
「忘備録」と「備忘録」の違いや意味があいまいで、どっちが正しい表記なのか、読み方はどうするのか、ビジネスメールで使って失礼にならないか…と迷う方はとても多いです。
さらに、日記・メモ・議事録・覚え書きとの違い、言い換え表現、英語では何と言うのか(memo? memorandum? note?)まで気になり始めると、ますます混乱してしまいますよね。
この記事では、「忘備録」と「備忘録」の違いと意味を整理したうえで、使い分け、使い方、例文、類義語・対義語、語源、英語表現までを一気にまとめます。読み終えるころには、文章を書くときに迷わず選べるようになります。
- 忘備録と備忘録の意味の違いと「結論」
- 場面別の使い分けと、誤解されにくい書き方
- 類義語・言い換え・英語表現(memo / memorandum など)
- すぐ使える例文10本と、間違いやすいポイント
忘備録と備忘録の違い
まずは全体像として、「忘備録」と「備忘録」の違いを最短で整理します。ここで芯を押さえると、後半の語源・類義語・例文が一気に理解しやすくなります。
結論:忘備録と備忘録の意味の違い
結論から言うと、日常的には「忘備録」と「備忘録」はどちらも「忘れないように書き留めておく記録」という意味で使われがちです。
ただ、より無難で、文章として“正確さ”が伝わるのは「備忘録」だと私は考えています。理由はシンプルで、「備(そなえる)+忘(わすれる)」で「忘れることに備える」という語の組み立てが自然だからです。
一方で「忘備録」は、見た目の並びが入れ替わっているため、フォーマルな文書では誤記・誤用だと思われるリスクが残ります。迷ったら「備忘録」一択、これが失敗しない結論です。
| 項目 | 忘備録 | 備忘録 |
|---|---|---|
| 基本の意味 | 忘れないための記録(として使われる) | 忘れないための記録(本来の組み立てが自然) |
| 一般的な評価 | 誤記と見なされることがある | 標準的・無難 |
| おすすめ度 | カジュアル用途なら可(ただし注意) | ビジネス・公的文章でも安心 |
忘備録と備忘録の使い分けの違い
使い分けの基本は「相手がいる文章かどうか」です。
- 備忘録:社内共有、議事録の補助、メール、提出物、ブログなど“読まれる文章”に向く
- 忘備録:自分だけのメモ、個人の下書き、雑談的なSNSなど“誤記と見られても困らない場面”に限る
- 迷ったら備忘録に統一すると、文章全体の信頼感が上がる
- タイトル・見出し・資料名など「目立つ場所」ほど備忘録が安全
なお、職場によっては「忘備録」が慣用化しているケースもあります。その場合は、周囲の運用に合わせつつ、外部向けの文書は備忘録に寄せるのがバランスのよい判断です。
忘備録と備忘録の英語表現の違い
英語にすると、両者をきっちり別語で分ける文化は基本的にありません。どちらも「忘れないためのメモ・記録」という意味で、文脈に応じて語を選びます。
- memo:短いメモ(カジュアル〜実務まで幅広い)
- memorandum:やや硬め。社内文書・通達・覚え書き寄り
- note / notes:書き留めた内容全般(会議のnotesなど)
- reminder:忘れないための「リマインド」要素が強い
- note to self:自分用メモ(SNSにもよく出る)
日本語の「備忘録」は少し硬さがあるので、ニュアンスとして近いのはmemorandumやmemoです。とはいえ、日常会話ならnoteやreminderで十分自然に通じます。
忘備録の意味
ここからは「忘備録」側を掘り下げます。結論としては「備忘録」をおすすめしつつも、実際には目にする機会がある言葉なので、意味と扱い方を知っておくと安心です。
忘備録とは?意味や定義
忘備録(ぼうびろく)は、実際の使用場面では「忘れないように書き留めておく記録」「自分が後で見返すためのメモ」として使われることが多い言葉です。
ただし、語の組み立てとしては「備忘録(忘れることに備える)」のほうが自然で、忘備録は誤記として広まった表記だと理解しておくのが無難です。
私は、忘備録を「意味が通じない言葉」と切り捨てるより、“通じるが、文章では選ばないほうが安全な表記”として扱うのが現実的だと思っています。
忘備録はどんな時に使用する?
