
「近いうちにと近々にの違いや意味があいまいで、ビジネスメールでどちらを書けばよいか迷っていませんか。
日常会話では何となく使い分けていても、「近いうちに会いましょう」と「近々にお伺いします」では、丁寧さや距離感、いつ頃をイメージしているのかといったニュアンスが少しずつ違ってきます。
さらに、ビジネスシーンでは「近々に」がどのくらい先までを指すのか、敬語として失礼にあたらないか、英語で言う場合にどんな表現を選べばよいかなど、細かな疑問も出てきやすいところです。
この記事では、近いうちにと近々にの違いと意味を軸に、使い分けのコツや語源、類義語・対義語、言い換え表現、英語表現、そして実際にそのまま使える例文まで、まとめて整理していきます。
読み終えるころには、「この場面なら近いうちに」「ここでは近々にのほうが自然」と自信を持って選べるようになり、ビジネスメールでも日常会話でも、時間に関する表現で迷う場面をぐっと減らせるはずです。
- 近いうちにと近々にの意味とニュアンスの違い
- ビジネスと日常での自然な使い分けのコツ
- 語源・類義語・対義語と言い換え表現の整理
- そのまま使える日本語と英語の例文集
近いうちにと近々にの違い
まずは全体像として、近いうちにと近々にの意味の違い・イメージの差・使い分けのポイントを整理します。最初にざっくりと特徴をつかんでおくと、後半の詳しい解説がぐっと理解しやすくなります。
結論:近いうちにと近々にの意味の違い
結論から言うと、近いうちにと近々には、どちらも「それほど遠くない将来」を表す言葉であり、意味としてはほぼ重なっています。
ただし、細かく見ると次のような傾向があります。
- 近いうちに:ややカジュアル寄りで、話し言葉的・主観的な「ぼんやり近い未来」
- 近々に:やや改まった響きもあり、「そう遠くない時期」を客観的に述べる感じ
- 近々(に)には、距離的な「ごく近くに」という意味もある
どちらも「時間的に隔たらないさま」という点では共通ですが、近々にのほうがやや「ごく近い」ニュアンスが強く、きちんとした文章にも載せやすい言い回しと捉えておくとイメージしやすいと思います。
- どちらも基本は「近い未来」だが、近いうちには主観的・会話的、近々には少し改まった印象
- 近々には「時間的に近い」「距離的に近い」の両方の意味がある
- 実際の会話では入れ替えても大きな問題はないが、文脈や相手との距離感で選べるとベター
近いうちにと近々にの使い分けの違い
実際の日本語では、近いうちにと近々にが完全に役割分担されているわけではなく、多くの場面で言い換え可能です。それでも、違いを押さえておくと表現の精度は確実に上がります。
日常会話なら「近いうちに」が自然
友人との会話やカジュアルなチャットなど、くだけた場面では、
- 近いうちにごはん行こう
- 近いうちにまた連絡するね
のように、近いうちにのほうが柔らかく、距離の近さを感じさせる表現になります。
ビジネスメールなら「近々に」が無難
一方で、ビジネスメールや案内文など、少し改まった文脈では、
- 近々にご挨拶に伺います
- 近々に改めてご連絡申し上げます
のように、近々にを使うと文面全体が引き締まった印象になります。とはいえ、どちらを使っても致命的におかしいというほどではありません。
- 「近いうちに」は、社内のチャットや親しい同僚へのメールなら十分許容される
- 社外文書や案内文など「きちんと見せたい」場面では「近々に」を優先
- 納期や期日が重要な場面では、どちらも避けて具体的な日付や期日を書くほうが安全
近いうちにと近々にの英語表現の違い
近いうちに・近々にを英語にすると、どちらも基本的には同じ表現で訳すことが多いです。
- sometime soon(そのうち近いうちに)
- in the near future(近い将来に)
- before long(そう遠くないうちに)
- shortly(程なく、まもなく)
ニュアンスとしては、
- 近いうちに:sometime soon / in the near future
- 近々に:shortly / very soon / in the near future
のように使い分けるとイメージが近くなります。ただし、日本語の「どのくらい近いか」という感覚と、英語の近い将来の幅はぴったり一致しないため、ビジネスメールでは状況に応じて具体的な時期を添えるほうが安心です。
近いうちにの意味
ここからは、近いうちにだけに焦点を当てて、意味・語源・類義語などを丁寧に整理していきます。「なんとなく近い未来」という感覚を、言葉としてきちんと捉え直してみましょう。
近いうちにとは?意味や定義
近いうちには、「それほど遠くない将来」「そう遠くない時期に」という意味を持つ表現です。
辞書的にまとめると、
- 今からあまり時間をおかないうちに
- 近い将来に、いずれ程なく
といった説明になりますが、実際の会話では、「いつとははっきり言えないけれど、それほど先ではない」という、やや曖昧な時間感覚を示すときに使われます。
目安としては数日から数週間程度を指して使われることが多いものの、状況や話し手によって幅があり、「近いうちに=◯日以内」といった厳密な基準があるわけではありません(あくまで一般的な目安です)。
近いうちにはどんな時に使用する?
