なら「私」「当社」「当部署」で十分なことが多い)
  • 相手に向かって「先方」を使ってしまう(相手がいる場では「御社」「○○様」などにする)

弊方を正しく使うために

弊方は、当方よりも丁寧にしたいときの選択肢です。ただし、文章全体の敬語レベルと揃えてこそ効果が出ます。ここでは「使える例文」と「誤用」を中心に確認します。

弊方の例文5選

  • 弊方にて確認を進めておりますので、今しばらくお時間を頂戴できますと幸いです。
  • このたびは弊方の不手際により、多大なるご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません。
  • ご依頼の件、弊方で内容を精査のうえ、正式にご回答申し上げます。
  • 弊方の手配が整い次第、改めて日程の候補をご提示いたします。
  • お手数をおかけいたしますが、弊方からの連絡をお待ちいただけますでしょうか。

弊方を言い換えてみると

弊方は硬めなので、相手や状況によっては次の言い換えが自然です。

  • 弊方 → 私ども(丁寧で柔らかい)
  • 弊方 → 弊社(会社を主語にしたいとき)
  • 弊方 → 当方(へりくだりを弱め、一般的な丁寧さに戻す)

また、一人称表現には「下名」「小職」「小生」などもありますが、使える場面が限定されます。表現の違いを整理したい場合は、「下名」「小職」「小生」の違いと使い方も合わせて確認すると判断が早くなります。

弊方を正しく使う方法

弊方を自然に使うには、「文章全体を同じ硬さに揃える」ことが大切です。弊方だけが浮くと、違和感が出ます。

弊方を使うなら、語尾も「〜申し上げます」「〜いただけますと幸いです」など丁重な文体に揃えると自然

また、重要な条件(費用・納期・契約・保証など)を案内する場合は、一般論として書きすぎず、正確な情報は公式資料・契約書を確認してもらう導線を入れてください。最終的な判断は、状況に応じて専門家へ相談してもらう一文を添えると丁寧です。

弊方の間違った使い方

弊方は便利ですが、次の誤用が起きやすいです。

  • カジュアルな連絡で弊方を多用し、回りくどく見える
  • 「弊方=常に正しい敬語」と思い込み、相手や文脈を選ばず使う
  • 「弊方」と「弊社」を混在させ、主語がぶれる(会社の話なら弊社に統一するなど)

まとめ:当方と弊方の違いと意味・使い方の例文

当方と弊方は、どちらも「自分側(こちら側)」を表しますが、当方は中立で丁寧弊方はよりへりくだった丁寧表現という違いがあります。

  • 迷ったら当方を基本にし、特に改まった場面だけ弊方を選ぶ
  • 対義語は先方(ただし相手に直接は使わず、社内で相手側を指す語として使う)
  • 英語はwe/our side/on our endが基本で、丁寧さは文全体の表現で調整する

言葉の選び方は、相手への配慮がそのまま文章に表れます。今回の例文を土台に、自社の文体ルールや相手との関係性に合わせて微調整してみてください。正確な運用が必要な場面では、公式な文例や社内規程も確認し、必要に応じて専門家へ相談するのが安心です。

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