忘備録を使うなら、基本は個人用途です。たとえば、スマホのメモ、日々の気づきの控え、学習ログなど「自分しか見ない」前提なら実害は起きにくいからです。
一方、社外向けの資料や、取引先に送る文面、採用書類、社内の公式ドキュメントなどでは、誤記だと見られて評価を落とす可能性があります。“伝わるか”より“どう見られるか”が大事な場面ほど避けるのが安全です。
- 公式性の高い文章では「忘備録」は誤字だと思われるリスクがある
- 不安が残る場合は、国語辞典などの公式な解説を確認すること
- 最終的な判断に迷う場合は、職場の文書ルールや上長の方針に従うこと
忘備録の語源は?
忘備録は、語源として確立した歴史を持つというより、一般的には「備忘録」の字順が入れ替わった形として説明されることが多い表記です。
日本語は、二字熟語の組み合わせが意味の骨格を作ります。「備忘」は「忘れに備える」という構造で理解しやすい一方、「忘備」は「備えることを忘れる」と読めてしまい、意味の作りが不自然になりやすい——この点が、忘備録が“誤記扱いされやすい”大きな理由です。
忘備録の類義語と対義語は?
忘備録は意味としては「備忘録」とほぼ重なるため、類義語も同様に考えてOKです。
- 類義語:備忘録、覚え書き、メモ、手控え、控え、ノート、記録
- 関連語:議事録(会議の記録)、日報、ログ、メモ書き
対義語は少し作りにくい言葉です。「忘れないための記録」の反対は、「忘れてもよい」「記録しない」になってしまい、単語としてきれいに対応しません。あえて“対になる概念”として挙げるなら、無記録、未記録、放置、記録不要などが近いでしょう。
備忘録の意味
続いて、より一般的で推奨されやすい「備忘録」を解説します。ここを理解しておけば、迷った場面でも落ち着いて選べるようになります。
備忘録とは何か?
備忘録(びぼうろく)とは、忘れたときに備えて、用件や情報を書き留めておく記録のことです。口語で言えば「あとで思い出すためのメモ」「自分用の控え」に近いですね。
ポイントは、備忘録が「作品」や「日記」のような長文に限らないこと。短い箇条書きでも、手順メモでも、後から参照できる形で残せば備忘録として成立します。
備忘録を使うシチュエーションは?
備忘録が活躍するのは、「忘れると困る」場面です。私は次のようなシーンで使い分けると分かりやすいと思います。
- 会議・打ち合わせ:決定事項、宿題、次回までのTODOを残す
- 業務手順:設定方法、エラー対応、引き継ぎポイントをまとめる
- 学習:学んだ要点、参考リンク、つまずきポイントを記録する
- 日常:買い物リスト、連絡事項、忘れがちな手続きのメモ
特に仕事では、備忘録があるだけで「再現性」が上がります。自分が助かるだけでなく、共有すればチームも助かる。だからこそ、表記としても備忘録が信頼を取りやすいのです。
備忘録の言葉の由来は?
「備忘」は、文字通り「忘れることに備える」という意味の組み立てです。
さらに「録」は、書き残した記録を指します。つまり備忘録は、「忘れる未来を想定し、思い出すために残す記録」という設計思想が、そのまま言葉になっているのが強みです。
- 備=そなえる
- 忘=わすれる
- 録=しるした記録
備忘録の類語・同義語や対義語
備忘録は用途が広いぶん、言い換え候補も多めです。文脈に合う言葉を選ぶと文章が自然になります。
- 類語・同義語:覚え書き、メモ、控え、手控え、記録、ノート、メモ書き
- 近い表現:TODO、チェックリスト、作業メモ、学習ログ
対義語は「忘れてもよい」「記録しない」に近づくため、単語としては作りにくいです。文章上で対比させるなら、「記録不要」「記録しない」「省略する」などの言い方が現実的です。
忘備録の正しい使い方を詳しく
ここでは、あえて「忘備録」を使う場合に、誤解や違和感を増やさないコツをまとめます。結論は変わりませんが、「見かけたときに判断できる」状態にしておくのが目的です。
忘備録の例文5選
- 忘備録として、会議で出た論点だけメモしておく
- エラー対応の手順を忘備録にまとめた
- 忘備録:次回の打ち合わせで確認すること(3点)
- 自分用の忘備録なので、雑に書いておく
- 忘備録代わりに、やったことを日付つきで残す
