「取組む」と「取り組む」の違いや意味・使い方・例文まとめ
「取組む」と「取り組む」の違いや意味・使い方・例文まとめ

「取組む」と「取り組む」は、どちらも“真剣に向き合う”という意味で使われる言葉です。ところが実際には、送り仮名や表記ゆれ、公用文での扱い、ビジネス文書での書き方などが絡み、検索するたびに迷子になりがちです。

この記事では、「取組む 取り組む 違い 意味」を軸に、表記の考え方、送り仮名のルール、よく一緒に調べられる「取組」「取り組み」「取組み」との関係、さらに英語表現、言い換え、使い方、例文まで、ひとつずつ整理していきます。文章を整えたい方、社内資料やレポートの表記を統一したい方も、読み終えた頃には自信を持って使い分けできるはずです。

  1. 「取組む」と「取り組む」の意味とニュアンスの差
  2. 公用文・ビジネス・日常での書き分けの実践ルール
  3. 語源・類義語・対義語・英語表現の整理
  4. そのまま使える例文と、間違いやすいポイント

取組むと取り組むの違い

最初に全体像をつかみます。結論から言うと、意味そのものはほぼ同じで、主な違いは「表記(送り仮名)」にあります。ここでは、意味・使い分け・英語表現の3点に絞って、迷いを一気に減らします。

結論:取組むと取り組むの意味の違い

私の結論はシンプルです。「取組む」と「取り組む」は意味としては同じで、「ある課題や物事に真剣に向き合い、継続的に行動する」ことを表します。

違いが出るのは、意味ではなく“書き方”です。つまり、どちらが正しい日本語かというより、どの場面でどの表記が読みやすく、誤解が少ないかの問題として整理するとスッキリします。

なお、「送り仮名の付け方」など公的な基準を意識する文脈では「取り組む」を基本にするのが無難です。参考:文化庁「送り仮名の付け方」

取組むと取り組むの使い分けの違い

使い分けは、実務的には次の整理がいちばん役に立ちます。

  • 迷ったら「取り組む」(一般文書・ビジネス・学校のレポート・Web記事など幅広く安全)
  • 「取組む」は、団体のスローガン、見出しの字面を締めたいとき、古い文書の表記踏襲などで見かけやすい
  • 公的文書や規程類では、文書の方針として表記統一が優先される(個人の好みより“統一”が強い)

ポイントは、読み手の立場です。読み手が不特定多数なら「取り組む」の方が誤読が少なく、検索でも一般的です。逆に、社内で表記ルールが決まっているなら、それに合わせるのが最優先になります。

表記ゆれを放置すると、同じ資料の中で印象がブレたり、校正で余計な差し戻しが起きたりします。表記統一が目的なら、早い段階で「取り組む」に寄せるのが現実的です。

取組むと取り組むの英語表現の違い

英語にすると、両者の差はほぼ消えます。どちらも「取り組む=work on / tackle / address / engage in / commit to」あたりが代表的です。

ただし日本語の「取り組む」は、単なる着手よりも“腰を据えて向き合う”ニュアンスが出やすいので、英語でも状況に応じて選び分けると自然です。

  • work on:継続的に作業する(改善・開発・課題解決に相性が良い)
  • tackle:難題に立ち向かう(課題・問題への強い姿勢)
  • address:問題に対処する(フォーマルで説明文に合う)

取組むの意味

ここからは「取組む」単体での理解を深めます。ポイントは、意味そのものよりも「どんな文章で選ばれやすい表記か」。使う場面を知っておくと、違和感のない文章になります。

取組むとは?意味や定義

「取組む(とりくむ)」は、物事に真正面から向き合い、努力して進めることを表します。辞書的な意味は「取り組む」と同じ領域で、課題解決、改善活動、研究、練習など幅広く使えます。

ただし現代の一般文章では「取り組む」の表記が主流です。そのため「取組む」を選ぶ場合は、意図して“硬さ”や“見出しの締まり”を出しているケースが多い、というのが実感ベースの違いです。

取組むはどんな時に使用する?

「取組む」は、次のような場面で見かけやすい表記です。

  • 社是・スローガン・看板コピーなど、漢字を多めにして力強く見せたいとき
  • 規程や報告書で、過去からの表記を踏襲しているとき
  • 「取組(とりくみ)」などの関連表記(名詞)と並べて、統一感を狙うとき

一方で、読み手が広い文章(Web、就活書類、社外向け資料)では、表記の一般性を重視して「取り組む」に寄せる方が無難です。

取組むの語源は?