近いうちには、主に次のような場面で使われます。
- 友人や家族との約束:近いうちに会おう、近いうちに遊びに行くね
- 軽い約束や宣言:近いうちに引っ越すつもりです
- 将来の予定をぼんやり伝える:近いうちに転職を考えています
共通しているのは、「具体的な日付は決まっていない/まだ言えないが、そんなに先ではない」という温度感です。
- ビジネスで「近いうちに資料を提出します」とだけ伝えると、相手は期日を判断できず不安になる可能性がある
- 納期やスケジュールが重要なやり取りでは、「◯日までに」「今週中に」など具体的な期限を書くほうが安全
- ここで挙げる期間の感覚はあくまで一般的な目安であり、正確な情報は公式サイトや契約書などをご確認ください。最終的な判断は、必要に応じて専門家にご相談ください
近いうちにの語源は?
近いうちには、
- 形容詞「近い」:時間的・距離的に隔たりが少ないこと
- 名詞「うち」:ある範囲・期間・内部
が組み合わさった言い回しです。
もともと「うち」には、「家の中」「心の中」といった意味に加えて、「ある時間帯や期間の内部」を指す用法があります。「若いうちに」「寒いうちに」などと同じしくみですね。
そこに「近い」が付いて、「近い時期のうちに=あまり時間をおかない時期に」という意味になったと考えられます。
近いうちにの類義語と対義語は?
近いうちにと似た意味を持つ言葉、反対のニュアンスを持つ言葉も整理しておきましょう。
近いうちにの類義語・言い換え
- そのうち
- 近日中に
- 早いうちに
- 遠からず
- そう遠くない将来に
- まもなく(やや近々寄り)
特に「そのうち」はかなり曖昧で、「本当にやるのかどうか分からない」という受け止め方をされることもあります。「近いうちに」は「そのうち」よりも少しだけ真剣さを感じる表現と押さえておくとよいでしょう。
近いうちにの対義語イメージ
- 当分先に
- しばらく先に
- まだ先の話だが
- いずれは(かなり先を含みうる)
厳密な辞書上の「対義語」というよりも、時間の遠さを強調したいときに置き換えられる表現として捉えておくと使いやすいはずです。時間の表現全般の整理には、「事後」と「以後」の違いもあわせて確認しておくと、時間軸の感覚がよりクリアになります。
近々にの意味
続いて、近々にの意味や由来、使う場面を整理します。近いうちにとほとんど同じ意味で使える一方で、距離的な「近さ」を表すこともある点がポイントです。
近々にとは何か?
近々には、「時間的に隔たらないさま」「ごく近いうちに」という意味があります。読み方は「ちかぢか」または「きんきん」です。
さらに辞書には、
- 距離的に近いさま。ごく近くに。
という説明もあり、時間だけでなく、物理的な距離の近さを表す場合にも使えるのが特徴です。
日常用法では、
- 近々に結果をご報告いたします(時間的な近さ)
- 駅から近々に大型のショッピングモールがある(距離的な近さ)
のように使われますが、後者はやや書き言葉的で、会話では単に「とても近い」「すぐ近くに」と言い換えられることが多いでしょう。
近々にを使うシチュエーションは?