例文としては成立しますが、社外向け・共有前提なら「備忘録」に置き換えるだけで、文章の印象が整います。
忘備録の言い換え可能なフレーズ
「忘備録」という表記を避けたいときは、次の言い換えが便利です。
- 覚え書き
- メモ
- 控え
- 手順メモ
- 作業ログ
- (会議なら)議事メモ / 議事録の下書き
文章を硬くしたいなら「覚え書き」「控え」、軽くしたいなら「メモ」。私はこの二択を軸にすると迷いが減ると思います。
忘備録の正しい使い方のポイント
忘備録を使うなら、ポイントは「自分用」と分かる形にしておくことです。たとえば、資料名にするのではなく本文中で「自分用メモとして」と添えるだけで、受け手の違和感が減ります。
- タイトルや見出しより、本文中の軽い表現として使う
- 共有文書・提出物では使わず、備忘録に統一する
また、言葉に迷うときは、同じ「記録する」でもニュアンスの違いが出るため、必要に応じて以下の記事も参考にしてください。
忘備録の間違いやすい表現
忘備録で一番多い失敗は、「正式な言葉として通る」と思い込んで外部に出してしまうことです。特に、次のような場所は誤記が目立ちます。
- 資料タイトル(例:○○忘備録)
- 社外メールの件名
- 提出物・レポートの見出し
- 採用書類・論文・企画書
ここは割り切って、外に出す文章は「備忘録」に統一しておくのが一番ラクで、ミスが減ります。
備忘録を正しく使うために
ここからは本命の「備忘録」です。意味を正しく押さえたうえで、すぐ使える例文と、文章で失敗しないコツをまとめます。
備忘録の例文5選
- 備忘録として、打ち合わせの決定事項だけ残しておきます
- 設定手順を備忘録にまとめたので、同じトラブルのときに参照してください
- 備忘録:次回までに確認すること(担当・期限つき)
- 学習の備忘録として、今日の要点を3行で整理した
- 忘れそうなので、備忘録にしてスマホに保存しておく
「備忘録として残す」「備忘録にまとめる」は、実務でも自然で使いやすい言い回しです。
備忘録を言い換えてみると
備忘録は便利ですが、場面によっては言い換えたほうが読み手に親切なことがあります。
- 社内共有の文書なら:手順書、ナレッジ、作業メモ、対応ログ
- 会議なら:議事メモ、議事録、決定事項メモ
- 個人用なら:メモ、覚え書き、note to self(英語表現)
「備忘録」という言葉が少し硬いと感じる場面では、メモに置き換えるだけでも文章が軽くなります。
備忘録を正しく使う方法
備忘録を“使える記録”にするコツは、私は3つだと思っています。
- 未来の自分が読んでも分かる粒度で書く(前提を省きすぎない)
- 検索できる形にする(日時、固有名詞、キーワードを入れる)
- 行動につなげる(TODOなら期限・担当をセットにする)
たとえば会議なら、議事録ほど丁寧でなくても構いません。ただ、決定事項と次アクションだけは必ず残す。これだけで備忘録の価値が跳ね上がります。
また、「書く・記録する」の周辺語は混同しやすいので、表現の精度を上げたい方は以下もどうぞ。
備忘録の間違った使い方
備忘録で起きがちな間違いは、言葉そのものより「中身の運用」です。
- 書きっぱなしで見返さない(結果として備忘になっていない)
- 情報が散らかりすぎて検索できない(あとで探せない)
- 共有前提なのに主観だけで書く(読み手が理解できない)
- 社外共有する場合は、用語や表記を統一し、誤解が出ないよう整える
- 言葉の扱いに不安があるときは、国語辞典など公式な解説を確認する
- 最終的な判断は、所属組織の文書ルールや専門家の助言に従う
まとめ:忘備録と備忘録の違いと意味・使い方の例文
最後に要点をまとめます。
- 意味としてはどちらも「忘れないための記録」だが、迷ったら備忘録が安全
- 忘備録は誤記と見なされる可能性があるため、ビジネス文書や提出物では避ける
- 英語は memo / memorandum / note / reminder など、文脈で選ぶ
- 備忘録は「未来の自分が分かる」「検索できる」「行動につながる」で価値が上がる
私の結論は一貫していて、外に出す文章は備忘録に統一するのが最も失敗が少ない、ということです。とはいえ、言葉は運用が大事です。自分の目的(記憶の補助か、共有のためか)に合わせて、最適な表現を選んでください。