語源は「取る」と「組む」の組み合わせです。もともとは、相撲などで相手と組み合う「取組(とりくみ)」のイメージが強く、そこから転じて「課題に組み付くように向き合う」「相手(問題)と組む」といった比喩的な使い方が広がりました。

この背景を知っていると、「取り組む」が単なる“やってみる”ではなく、逃げずに向き合う姿勢を含む言葉だと腑に落ちます。

取組むの類義語と対義語は?

「取組む」は文脈によって、近い言葉が変わります。便利に使えるよう、ニュアンスごとに分けて整理します。

区分 ニュアンス
類義語 着手する 始めることに焦点(継続ニュアンスは弱め)
類義語 励む 努力の継続に焦点(精神面が強い)
類義語 挑む 挑戦・勝負の雰囲気が出る
類義語 対処する 問題処理・対応の色が強い
対義語(目安) 怠る やるべきことをしない
対義語(目安) 避ける 向き合わず回避する
  • 対義語は「正反対の一語」が固定であることは少なく、文脈に応じて「回避する」「放置する」「怠る」などを選ぶのが自然です

取り組むの意味

次は「取り組む」です。こちらは現代の一般文で最もよく使われ、迷ったときの“基本形”になりやすい表記です。定義・場面・由来・類語まで整理して、使い方を盤石にします。

取り組むとは何か?

「取り組む」は、課題・仕事・勉強・改善などに対して、意識的かつ継続的に行動することを表します。単なる「やる」よりも、姿勢(真剣さ)継続(腰を据える)が含まれやすいのが特徴です。

文章表現としては、ひらがなの「り」が入ることで視認性が上がり、読み手にとって負担が少なくなります。だからこそ、社外向け資料やWeb記事では「取り組む」を推すことが多いです。

取り組むを使うシチュエーションは?

「取り組む」は、ほぼ全方位で使えます。特に相性が良いのは次のようなシーンです。

  • ビジネス:課題解決、改善、品質向上、コンプライアンスなど
  • 学習:受験勉強、研究、語学学習、資格取得など
  • 生活:健康管理、家計改善、片付け、習慣化など

どの場面でも、単なる実施ではなく「向き合う姿勢」を伝えたいときに強い言葉です。社外の読み手がいるなら、表記は「取り組む」で統一しておけばまず困りません。

取り組むの言葉の由来は?

由来は「取る+組む」で、相手と組み合う動作から来ています。問題や課題を“相手”に見立て、逃げずに組み付くように向き合う、という比喩的な広がりが自然です。

この“相手と組む”感覚があるので、「取り組む」は「対応する」よりも主体性が出やすく、「挑む」よりも継続や地道さが出やすい、と私は捉えています。

取り組むの類語・同義語や対義語

取り組むの言い換えは、文章の硬さや目的で選ぶのがコツです。

目的 言い換え候補 使いどころ
開始を強調 着手する/始める プロジェクトの開始報告
努力を強調 励む/尽力する 自己PR、所信表明
問題解決を強調 対処する/改善する 課題・不具合の説明
挑戦を強調 挑む/チャレンジする 新規領域への挑戦
対義語(目安) 放置する/避ける/怠る 取り組まない姿勢の説明

「取り組む」を含む言い回しで表記に迷いやすい例として、「高い意識を持って取り組む」などもあります。表記の迷いが別の言葉に波及する場合は、似た悩みを扱った記事も参考になります(例:「持って」と「以って」)。

「持って」と「以って」の違いと使い分け

取組むの正しい使い方を詳しく

ここでは「取組む」を実際に文章へ落とし込むための実践編です。使ってはいけないという話ではなく、読み手との相性や誤解リスクを踏まえて、どこで使うと自然かを具体化します。

取組むの例文5選

  • 私たちは品質向上に取組む体制を強化します
  • 地域課題の解決に取組むため、関係機関と連携します
  • 安全管理に取組む姿勢を、日々の行動で示します
  • 新しい分野に取組むことで、視野を広げたいです
  • 困難なテーマにも粘り強く取組むことが強みです

  • 対外文書や採用書類では「取組む」が硬すぎたり古く見えたりすることがあります。迷ったら「取り組む」に寄せる方が安全です

取組むの言い換え可能なフレーズ

「取組む」は“硬めの表記”なので、文章全体のトーンに合わせて言い換えると読みやすくなります。

  • 課題に取組む → 課題に取り組む/課題に向き合う
  • 改善に取組む → 改善を進める/改善に注力する
  • 問題に取組む → 問題に対処する/問題を解決する