近々には、少し改まった文章やビジネス寄りの場面で使われることが多い表現です。
- 案内状・招待状:近々に正式なご案内をお送りいたします
- ビジネスメール:近々に改めてご連絡申し上げます
- ニュース・お知らせ:近々に新店舗をオープンする予定です
友人との会話で使っても問題はありませんが、「近々に」はやや書き言葉的な響きがあり、会話では「近々」「そのうち」「近いうちに」のほうが耳に残りやすいかもしれません。
- 社外向け・目上の人向けの文書では、「近々に」を選ぶとフォーマル寄りの印象になる
- 社内チャットや親しい相手には、「近いうちに」「近々」など、相手との距離感に合った表現を
- 重要なスケジュールでは、「近々に〜する予定です」に加えて、できるだけ具体的な時期も添える
近々にの言葉の由来は?
近々という語は、漢字の「近」と、同じ字を重ねることを示す「々」が組み合わさったものです。
- 「近」:時間・距離・関係が近いこと
- 「々」:同じ漢字を繰り返すことを表す符号
つまり、「近い状態が重なっている」=「非常に近い」「ごく近い」というニュアンスを強調する形になっています。
そこから、「時間的に非常に近い」「距離的に非常に近い」という二つの意味に分かれていったと考えられます。
近々にの類語・同義語や対義語
近々にの類語・同義語
- まもなく
- ほどなく
- 間もなく(駅のアナウンスなどでおなじみ)
- 近日中に
- やがて(文語的)
中でも「まもなく」「ほどなく」は、「かなり近い未来」を表す点で近々にに近い表現です。アナウンスなどでは「まもなく電車が到着します」のように、「すぐそこまで近づいている」感覚を伝える役割があります。
近々にの対義語イメージ
- 当分は
- 当面は
- しばらくの間は
- 今のところは
どれも、「少なくとも近い将来はそうならない」という方向のニュアンスを持つ表現です。
距離の意味での対義語を考えるなら、「遠くに」「かなり離れた場所に」などが反対側に来るイメージになります。距離感の違いに関しては、「身近」と「手近」の違いも参考になるはずです。
近いうちにの正しい使い方を詳しく
ここからは実践編として、近いうちにの例文や言い換え、使い方のポイント、間違いやすい表現を具体的に見ていきます。
近いうちにの例文5選
日常会話での例文
- 近いうちにゆっくりご飯でも行こうよ
- 近いうちに実家に帰ろうかなと思っている
- 近いうちにこの映画を観に行きたいんだ
ビジネスシーンでの例文
- 近いうちに一度打ち合わせの機会を設けられればと存じます
- 詳細につきましては、近いうちに資料を共有いたします
ビジネスで使う場合は、「近いうちに」の前後を丁寧な敬語で整えると、ややカジュアルなニュアンスが中和されます。それでも重要な案件では、具体的な期日を書き添えたほうが安心です。
近いうちにの言い換え可能なフレーズ
近いうちにを別の言葉に言い換えたいとき、状況に応じて次のような表現が使えます。
- 近日中に(ややフォーマル)
- そう遠くないうちに
- 遠からず
- しばらくしないうちに
- 近い将来に
ビジネスメールで少しだけ改まった印象を出したいときは、
- 近日中にご連絡いたします
- 遠からずご案内申し上げます
のような表現が便利です。同じ「ぼんやりした近い未来」でも、表現を選び直すことで印象を微調整できると覚えておきましょう。
似た意味の言葉同士を整理する考え方は、「差分」と「差異」の違いで紹介しているような、「軸を決めて比較する」方法が役立ちます。
近いうちにの正しい使い方のポイント
近いうちにを使うときに意識しておきたいポイントをまとめます。
- 「いつか」よりは短いが、「明日・明後日」ほどは明確でない期間を指す
- ビジネスでは、相手がスケジュールを組みやすいよう、できるだけ具体的な目安も添える
- 約束の重さが大きいほど、「近いうちに」だけで済ませない
例えば、取引先に対して「近いうちにお支払いします」とだけ書くと、「いつまでに入金されるのか」が相手にまったく見えません。このような場面では、
- 近いうちに(遅くとも◯月◯日までに)お支払い申し上げます
のように、「近いうちに+具体的な期日の目安」をセットで書くと、安心感のある文面になります。
近いうちにの間違いやすい表現
近いうちにと相性のあまりよくない表現や、誤解を招きやすい使い方も押さえておきましょう。