「進める/勧める/奨める/薦める」のように、似た言葉が並ぶときは、文章の目的(提案なのか、奨励なのか、進行なのか)で選ぶと誤解が減ります。

「進める」「勧める」「奨める」「薦める」の違いと使い分け

取組むの正しい使い方のポイント

「取組む」を使うなら、私は次の3点を意識します。

  • 文書のトーンと統一:本文が柔らかいのに「取組む」だけ硬いと浮きます
  • 読み手の範囲:社外・一般向けなら「取り組む」へ寄せるのが無難
  • 表記ゆれを作らない:同一ページ内で「取組む/取り組む」が混在しないようにする

取組むの間違いやすい表現

いちばん多いのは、同じ文章の中で表記を揺らしてしまうケースです。

  • (例)前半は「取組む」、後半は「取り組む」になっている
  • (例)「取組む」と書いたのに、名詞形を「取り組み」にしてしまい統一が崩れる

また、「取組む」が誤りだと断定してしまうのも避けたいところです。日本語の表記は“文書の性格”で選ばれる面があるので、正誤よりも適切さ(読みやすさ・統一・誤解の少なさ)で判断するのが現実的です。

取り組むを正しく使うために

「取り組む」は基本形として万能ですが、それでも“過剰に便利”な分、文脈がぼやけることがあります。ここでは例文とともに、言い換えや注意点を押さえて、文章の精度を上げます。

取り組むの例文5選

  • 私たちは顧客満足度の向上に取り組みます
  • 課題の原因を分析し、改善に取り組む方針です
  • 新サービスの開発に取り組むプロジェクトを立ち上げました
  • 健康のために、運動習慣づくりに取り組んでいます
  • チームで目標に取り組むことで、成果が安定しました

取り組むを言い換えてみると

文章を引き締めたいときは、言い換えが効きます。

  • 取り組む → 推進する(施策・プロジェクト向き)
  • 取り組む → 注力する(重点領域を示したい)
  • 取り組む → 改善する(目的が改善で明確なとき)
  • 取り組む → 対処する(問題対応の文脈)

施策や政策など“組織の動き”の文脈では、「取り組む」より「推進する」「実施する」の方が、読み手に具体性が伝わることもあります。

「施策」「政策」「対策」の違いと意味・使い方

取り組むを正しく使う方法

取り組むを上手に使うコツは、「何に」「どうする」をセットで具体化することです。

  • 「何に取り組むか」を明確にする(例:品質向上、採用強化、再発防止)
  • 可能なら「どう取り組むか」まで添える(例:体制を整える、プロセスを見直す)
  • 文章全体の表記を統一し、読み手の負担を減らす

たとえば「改善に取り組む」だけだと抽象的ですが、「原因を分析し、手順を見直すことで改善に取り組む」と書けば、読み手はイメージできます。

取り組むの間違った使い方

「取り組む」は便利な反面、次のようなズレが起きやすいです。

  • 一度きりの作業に使ってしまう(例:書類を作る、メールを送る等)
  • 目的が曖昧なまま多用して、文章が抽象語だらけになる
  • 「取り組むべき」と断定しすぎて、相手に強制の印象を与える

特に社外向けでは、断定が強いとトラブルの火種になることがあります。費用・健康・法律・安全などに関わるテーマでは、一般論として述べる、数値は「目安」と明記する、そして「正確な情報は公式サイトをご確認ください」「最終的な判断は専門家にご相談ください」といった一文を添えるなど、慎重さを忘れないようにしてください。

まとめ:取組むと取り組むの違いと意味・使い方の例文

「取組む」と「取り組む」は、意味としてはほぼ同じで、「課題に真剣に向き合い、継続的に行動する」ことを表します。迷いが生まれる原因は、主に表記(送り仮名)文章の統一です。

私のおすすめは、迷ったら「取り組む」。一般文書・ビジネス・Webでの読みやすさが高く、表記ゆれも起こしにくいからです。「取組む」を使うなら、文書のトーンや既存ルールに合わせ、ページ内で混在させないことが大切です。

なお、公用文や社内ルールなど“基準がある文書”では、その基準に従うのが最優先です。正確な取り扱いは公式の基準や所属組織の表記ルールをご確認ください。判断に迷う場合は、校正担当者や専門家にご相談ください。

おすすめの記事