- 「近いうちに必ず〜します」:強い約束のわりに期日が曖昧
- 「近いうちに検討します」:いつまでに結論が出るのか伝わらない
- 「近いうちに伺うかもしれません」:ぼんやり度が高く、相手が予定を立てにくい
これらは、「やる気はあるようで、実は何も決まっていない」印象を与えてしまうことがあります。特にビジネスでは、
- ◯日までに検討し、近いうちに結論をご連絡いたします
のように、「いつ何をするか」をできる範囲で具体化してから近いうちにを添えるのが安全です。
近々にを正しく使うために
次に、近々ににフォーカスして、例文・言い換え・正しい使い方・注意点を具体的に見ていきます。特にビジネスシーンでの使い方を意識して整理していきましょう。
近々にの例文5選
ビジネスでの例文
- 近々に担当者より詳細をご案内いたします
- 近々に新サービスのリリースを予定しております
- 近々にご挨拶に伺いたく存じますが、ご都合はいかがでしょうか
日常会話での例文
- 近々に旅行に行こうと思っているんだ
- 近々にまたみんなで集まりたいね
どの例文も、「そう遠くない未来」を示しつつ、近いうちによりもややかしこまったトーンがあります。
近々にを言い換えてみると
近々にのニュアンスを保ちながら言い換えるなら、次のような表現が考えられます。
- まもなく
- ほどなく
- 近日中に
- 間もなくのうちに(やや重複感あり)
- 近い将来に
たとえば、
- 近々に新店舗をオープンします
は、
- まもなく新店舗をオープンします
- 近日中に新店舗をオープンする予定です
といった形に置き換えることができます。「近々に」は少しかしこまった印象なので、文章全体のトーンとのバランスを見て選ぶのがポイントです。
近々にを正しく使う方法
近々にを自然に、かつ誤解なく使うためのポイントは次の通りです。
- 社外文書・案内文など「きちんと見せたい文章」で優先的に使う
- 相手の準備が必要な場合は、可能な範囲で時期の目安や日程を添える
- 「近々に」と「近日中に」「まもなく」などを組み合わせて、ニュアンスを補強する
例えば、
- 近々に(来月上旬を目途に)正式なご案内を差し上げます
と書けば、相手がスケジュールをイメージしやすくなり、「近々に」の曖昧さをほどよく中和できます。
近々にの間違った使い方
最後に、近々にで注意したい使い方を確認しておきます。
- 過去の出来事に対して使う:×「近々に打ち合わせをしていました」
- 明らかに遠い未来に使う:×「近々に十年後の話をしましょう」
- 何度も繰り返す:×「近々に近々に伺います」(くどい印象)
近々には、「ごく近い未来」か「ごく近い距離」という前提があります。そのため、明らかに遠い将来の話や、すでに終わった過去に対して使うのは不自然です。
また、文章全体で「近々に」「近日中に」「まもなく」など似た言葉を連発すると、読み手がかえって時間軸をつかみにくくなります。重要な箇所ほど、具体的な日付・曜日・期限と組み合わせる意識を持つことが大切です。
まとめ:近いうちにと近々にの違いと意味・使い方の例文
最後に、この記事のポイントを整理しておきます。
- 近いうちにと近々には、どちらも「それほど遠くない将来」を表すが、近々にのほうがやや改まった響きがある
- 近いうちには主観的・会話的な「ぼんやり近い未来」、近々には「ごく近い未来」「距離的にも近い状態」を含む
- ビジネスでは、どちらの表現も単独で使うと曖昧になりやすいため、できる限り具体的な期日や目安を添える
- 日常会話では近いうちに、改まった文書や案内では近々にを軸に、状況に応じて「近日中に」「まもなく」などの類義語も使い分ける
言葉の違いをきちんと押さえておくと、相手に伝わる時間感覚や印象を、意図的にコントロールできるようになります。似たような日本語表現の整理という意味では、時間や距離以外の「ズレ」に関する表現をまとめた「齟齬・乖離・相違の違い」なども、あわせて読んでおくと理解が一段と深まります。
この記事で紹介した期間のイメージや用法は、あくまで一般的な目安に基づくものです。契約・納期・法的な解釈など、人生や財産に影響する内容については、正確な情報は公式サイトや規約・契約書をご確認のうえ、最終的な判断は必ず専門家にご相談ください。
近いうちにと近々にの違いを押さえつつ、状況に合った言葉を選んで、誤解のないスムーズなコミュニケーションに役立てていただければうれしいです。

